平成16年4月15日

三木会長記者会見(東京三菱銀行頭取)

斉藤理事報告

 本日は、事務局から特段に報告することはないが、ご参考として、2種類のパンフレットをお配りしている。全銀協では、従来から、銀行のディスクロージャーに関するパンフレットを作成してきているが、今般、これまでのパンフレットの内容・体裁等を一新した。
 皆様にもご活用いただければ、ということでお配りさせていただいた。 


会長記者会見の模様


(問)
 新年度が始まったが今年度の景気見通しをお聞きしたい。また、銀行業界の2004年3月期の業績見通し、また今年度の銀行業界全体の経営の見通し等についてもお考えをお聞きしたい。
(答)
 景気であるが、前回も申しあげたが着実に回復していることが一段とはっきりしていると思う。輸出、設備投資、これらがまず景気を引っ張ったわけであるが、次第にこれが広がってきたように思う。大企業と中小企業で差があるとか、中央と地方で差があるとか、あるいは企業と家計で差があるということがいわれてきたが、景気の回復がじわじわと広がってきている。最近の日銀短観でも、2004年度の売上・収益計画について、各セクターとも増収・増益の良好な見通しを持っていることもこれを裏付けている。底固い回復基調は続くのではないかと思う。
 次に銀行界のことであるが、比較的景気が良くなってきたこと、株価が上がってきたという状況があったので、この3月期決算は、上期に続いて通期でも黒字決算をする銀行がほとんどだと思う。黒字決算が定着してきたように思う。MTFGでも秋に公表した数字を変えることはない。若干それよりは上向くというように思っている。
 新年度の銀行の経営であるが、現状不良債権問題は峠を越したといえるが、この16年度は主要行にとり集中処理期間の最終年度であるので、各行とも不良債権問題にはっきりとピリオドを打つ年にしたいと考えていると思う。併せて、守りから攻めのスタンスで収益の増強に努め、ペイオフ全面解禁という最後のハードルに向けて進んでいくことになると思う。収益をあげるためには商品面、サービス面での工夫・競争が不可欠であり、工夫を凝らして顧客のニーズに対応したい。


(問)
 金融審議会がこのほど、保険商品の銀行窓販に関する報告書をまとめたが、この報告書に対する評価がどのようなものかお聞きしたい。
(答)
 金融審議会第二部会の報告書が出され、顧客ニーズの充足や競争促進による市場の活性化の観点から銀行窓販を全面的に解禁する方向を打ち出されたことは国民経済的に見て大変意義のあることだと思う。
 ただ、ご承知のように、全ての融資先ということではないと思うが、圧力販売につながるような融資先についての保険窓販は禁止するという方向性が示されており、この点は銀行界としては大変遺憾である。前にも申しあげたが、圧力販売については既に法令で禁止されており、我々はそれを守っている。また、現在、銀行界が強い立場にあるわけでもない。圧力販売というような実態はないと思っている。これから具体的な詰めが行われるわけであるが、過剰な規制になって意味がないようなことにはならないよう、窓販を禁止する融資先の範囲はできるだけ小さくしていただきたいと思っている。
 もう一つは時期であるが、「遅くとも3年後」とされており、「遅くとも」とついているが、3年後ということが言われている。現在のようなスピードの時代で、3年は長い。もっとも報告書には、「例えば1年後から段階的に行う」という文言もあるので、可能な限り早期に前倒しでお願いしたい。全体としては、全面解禁という方向性が出たことは大変評価しているが、申した点には問題があると思っている。


(問)
 三菱自動車への増資についてうかがいたい。三菱グループ全体として、さらに東京三菱銀行としてどの位の増資を引き受けるつもりか。また、実際に増資を引き受ける際に、三菱自動車側にどういった要求なり、条件なりを提案していくつもりか。
(答)
 まだ実際に決まったわけではない。現在、三菱自動車の再建・再生およびこれからの成長計画をダイムラー・クライスラー社が中心になって作っているところである。現時点で申しあげられるのは、2月19日にダイムラー・クライスラー社と三菱グループの3社、三菱重工、三菱商事、東京三菱銀行が三菱自動車に対して必要な支援を行うことについて、はっきりと前向きの声明を出しているということである。4月30日に三菱自動車の臨時株主総会が予定されているので、それまでに固めることになっている。現在は、その路線に沿って、4社が前向きに検討しているところである。いささか報道先行の気があり、様々な数字が出ているが、実際のところ、まだ具体的な計画、数字、分担は決まっていない。
 どういう要求、条件を出すかということについては、全体の計画が決まった中で出てくるものだと思う。かなり多額の増資をして、三菱自動車を抜本的に強化しようというものであるので、この計画をきちんと励行すること、中期計画が策定されれば、それに沿って、その実行状況を定期的に報告すること、そのようなことが中心になるかと思う。


