2005年10月14日

全国銀行協会
会長 前田 晃伸

郵政民営化関連法の成立について

私どもはこれまで、郵便貯金事業の本質的な問題は、その規模が極めて大きいことに加え、その資金が市場原理の埒外に置かれていることにより、わが国金融市場の公正な価格形成を歪め、効率的な資金配分を阻害している点にあると主張してまいりました。

今般成立した郵政民営化関連法では、郵便貯金銀行については、他の金融機関との公正な競争条件を確保する観点から、平成19年10月の民営化当初より、政府保証の廃止と預金保険料の支払い、納税義務を負うとともに、適切なリスク遮断を行う観点から、新旧勘定の分離、持株会社による郵便貯金銀行株式の完全処分等が規定されており、問題解決のための大きな前進であると考えます。

しかしながら、最終的な民営化に至る移行期間において、仮に、公正な競争条件が確保されないまま、経営の自由度が先行して拡大されることになれば、実質的な官業の一段の肥大化を招き、問題を一層深刻化させかねないとの懸念も残っており、移行期間中の業務拡大にあたっては、民営化委員会のチェック機能が極めて重要であると考えます。また、民営化委員会の運営にあたっては、中立的な第三者の意見に加えて、民間企業との共存に向けて民間金融機関の意見も十分反映されるよう、要望いたします。