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2025年6月18日
一般社団法人全国銀行協会
会長 半沢 淳一
郵政民営化法等の一部を改正する法律案の国会提出について
6月17日、自由民主党、公明党および国民民主党により、郵政民営化法等の一部を改正する法律案(以下「改正案」という。)が衆議院へ共同提出されました。
郵貯事業改革の目的は、国際的に類を見ない規模に肥大化した郵貯事業を段階的に縮小し、将来的な国民負担の発生懸念を減ずるとともに、民間市場への資金還流を通じ、国民経済の健全な発展を促すことにあります。銀行界としても、「民でできるものは民で」という考え方に沿う政策として、これまで賛同して来ました。
しかし、今回の改正案においては、日本郵政が保有するゆうちょ銀行株式の処分について、「できる限り早期に」との文言が削除されているほか、日本郵政に対し、当分の間、ゆうちょ銀行株式の3分の1超の保有義務を課すこととされています。当該持株比率規制については、改正案の附則において、「当分の間、3年ごとの郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証の際に、郵政民営化委員会および政府が見直しを検討する」こととされていますが、私ども銀行界としては、引き続き、日本郵政が保有する金融二社の全株式処分に向けた取組みが着実に進むことを期待いたします。
また、ゆうちょ銀行に政府の関与が間接的に残っている状態で、上乗せ規制を緩和・撤廃し、民間金融機関と同様の業務を行えるかたちとすることは、公正な競争条件の確保の観点から認められるべきではありません。依然として200兆円の預金規模を有するゆうちょ銀行が仮に民間金融機関と同様の業務を展開した場合、地域金融機関への影響は甚大であり、地域における信用創造機能やコンサルティング支援機能の低下等を通じて、地域の金融システムや地域経済へ悪影響が及ぶことも懸念されます。
今回の改正案では、その附則において、「上記検証の際に、上乗せ規制の在り方について郵政民営化委員会および政府が検討する」こととされていますが、私ども銀行界としては、ゆうちょ銀行に間接的な政府出資が残る限り、上乗せ規制は緩和されるべきではないと考えています。また、今後の検討に当たっては、間接的な政府出資が当分の間残ることを前提に、改めて民間金融機関との公正な競争条件が確保されているか検討されることが重要と考えています。
今後の法案に係る審議に当たっては、私ども銀行界を含む民間金融機関からの意見を十分に考慮し、建設的な議論を進めていただくことを強く期待いたします。