平成25年7月22日

各 位

金融調査研究会

金融調査研究会第1研究グループ報告書「国際通貨制度の諸課題-アジアへのインプリケーション-」について(金融調査研究会)

 金融調査研究会(座長:貝塚啓明東京大学名誉教授・日本学士院会員)の第1研究グループ(主査:清水啓典一橋大学名誉教授)は、今般、標記報告書を取りまとめました(概要および本文は別紙参照)。

 本研究会では、平成24年度において、「国際通貨制度の諸課題-アジアへのインプリケーション-」を研究テーマとして取りあげ、検討を行いました。その成果は、提言として取りまとめ、平成25年2月1日にシンポジウムを開催するとともに、事務局である全国銀行協会ウェブサイトにおいて公表しております。
 本報告書は、同提言に加え、研究会の各メンバーが執筆した研究論文を収録し、国際通貨制度の諸課題について各方面から論じたものとなっています。本報告書に所収された論文は、研究グループのメンバー各人の責任で執筆されたものであり、執筆者の所属する機関の意見を反映したものでも、また、全国銀行協会の意見を表明したものでもありません。
 本研究会としては、この報告書が、本分野に関心を持つ企業関係者、研究者等、多くの方々にご活用いただけることを期待しています。

【本件に関するご照会先】
金融調査研究会事務局
一般社団法人全国銀行協会 金融調査部 南波、大峰
〒100-8216 東京都千代田区丸の内1-3-1
Tel.03-5252-4312
Fax.03-3214-3429

別紙

「国際通貨制度の諸課題-アジアへのインプリケーション-」の概要等

はしがき

提言 「国際通貨制度の諸課題-アジアへのインプリケーション-」

 当研究会の提言として、平成25年2月1日に事務局である全国銀行協会ウェブサイトで公表したものを再録している。
 本提言では、国際通貨制度を巡る諸課題を概観したうえで、わが国政府等への提言、わが国金融機関への提言として、それぞれに取り組むべき課題が明らかにされている。

第1章 ユーロ危機の構造と国際通貨制度

(清水啓典 一橋大学大学院商学研究科特任教授)

 ユーロ導入前から懸念されていた各国間格差拡大の現状を概観しEUの政治経済状況を展望したうえで、通貨間競争の放棄に由来する国家レベルのモラルハザードの発生や経済効率の低下により、成長率の低迷は長期化するとの見通しを述べている。また、ユーロ危機の発生により今後他地域で統一通貨が導入される可能性は薄いため、アジア地域においては為替決済システムの高度化が重要となる点を指摘している。

第2章 グローバル金融・財政危機と東アジアの地域通貨協力

(小川英治 一橋大学理事・副学長)

 米国や欧州から発生したグローバル金融・財政危機の経緯を概観し、それがアジア地域に与えた影響を整理して、アジア地域での金融協力、とりわけチェンマイ・イニシアチブの拡充やAMROを通じた監視体制の国際的協調が必要である点を指摘している。

第3章 ユーロ危機と欧州の金融改革

(嘉治佐保子 慶應義塾大学経済学部教授)

 ユーロ危機発生の経緯を説明したうえで、その対応としてEU内で進んでいるガバナンス改革、とりわけ「ヨーロピアン・セメスター」と呼ばれる財政経済協調プログラムと金融市場改革を取り上げて、現在進みつつある改革の現状と課題を分析している。

第4章 アジアにおける貿易建値通貨選択の現状と課題

(清水順子 学習院大学大学院経済学研究科教授)

 国際金融危機における為替リスク管理の視点から日本企業の貿易建値通貨選択の問題を取り上げ、為替リスクヘッジの現状を分析している。そのうえで、今後、為替リスク管理のためのドルに依存しないアジア通貨の利用拡大やそのための規制緩和や資本市場インフラの整備等が重要な課題となる点を指摘している。

第5章 為替レートのランダムウォークネスとファンダメンタルズ:動学的確率的一般均衡分析からの視点

(加納隆 一橋大学大学院経済学研究科准教授)

 変動為替相場のランダムウォークネスという問題を取り上げて理論的に検討し、ルールからの予期しない逸脱を起こさないような安定的な金融政策運営が為替相場の安定にとって重要である点を導き出している。

(※ 肩書きは平成25年3月現在)

以上