2000年9月19日

西川会長記者会見(住友銀行頭取)

菅野専務理事報告

  私からはまず、次期会長の内定について報告する。
 9月14日に開催された正副会長会議で、富士銀行の山本頭取を次期会長に推薦することを決定し、本日の理事会で了承した。なお、会長の正式な選任は、来年4月の定例総会後の理事会において行われる。
 次に、最近の金融再編の動きを踏まえた全銀協会員資格の見直しについて了承した。
 見直しのポイントは、(1)会員の種類について、現行の正会員、準会員の他に、「銀行持株会社会員」を新設する。(2)「銀行持株会社会員」は、銀行法または長期信用銀行法に規定する銀行持株会社であり、かつ、正会員である銀行を子会社に持つことを要件とする。(3)銀行持株会社は、「銀行持株会社会員」または準会員として、全銀協に入会することができる。(4)「銀行持株会社会員」の代表者は、全銀協役員への被選任権を有する。というものである。本件に関する全銀協規約の改正案は、今後、総会に諮る予定である。
 次に、平成13年度の税制改正要望を了承した。要望の柱は、お手許の資料の「目次」に記載しているように、「金融機関の組織再編の円滑化のために」、「適切な地方税制を確保するために」等4つの柱からなっており、要望項目は全部で12項目である。
 このうち重点要望項目は、第1の柱の3項目、すなわち「会社分割、合併等に係る税制の整備」、「連結納税制度の早期導入」、「持株会社設立等に係る登録免許税の非課税化等」と第2の柱の「地方税法第72条の19の見直し」、および第3の柱の最初の2項目、「資産流動化関連税制の拡充」、「確定拠出年金税制の整備」の計6項目である。
 次に、準会員加入として、日本トラスティ・サービス信託銀行およびドイツ銀行の10月2日からの加入を承認した。この結果、10月2日現在の会員数は、正会員が144行、準会員が42行となり、72の特別会員とあわせて、合計258会員となる。
 最後に、全銀協が設置している全国銀行個人信用情報センターでは、漢字検索システムの導入や登録情報の充実を目的として次期システムの開発を行っていたが、その次期システムを10月2日から稼働させることとした。
 私からは以上である。


会長記者会見の模様


(問)
 本日も、株価が一時16,000円を割り込む等、弱含みである、またゼロ金利が解除される、日本国債の格付けが下がるなど、マーケットにおいてはあまり芳しい材料がないようである。中間決算を間もなく迎えるが、銀行経営にはどのような影響を与えると考えるか。
(答)
 私ども住友銀行としてどのような影響があるかということを答えさせて頂く。
 ゼロ金利政策解除の影響であるが、短期的には収益面で若干のマイナス影響が出てくる。その理由は大きく分けて2点ある。1つは、調達サイドの金利更改期間、いわゆるデュレーションが運用サイドに比べて短いために、調達金利上昇の影響が運用金利上昇の影響よりも先に出てくること。もう1つは、プライムレートベースの貸出金利の引き上げが、市場金利が0.25%上昇しているのに対してその半分の0.125%に留まっていること。この2つがマイナスに影響してくる。もっとも、貸出を主体とした運用サイドの金利更改が一巡してくれば、影響は沈静化すると見ている。
 株価については、確かに足許は低迷している。これには米国のNASDAQ店頭市場の低迷、またそれに呼応するかのようなわが国のIT関連銘柄の価格調整、さらに、期末を控えた持ち合い株式の解消売り、といった要因があると考えている。しかしながら、今後の株価については、いま申しあげた持ち合い解消売りという需給要因が底流としてまだ残っているものの、わが国経済が緩やかな回復を続けていることは間違いなく、その中にあって企業収益の改善傾向が明確になってくるので、株価の先行きについてはそれほど問題ないものと考えている。
 最後に、日本国債の格下げについては、確かに、わが国の赤字財政に対する市場の一つの警告であることは間違いないと思うが、海外の一格付け機関の格付けということでもあり、現段階では国債価格が低下しているということもない。したがって、銀行経営には特段の影響はないものと見ている。


