平成17年11月 4日

各 位

私的整理に関するガイドライン研究会
座長 高木 新二郎

ガイドラインの評価および今後の課題等(検討結果報告)およびQ&Aの一部改訂について (私的整理に関するガイドライン研究会)

「私的整理に関するガイドライン研究会」では、本年5月25日に実務WGを立ち上げ、ガイドラインに則った再建計画に携わった実務者等の意見等を踏まえ、実務的な観点から、現在のガイドラインの評価を行うとともに、ガイドライン・同Q&Aの内容について見直しが必要かどうかも含めた検討を行って参りました。

今般、この検討結果を別添1のとおり取りまとめるとともに、Q&Aの一部改訂を行うことといたしましたので、公表いたします。検討結果およびQ&Aの改訂内容の概要は、下記のとおりです。
なお、Q&A一部改訂後のガイドラインは、別添2のとおりです。

1. ガイドラインが果たしてきた役割

  • 金融機関の不良債権問題と企業の過剰債務問題との一体的解決の有用なツール。
    • 私的整理自体の透明性の向上、スピーディーな処理、第三者の客観的な意見の反映に貢献。法的整理と比してもメリット。
  • ガイドラインの適用件数は、少なくとも30~40件ぐらいの大型・中規模案件。実際に適用しない場合でも、ガイドラインに準じた手続を採用。検証を行うための指針など、副次的な効果あり。

⇒ ガイドラインの果たしてきた役割は非常に大。

2.ガイドラインの今後の役割

  • 産業再生機構による債権買取終了後においてその役割は重要。
    • 企業のスピード再生中堅・中小企業案件や公的セクターへのニーズあり。

⇒使い勝手を良くしていくための検討が重要。

3.ガイドラインの今後の課題

(1)債務者

  • 中小企業の再生について、費用対効果や取引銀行の少なさといった事情から、ガイドラインそのものを適用するケースは少ない。
  • 今後も中小企業へのガイドラインの適用を否定するわけではなく、検証するための指針として活用。
  • モラルハザードの観点から、ガイドラインのハードル(3年以内の実質債務超過解消および3年以内の黒字転換など再建計画内容の基準)は下げるべきでない。

(2)利害関係者の調整

  • 最大の弱点は、私的整理の成立には原則として関係する金融機関債権者の「全員」の同意を要すること。債権者の全員同意は相当に困難。
  • 私的整理プロセスで少数債権者が反対をした場合に、DIPファイナンスや商取引債権の保護など私的整理の枠組みを維持しながら、裁判所の関与により、この問題を解決するような仕組みの検討も期待。

(3)実務家の関与

  • 再建計画を策定する際には、事業計画にもとづく収益性やキャッシュフローを見る視点も必要。ビジネスの分かる人の関与が望ましい。

(4)今後の期待

  • この数年間で世界水準に達した早期事業再生を定着させ発展させるためには、利害関係者の調整を円滑化させる何らかの方策が必要であり、そうした立法化を望む声が大方。
  • 既存の法制度の柔軟な運用促進も含めて、不確実性の少ない方法の実現が必要。

⇒今後の関係省庁や実務家や学界などの議論に大いに期待。

4.ガイドラインへの手当て

(1)私的整理のプラクティス変化に対応した金融支援方法の多様化を反映

  • ガイドラインによる私的整理については、「債務(主として金融債務)の猶予・減免など」と定義(第1項(1))しているが、債務の株式化を含めた金融支援方法の多様化に加え、資本構成を適正化するための財務リストラクチャリングも必要となってきているので、これを明記するためQ38-1を追加。
  • 事業計画に盛り込む財務内容については、「資産・負債・損益の今後の見通し(10年間程度)。」と定義(第7項(1)[4])しているが、こうしたバランスシート調整に加え、将来キャッシュフローを計画に含めることも必要となっているので、Q37においてこの旨を追加。

(2)メインバンクのあり方の変化を踏まえた主要債権者の定義

  • Q8では、債権額が圧倒的に多い債権者(主にメガバンク)を想定して「主要債権者」を定義。今後も「主要債権者」の役割は変わらないものの、圧倒的に債権額が多いとは言えない状況になってきているので、表現を見直し。

(3)金融機関債権者のサービサーやファンドへの拡大を踏まえた対象債権者の定義

  • 「対象債権者の範囲は、金融機関債権者であるのが通常であるが、相当と認められるときは、その他の大口債権者などを含めることができる。」と定義(第4項(4))。
    最近の債権者の姿を踏まえ、「対象債権者」を解説しているQ8において、サービサーやファンドといった金融債権者なども対象債権者に含まれることを明記。

(4)政府系金融機関のガイドラインへの参加の位置付けの見直し

  • Q16では、政府系金融機関の私的整理への関与を解説。緊急経済対策状況下を脱した現在では、政府系金融機関は私的整理に参加しなくてもいいという反対解釈が成り立つおそれがあり、表現を見直し。

(5)第三者アドバイザーとしての会計士・税理士・弁護士以外の参加

  • Q23では、債権者会議で選任される「アドバイザー」を定義。弁護士や公認会計士とは違う再建計画策定の専門家の視点も必要となってきており、表現を見直し。

(6)中小企業に対するガイドラインの適用について

  • Q3では、私的整理の対象となる企業を定義しており、中小企業もこれに含まれることを明記。

【本件照会先】私的整理に関するガイドライン研究会事務局
全国銀行協会 企画部 担当:松本、明官(みょうかん)
TEL. 03-5252-3707

別添資料:ガイドラインの評価および今後の課題等(検討結果報告)およびQ&Aの一部改訂について (私的整理に関するガイドライン研究会)