平成22年5月20日

郵政改革を考える民間金融機関の会
全国銀行協会
社団法人全国地方銀行協会
社団法人信託協会
社団法人第二地方銀行協会
社団法人全国信用金庫協会
社団法人全国信用組合中央協会
JAバンク・JFマリンバンク

郵政改革を考える民間金融機関の会 共同声明

 われわれは、国民経済の健全な発展を促すという観点から、これまで長年にわたって、かつ現行の郵政民営化法の下にあっても、郵政事業における金融事業の問題点を指摘し、改善を求めてきた。郵政改革の本来の目的は、国際的に類を見ない規模に肥大化した金融事業を段階的に縮小し、将来的な国民負担の発生懸念を減ずるとともに、民間市場への資金還流を通じて、国民経済の健全な発展を促すことに他ならない。

 しかしながら、今般、国会に上程された郵政改革関連法案においては、郵政事業のユニバーサル・サービスのコストを賄うために、政府出資を常態化したまま、収益事業としての金融事業の規模・業務範囲を拡大する形となっている。

 これらは、将来的な国民負担の縮減や民間市場への資金還流という改革の本来の方向性に逆行するに留まらず、民間金融機関との競争条件の公平性を逸することで、地域における円滑な金融仲介機能を阻害するなど、国民経済の健全な発展を妨げる強い懸念がある。

 以上の認識の下、われわれ民間金融機関は、下記事項を総意として確認し、その実現に向け一致団結して取り組むことを決議するとともに、日本郵政グループの今後のビジネスモデルも踏まえ、郵政改革関連法案が長期的な国益に適うかどうか、国会における深度ある審議・検討が行われることを強く要望する。

 

 

一、
政府が、日本郵政株式会社の総株主の議決権の1/3超を常時保有し、経営上の重要事項に係る拒否権を保持し続けるなど、現在のみならず将来にわたって政府の強い関与が残る日本郵政グループは官業と見做さざるを得ず、金融事業の規模を縮小の上、民業補完に徹すべきである。

一、
暗黙の政府保証が付された官業郵政の肥大化による民間の市場秩序の攪乱を防止するため、金融事業の業務範囲・限度額の変更に際しては、新たに設立される郵政改革推進委員会による十分かつ中立・公正な事前の調査・審議を含む「認可制」を維持すべきである。

一、
郵政改革推進委員会は「民業補完に該当するか」「民間の市場秩序を攪乱しないか」「同種の事業を行う事業者との競争条件の公平性が確保されるか」「特に地域の中小企業等への金融円滑化を阻害しないか」という基準から、新規業務の是非の判断を行うとともに、預入限度額の見直しについても同様に十分な事前調査・審議を行うべきである。また、預金の受入額の動向等について、前記基準に基づき、定期的かつ継続的に検証を行う枠組みを構築すべきである。
なお、監視機能を担う同委員会が存在しない期間は、業務範囲の変更は原則として回避すべきである。

郵政改革を考える民間金融機関の会 共同会見

【全国銀行協会 奥会長】

 本日は、郵政改革関連法案の国会における審議開始を控えて、民間金融機関8団体の7代表が集結して、共同声明を取り纏めたところである。

 郵政改革、なかんずく郵便貯金事業の改革は、国民経済の健全な発展のために、欠くべからざる条件だと思う。しかしながら、現在政府によって示されている改革案については、郵貯の更なる肥大化や業務の拡大等が指向されており、本当の意味での改革に逆行しかねないという懸念があるわけである。このような認識を踏まえて、本日の共同声明は、郵政改革関連法案の国会審議が、「国民経済の健全な発展のために資するのか」「長期的な国益に適うのか」という観点から、深度をもって行われることを、民間金融機関が一致団結して要望するものである。

 それでは、共同声明を読みあげさせていただく。

 (共同声明文読みあげ;上記ご参照)

 声明文にもあるとおり、繰り返しになるが、郵政改革関連法案の審議に際しては、長期的な国益に適うかどうかという観点から、深度ある議論・検討が行われることを強く希望する。

【全国地方銀行協会 小川会長】

 今回の郵政改革法案では、その出発点で、郵便事業だけでなく、簡易な貯蓄、保険等の金融サービスを、大都市であれ、地方であれ、提供することが「国の責務」である、という前提を置いている。その「国の責務」を日本郵政株式会社に委託するコストを賄うために、金融業でしっかりと稼げるようにする、というかたちになっている。

