2009年12月 4日

全国銀行協会
会長 永易 克典

「日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律」の成立について

 本日、「日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律」が臨時国会において成立いたしました。その中では、「郵政民営化について、国民生活に必要な郵政事業に係る役務が適切に提供されるよう、政府において平成21年10月20日の閣議決定に基づきその見直しを検討することとしていることにかんがみ、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止」等を定めるとされました。

 私どもはかねてより、「適正な規模への縮小」「民間金融機関との公正な競争条件の確保」「事業間の適切なリスク遮断」が郵政改革における原則であり、官業ゆえの特典とそれに基づく規模の肥大化といった構造を是正して金融市場における公正な競争を促すことを通じ、国民の利便向上および民間への資金還流を図ることが重要であると主張してまいりました。

 見直し後のゆうちょ銀行が、例えば、政府出資が残り、特別法に基づき幅広い業務範囲等を認められる特別銀行等となる場合には、民間金融機関との競争条件に著しい不均衡をもたらす可能性があります。この場合、見直し後のゆうちょ銀行について、完全民営化を前提として進められてきた業務範囲の拡大は認めるべきではなく、むしろ、公正な競争条件確保の観点から、例えば預入限度額に一定の制限を設けるなど、業務を必要最小限に絞り込む必要があると考えます。

 今後の議論・検討にあたっては、ゆうちょ銀行と民間金融機関の公正な競争条件を確保しつつ、利用者利便の向上に資する健全な金融市場が構築されるよう、関係者から幅広く意見を聴取することも含め、慎重な議論が尽くされることを強く要望いたします。