(問)
 昨日、熊谷組の再建計画が発表され、再建計画の大きな柱として債権放棄が挙げられている。昨今のゼネコンの経営再建問題を見ても、債権放棄が取られているが、それに対する国民の理解、納得は必ずしも得られていないという面がある。債権放棄はその時点では経済合理性があったとしても、長期的に見ると日本の経済構造の改革に繋がらないという疑問もある。改めて聞くが、金融機関による債権放棄による再建についてはどう考えているか。
(答)
 日本経済の構造改革ということになると大変問題が大きいため、企業の再建あるいは構造改革といった観点から申しあげる。
 第一義的には、企業の再建あるいはバランスシートの調整をはじめとした構造的な改革は、企業の自己責任・自助努力によってなされるべきものである。しかし、それではなかなか再建が見通せないとなると、企業は債権者の協力・支援を求めることとなる。もちろんその際には、その企業に存続に値する企業価値があるかどうかが問われるわけであるが、企業価値が間違いなくあり、そして合理的で実効性がある再建計画があるということであれば、異例ではあるが、企業は例えば金利の減免や返済の棚上げ、最後には債権カットを要請するということになる。これに対して銀行は、債権放棄にまで応じて企業再建に協力すべきかどうかを検討するということになるが、債権者の協力・同調が得られないということになると、法的整理という選択肢を取らざるを得ない、という流れとなる。
 その中で債権放棄がどうかということについては、かねてから申しあげているように、まず、銀行として債権放棄に応じることに経済合理性があるか、つまり法的整理した場合と比較して負担が少なくて済むかということが判断基準となる。加えて、債権放棄は信用システムの中で原則的には行われるべきものではないため、それを行うとなると当然モラルハザードの問題も考えなくてはならない。具体的には、(1)実効性のあるそして実現可能な再建計画があるか、(2)債権放棄後の残存債権の回収がより確実となるか、(3)会社サイドの株主や経営者の責任が明確化されるか、といった点を確認した上で行うべきものである。債権放棄は例外中の例外という認識である。


(問)
 東京都の外形標準課税に対して大手21行が提訴の方針を固めたとのことであるが、その経緯等について伺いたい。
(答)
 9月11日にプレスリリースをした通り、東京都の外形標準課税対象行のうち、21行の専務・常務クラスの役員が訴訟の対策弁護団や今後のスケジュールについて打合せを行った。
 現在、訴訟を行う方針である21行が、9月中を目処にそれぞれの行内における機関決定を行うべく、手続きを進めるとともに、訴状等の検討を進めているところである。
 提訴の時期については、現時点では、10月上旬以降の適切な時期と申しあげておく。
 この条例には、本年2月に政府見解としても疑問が呈されている通り、第一に、資金量5兆円以上の銀行業等に対象を限定することに合理的な理由がない、第二に、「所得等を課税標準とする場合の負担と著しく均衡を失することのないようにしなければならない」という地方税法の規定に反する、といった問題がある。このため、全銀協としても反対活動を行ってきたものの、3月には条例が可決・成立している。その後、課税対象行が、行政訴訟を通じて改めて我々の主張を伝えていきたい、そして司法の判断を仰いでいきたいとの考えの下、慎重に訴訟準備を進めてきた結果、今般、訴訟の方針を固めたものである。
 訴訟は東京都の銀行業等に対する外形標準課税に関する条例が無効であることの確認等を求める行政訴訟となる見込みであるが、まだ、具体的な訴状の内容は固まりきっていない、いま急いで固めつつあるという状況である。