 今日のわが国では、金融システムはしっかりと構築されており、様々な民間金融機関が全国津々浦々で多種多様な金融商品をお客さまに提供している。こうした状況において、金融サービスの提供が「国の責務」である、と言うのはいかがなものか。諸外国をみても、自由主義経済のもと、こうした金融サービスを「国の責務」として行っているということは聞いていない。こうした基本的な点について十分な審議をお願いしたいと思う。

 もう一点、日本郵政グループの今後のビジネスモデルについて申しあげる。これだけの大改革であるにもかかわらず、日本郵政グループの具体的なビジネスモデルや事業計画等については、概要すら示されていない。株式会社である民間金融機関は、投資家に対し、投資判断の材料として、将来の事業計画を常に示している。今後、日本郵政グループがどのような方向に進んでいくのかを検証するためにも、具体的なビジネスモデル等を示していただくことを強く希望する。

【信託協会 常陰会長】

 私からは、今後の郵政改革関連法案の国会審議と、新たに設置される郵政改革推進委員会の枠組みに対する要望を申しあげたいと思う。

 共同声明にもあるように、今回の郵政改革関連法案については、「競争条件の公平性」や「民間金融機関の金融仲介機能の阻害」といった問題があるうえに、預入限度額拡大により、わが国金融市場の競争力強化のために進められている「貯蓄から投資へ」という施策に水をさす懸念もある。

 本法案の国会審議等に際しては、これらの観点について、十分かつ慎重な議論・検討を行っていただきたい、と考えている。

 また、本法案のもとで設置される「郵政改革推進委員会」については、郵政事業の金融業務に対して、公正・中立な第三者の視点で監視機能を発揮するという、重要な役割を持つ機関であり、この委員会が真に実効性のあるものとなるような枠組みが必要である。

 具体的な例として申しあげると、
 (1)この委員会の審議対象として、預入限度額や業務範囲変更を明示し、十分な事前の調査・審議が行われること
 (2)定期的かつ将来にわたって継続的な検証が行われること
 (3)この委員会は利害関係のない第三者で構成され、議事は速やかに公表されるなど透明性の高い議論がなされること
 などであり、こういった枠組みを担保していただくよう強く要望する。

【第二地方銀行協会 小島会長】

 これまでの各協会の会長のご発言のとおり、当業界としても、郵政改革関連法案は、多くの問題を孕んでおり、極めて遺憾であると考えている。

 私ども第二地方銀行42行の預金残高は、約57兆円であり、ゆうちょ銀行、約180兆円の3分1程度に過ぎない。

 こうしたなか、預入限度額は、現行の2倍に引き上げる方針とされており、暗黙の政府保証を背景に、規模の拡大につながることは明白である。

 私どもは、地元の個人等から預金をお預かりし、その大半を地元のお客さまに融資させていただいている。限度額の引上げにより、預金吸収に影響が出れば融資に支障が生じ、地域の中小企業等の金融円滑化に重大な影響が及ぶことが懸念される。

 預入限度額は、引き下げに向けた見直しが必要と考える。

 また、法案では、新規業務について、一定期間の届出を義務付けるのみで、基本的には、ゆうちょ銀行の経営判断で参入できるとされている。

 しかし、政府の信用を背景とするゆうちょ銀行において、民間が担うべき業務分野への拡大・肥大化は、断じて認められるべきではない。特に、中小企業向け融資および住宅ローンは、従来から、当業界がその使命として取り組んでいる業務であり、その残高は、貸出金の8割以上を占め、すでに、必要な金融サービスやインフラを十分に提供していると考えている。

 加えて、ゆうちょ銀行の業務内容については、時限的に郵政改革推進委員会が監視機能を担うとされているが、その間においても、同委員会がその役割を果たせるのか甚だ疑問である。

 さらに、郵政グループは、民間には認められていない銀行・保険・郵便の3事業一体運営が可能であり、公平な競争条件の面からはもとより、他の事業のリスクがゆうちょ銀行に集中する危険性があるため、金融システムの安定性の観点からも問題である。

 このような法案が成立し、官製の巨大なゆうちょ銀行に、規模の肥大化と業務範囲の拡大が認められれば、地域の中小企業等の金融円滑化に重大な影響が及ぶと懸念する。

【全国信用金庫協会 大前会長】

 すでに各団体の代表者からお話しが出ているとおり、私ども信用金庫業界としても、預入限度額を2,000万円に引き上げることについては絶対に反対であり、本来引き下げるべきものだと考えているが、本日は、私ども中小企業専門金融機関という立場から、郵政改革が中小企業の金融円滑化に与える影響について申し述べる。

