2019年4月 1日

郵政民営化を考える民間金融機関の会

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一般社団法人全国信用組合中央協会
JAバンク・JFマリンバンク

郵政民営化を考える民間金融機関の会 共同声明

 本日、郵政民営化法施行令の一部を改正する政令が施行され、ゆうちょ銀行の通常貯金と定期性貯金の預入限度額を別個に設定することとし、それぞれ1,300万円となった。

 私どもはかねてより、郵政民営化の本来の目的は、国際的に類を見ない規模に肥大化した郵貯事業を段階的に縮小し、将来的な国民負担の発生懸念を減ずるとともに、民間市場ヘの資金還流を通じて、国民経済の健全な発展を促すことに他ならないと主張してきた。また、預入限度額規制の緩和については金融システム全体、そしてゆうちょ銀行自身の企業価値に対する影響の観点から、さまざまな懸念があると申しあげてきた。 

 こうしたなか、昨年公表された「郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証に関する郵政民営化委員会の意見」では、上述のとおり預入限度額規制を緩和する方針が示された一方で、日本郵政グループおよび政府に対しては「貯金獲得に係るインセンティブの撤廃」や、将来の見直しについて「日本郵政が保有するゆうちょ銀行株を3分の2未満となるまで売却することを条件に、通常貯金の限度額について検討すること」が掲げられたが、これは私どもの懸念を一定程度共有いただいた結果と受け止めている。
 改めて、「インセンティブの撤廃」については、その速やかな実施と、郵政民営化委員会や関係当局における厳格な検証が行われることを要望する。また、将来の見直しについては、通常貯金の預入限度額の「緩和・引上げ」ありきではなく、他の金融機関等との間の競争関係やゆうちょ銀行の経営状況に与える影響等を勘案した慎重な検討が必要である。

 もっとも、「インセンティブの撤廃」については、あくまで預入限度額規制の緩和に伴うさまざまな懸念の顕在化を防ぐための手段に過ぎない。郵政民営化の本来の目的の実現に向けて、ゆうちょ銀行においては、その形式的な実施に止まることなく、「インセンティブの撤廃」の趣旨を十分に尊重した運営が行われることを、また、郵政民営化委員会や関係当局においては、附帯条件の遵守状況や預金シフト等に関する継続的なモニタリングを行い、必要に応じて適切な対応が取られることを強く要望する。

 私どもとしては、ゆうちょ銀行と民間金融機関が、わが国の金融市場や地域経済の活性化、さらには国民の安定的な資産形成の促進に貢献していくことが何より重要と考える。両者が相互信頼のもとで連携・協調することで、そうした将来像が実現するよう、民間金融機関としても努めてまいりたい。