2018年7月18日

一般社団法人全国銀行協会
一般社団法人全国地方銀行協会
一般社団法人第二地方銀行協会
一般社団法人全国信用金庫協会
一般社団法人全国信用組合中央協会

政策金融のあり方に関する最近の取組みについて

1. 政策金融に関する基本的な考え方

 これまで全国銀行協会、全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会は、本年3月29日(木)に公表した「政策金融のあり方について」でも申しあげたとおり、政策金融のあり方に関して、「民間にできることは民間に委ねる」という「民業補完」が原則であると主張してきた。

 

2. 関係省庁および日本政策金融公庫における最近の取組みについて

 本年6月29日(金)に開催された「第4回政策金融に関する関係省庁と民間金融機関との意見交換会」において、関係省庁(財務省、中小企業庁、農林水産省)および日本政策金融公庫(以下「日本公庫」という。)から、日本公庫に関わる制度面・運用面の検討・見直しの対応方針等が示された。
 私どもは、今般示された対応方針等について、民業補完の原則にもとづく官と民の望ましい関係を実現するための第一歩であると前向きに捉えている。今後、関係省庁および日本公庫における制度面・運用面の検討・見直し状況や実際の取組状況を注視していきたい。こうした見直し等により、民業補完が徹底されていくことが重要であり、日頃からの密接な対話や関係者間での定期的な意見交換等を通じて、その結果を確認していきたい。併せて、そのためにも、日本公庫において、民業補完を徹底するための取組状況や、融資制度の趣旨、内容、金利体系およびその適用状況等について積極的に情報を開示し、透明性を高めていくことを期待している。
 なお、日本公庫と民間金融機関との間では、本年6月以降、業態ごとに順次、定期的な意見交換の枠組みが設定されている。こうした意見交換の枠組みを活用し、さらなる連携・協調あるいは民業補完の徹底に向けて、課題の共有や対応策の検討を進めていく。また、意見交換の内容が、日本公庫のガバナンスに適切に反映されていくことを期待する。
 繰り返しになるが、今般示された対応方針等はあくまでも第一歩である。今後とも、民業補完の徹底に繋がっているかを確認しながら、民間金融機関の意見も踏まえて、制度面・運用面の双方に関する不断の見直しが必要である。
 民業補完の原則に照らせば、本来、政策金融機関は、信用リスクの観点あるいは創業・起業や再生支援など、民間金融機関のみでは対応が困難な先・案件に限定して支援を行うべきである。民業補完の徹底という結果に十分かつ適切に繋がるべく、こうした限定が運用上の取組みに留まらず、制度要件の中にも今後、適切に盛り込まれていくべきと考える。

 

3. 商工組合中央金庫における最近の取組みについて

 商工組合中央金庫(以下「商工中金」という。)については、本年5月22日(火)に「ビジネスモデル等に係る業務の改善計画」が公表されている。商工中金が、いわゆる民業補完の趣旨を十分に踏まえ、同計画の実現に向けた取組みを着実に実行し、持続可能なビジネスモデルを構築するとともに、ガバナンス態勢をしっかりと整備することが重要である。
 私どもは、同計画のほか、今秋を目途に策定される中期経営計画を踏まえた、商工中金の取組状況を引き続き注視していくとともに、今後、関係省庁とも連携しながら、商工中金との間でも深度ある対話の機会が設定されるよう努めていく。

 

4.民間金融機関と政策金融機関との望ましい関係構築に向けた今後の方向性

 民間金融機関と関係省庁および政策金融機関との間では、さまざまな意見交換の枠組みを設定し、連携・協調の推進や、制度面・運用面の検討・見直しに関する具体的な議論を進めてきた。また、日本公庫においては、「新たなステージに向けた民間金融機関連携の取組の推進」のため、民間金融機関へのお客さまの紹介を徹底するなど、これまでよりも踏み込んで連携・協調に注力している。このように、民間金融機関と政策金融機関との望ましい関係構築に向けた着実な取組みがなされてきたものと考えている。
 私どもとしては、引き続き中小企業や小規模事業者の創業支援、事業再生・事業承継等の領域における対応力を強化し、地域経済の活性化支援、ひいては日本経済の持続的成長に向けた取組みを深めていく所存である。そして、このような取組みを実現するために有効な政策金融機関との連携・協調をさらに進めるべく、必要な官民連携を強化していく。