(問)
 三菱ふそうのタイヤの脱輪事故・リコールが、今後の三菱自動車の再建に与える影響についてどう考えるか。
 また、自動車の販売台数が日米とも伸びないなかで、三菱自動車にとって、どういう再建の方向性が望ましいか、どこに活路を求めていくべきなのか、ということについての見解をお聞きしたい。
(答)
 三菱ふそうについては、リコールということになり、私どもも大変遺憾だと思っている。ポート社長には、彼が着任前のことであるが、これは三菱自動車グループにとって、また三菱グループ全体にとって、信用にかかわる重要な問題なので、誠意を持って対応して欲しいと直接申しあげている。また、そのように対応されているのではないかと思う。
 これが三菱自動車の売上にどう影響するかということについては、もちろんマイナスのイメージがあるので、再建への影響も懸念される。しかし、三菱自動車としては、全体の再建のなかで、この部分も含めて、もう一度新しい三菱自動車でいくと、それをダイムラー・クライスラー社、三菱グループ3社、他の三菱グループ会社で支援して、頑張ってもらうしかないように思う。
 活路としては、赤字が大きかったアメリカ市場での建て直し、逆に得意分野であるアジアでの販売促進、これをまずやることかと思う。現在、集中と選択も含めて中期計画を検討しているところであり、4月30日にはまとめられることになっている。


(問)
 経済財政諮問会議で、今月末を目途に郵政民営化についての中間報告がまとまるということで、先日素案が出た。これについて会長の所見をお願いしたい。
(答)
 郵政民営化に関して、経済財政諮問会議で精力的な議論がなされ、中間報告の素案が出てきた。かなり論点の整理が進んだように思う。その中で、色々なことに触れられているが、我々としてそのとおりだな、その認識でやっていただきたいな、ということがいくつかある。それは、まず、見えない国民負担を最小化するということ。これは、本当に郵政には大変な国民負担が内在していると思うのでそのとおりであると考える。また、公的部門への資金流入を縮小するということや、巨額の資金があるので、これを民営化していくには色々な問題があり、地域金融機関との共存のバランスを考えなければいけない、ということ、金融改革と整合的に進めなければならない、ということが述べられていた。これらのことは、全くそのとおりだと思うので、是非、今後もこういう視点で検討を進めていただきたい。
 逆に気になったのは、経営の自由度向上についても述べられていた点である。何を伸ばすかにもよるが、自由度向上は非常にリスクを伴うので、是非そのことを認識しつつやっていただきたい。全銀協としては、特に郵貯問題については、リスクをミニマイズして、金融システムを安定化することが一番基本であると考えている。


(問)
 新銀行についてうかがいたい。今年から来年にかけて、インターネット専業銀行やATM専業銀行が3年目の節目を迎え、それに続いて日本振興銀行や新銀行東京がデビューするという第2の波が来ているといえる状況かと思う。過去に設立された異業種銀行に対する評価と、これからできる新銀行がどのような形で銀行業に参入してくるのが望ましいのかという点について、お考えをうかがいたい。
(答)
 ご指摘のとおり、いくつかのインターネット専業の銀行が黒字化を求められている3年目の節目を迎える一方、日本振興銀行などの新銀行がこれから誕生する。新しい銀行が誕生することは、私どもにとって刺激にもなるし、新しい時代に沿ったものでもあろうかと思うので、競争促進という観点から良いことだと思っている。ただし、銀行というのは信用が非常に重要であり、経営が盤石なものでないと預金者に大変な不安を与えかねないし、それがひいては銀行界全体に影響を及ぼすようなことになっては困る。銀行の数が多いなかで黒字化することはそう簡単なことではない。そのあたりは是非きっちりやっていただきたい。
 なお、新しい銀行を歓迎するというのは民間の銀行のことであり、新銀行東京に対しては違う考えを持っている。官から民への流れのなかで、どうして東京都が新銀行を設立する必要があるのか、民間ともバッティングせずにリスクも負わずにやっていけるだろうか、という疑問は従前から提起している。新銀行東京には、この点を充分お考えいただきたいと思っている。