 協同組織金融機関である信用金庫は、地域の中小企業、とりわけ小規模企業や住民に対する金融の円滑化を通じて、地域社会・経済の発展に寄与する役割を担っている。
 私ども信用金庫が、こうした地域・小規模企業に対して安定的に資金を供給するためには、会員の方々をはじめ地元のお客さまと、長期継続的な信頼関係を維持していくことが極めて大切であると考えている。
 そのため私どもでは、長年にわたって、経営相談や再生支援、個人のライフサイクルに応じた提案など、単に資金を提供するだけではなく、また、貸出の有無に関係なく、お客さまの状況を常に把握して、きめ細かな相談・支援に応じるよう努めてきた。

 こうしたなかで私どもの懸念は、今後、ゆうちょ銀行が残高を増やした場合、その資金を一体何に活用するのか、ということである。これまでその大半は中央に集められ、国債に運用されていたが、ゆうちょ銀行は、今後、新たな貸出業務にも進出するのではないかと考えている。
 しかしながら、お客さまとの長期継続的な信頼関係を構築することは極めて困難であることから、貸出といっても財務諸表などの定量的な情報のみで判断する、つまり定型的な融資商品を取り扱うことにならざるを得ないと思われる。

 本来、貸出というものは、コストや手間のかかる定性的な信用情報を十分に見極めたうえで、お貸しするものであり、定量情報だけで安易に判断すれば、財務諸表が良い時には借りられるが、悪くなれば、即座に融資が回収されたり、借りられなくなってしまう、ということになりかねない。こうした問題は、ゆうちょ銀行の不良債権の増加や多重債務者問題にも広がる懸念がある。

 巨大なネットワーク網を使い、郵便局で貸出業務を行えるようにすることは、一見、国民経済的には好ましいようにも見えるが、実際にはうまくいかずに、むしろ長い年月をかけて築きあげてきた地域の安定的な金融システムが損なわれることになり、さらには地域密着型金融の仕組みが崩壊することにもなりかねない。

 したがって、法案の審議に当っては、こうした事態に陥り、将来に禍根を残さないよう、特に新規業務については、中立・公正な審査機関による厳格な事前審査を義務付けることを含め、賢明かつ慎重なご判断を期待して止まないところである。

【全国信用組合中央協会 中津川会長】

 私ども信用組合業界では、今般の郵政改革について、これまで一貫して、実質的に政府の関与が続くゆうちょ銀行の預入限度額の引上げや貸出業務への進出等の業務範囲の拡大は、断じて容認できるものではない旨を主張してきた。

 しかしながら、この度の法案では、ゆうちょ銀行は、引き続き、政府の関与が強く残る正に「官業」そのものであり、そのゆうちょ銀行が、預入限度額の2,000万円への引上げにより再び肥大化し、さらには、貸出業務等へ進出することになれば、中小企業金融、とりわけ、私ども信用組合が最後の拠り所としての役割を担っている中小零細事業者等への円滑な資金供給を大きく阻害する懸念があると考える。

 「国の関与」という面で言うと、ゆうちょ銀行に対しては、国民の意識の中に「いざとなれば政府が何らかの支援をする・してくれる」という安心感が歴然として存在することは否定できず、これは計り知れないアドバンテージであり、民間との競争において、公正な条件が確保されているとは、到底言えるものではない。

 信用組合の場合は、相対的に高齢者との取引が多く、この高齢者の認識は、「郵便局イコールお国」であり、ゆうちょ銀行の預入枠が拡大し、積極的なセールスがなされれば、移し替えようとする動きが当然起こってくるものと考える。

 信用組合業界は、預金量から見ると2,000億円未満の信用組合が全体の87%という状況にある。

 公正な競争条件が確保されないまま巨大な資本と資金力を持ち、かつ、膨大な地域の個人情報を保有するゆうちょ銀行が資金の運用先を求め、貸出業務への進出等の業務範囲を拡大することとなれば、到底共存共栄関係とはなり得ないものと考える。

 したがって、法案にある郵政改革推進委員会は、「民業補完に該当するのか」、「競争条件の公平性が確保されるか」、さらに、「中小零細事業者等の金融の円滑化を阻害しないか」という基準から、新規業務等の是非の判断を行うとともに、預入限度額の見直しについても十分な事前調査・審議を行うべきである。