(問)
 金融審議会が始まったが、規制緩和についてどのような要望があるか。
(答)
 金融審議会の主として第一部会において、異業種による銀行業への参入が実現してくる中、同時に銀行の他業禁止緩和を進めるべきではないかという意見があり、このような観点から検討が行われると伺っている。これは大きな前進であると考えている。
 しかし、もしそれがレシプロシティという発想であるならば、これは従来と大きな差はなく、もっと踏み込んだ規制改革を行っていくべきであると、私は考えている。時代は大きく変化し、戦後、長く続いてきた業態別の縦割りの規制、すなわち、普通銀行、長信銀、信託、証券、生保、損保、といった業法体系による規制は既にその役割を終えようとしており、新たに利用者の視点に立った規制体系へ枠組自体を見直すべき時期が来ていると思っている。
 換言すれば、金融ビッグバンの下で金融機関に求められる役割は、利用者の幅広い金融ニーズに的確に応えることである。したがって、今後、銀行は従来の「バンク」という狭い概念から脱皮して、従来の銀行の形に囚われない新たな「金融サービス業」へと経営のパラダイムシフトを進めようとしているところであり、今後、一層これをスピードアップしていかなければならないという状況にある。こうした動きを担保して情報産業の一つである金融を21世紀における成長産業としていくためには、現行規制の枠組自体を抜本的に見直す時期が来ていると認識している。こういった意見は私が委員を務めている産業新生会議の場でも主張している。
 このような時代の要請を踏まえると、すでに検討を開始されている金融審議会においては、従来の業態の垣根に囚われないことはもとより、銀行業務に附随する「金融サービス」の提供は原則として自由にするという観点からの業務範囲の見直しを、是非、お願いしたい。
 さらにこうした考え方を根底に据えた上で、例えば、バーチャルモールの運営など金融業務の延長線上にある非金融業務の範囲についても、検討を進めて頂きたいと考えている。
 全銀協としては、具体的な業務範囲見直し要望についての検討はこれからであるが、昨日、業務範囲に関する事項を検討する場として新たに検討部会を立ち上げている。ここで具体的な検討を進め、今後、金融審議会等の場で具体的な意見を申しあげていきたい。


(問)
 本日の日銀総裁会見で少し出たテーマであるが、三菱信託銀行が公的資金の返済を申し入れており、それに対して金融庁や金融再生委員会も比較的柔軟な対応をとろうとしているとのことである。比較的体力のあるところは、余裕が出てくれば公的資金を返済するというのも一つの考え方であると思うが、不良債権の重荷が依然としてかなりあり、金融システムが本当に懸念のない状況となっているかどうか見極めが難しいという状況下、個別行の公的資金返済についてどう考えるか。
(答)
 確かに、金融システムの安定性を確保していくということは極めて重要な課題であるので、当然のことながら公的資金の返済についても、それぞれ個別行においてそのことを考慮に入れた上で考えていくべき問題であると考える。しかしながら、例えば、海外の格付け機関においては、公的資金、具体的には優先株式であるが、これはTierIに算入されていても、TierIとしての資本性において劣るものとして取り扱っているという事情もある。我々としても、事情が許す限り極力早期に返済したいというのが本音である。これは個別行としての考えである。


(問)
 熊谷組の債権放棄について、メインバンクの住友銀行としてどのように対応するつもりか。
(答)
 個別行の話として熊谷組に限定して考え方をお話する。結論から申しあげれば、住友銀行としては、昨日の熊谷組からの債権放棄要請については、これを受け入れる方向で前向きに検討していく方針である。その理由は四点ある。
 第一に、熊谷組は、豊富な工事実績、高水準の技術力、商権等から見て十分存続する価値のある企業であると判断できることである。
 第二に、金融機関としての経済合理性という観点から詳細に検討した結果、債権放棄による私的整理の方が法的整理に比べ損失が少ないことが明らかなことである。もちろん、これにより、熊谷組の取引先や下請け等への悪影響も回避できる。
 第三に、再建計画についてであるが、長期的に見ると建設投資は緩やかながら減少していくと考えざるを得ない状況であるが、それを前提とした企業構造の見直しと競争力の強化についていろいろと対策を講じていくこととなっている。また、この点が非常に重要なことであるが、熊谷組は大変思い切ったリストラによる人件費・物件費の大幅な削減を計画しており、これにより十分なコスト競争力を持つことができる。こういった再建策をみると、この計画は合理的で実現性の高いものと判断できる。さらに、再建にあたり鹿島さんから業務面で、協力・支援を頂けることとなっている。
 第四に、会社側の経営責任が明確化されていることである。また、従業員にも相当な負担が求められている。さらには、株主の責任に関しても、株式併合を含む大幅な減資の方針が打ち出されている。こうした点から見て、債権放棄において懸念されるモラルハザードは十分回避できると判断している。 こういったことから、前向きに検討していきたいということである。