(問)
 この1年間で一番ご苦労されたのは、都との関係で、外形標準課税問題で銀行界を一枚岩にして解決に導かれたことではないかと私は思っているが、そのことについて、当時どんな思いで進められたのか、また新銀行の件も含めて、石原都知事の姿勢についてどうお考えなのか、また足許の問題として大阪府との外形標準課税問題が残っており、20日までに解決するとは思えないが、これをどのように引き継がれるのか、お聞かせ願いたい。
(答)
 東京都の外形標準課税問題については、たしかに私どもとしては非常に頭を悩ませた。それは、筋を通し、安易な妥協は避けたいと思っていたことが最大の理由である。二審での判決が、「東京都の条例自体は不当ではないが、3%という水準は妥当ではない」という内容であった。そのあたりから銀行界のなかでも、早く決着したいという気持ちと、やはり銀行界として筋を通さなければならないという両方があったが、私どもとしては筋を通す方が重要だと考えて臨んだ。そうしたなかで、筋を通すには最高裁の関与のもとでの決着であれば良いと思い、そういう決着になったわけである。裁判の長期化も懸念されるなかで、最高裁の関与のもとで和解ができたことは、私としては良かったのではないかと思っている。
 大阪府の方も、同様の問題があり、こちらについては先般の府議会で0.9%への条例改正があった。我々は東京都の時に弁護士の意見も聞き、時間もかけ、銀行界の意見もまとめて、0.9%という形で終息したので、これは非常に重いものであると考えていた。大阪府の方も最初は端数がついていたが、0.9%への修正が出てきたので、これであれば、話がまとまる水準であると考えている。他の銀行も大体同様の考えのようである。ただし、まだ機関決定はしていない。5月の上旬になろうかと思うが、見通しとしては東京都と同じ0.9%でまとめることになるのではないか、また私としてはまとめたいと思っている。
 石原都知事の姿勢については、都の税収不足も考えてなさったことだと思う。いくつか非常に積極的なこともやられているので、なかなか実行力のある魅力的な知事だとは思うが、都の新銀行など金融の問題についてはなかなか納得がいきにくいと思っている。


(問)
 前の質問と重複して恐縮だが、ペイオフ完全解禁まで1年をきって、不良債権比率が低下しているなかであるが、ペイオフ解禁までの間に銀行にとって残された課題をどのように認識しているかお考えをうかがいたい。
(答)
 何よりまず、各銀行が健全になるということだと思う。この健全化の1つの大きな目安として、やはり主要銀行については不良債権比率の半減目標を達成することだろうと思う。それから地域銀行においても集中改善期間のなかで健全であるという指標がきちっと出るような形にこの1年努力することが必要だと思う。
 それともう1つは、ペイオフを控えて名寄せに係る色々な事務を整備することが要求されている。これも大分出来てきている銀行が多いと思うが、整備ができないので延ばすというようなことがあってはならない。こちらの方も怠りなく対応する必要がある。
 以前のペイオフ延期の際も風評リスクの問題があったので、やはり健全化すること、そしてそれをきちんとディスクローズすることが大事なことではないかと思う。


(問)
 前3月期についてうかがいたい。特別検査もほぼ終わってきたかと思うが、特別検査が前3月期に与えた影響というのはどのようにお考えか。
(答)
 他の個別銀行の内容は存じていないので、申しあげることはできない。特別検査も3年目と回数も重ねてきたので、銀行とは目線が擦り合ってきているというのが一般的なところだと思う。ただ、個別のことであるので、例外があったのかどうかは分からない。少なくとも私どもMTFGグループについては特別検査の影響はないように思う。


