2020年1月24日

一般社団法人全国銀行協会
一般社団法人全国地方銀行協会
一般社団法人第二地方銀行協会
一般社団法人全国信用金庫協会
一般社団法人全国信用組合中央協会

政策金融のあり方に関する最近の取組みを踏まえた私どもの考え方について

 全国銀行協会、全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会は、政策金融のあり方に関して、従前より「民間にできることは民間に委ねる」という「民業補完」が原則であると主張している。

 この原則に則り、昨年6月20日(木)に開催された「政策金融に関する関係省庁と民間金融機関との意見交換会(第6回)」(注1)においては、民間でも十分に対応できる案件への政策金融機関による低利融資を排すべく、[1]特に信用力の高い先や、民間でも対応可能な先については、そもそも貸付の対象から除外すること、[2]貸付利率の水準について民業補完の趣旨を踏まえた適切な見直しを行うこと、[3]制度融資の貸付実績等に関する積極的な情報開示を行い、またそのうえで明確な根拠に基づいた制度の見直しを行うこと、等、運用・制度両面に関する要望を行った。

 これに対し、昨年12月23日(月)に開催された「政策金融に関する関係省庁と民間金融機関との意見交換会(第7回)」(注2)では、関係省庁から、政策金融機関による地域金融機関向けの業務説明の実施など一層の連携・協調に向けた取組みの報告がなされるとともに、制度融資における貸付対象の一層の厳格化や、日本政策金融公庫の特別利率に新たな下限を設定すること等が示された。

 こうした動きについて、私どもとしては、昨年度に引き続き、民間金融機関の要望に対し、関係省庁から一定の見直し結果が示されたものであり、民業補完の趣旨を踏まえた適切な連携・協調関係に向けた検討・見直しのサイクルが定着しつつあると捉えている。

 もっとも、上記[1]~[3]等の要望については、それぞれ引き続き議論すべき課題も残る。例えば、[1]については、政策目的を勘案しても対象要件が広範に設定されており、民間でも対応可能な先が対象となる制度融資が依然として存在すると考えており、制度の不断の見直しが必要である。[2]については、特別利率が明確な根拠に基づき、適切な水準となっているか、民業補完の観点から引き続き検証していく必要がある。また、[3]については、制度融資等を通じた政策金融機関の貸付による政策効果の実態把握や、既に実施された制度面・運用面の見直しの成果の検証を可能とするという観点からも、関係省庁や政策金融機関による一層の情報開示の充実が求められる。

 政策金融機関は、民業補完に徹し、それを前提として民間金融機関との連携・協調に努めるべきであり、今後とも、そうした観点からの制度面・運用面の双方に関する不断の見直しがなされることが必要である。

 そのために、私ども民間金融機関としては、今後も、民業補完の観点から問題と考えられる事例を正確かつ具体的に把握するよう努め、そうした事例や制度の内容について、関係省庁および政策金融機関に対して問題意識を確りと伝え、検討・見直しのサイクルをより実効的なものとしていきたいと考えている。

 同時に、引き続き政策金融機関と連携・協調しながら、地域経済の活性化や日本経済の持続的な成長に向けた取組みを深めて参りたい。

 

(注1)政策金融に関する関係省庁と民間金融機関との意見交換会(第6回)議事要旨
https://www.mof.go.jp/financial_system/fiscal_finance/torikumi/gijiyoushi190620.html
(注2)政策金融に関する関係省庁と民間金融機関との意見交換会(第7回)議事要旨
https://www.mof.go.jp/financial_system/fiscal_finance/torikumi/gijiyoshi191223.html