平成20年12月22日

各 位

金融調査研究会

金融調査研究会第1研究グループ報告書「わが国金融産業の国際競争力強化に向けて」について(金融調査研究会)

 金融調査研究会(座長:貝塚啓明東京大学名誉教授・金融教育研究センター長)の第1研究グループ(主査:清水啓典一橋大学教授)は、今般、標記報告書を取りまとめました。

 本研究会では、平成19年度において、「わが国金融産業の国際競争力強化」を研究テーマとして取り上げ、この課題に向けた取組みについて検討を行いました。その成果は、「わが国金融産業の国際競争力強化に向けて」と題する提言としてとりまとめ、平成19年10月31日に開催したシンポジウムにおいて公表しています。
 この報告書は、同レポートに加え、研究会の各メンバーが執筆した研究論文を収録し、金融機関における国際競争力強化に向けた取組みを進めるに当っての課題等を理論面から論じたものとなっています。本報告書に所収された論文は、研究グループのメンバー各人の責任で執筆されたものであり、執筆者の所属する機関の意見を反映したものでも、また、全国銀行協会の意見を表明したものでもありません。
 本研究会としては、この報告書が、金融機関の取組みを後押しするとともに、本分野に関心を持つ企業関係者、研究者等、多くの方々にご活用いただけることを期待しています。

【本件に関するご照会先】
金融調査研究会事務局
全国銀行協会 金融調査部 大山、福田
〒100-8216 東京都千代田区丸の内1-3-1
Tel.03-5252-3741
Fax.03-3214-3429

 

別紙

 

「わが国金融産業の国際競争力強化に向けて」の概要

 

提言 「わが国金融産業の国際競争力強化に向けて」

 当研究会の提言として、平成19年10月31日に開催したシンポジウムにおいて公表したものを再録している。「I.規制改革が可能にする国際競争力の強化」において、わが国金融産業が、欧米の金融機関と互角に競争できる国際競争力を備えるためには、世界標準に合致する規制環境への変革などを通じて、金融機関間競争を一層促進することが望まれるとし、「II.規制改革に向けた個別提言」において、諸外国における規制改革の取組み等を参考に、わが国の規制改革における課題とともに、金融機関自らが取り組むべき課題を示している。

 

第1章 わが国金融資本市場の競争力強化に向けて

(清水啓典 一橋大学大学院商学研究科教授)

 長年に亘って議論され尽くしてきた感のある金融産業の国際競争力強化が、一向に成果を上げているように見えない根本的原因がどこにあるのかを検討している。その上で、国家的課題としての政治的リーダーシップの必要性と金融機関が努力すべき課題として、国内に海外から資本を受け入れる体制整備や、そのための人材育成、金融機関の人材の国際化、などの具体的方向性を示している。

 

第2章 顧客情報の共有は経済厚生を高めるか?

(渡辺 努 一橋大学経済研究所教授)

 ファイアーウオール規制が緩和されつつある現状の下で、金融機関による顧客情報の共有の得失を過去のデータを踏まえつつ検討している。その結果、情報共有は資金調達費用の低下をもたらす反面、顧客側に情報を誤用する懸念が生じて経済厚生を低下させる可能性も生まれるため、金融機関側が投資家に信頼される誤用防止ルールを整え実践する必要性がある点を指摘している。

 

第3章 アジア金融市場の制度とコーポレート・ガバナンス

(福田慎一 東京大学大学院経済学研究科教授)

 今後日本が有望な市場として競争力を高める対象となると考えられるアジア各国に特徴的な、欧米諸国の金融制度とは異なる金融制度の特徴を抽出して、いくつかの視点から望ましいアジア型金融システムのあり方を探ろうとしている。所有と経営が尚未分化のアジア諸国において、アジア債券市場育成の意義が指摘されている。

 

第4章 日本の金融業のアジア展開

(吉野直行 慶應義塾大学経済学部教授)

 これまでアングロサクソンを中心とする欧米金融機関がアジアでの資金仲介を行い金融取引で収益をあげてきた事実に言及したうえで、今後、日本の金融機関が人材育成、金融商品・金融技術の開発、金融情報の生産・発信を通じて、アジアを基礎にグローバルな展開ができるようにする必要性を指摘している。

 

第5章 自己資本比率規制と国際競争力

 

(佐々木百合 明治学院大学経済学部教授)

 BISの自己資本比率規制導入の経緯から金融危機の期間中の金融機関に与えた影響について検討し、それが必ずしも市場から評価されず競争力強化に貢献したとは言えない点を指摘している。

 

(※ 肩書きは平成20年3月現在)

以上