(問)
 今月26日で小泉政権が発足して丸3年を迎えるわけであるが、この3年間の構造改革について銀行側からの感想をうかがいたい。また、4年目に向けての要望があれば聞かせていただきたい。
(答)
 小泉政権は、改革なくして成長なしということで改革に取り組まれたわけであるが、銀行界にとって大きかったのは、やはり不良債権の処理について骨太の方針、それに続く金融再生プログラムがあり、不良債権の処理の加速化がなされたことで、これは非常に良かったと思う。その他にも道路公団をはじめ改革をいくつかやっておられるが、これには徐々に進むもの、それからややスピードの遅いものいろいろあろうと思うが、改革の旗印は降ろされていない。4年目の希望としては、私どもとしては、何としても郵政改革、郵貯改革、これは小泉政権のなかでも最も重要な改革だと思うので、この民営化というものに、是非、きっちりと取り組んでいただきたいということが最大の要望である。
 それから財政等についても、財政の支出に頼ることなく景気が回復してきたことも良かったとは思うが、運もよかったところもあるかなという気もある。


(問)
 政府が新しい公的資金の予防注入の枠組みの検討を進めているが、いままでの議論についてどのような感想をお持ちか、また、どのように運用されていくのが望ましいか、考えを聞かせていただきたい。
(答)
 今度の公的資金新法は、その制定によって金融システム危機や地域経済の危機を回避するためのセーフティネットが強化されると思う。公的資金については、前々から申しあげているように、金融システムの安定や地域経済の危機回避が目的であり、個別銀行の救済が目的ではないので、運用は厳格にやっていただきたいと思っている。
 公的資金については、当初から議論が色々とあり、我々も意見を述べてきたわけであるが、いくつか懸念されたことがなくなったので良かったと思っている。例えば、強制一斉注入をしないということがはっきりした。それから入口・出口の問題についても、入口は地域経済の危機回避や再編・統合といったことがかなりはっきりしたし、出口も公的資金の回収可能性を見ることがはっきりした。また、我々金融界としては一部の銀行に公的資金を入れて仮に損失が出た場合の財源を気にしていたが、これについても金融界の負担ではない形で対応していただける見込みである。いずれにしても、セーフティネットが強化されるということであり、国会の場でもしっかり審議をしていただきたいと思っている。


