令和3年4月22日

一般社団法人全国銀行協会
会長 三毛 兼承

「郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証に関する郵政民営化委員会の意見」について

 本日、郵政民営化委員会から「郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証に関する郵政民営化委員会の意見」(以下「意見書」という。)が公表されました。

 私どもはかねてより、郵政民営化の本来の目的は、国際的に類を見ない規模に肥大化した郵貯事業を段階的に縮小し、将来的な国民負担の発生懸念を減ずるとともに、民間市場への資金還流を通じて、国民経済の健全な発展を促すことに他ならないと主張して参りました。また、その過程においては、改正郵政民営化法の基本理念に掲げられているとおり、郵政民営化が地域社会の健全な発展および市場に与える影響に配慮しつつ、同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じることが不可欠であると主張してきました。

 しかしながら、改正郵政民営化法の附帯決議(以下「附帯決議」という。)では日本郵政が保有する金融二社の株式のできる限り早期の全株式処分に向けて、日本郵政に具体的な説明責任を果たすよう努めることが求められているにもかかわらず、民間金融機関との間での公正な競争条件の確保の方法を含め、その道筋は依然として示されておりません。

 そうした中で示された今回の「意見書」では、日本郵政に対して、「金融二社の全株式処分を目指した基本的な考え方に基づき」、令和3年度からの新たな中期経営計画の期間において「金融二社株式を50%処分した段階で、全株式処分に向けた方針やロードマップを明らかにする取組が求められる」とされています。
 私どもとしては、日本郵政が附帯決議で求められた説明責任を果たすため、今回の「意見書」で求められた取組に基づき、ゆうちょ銀行株式の全株式処分に向けた、具体的な実行計画が示されることが必要と考えております。

 ゆうちょ銀行がその計画を実行する中で、新規業務を検討する場合には、他の金融機関等との間の適正な競争関係と利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう、配慮することが求められます。加えて、今回の「意見書」でも指摘されているように、投資信託の販売における不適切な取扱いやキャッシュレス決済サービスを通じた不正利用問題も踏まえ、既存業務も含めて、顧客本位の業務運営やコンプライアンス管理が徹底されるための十分な体制整備が不可欠であると考えます。
 なお、今回の「意見書」では「金融二社の株式の保有割合が50%以下になれば、金融二社の新規業務規制が許可制から事前届出制に移行し、経営の自由度が増す」と指摘されています。一方、改正郵政民営化法では、事前届出制へ移行した際には、ゆうちょ銀行には他の金融機関等との間の適正な競争関係と利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう、特に配慮することが求められており、私どもとしても、こうした改正郵政民営化法の求めを十分踏まえることが必要と考えます。

 ゆうちょ銀行と民間金融機関は、これまでも地域経済の活性化やお客さまの利便性向上のため、それぞれの機能や郵便局ネットワーク等の経営基盤を活かしつつ、連携・協働を深めて参りました。
 ウィズコロナ・アフターコロナの状況を踏まえると、郵便局ネットワークの活用に加え、新しい生活様式への対応に必要となるオンラインや非対面サービスの提供や、コロナ禍により大きな影響を受けた地域の事業者等への資金の供給等、表面化する社会課題の解決という観点から協業・協働できる領域は一層拡大しており、お互いの強みを活かした相互補完が可能であると考えております。

 私どもとしては、今回の「意見書」の内容も踏まえて、ゆうちょ銀行の完全民営化への道筋が具体的に示され、その確実な実行により、民間金融機関との間で公正な競争条件が確保された下、国民生活の向上に向けてよりよいかたちで切磋琢磨し、また連携・協働をより深めていくことが、コロナ禍の続く難局を乗り越え、地方創生への貢献と国民経済の健全な発展に繋がると確信しております。