 いずれにしても、今般の郵政改革が地域や中小企業金融の円滑化等に無用の混乱を招くことのないよう、法案の審査に当っては、慎重かつ十分な審議が行われることを強く要望する。

【JAバンク・JFマリンバンク 河野農林中央金庫理事長】

 民間金融機関はほぼ同じ立場にあるので、基本的な考え方は、奥会長はじめ、皆さまがこれまでご発言されたとおりであり、公的関与の続く郵便貯金は規模を縮小し、民業補完に徹するべきであると考える。

 そのうえで、農漁協系統の立場から、一点付け加えさせていただく。

 郵便局と農漁協系統は、地域密着で地域住民にサービスを提供している点、都市部だけでなく離島・山間地域まで広がる全国ネットワークを有する点で共通している。大きな違いは、我々は民間資本のメンバーシップ組織であるという点である。

 我々は、協同組合として組合員・利用者に対するサービスを継続する必要がある一方で、金融機関店舗としての体制整備に必要なコストを吸収していかなければならず、過疎地域での店舗維持には大変苦労をしているところである。それをお互いに支え合って利用者に最良のサービスを提供できるよう努力をしている。

 そのようななかで、郵便貯金が再び公的関与を強めたうえで、引き上げられた預入限度の下で貯金吸収を行うことになれば、過疎地域を含むエリアで業務を展開している私ども農漁協の収支を圧迫し、ひいては地域や農林水産業へのサービスが低下することとなり、結果として地域経済によい効果は与えないと思う。

 地域内の組合員の総意をもって運営をし、厳しい環境の中で地域に貢献すべく努力している農協や漁協の世界を、巨大な郵便貯金が壊すことのないように、政府・与党には、慎重な検討をお願いしたいと思う。


(問)
 奥会長にお伺いしたい。明日、ジュネーブで日米欧WTO大使級の協議が行われるようだが、アメリカやヨーロッパも今回の郵政改革に対して、かなり懸念を表明している。欧米サイドの声をどのように評価しているかということと、今後共同戦線を張っていくおつもりなのかをお伺いしたい。
(答)(全国銀行協会 奥会長)
 新聞報道等でしかまだ知らないが、そういう動きがある。これは官と民の関係で、公正なる競争条件が確保できるかどうかということが最大の争点かと思う。WTOの問題として、やはりこれが問題だということになってくると、その辺は日本政府もしっかりとその声を受け止めていただかなくてはいけないと思う。ただ、今言っている内容が金融のどの部分にあたるのか、一般論なのか、金融機関として全体なのか、銀行業務なのか、保険業務なのか。その辺が良く分からない。しかし、そういう問題をはらんでいるということを指摘しているということは事実だと思うので、我々から何か働きかけるということはしないが、何かあれば対応していきたいと思う。


(問)
 奥会長にお伺いしたい。民主党が2005年のマニフェストの中で、郵便貯金の預入限度額を1,000万円から500万円にすると明記していた。今回は2,000万円ということになっているが、このようにぶれが見られるような政権というか、今の民主党に対して一言いただきたい。
(答)(全国銀行協会 奥会長)
 どうしてそういうことになったかというご説明がないので、我々もなかなかロジカルに受け止めることが今のところできない。いろいろご事情があるのではないか、としか言いようがない。


(問)
 共同声明を読んでいて、今一つ理解できない。例えば3項目のうち3番目で、推進委員会に要望するということは、推進委員会の設置を盛り込んでいる今回の法案ができること自体は認めているのか。今回の法案そのものを阻止したいので、今回のことをやっているのではなくて、修正が入れば、推進委員会が真摯な取組みをしてくれるならば、今回の関連法案が成立すること自体はよろしいのか。
 このような文章はまどろっこしく、せっかくトップが一堂に集まっているので、はっきりとおっしゃっていただきたい。
 要するに、今回の郵政改革は根本的に今までやるべきことの流れと全く違ったから、全面的に否定する・したいということの表明であるとおっしゃっていただいたほうが、文字を書く立場として楽で良い。読解力がないのかもしれないが、はっきりとお答えいただきたい。
(答)(全国銀行協会 奥会長)
 今回の流れについて反対である。しかし、今の状況のままではそういうことが起こり得る。したがって、法案が成立し郵政改革推進委員会が万一できた場合、これは認可制にするべきと、さらにしっかりと深度ある議論を国益を考えてやっておくべきと、委員会は中立の第3者がやっていくべき、といったことも言っておかなければならない。