(問)
 最後にこの一年間を振り返っての感想を改めてお聞きしたい。
(答)
 一年前の就任記者会見において、私は、3つの課題、すなわち、①金融システムの信頼回復、②金融業務革新や収益力強化に向けた取組み、③各方面とのコミュニケーションの強化、に積極的に取り組み、15年度を「信頼回復・元気回復の一年」にしたいと申しあげた。この一年を改めて振り返ってみると、金融システム不安は沈静化し、わが国経済も、そして銀行もかなり元気が出てきたように思う。むろん、まだ、頑張る必要はあるが、「信頼回復・元気回復」は8合目あたりまできたというのが実感である。
 まず抱負の一点目にあげた「金融システムの信頼回復」は、火急の課題であった不良債権問題が、各行の懸命な取組みにより、全体としてみれば峠を越えたと云えるであろう。多くの金融機関で不良債権比率が低下し、「金融再生プログラム」で打ち出された半減目標の達成も視野に入ってきたように思う。不良債権問題への対応も「処理」から「再生」に軸足が移り、「産業と金融の一体再生」に向けて、着実に歩を進めつつある。また、不良債権と並んで大きな経営課題であった株式保有リスクについても、各行が保有株式の圧縮を精力的に進めた結果、株価下落への抵抗力はかなりついてきた。
 このように15年度は、経営正常化に向けて、銀行界の取組みに「弾みがつき、大きく前進した年」といえるが、制度面、行政面においても「金融再生プログラム」の着実な推進、「産業再生機構」の立上げ、「株式取得機構」の機能強化、「金融検査マニュアル」や各種「事務ガイドライン」の実状に即した改訂など、様々な進展があった。こうした環境整備に当たっては、全銀協としても種々取り組んできたが、金融庁を始め、関係各方面におかれても多大なご努力を払われたと認識している。
 さらに、15年度はりそな銀行、足利銀行と2度にわたり、大手銀行の経営危機が表面化したが、預金保険法102条に基づく公的資金の機動的な注入により、金融危機の芽は未然に摘み取ることが出来た。現在、国会で公的資金新法が審議されている。個別行救済に繋がる公的資金の安易な注入は是非共避けていただきたいところであるが、金融システムの信頼回復という観点からは、これによりセーフティーネットが一段と強化され、危機の備えに万全を期すことができるものと思われる。 抱負の二点目にあげた「金融業務革新や収益力強化に向けた取組み」についても、昨年度は、色々な動きがあった。シンジケート・ローンの拡大や中小企業向け新型無担保ローンの投入、リテール分野での新サービス・新商品の提供など、各行で創意工夫に溢れた積極的な取組みが数多くみられた。制度面でも、金融機関に証券仲介業を解禁するための証券取引法改正案が今国会に上程され、また、銀行窓口による保険販売に関しても全面解禁の方針が金融審議会で打ち出される等、規制緩和が一段と進展をみたことは、大きな前進であったと思っている。
 また、15年度の大きなテーマとして掲げた貸出債権市場については、「守秘義務と情報開示」に関する指針の公表や、会計処理の明確化、制度面の対応など、市場環境の整備が着実に進んだ。現状、限られた取引に止まっているセカンダリー市場の活性化を始め、貸出債権市場の更なる発展が期待されるところである。
 さらに、公的金融の見直しについても、郵政民営化が現実的な政策課題となるなかで、全銀協として郵便貯金改革について具体的な提言を取り纏め、公表することで、改革に向けた議論に一石を投じ、具体案を巡る今後の検討の下地を作ることが出来たのではないかと思っている。
 抱負の三点目として掲げた「各方面とのコミュニケーションの強化」については、私自身、様々な機会を作り、また、機会を捕らえて、考えや思いを率直に、かつ分かり易くお話ししようと努めてきたところである。この記者会見においてもそうした姿勢で臨んできたつもりである。全銀協としても広宣活動の強化、ホームページの充実や各種パンフレットの活用などにより、利用者の皆様や関係各方面に銀行界の様々な取組み・動きを今まで以上に知っていただくよう、努力して参った。ただこれらがどこまで出来たかは、皆さまの率直な評価やご意見をいただき、更なる努力をして参りたい。
 以上、就任時の抱負を踏まえて、この一年間を振り返ってみたが、これ以外にも15年度は、①外形標準課税訴訟を巡る東京都、大阪府との交渉、②盗難通帳や口座不正利用問題への対応、③不良債権税制の見直し、④新BIS規制など、様々な課題への対応が求められた。その意味で「多事・多端な一年」ではあった。
 この15年度は、後々振り返ってみて、銀行界にとって「ターニングポイント」であったといえるのではないかと思っている。即ち、不良債権の長いトンネルの出口が見えてくるなかで、収益力の強化や新たなビジネスモデルの構築に向け、各行で前向きな取組みが始まった、いわば「金融新時代」に向け潮目の変わった年、「金融新時代」への扉を開けた年であったように思う。
 また、そうであれば、この16年度は非常に重要な年となる。16年度は「集中処理期間」の最終年にあたり、17年4月にはペイオフの全面解禁も控えている。16年度は名実ともに不良債権問題にピリオドを打つと共に、金融システムの正常化に向けた最後のハードルであるペイオフ全面解禁を乗り越え、銀行界として「金融新時代」に相応しい、価値ある金融商品・サービスを次々とお客様に提供し、お客様の確固たる支持を得る年にしなければならない。
 こうした状況の下で、来週には三井住友銀行の西川頭取が会長に就任される。新会長には引き続き色々とご苦労をお掛けすることになると思うが、皆さんご存知の通り、西川頭取は卓越したご見識と力強いリーダーシップをお持ちの方である。まさに、この重要な時期の全銀協をリードしていただくのに、この上も無い方にバトンをお渡しできて、大変心強く思っている。
 この一年間、皆様には色々と大変お世話になった。改めて御礼を申し上げると共に、西川新会長への一層のご支援をお願い申し上げる。最後に、銀行員に向けて「皆、もう一段元気をだそう」「社会に貢献しよう」とのメッセージを伝えたいと思う。
 一年間、本当にありがとうございました。