2010年10月 8日

全国銀行協会
会長 奥 正之

郵政改革関連法案の閣議決定について

 本日、郵政改革関連法案が閣議決定されました。当該法案は、通常国会にて廃案となったものとほぼ同じ内容となっており、私ども銀行界としては極めて遺憾です。

 私どもは、かねてより、郵政改革の本来の目的は、国際的に類を見ない規模に肥大化した金融事業を段階的に縮小し、将来的な国民負担の発生懸念を減ずるとともに、民間市場への資金還流を通じて、国民経済の健全な発展を促すことに他ならないと主張してまいりました。

 こうした改革の本旨に基づき、先の通常国会への郵政改革関連法案の上程に当たって、
(1)日本郵政等は、重要事項に係る拒否権を政府が恒久的に保持する公的機関であるにも関らず、「民業補完の徹底」、「少額貯蓄手段の提供」等の目的・理念が法定されていないこと、
(2)金融2社及び親会社の業務範囲について、現行の「認可制」から「届出制」に条件が緩和されていること、
(3)預入限度額について預金保険上限を超えて実質的な政府保証が付される部分が生じる2,000万円まで一気に引き上げる方向にあり、更なる肥大化に繋がる事態となっていること、
(4)「郵政改革推進委員会」による監視について、実効性を確保するための措置(事前審議の確保、預入限度額や業務範囲の変更の審議対象への追加・明示等)を講じる必要があること、
等から、原案では問題が極めて大きい旨指摘し、見直しを求めてまいりました。
 しかしながら、今般閣議決定された法案は、こうした私どもの意見が全く反映されておりません。

 今後の法案に係る審議に際しては、本年5月20日に金融関係8団体が採択した共同声明の通り、改革の本来の目的に立ち戻り、郵政改革関連法案等が長期的な国益に適うかどうか、深度ある審議・検討が行われることを強く希望します。