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2026年1月 5日
一般社団法人全国銀行協会
会長 半沢 淳一
年頭所感
2025年も、歴史的な転換期にいることを実感させる出来事が多くあった。最大のテーマは米国の関税政策への対応であったが、日本にも相互関税・品目別関税が課される中、企業戦略は再考を迫られている。一方、国内経済は「失われた30年」からの脱却へ歩みを進め、「金利のある世界」も到来する中、価値創造型経済へ移行する好機を迎えている。
こうした中、全銀協は2025年度を「日本の成長加速と社会課題解決に貢献し、活力あふれる未来への礎を築く1年」と位置づけ、3つの柱で活動を進めている。
第1の柱は、「インベストメントチェーンの活性化を通じた『成長と分配の好循環』の加速」である。成長の鍵となる企業の投資喚起、資金需要の支援のため、6月に「中長期的な金融仲介の在り方検討WG」を設置し、有識者や当局、金融仲介プレーヤーと議論を重ねている。10月にはJapan Weeks期間中に海外マネーの呼び込みをテーマにイベントを開催した。事業性融資推進法の施行を来年に控え、「企業価値担保権の活用に向けたポイント」も策定し、会員行の制度活用を支援している。
家計の投資促進に関して、新NISA・iDeCo制度に関する要望や金融経済教育、顧客本位の業務運営の徹底に取り組んでいる。
第2の柱は、「安心・安全で利便性の高い、時代に即した金融インフラの実現」である。手形・小切手電子化の総仕上げを進め、コストやリスクの削減と生産性向上を図るとともに、全銀システムの安定稼動を維持しつつ、11月に稼働を開始したAPIゲートウェイの対応や第8次全銀システムの開発も進めている。
加えて、全銀ネット傘下に「資金決済システムの将来像に関するスタディグループ」を設置し、中長期的な視点で資金決済システムのあるべき姿や将来像の議論を続けている。
第3の柱は、「健全かつ強靭な責任ある金融システムの維持・高度化」である。マネロン対策では、マネー・ローンダリング対策共同機構においてAIスコアリングサービスを開始した。特殊詐欺等の金融犯罪は、手口が多様化・巧妙化する中で、その抑止に対する社会的要請が高まっている。個社での取組みに加え、金融機関同士による不正利用口座の情報共有の枠組み構築に向けた検討も進めている。口座売買の違法性を周知する広報動画の作成・配信など、官民一体・業界横断での啓発活動も通じて、安心・安全な金融取引の実現に向けた対策を続けている。
2026年を展望すると、海外経済の動向や関税影響に留意が必要だが、生産設備や研究開発投資、人的資本投資拡大を支えに日本経済は成長を続けると期待している。政府も17の戦略分野に対し官民投資計画を策定する方針を示しており、経済の「供給サイドの強化」も重要テーマに位置付けられた点を心強く感じている。
2026年の干支は「丙午(ひのえ・うま/へい・ご)」である。この字義に照らすと、本年は「従来の力に衰えが見えるなかで、新たな勢いが台頭する年」と解釈できる。お客さま、日本経済にとって、新たな発想と勢いで変革に踏み出し、未来への礎を築く一年となるよう銀行界として力を尽くしたい。