(問)
 熊谷組への債権放棄に関する新生銀行の対応についての感触はどうか。
(答)
 新生銀行さんも、債権放棄を含め前向きに検討されていると聞いている。


(問)
 新生銀行が債権放棄した後の残債をどうするのか。熊谷組の場合はメインバンクが買取るのか。
 また、一般論として、たとえ良い再建計画であっても、旧国有化銀行の瑕疵担保条項にからんで、どうしてもメインバンクが残債を買取るのか買取らないのかという問題が発生することになる。預金保険機構が、債権を買い戻した上で債権放棄に応じるというスキームも、経済合理性の観点からは当然あるべきとも思うが、どう考えるか。
(答)
 一番目の残債の件については、新生銀行さんと住友銀行との間で調整中であり、まだ結論は出ていない。二番目の質問については、私からコメントすることは差し控えたい。


(問)
 今回の債権放棄のスキームは減資を含めて、これまでのスキームと比べて進展していると思うが、ゼネコン業界の再編に結びついていない。この点について、どう考えているか。
(答)
 確かに熊谷組の場合は、再編を伴う形には現状においてはなっていない。しかし、これは一般論としての私の個人的な見解であるが、やはり、ゼネコン業界がオーバーキャパシティであることは間違いないと思う。これからさらにオーバーキャパシティが顕在化していくのではないかと私は思っている。
 したがって、どうやってそのオーバーキャパシティを解消していくのか、これは従業員の問題等も伴うわけであるから、そう簡単なことではない。しかし、どの業界においても同じような問題を抱えながら、人員調整も行いつつ、オーバーキャパシティの解消、あるいは再編を進めているのではないかと思う。そういう点では、ゼネコンも多分例外ではないのではないかと思っている。
 熊谷組のケースを捉えても、再建計画では、受注規模を現在の6,000億円台から年間4,600~4,700億円程度の規模まで縮小すること、すなわち 2,000億円規模の縮小を考えているわけである。このため、現在よりもさらに2,000人の人員削減を行うことによって均衡を回復していこうとしているわけである。
 熊谷組のような状態に追い込まれた企業であるからこそ、それができるというものかもしれないが、そういったことが行われるということであれば、業界再編の可能性が全くないわけではないというふうに私は思っている。
 これは、しかし、銀行の立場から見た見方であるから、私がゼネコン業界についてどうこう言うものでは決してない。それぞれがご判断されることである。


(問)
 株式の持ち合い解消についてであるが、銀行が保有する株式を売却する際、受け皿がないところについては直接、市場に出さざるを得ない。このような株価下落要因が構造的にあることについて、どう考えているか。
 その関連で、会計士協会が益出しのクロス取引を禁止するという方針を打ち出したが、これについて全銀協としてのコメントはあるか。
(答)
 売却する株式の受け皿を見つけてから売却することができればいいが、受け皿探しはそんなに容易なことではない。今は、バランスシートを小さくしたい、そして、時価会計の導入で価格変動リスクのある株式は極力圧縮していきたい、と皆が考えているわけであるから、受け皿探しは一段と難しい状況にある。したがって、原則的にはマーケットで売却をしていかざるを得ないというのが実情ではないかと思う。外人投資家あるいは投資信託等によって、株式が結果的に吸収されれば望ましいが、外人もいつも買いに出てくるというものでもないし、投資信託も相場次第であるから、先程も申した通り、持ち合い解消という需給問題は当分の間株式市場の底流に残っていくと考えざるを得ないのではないか。
 益出しクロス取引の禁止については、CPA協会が結論を出したものであって、我々から現時点で特にとやかく申しあげることはない。我々はCPAの指導に従うということである。


(問)
 ゼネコンの業界再編に関してだが、以前の会長記者会見においては「ゼネコン業界の再編が無理だというのは根拠がないことだ」と比較的強い調子で言われていた。これに比べると、先程の「再編の可能性が決してないわけではない」という発言は、かなり弱いトーンに変わって来たようだが、これはどのように捉えれば良いのか。
(答)
 私の考え方は変わっていない。
 ゼネコンの再編が無理だという論拠としては、(1)再編によって入札機会が増えるわけではない、あるいは公共事業は2社が一緒になっても1社分しか回ってこない、(2)人の問題の解決方法がない、等が挙げられるようであるが、要はオーバーキャパシティをどう解消していくのかということである。これを抱えている限りにおいては、ゼネコン業界の中で過当競争が行われ、それによって工事採算はますます悪くなるわけである。したがって、このオーバーキャパシティの問題について、ゼネコン業界として解決を図っていかなければならない。具体的には、やはり個々の企業が解決を図っていかなければならない問題である。
 熊谷組については、同社がこういう状況になったからこそできることだといわれるかもしれないが、非常に厳しい状況の中で、6,500人の従業員を 2,000人削減する、すなわち約3人に1人を削減するという決断をし、それを実行しようとしている。このことによって熊谷組としては自らのオーバーキャパシティを解消していく、ということである。したがって、その一方で業界再編ができないということは決してないであろうと、先程申しあげたわけである。
 私の考えは変わっていない。


