平成20年1月 3日

全国銀行協会会長 奥 正之

年頭所感

 平成20年の新春を迎えるにあたり、所感の一端を申し述べ、新年のご挨拶に代えさせていただきます。

 昨年は、新興諸国を含めたグローバルな生産基盤と市場の拡大による世界経済の成長が続くなか、わが国経済も、輸出の増加や設備投資の拡大を背景に、景気の緩やかな拡大基調が持続しました。しかしながら、年後半には、法令改正による建築投資の大幅な減少が成長の下押し要因となったほか、原油価格の高騰や米国のサブプライムローン問題などの懸念材料が新年に持ち越されました。
 銀行界におきましては、お客さまや広く社会からの信頼を揺ぎ無いものとし、「回復から拡大へ」というトレンドを確かなものとするべく、様々な取組みを進めてまいりました。本年は、安心と信頼に裏打ちされた金融分野における力強いプロフェッショナル・パートナーとして、お客さまと社会からより一層の支持を獲得していくため、以下の2点を重要課題として取り組んで参りたいと考えております。

 第一点目は、金融サービスの提供に際して、お客さまの安心・信頼の確立と、銀行チャネルにおける利便性の向上を、両立させながら高いレベルで実現していくことであります。
 昨年9月の金融商品取引法の全面施行を受けて、銀行界におきましては、法令遵守の観点から新法の趣旨徹底と実務的対応を図って参りました。全銀協におきましても、この重要な法改正に対する会員銀行の対応準備を支援するため、講演会の開催や取組み事例集等の作成、Q&Aの取り纏め等を行って参りました。本年は、利用者保護のレベルを引続き高いところに維持しながら、よりスムースな接客対応といった面での習熟・改善を図っていく必要があります。
 また、昨年12月には、保険商品の銀行窓販が全面解禁され、併せて、保険契約者の保護等を図る観点から、法令の遵守態勢や責任ある販売体制の整備等について、銀行が留意すべき事項が改めて明確化されました。本年は、これを確りとクリアした上で、お客さまに対して、銀行という利便性の高いチャネルを活用して、多様な金融商品を安心してご購入頂ける環境づくりを一層進めていく必要があります。
 全銀協としても、こうした各行の取組みを引続き、適切にサポートして参りたいと思います。

 第二点目は、わが国の金融市場の効率性、活力、国際性を高めていくための規制緩和と制度整備を具体化し、着実に進めていくことであります。
 国際的に見て遜色のない利便性の高いサービスの円滑な提供を可能とする観点から、銀行・証券間のファイアーウォール規制や、銀行グループの業務範囲規制の見直しの具体化に向けた動きをフォローアップするとともに、郵政改革や政策金融改革について、本来の趣旨に即した実効ある見直しを実現するべく、機会を捉えて積極的に意見を申し上げて参りたいと考えています。
 更に、金融・資本市場の国際競争力強化の観点から、資金・証券決済システム機能の一層の強化、「貯蓄から投資へ」の流れを一層加速させるための金融・証券税制のあり方の見直し、より良い規制環境の構築(ベターレギュレーション)等が検討されていますが、銀行界として、これらの諸課題について十分な分析・検討を行い、適切に対応して参りたいと思います。

 このほか、お客さまと社会からより一層の支持を得ていくための取組みとして、企業としての社会貢献活動や環境問題への取組みも益々重要になってきております。茲許、国際的にも大きな関心を集めている環境問題については、会員各行において、環境関連の融資制度の創設等、金融商品・サービス面での対応のほか、地球環境保護のための社会貢献活動への参加等、様々な取組みが拡大しております。全銀協としても、電力使用量の削減や「チーム・マイナス6%」の普及に向けた協力等、引続き積極的な活動を進めて参りたいと考えております。

 わが国経済が、グローバル化の加速や少子高齢化、人口減少といった大きな構造変化への対応を進めていくなかで、資金の円滑な供給や、国民の金融資産の安定的・効率的な運用、更にはアジア経済をはじめとする世界経済の発展への貢献という面で、銀行が果たすべき役割は極めて大きいものがあります。銀行が5年後、10年後に、その役割を今以上に確りと果たし、お客さまと社会からより一層の支持を得られるよう、今後とも着実に基盤づくりを進めて参りたいと思います。
 結びに、本年が、われわれ銀行界にとって、大いなる飛躍の年となることを祈念致します。