2021年12月 3日

一般社団法人全国銀行協会
会長 髙島 誠

ゆうちょ銀行の新規業務にかかる認可申請について

 本日、ゆうちょ銀行から、郵政民営化法にもとづく新規業務の認可申請を行った旨が公表されました。

 私どもはかねてより、ゆうちょ銀行が新規業務に参入するに当たっては、まずは完全民営化への道筋が具体的に示され、その確実な実行が担保されることが最低限必要であり、そのうえで、個別業務ごとの新規参入の是非については、公正な競争条件の確保、利用者保護、地域との共存等の観点を総合的に検討し、その可否を判断する必要があると主張してまいりました。従って、今回、ゆうちょ銀行が申請する投資一任契約の締結の媒介業務の認可にあたっては、以下の点を踏まえて検討されることを期待します。

 本年5月に日本郵政が公表した中期経営計画「JPビジョン2025」においては、「金融2社株式は、JPビジョン2025期間中のできる限り早期に保有割合50%以下とする」方針が示されました。日本郵政はグループ内の連携維持・強化を図ることを掲げている一方、民間金融機関との間での公正な競争条件の確保の方法を含め、完全民営化への具体的な道筋は依然として示されておりません。

 また、ゆうちょ銀行においては、2019年に高齢の顧客に対する投資信託の販売において不適切な取扱いが明らかになり、本年4月に公表された「郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証に関する郵政民営化委員会の意見」において、「再発防止策としては、営業社員等へのルールの趣旨の徹底、顧客向け販売ツールの充実、内部管理・監査態勢の強化等に取り組んだ」とされております。顧客保護の観点から、投資一任契約の締結の媒介業務の認可にあたっても、こうした防止策の定着状況等について十分な検証が必要と考えられます。

 私どもとしては、ゆうちょ銀行の完全民営化への道筋が具体的に示され、その確実な実行により、民間金融機関との間で公正な競争条件が確保された下、国民生活の向上に向けてよりよいかたちで切磋琢磨し、両者の連携・協働を止めることなく、より深めていくことで、地方創生への貢献と国民経済の健全な発展に繋がることを切に希望いたします。