(問)
 記者が原稿を書くとしたら金融各団体は今回の法案に反対姿勢を明確にしたと書いて間違いないか。
(答)(全国銀行協会 奥会長)
 共同声明の冒頭に書いてあるとおり、規模の縮小や、国民負担の懸念等の観点からは、今回の法案というのは全く逆行しているのではないか、ということを申しあげている。


(問)
 亀井大臣の言っていることを聞いていると、確かに郵政グループ、特にゆうちょのお金を使って貸出もできるようにしたい、あれもしたいこれもしたいということを言っている。それで認可制ではなく届出制だということをいっているわけだが、郵政以外のところでの発言を総合して聞いていると、亀井大臣の頭の中というのは、企業や国民の貯金、金融資産をゆうちょのほうに集めて、そのお金でどうも財政出動をバンバンやるぞ、継続するぞ、と言っているように聞こえる。つまり、民間が買ってくれなくなると困るので、国債をこのまま買い続けると言っているようにも聞こえてくる。こういった懸念というのはどうか。奥会長と小川会長にお聞きしたいが、そういった懸念はお持ちか。どう、ご覧になっているか。
(答)(全国銀行協会 奥会長)
 私はその件について、亀井大臣の本心を聞いたことがないので、分からないとお答えするほかないが、普通に考えれば、民間を目指す金融機関が、そういうような財政出動ということを考えることは全くないと思う。よって、それはどういうお考えなのか、私はちょっと理解できない。財政出動ということになってくると、これは枠組みから仕組みから全部変わったかたちのものになるのではないかと思う。あくまでも、株式会社、銀行としての金融機関というものは、預金者のお金をお預かりして、それを安全にきちんと運用して、それをお返しする、市場において、また、貸金というものも市場に含めれば、そういうものに運用してお返しするというのが本来の目的なので、そういうお考えがもしあるとすれば、それは理解に苦しむ。しかし、何か他のお考えがあるのかもしれない。ちょっと、わからない。
(答)(地方銀行協会 小川会長)
 先ほど、私は2点申しあげ、ビジネスモデルと申しあげたが、むしろ何をやろうとするのかということを、はっきりさせていただきたいということに関連する。もっと手前に今のようなものは派生的な問題としてはあるものの、繰り返し言っておられる貯金、保険、決済というのを、あまねく、つまり東京の真ん中から離島にいたるまで、同一の条件でサービスを提供することが国の責務であると言っておられるので、それはいったいどういうことなのか。先ほど申しあげたとおり、国の責務を郵政事業会社にやらせる、論理としてそこが大事だと、基本的なものであるといっておられる。そこでコストを賄うためには、郵政事業会社が銀行業務についても色々とできるようにしてやらなきゃいけない。そこを、しばりすぎてはいけない。こう言っておられる。それを基本的な考え方であるとおっしゃっておられるのであれば、まずそこはどちらかというと金融機関である我々の議論というよりは、国民経済的に社会的にまず議論をしていただきたい。ビジネスモデルのところは、経済あるいは金融全体に絡んでくる次の問題だと、そのように思っている。
(答)(第二地方銀行協会 小島会長)
 今回の法案を見ると、郵政グループがユニバーサルサービスを提供するために、それをするための原資を得るために、金融機関の業務を圧迫するというような形に見える。また、十分に国民的な議論もしないままに見切り発車的にサービスの提供がある。ビジネスモデルも明示しないままに、サービスを行うということで、非常に不安なところがある。なお、ユニバーサルサービスについては、我々民間の金融機関全体として見れば、もうすでに整備されている多くの店舗であるとか、ATM等のネットワーク網の中で、必要とされているような金融サービスやインフラは十分に提供できているというような認識をしている。


