2015年1月 4日

一般社団法人全国銀行協会
会長 平野 信行

年頭所感

 平成27年の新春を迎えるにあたり、所感の一端を申し述べ、新年のご挨拶に代えさせていただきます。

 昨年は、経済再生・デフレ脱却に向けた歩みを着実に進めたものの、同時に、その道のりが平坦ではないことを感じさせた一年でした。決して予断を許しませんが、新年のわが国経済を展望しますと、企業収益を起点とした所得や投資・支出の好循環は途切れておらず、引き続き回復基調を維持できると考えております。

 こうしたなか、銀行界には、これまで醸成されてきた、デフレ脱却と経済再生に向けた「復活の機運」が萎縮することがないよう、積極的に金融仲介機能を発揮し、個人や企業のお客さまの資金需要に応えていくことが期待されています。
 昨年4月の全銀協会長就任時に活動方針として掲げた「3つの柱」を中心に、今年も最大限の貢献を果たして参りたいと考えております。

 まず、第一の柱、「日本の再生・成長戦略への貢献」では、震災復興は、二重債務問題への各種支援の枠組み・施策を活用した取組みを進めています。成長戦略の実行や中小企業向け金融にも、昨年11月に改定した「中小企業等に対する積極的な金融仲介機能の発揮に向けた行動指針」などにもとづく取組みや意見発信等を通じ、引き続き、銀行界として、より一層積極的な役割を果たして参りたいと考えております。また、NISAの普及促進・制度拡充やPPP/PFIの推進についても、引き続き政府等への働きかけや意見発信を継続して参ります。

 次に、第二の柱、「安心・安全・便利な金融取引環境・インフラの構築」では、今後も多様化・巧妙化する金融犯罪への対策に不断に取り組むとともに、反社会的勢力への対応では、警察庁とのデータベース接続協議の早期合意を目指すなど、そのさらなる徹底・高度化に取り組む所存です。全銀システムについて、24時間365日稼動する新プラットフォーム構築のためのシステムプロジェクトを着実に進めるなど、資金決済高度化等にも引き続き尽力して参ります。

 第三の柱である、「公正・透明・強固な金融システムの構築」では、TIBOR改革を新体制のもとでしっかりと継続し、その信頼性の維持・向上に努めます。郵政民営化や公的金融への対応では、引き続き、銀行界の主張を積極的かつ適切に発信し、国際金融規制では、会計や税制を含め、グローバルベースでの新たな規制・ルール作りにしっかりと関与し、意見発信を継続していく考えです。

 新年の干支である「乙未(きのと・ひつじ)」の字義に鑑みれば、本年は「物事が外部からの抵抗により紆余曲折し、それを克服することができれば果実が得られる年」と解釈できます。本年が「官民の力を結集し、経済の好循環確立の前に立ちはだかる難所を乗り越え、デフレ脱却と持続的成長の実現を果たす年」となるよう、銀行界としても、より一層の金融仲介機能の発揮に努めて参りたいと考えております。

 最後になりますが、本年が皆さまにとって、大きな飛躍の年となることを祈念いたします。