(問)
 「ゼネコンの業界再編は理屈としてはできるという考えに変わりはない。しかし、現実問題としては、これは難しいハードルが一杯ある」ということか。
(答)
 ハードルがあるから、このままで良いということにはならないということである。
 よその業界のことを全銀協会長がとやかく言う立場にはないので、これはあくまでも私個人の考え方だとお考え頂きたい。


(問)
 「再建の実現性が高いならば、債権放棄は有力な手段である」とおっしゃったが、その再建の実現性が高いかどうかという判断は、いつどのように下すべきものなのか。
(答)
 再建計画について、例えば住友銀行の場合、提出された計画を鵜呑みにすることは決してない。その計画が果たして実現可能かどうか、この程度で充分なのかということを色々な角度から詳細に検討する。計画が充分でないということであれば、問題を指摘して改めて検討をしてもらう。熊谷組の場合も、再建計画の行ったり来たりは当然あった。そのうえで、「これならば、充分にやれる」と判断できたのは、ごく最近のことである。


(問)
 再建スキームを債権者が了承した段階で、これは実現性が高いと判断するということか。
(答)
 債権者の判断だけではもちろんない。最終的には、会社のトップがこの再建計画でやれるのだという確信を持たないことには、債権者がなんと言おうと、計画は実現しない。


(問)
 国民からみると、再建の実現性が高いと言われても、結果が出るのは5年も6年も先のことなので、その辺りで疑念が持たれるのではないか。
(答)
 そのように受け止められるかもしれないが、債権放棄の翌年から立派になるような企業であれば、そもそも債権放棄は必要ない。そのような債権放棄は税務当局も無税認定はしないだろう。やはり、ある程度の時間をかけていかざるを得ないと思う。


(問)
 熊谷組以外のゼネコン全体の話であるが、2度目の債権放棄が必要なゼネコンが出てくるのではないかという話があるが、果たして2度目の債権放棄は認められるものか。
(答)
 2度目の債権放棄が、あるのかないのかよく分からない。しかし、我々に関する限り、そのようなことは絶対にあってはならないという決意で臨んでいる。


(問)
 ネット専業銀行の誕生は、既存の銀行に何らかの影響を与えるのか。
(答)
 当然、一定の影響はあると思う。ネット専業銀行は、有人店舗を主として運営する銀行に比べれば、当然コストは安いわけである。したがって、手数料や預金金利、場合によっては貸出金利等においても、コストの安さを売り物にして競争力があるものを打ち出せると考えられる。したがって、それぞれのネット専業銀行はそれほど大きな規模のものではないと思うが、既存の銀行にある程度の影響はあると思う。


(問)
 金融審での審議に関して、業法体系による規制は役割を終えたと言われたが、業態横断的に金融実務の担当者が集まって新しい政策提言を行おうという組織、「金融イノベーション会議」が9月に発足した。全銀協会長としてそのような組織ができたことについてどのように考えるか。また、個別行の頭取として、この会議に今後関与していく考えはあるか。
(答)
 同会議については、金融制度に関する実務的あるいは実践的なオピニオンを、フリーな立場から提言していかれると伺っている。しかし、具体的にどのようなことをやっていかれるのか、まだ十分承知をしているわけではないので、これ以上のコメントは差し控えさせて頂きたい。ただ、大変有力なメンバーで構成されているので、提言としては期待ができるのではないか。全銀協としては、引き続き、私どもの観点から金融制度に関しての提言や要望等を行っていくということであり、格別、この金融イノベーション会議と共同歩調をとるとか連携するという考えはない。