(問)
 これまでも郵政改革法案に関して反対の表明をされてきたが、なかなかそれが届かずに今のような事態になっている。それであるがゆえに、今日このような形で揃われて改めて共同声明文を出されているということは理解できるが、改めて今の事態をどう捉えているか。また、この先、時間も限られている中で、どういうことを考えているか。
(答)(全国銀行協会 奥会長)
 新政権のもとで、ゆうちょの改革が問題になってから、私どもは大変強い危機意識を持って、全銀協をはじめ、いろいろ発言してきているし、個別にも働きかけをしてきている。しかし、声は届いているが、それがなかなか理解をいただいたという結果にはなっていない。そのようななかで、一昨日、衆議院で上程することについて了解をされているわけであるから、これが最後のチャンスと考えている。したがって、我々は、このチャンスに、我々ができることは何であるか、引き続き個別でやるのかというよりも、やはり今日ここにお集まりいただいている各団体・各業態の金融機関の方々が思いを一つにして、それを訴えることが必要であると判断した。これからも、もちろん、いろいろな場において申しあげていくが、やはりこれは一つの区切りであり、大きな通過点と思う。
 古い話ではあるが、小泉郵政改革の時も、2004年9月に、この時はまだ法案も出ておらず、法案自体もはっきりしていなかったが、そういう流れの中で我々は、ゆうちょの縮小というものを基本的な内容にした決議文を採択して、同様の答えをしたことがある。それに倣ってというわけではないが、今回はそれ以上に、時間的な切迫もあるため、こういう決議文の採択するという形で対応した。


(問)
 この議論を聞いていると、いつも供給者側の論理であり、競争条件の問題とか、自分たちのビジネスが官の肥大化で侵食される、ということにしか聞こえない。一番大事なのは、何故、国民が郵貯の肥大化、官として存在することを是認しているのか、あるいは本日のようなことに対して、国民からの支持が、大きな声が沸いてこないのかということだと思う。非常に難しい議論であることはわかっているが、これだけ国民のお金を預かっている業態であるならば、本来的には国民的な関心と運動になって良いぐらいなのに、国民の賛意を本来的には、民の側がひきつけなければいけないと思うが、いつもそうならない。それはおそらく論理が、供給サイドになっているところがあるのではないかと思っている。
 そこでお聞きしたいのは、奥会長には、何故、国民的な支持を広く受けることができないのか、これまでの過程のなかで、どのように認識しておられるのか。
 もう一点は、利用者から見たら、官であろうが民であろうがより良いサービスを提供してくれればよいわけで、郵貯のサービスより、うちの業態の方が素晴らしいサービスを提供している、という業態の方がいれば、是非、具体的なサービスと、こういうものが郵貯よりも優れているということを、国民にわかりやすくご説明いただきたい。
(答)(全国銀行協会 奥会長)
 最初の質問についてだが、そういう考え方は常にある。しかし、郵貯のそもそもの立法趣旨から振り返っていけば、それはあまりにも当初の意図とは変わった既成事実の積みあげでここまで来てしまってきている、ということにほかならない。それは、一見説得力のある考え方かもしれないが、私は必ずしもそのようには思っていない。それからやはり国民の皆さまに、利便性だけを考えているだけでいいのか、やはり大きなマーケットから考えた場合、また将来それがいろいろな意味で、国民負担に返ってくるというようなことを、はっきりと認識して頂くことが必要なのではないか。そういった意味では、2005年の郵政の民営化一点を論点に絞った選挙があり、それを国民が賛成したということは、それはやはり将来に対するこういったいろいろな問題を、国民が理解し得たと解釈ができることも可能ではないか、と私は思っている。今、おっしゃる気持ちはわかるが、私はそこだけの論点だけでいくのは、今の現実から見ると、はなはだ難しい、必ずしも、その議論だけに乗っていくわけにはいかないと思う。
(答)(第二地方銀行協会 小島会長)
 2点目については、銀行に預金しようが、郵便局で預金しようが同じではないかという話があったが、銀行の場合は何もお客さまから預金を預かるだけではなく、先ほどお話したが、我々は地域で仕事をしているわけで、地域でお客さまから預金を預かって、それを個人のお客さまの住宅ローンとか、あるいは中小企業の融資、円滑化に使っている。それに対して、郵貯は、まだその辺が、集めたお金を何に使うのか、ビジネスモデルがはっきりしていない。私はトータルな面で言えば、銀行は地域では、お客さまの預金について、十分に利便性の向上に寄与しているのではないか、という感じを持っている。


(問)
 先ほど、2005年の郵政選挙のことについて触れられたが、今回の改革法案についても、改めて民意を問うべきであるとお考えか。
(答)(全国銀行協会 奥会長)
 これだけでということには、流れからいくとならないだろう。我々は、これからの選挙について語ることはできない。ただし、過去にあった選挙については語ることができるという意味で申しあげた。

以上