2014年6月 5日

一般社団法人全国銀行協会
会長 平野 信行

日本郵政株式会社の株式の処分に関する財政制度等審議会答申について

 本日、財政制度等審議会が「日本郵政株式会社の株式の処分について」を公表されました。

 政府が現在保有する日本郵政株式会社の3分の2未満の株式については、郵政民営化法により早期処分義務が課されているほか、復興財源確保法により、東日本大震災の復旧・復興財源に充てることとされており、今回の答申はそれに向けた第一歩であると理解しております。

 私どもはかねてより、郵貯事業改革の本来の目的は、国際的に類を見ない規模に肥大化した郵貯事業を段階的に縮小し、将来的な国民負担の発生懸念を減ずるとともに、民間市場への資金還流を通じて、国民経済の健全な発展を促すことにあると主張してまいりました。

 この点をしっかり実行いただくためには、ゆうちょ銀行の完全民営化にかかる具体的な計画を早期に示すことが不可欠であり、郵政民営化法の改正に際しての附帯決議においても、日本郵政株式会社がゆうちょ銀行の全部処分に向けた具体的な説明責任を果たすことが求められているところです。

 その上で、ゆうちょ銀行が新規業務に参入するにあたっては、計画で示される完全民営化の確実な実行が担保されるとともに、経営の抜本的な効率化と民間企業としての内部管理体制の整備を徹底することが、最低限必要であると考えております。

 郵政民営化法では「民間に委ねることが可能なものはできる限りこれに委ねる」「同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じる」といった理念が掲げられています。私どもとしては、今後の日本郵政株式会社の株式の処分にあたっては、こうした郵政民営化法の基本理念に則り、長期的な国益を十分に踏まえた深度ある審議・検討が行われ、郵貯事業改革が本来の目的に沿って進められることを強く希望いたします。