平成27年4月 1日

一般社団法人全国銀行協会
会長 佐藤 康博

日本郵政グループによる中期経営計画の公表について

 本日、日本郵政グループが「日本郵政グループ中期経営計画」を公表されました。

 今回の計画では、今年度に予定されている株式上場に向け、日本郵政グループが目指すべき姿やその実現に向けた具体的な成長戦略が示されております。例えば、ゆうちょ銀行の資産運用戦略の高度化や、営業戦略における役務手数料の拡大などについては、成長戦略の推進や安定的な収益基盤の確保に向けて、現在取扱いが可能な業務領域において積極的な取組みを行うものと理解しております。また、コーポレートガバナンスやリスク管理態勢の強化など、上場に向けた経営態勢の構築についても同時に取組むこととされています。

 一方、ゆうちょ銀行の完全民営化に向けた具体的な道筋については、依然として示されておらず、引き続き政府関与が残ることから、民間金融機関との公正な競争条件が確保されない状況が続くこととなります。

 私どもはかねてより、郵貯事業改革の本来の目的は、国際的に類を見ない規模に肥大化した郵貯事業を段階的に縮小し、将来的な国民負担の発生懸念を減ずるとともに、民間市場への資金還流を通じて、国民経済の健全な発展を促すことにあると主張してまいりました。その実現のためには、郵貯事業を如何に円滑に既存の民間金融システムの中に融和していくかという観点や、地域との共存や地方創生への貢献という観点が重要と考えております。

 特に、預入限度額については、その引き上げが地域の金融システムに多大な影響を及ぼす可能性があり、改正郵政民営化法の附帯決議において「当面は引き上げない」こととされていることも踏まえ、政府関与が残る期間は、引き上げられるべきではないと考えております。また、ゆうちょ銀行が将来的に新規業務に参入するにあたっては、まずは完全民営化への道筋が具体的に示され、その確実な実行が担保されることが最低限必要であり、公正な競争条件の確保や適正な規模への縮小等の観点を総合的に検討し、その可否を判断する必要があると考えております。

 郵政民営化法においては、「民間に委ねることが可能なものはできる限りこれに委ねる」「同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じる」といった理念が掲げられています。私どもとしては、こうした郵政民営化法の基本理念に則り、今後、郵貯事業改革が本来の目的に沿って進められることを強く希望いたします。