平成16年9月27日

全国銀行協会

金融法務研究会第2分科会報告書「債権・動産等担保化の新局面」について

今般、標記金融法務研究会報告書を刊行いたしました。
金融法務研究会(座長:前田 庸学習院大学名誉教授)は、金融法務分野における研究者をメンバーとして、全銀協により平成2年10月に設置された研究会です。

本研究会では、2つの分科会を設置し(第1分科会主査:岩原紳作東京大学法学部教授、第2分科会主査:能見善久東京大学法学部教授)、金融法務・法制のテーマの検討を行っています。

本報告書は、第2分科会における平成15年度の研究成果をとりまとめたもので概要は下記のとおりです。

なお、本報告書は研究会としてのもので、全銀協としての意見を表明したものではありませんので、念のため申し添えます。

1.趣旨

債権・動産等担保については、不動産担保への過度な依存が指摘される中で、法律学からだけでなく、広く実務からも関心が高まっているところである。こうした中で、法制度の整備の動きも活発であり、近時、動産担保や将来債権担保の利用拡大につながる立法提案もなされている。今回のテーマの検討では、そうした立法提案における論点も取り入れつつ、新たな担保対象について、従来の議論や最近の動きを踏まえて、法的問題を検討したものである。
以下、その概要である。

2.概要

報告書の各章の概要は以下のとおりである。

第1章 将来又は多数の債権の担保化

(中田裕康 一橋大学教授)

銀行の与信業務において、昨今、債権担保の需要が高まっていることを踏まえ、「現在及び将来の多数の債権」(本章における「集合債権」)を担保化する際の問題を分析している。
まず、「集合債権」について、現行の民法、債権譲渡特例法などの制定法を前提に、当該債権の譲渡の効力、対抗要件、債権譲渡禁止特約等について、最近の判例の状況を中心に、それぞれの問題点を整理し、分析している。さらに、「銀行の与信業務における集合債権の担保化の意義」として、「担保権が実行されるまでの法律関係の明確化」と「担保権実行段階の法律関係の明確化」についてそれぞれ検討している。

第2章 普通預金の担保化

(野村豊弘 学習院大学教授)

普通預金の担保化のニーズは、プロジェクト・ファイナンスにおける融資の担保としての利用、クレジット債権の証券化における担保としての利用、デリバティブ取引の清算における担保としての利用など多岐にわたっている。本章は、こうした実務ニーズを背景として、普通預金の担保化の法的問題として、普通預金の法的性質、担保の目的としての普通預金の特定性、担保としての効力(第三者に対する対抗力)等の観点から分析を行っている。

第3章 動産担保について

(山田誠一 神戸大学教授)

最近の企業の資金調達方法の変化と、それに伴う新たな担保手段の活用への関心の高まり等を踏まえ、在庫を中心とした動産担保について、近時の議論を中心に検討を行っている。集合動産譲渡担保について、判例の見解を踏まえ、集合物を1個の実在するものとの考え方と将来の物について予めの譲渡担保等の観点から法的構成に過ぎないとの考え方を対比させて分析を行っている。また、複数の集合動産譲渡担保の競合場面については、法制審動産・債権担保法制部会の議論を参考に、譲受人相互間の優劣のあり方について、占有改定と登記の効力との関係から論じている。

第4章 株式および社債の無券面化とその担保差入れについて

(前田 庸 学習院大学名誉教授)

近時の「社債等の振替に関する法律」の制定や、株券不発行制度の導入を踏まえ、株式および社債がペーパーレス化した場合の当該株式・社債を担保とする場合の問題を論じている。株券不発行制度については、新制度下での株式の譲渡、質入または譲渡担保の取扱い等について分析されている。また、社債(短期社債を含む)については、社債等の振替に関する法律における振替社債について、その意義、権利帰属など制度の概略を論じたうえで、振替社債の譲渡、質入等について概観している。

第5章 信託受益権の担保

(能見善久 東京大学教授)

本章は、信託受益権を担保とする場合の法的問題について論じている。具体的には、貸付信託などの金銭信託受益権を担保とする場合、不動産流動化スキームにおいて不動産管理信託の受益権を資産として譲り受けたSPCが借入れを行うために当該受益権を担保とする場合、証券総合口座などに入っている証券投資信託受益権を担保とする場合等について、それぞれ分析が行われている。

(本件に関するご照会先)
金融法務研究会事務局 全国銀行協会
業務部 大野 電話 03-5252-4310
金融調査部 電話 03-3216-3761(代)