2012年4月27日

一般社団法人全国銀行協会
会長 佐藤 康博

「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律」の成立について

 本日、「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律」が成立いたしました。

 私どもはかねてより、郵貯事業改革の本来の目的は、国際的に類を見ない規模に肥大化した郵貯事業を段階的に縮小し、将来的な国民負担の発生懸念を減ずるとともに、民間市場への資金還流を通じて、国民経済の健全な発展を促すことにあると主張してまいりました。

 改正法では、日本郵政グループ金融2社の株式は「その全部を処分することを目指し」、「できる限り早期に処分する」ことが規定され、ゆうちょ銀行を最終的に完全民営化するという方向性は維持されたものと理解しています。このような規定を踏まえ、日本郵政により、ゆうちょ銀行を早期に完全民営化するための具体的かつ真摯な取り組みが示されることを期待いたします。

 また、ゆうちょ銀行の新規業務規制については、「株式の1/2以上処分後は届出制」に移行するとされましたが、「届出制」への移行後は、他の金融機関等との間の競争条件への配慮義務等の規定が遵守されるとともに、当該規定に基づき、郵政民営化委員会による対等な競争条件の確保等のための事前検証・評価、関係大臣による是正命令権限が有効に機能するよう、制度の適切な運用に努めることが必要と考えます。また、「認可制」が維持される期間においても、中立・公正な第三者機関である郵政民営化委員会のチェック機能が重要と認識しております。

 加えて、預入限度額に関して、「当面は引き上げない」ことが改正法の附帯決議に盛り込まれましたが、ゆうちょ銀行が暗黙の政府保証により肥大化し、民間の市場秩序に歪みを与えないためにも、政府関与が残る期間は、その限度額が引き上げられるべきではないと考えます。

 改正法及び衆参両議院での審議や附帯決議において、政府関与が残る間、適正な競争条件が確保されないまま民間金融機関の業務を圧迫することのないよう、適切な制度設計を図っていくことが確認されたものと理解しておりますが、かかる観点を踏まえて、今後、郵貯事業改革が本来の目的に沿って進められることを強く希望いたします。