平成26年1月 6日

一般社団法人全国銀行協会
会長 國部 毅

年頭所感

 平成26年の新春を迎えるにあたり、所感の一端を申し述べ、新年のご挨拶に代えさせていただきます。

 新年の内外経済を展望しますと、海外では、先進国を中心に、景気の持ち直しの動きが持続し、わが国でも、消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動減による下振れリスクはあるものの、輸出の持ち直し等により、景気回復が続く見込みです。デフレ脱却に向けた取組みと、持続的成長の実現が、引き続き、わが国にとっての重要な課題となっております。

 こうしたなか、わが国銀行界には、足許の日本経済の成長・デフレ脱却に向けた動きを、金融面からしっかりと支えていくことが期待されています。
 私は、昨年4月に全銀協会長に就任した際、(1)「日本経済の成長を支えるための金融機能の強化、震災復興への貢献」、(2)「強靭で透明性の高い金融システム構築への貢献」、(3)「銀行に対する信頼感、安心感の一層の向上」を、活動の三本柱として取り組んで参りたいと申しあげました。新年も引き続きこの三本柱を中心に据えて、積極的に活動を進めて参ります。

 まず、活動の第一の柱である、「金融機能の強化、震災復興への貢献」では、中小企業等の金融円滑化や二重債務問題といった重要課題に対し、引き続き金融機関としての使命をしっかりと果たしていくとともに、政府の成長戦略の実現に、銀行界としても積極的に貢献して参りたいと考えております。
 中小企業金融等への取組みでは、昨年3月の金融円滑化法の期限到来を受けて、「中小企業者等に対する金融の円滑化に向けた行動指針」を改定したほか、年末の資金需要や、賃上げ、原材料費の価格上昇に伴う金融ニーズにきめ細かく対応し、積極的な資金供給に努めること等を、改めて申し合わせました。二重債務問題でも、東日本大震災事業者再生支援機構、産業復興機構、個人版私的整理ガイドライン等の各種支援策の活用が本格化し、着実に成果が表れはじめています。
 また、政府の成長戦略の実現を後押しする観点から、日本再興戦略に盛り込まれた、新規・成長企業等の資金調達の多様化やアジアの金融インフラ整備支援、個人保証制度の見直し、金融・資本市場の活性化、PPP/PFIの推進等にも、銀行界として積極的に貢献しております。

 次に、活動の第二の柱である、「強靭で透明性の高い金融システム構築への貢献」では、国際的な金融規制の見直しに関し、引き続き積極的に意見表明を行っていくとともに、TIBORの信頼性の維持・向上にも、引き続き取り組んで参ります。
 国際的な金融規制の見直しに関しては、対象となる規制のテーマが細分化してきておりますが、累積的・複合的な影響が十分に検証されないまま、議論が進められ、不確実性・不透明性が増大するといった事態が生じることがないよう、しっかりと議論の動向を注視していくとともに、新たな規制・監督の枠組みが国民経済の発展に真に寄与するものとなるよう、引き続き本邦銀行界の立場をしっかりと主張して参りたいと考えております。
 TIBORの信頼性の維持・向上では、昨年4月に、全銀協内に、検討委員会を設置し、ガバナンス強化等にかかる具体策の検討を進めて参りました。TIBORの金融インフラとしての重要性、公共性を踏まえ、引き続き一層の信頼性の維持・向上に向けた取組みを進めて参ります。

 活動の第三の柱である、「銀行に対する信頼感、安心感の一層の向上」では、喫緊の課題である反社会的勢力との関係遮断に向けた取組みや、被害額が増加している金融犯罪・サイバー犯罪への対応に、全力を挙げて取り組むとともに、金融経済教育活動の推進にも力を入れて取り組んで参りたいと思います。
 反社会的勢力との関係遮断に向けた取組みでは、昨年11月に、会員各行が信販会社等との提携等により融資等を提供する場合の反社会的勢力との関係遮断を徹底するための対応策を取りまとめました。反社会的勢力との関係遮断を徹底し、銀行界に対する信頼が確保されるよう、業界一丸となって着実に実行して参ります。
 また、金融犯罪・サイバー犯罪への対応では、金融犯罪防止啓発シンポジウムの開催等を通じ、預金者に金融犯罪の手口や防止策を周知したほか、警察当局と連携し、金融犯罪に利用される口座の開設の未然防止に関する取組みを強化しました。また、利用者へのウィルス対策ソフトの導入等の呼び掛けや、不正送金先口座の凍結の強化等を行いました。引き続き、警察当局と緊密に連携しながら、対策を不断に見直していきたいと考えております。

 わが国経済はようやく長いトンネルを抜けつつあり、足許ではデフレの脱却に向けた明るい兆しも見えはじめています。このような動きを後戻りさせないためにも、銀行界には、引き続き適切な金融機能の発揮等を通じ実体経済をしっかりと支えていくとともに、自らも成長産業として経済をリードしていくことが求められています。このような観点から、5年後、10年後を見据えた基盤づくりを進めて参りたいと思っております。
 結びに、本年が皆さまにとって、大きな飛躍の年となることを祈念いたします。