2016年10月 4日

一般社団法人全国銀行協会
会長 國部 毅

TPP協定の早期実現に向けて

 TPP(環太平洋パートナーシップ)協定は、貿易や投資に関する広範かつ高度な水準のルールである21世紀型の経済連携協定であり、同協定により世界のGDPの約40%を占める巨大な経済圏が構築される。TPPの下で参加各国が経済的な相互依存を深めていくことで、アジア太平洋地域の成長、繁栄、安定にも繋がる。
 わが国にとっても、TPP協定を含む経済連携の推進は、成長戦略の柱のひとつであり、持続的な経済成長の実現と豊かな社会の構築に向け、わが国企業の活躍の場を広げ、成長著しいアジア太平洋地域をはじめとする世界の活力を取り込んでいく必要がある。
 足許では、英国のEU離脱に向けた動向や世界経済の減速懸念など、多様なリスクファクターが存在しており、先行きに対する不透明感・不確実性が高まっている。また、経済のグローバル化の進展に逆行するような内向き志向や保護主義的な動きが世界的に拡がりつつある。こうしたなか、TPP協定を早期に実現し、今後の経済連携協定の推進に弾みをつけていくことは、日本経済はもとより、世界経済の発展のために大きな意義を持つものと考えている。
 こうしたTPP協定の意義を踏まえ、政府には速やかな国内承認とともに、TPP協定の早期実現に引き続き取り組んでいただきたい。銀行界としても、影響を受ける産業の基盤強化や成長支援への取組みを含め、円滑な資金供給やコンサルティングの提供といった金融仲介機能を引き続き十分に発揮しながら、わが国やTPP経済圏の経済活動の活性化を支え、その持続的な成長に貢献していく。