2020年12月23日

各 位

一般社団法人全国銀行協会
会長 三毛 兼承

ゆうちょ銀行の新規業務等にかかる認可申請について

 本日、ゆうちょ銀行から、郵政民営化法にもとづく新規業務等の認可申請を行った旨が公表されました。

 私どもはかねてより、ゆうちょ銀行が新規業務に参入するに当たっては、まずは完全民営化への道筋が具体的に示され、その確実な実行が担保されることが最低限必要であり、そのうえで、個別業務ごとの新規参入の是非については、公正な競争条件の確保、利用者保護、地域との共存等の観点を総合的に検討し、その可否を判断する必要があると主張してまいりました。
 こうした私どもの考えが十分に踏まえられるとともに、その前提として既存業務も含めて顧客本位の業務運営が徹底されるための十分な体制整備が行われることが必要と考えます。

 本年11月に日本郵政が公表した「日本郵政グループ中期経営計画(2021~2025)の基本的考え方」において、日本郵政が保有するゆうちょ銀行株式をできる限り早期に処分すること及びまずは保有割合を50%まで引き下げる方針が示されました。しかしながら、それを実行に移す具体的な計画は未だ示されておらず、依然としてゆうちょ銀行の完全民営化への道筋が示されていないとともに、民間金融機関との間での公正な競争条件が確保されていない状況が続いております。
 今回の新規業務等の認可申請については、こうした状況も踏まえて検討されることを期待します。
 
 また、今回認可申請された新規業務のうち、特にフラット35を媒介ではなく直接取扱うことについては、平成29年に口座貸越サービス等の認可を取得する際に、同時に個人向け貸付け業務の認可申請を取り下げた経緯も踏まえるべきと考えます。
 さらに、人口の減少・高齢化、低金利環境に加えてコロナ禍を受けた信用リスクの高まりにより民間金融機関が厳しい経営環境にあるなかで、住宅ローン市場という限られた市場に、ゆうちょ銀行が民間金融機関との間での公正な競争条件が確保されていない状況のまま参入することは、結果的に民業圧迫に繋がるおそれがあり、これまで着実に醸成されてきた両者の相互信頼関係が損なわれることで、連携・協働の動きを止めることになりかねないと懸念します。

 私どもとしては、ゆうちょ銀行の完全民営化への道筋が具体的に示され、その確実な実行により、民間金融機関との間で公正な競争条件が確保された下、国民生活の向上に向けてよりよいかたちで切磋琢磨し、また連携・協働を深めていくことで、コロナ禍が続く難局を乗り越え、地方創生への貢献を通じた国民経済の健全な発展に繋がることを切に希望いたします。