平成22年4月15日

全国銀行協会
会長 永易 克典

郵政改革について

 足元、政府において法制化が進められる郵政改革は、郵便貯金事業について、従来の「完全民営化を前提として、移行期間中に業務範囲を制限」とのあり方から、「政府関与の残存を前提として、業務範囲の自由度を拡大」へ大きく転換される方向性にあります。
 銀行界としては、これまで主張してきた通り、「完全民営化」ではなく郵便貯金事業に「政府の関与が残る」のであれば、郵便貯金事業の業務範囲は制限的・抑制的であるべきで、現行以上の業務拡大は断じて許容できません。むしろ、「公正な競争条件の確保」および「官業は民業の補完に徹する」との観点から、業務範囲の縮小を検討すべきと考えます。こうしたなか、3月30日、政府が郵便貯金の預入限度額を現行1,000万円から2,000万円への引上げ方針を確認したことは、極めて遺憾です。

 今後、法制化の最終段階に当たっては、以下のポイントにつき、充分留意した制度設計となることを強く望みます。

  1. 恒久的に政府関与の残る郵便貯金事業は「官業」の位置づけにあるため、新たに制定される法律の目的規定等において、「少額貯蓄手段の提供」、「民業補完」の位置づけを明確化すること。
  2. 政府関与の残る郵便貯金事業の預入限度額引上げや業務範囲拡大は容認できない。「公正な競争条件の確保」および「官業は民業の補完に徹する」との観点から制限・規制を課されるべきこと。
  3. 今後、郵便事業等を担う持株会社についても、金融事業とのリスク遮断徹底の観点から、金融業務・一般事業ともに現行以上の拡大は制限すること。
  4. 仮に、業務範囲の拡大を検討する場合も、従来通り、第三者機関による意見を聴いたうえで、内閣総理大臣および総務大臣の「認可」制を前提とすること。
  5. 第三者機関が、業務範囲、公正な競争条件の確保等につき、定期的にチェックする枠組みを構築すること。同時に、預入限度額のあり方を計るために、預金動向等について適正かつ定期的なチェックをできる枠組みを構築すること。

 こうした観点に十分配意いただくとともに、「郵政改革素案」(2月8日)に明記された基本理念である「競争条件の公平性に配慮」「中小地域金融機関等の立場にも十分な配意」等を踏まえ、慎重かつ十分な法制化の検討が進められることを強く希望いたします。