平成18年5月23日

畔柳会長記者会見(三菱東京UFJ銀行頭取)

斉藤専務理事報告

 最初に事務局から、3点報告する。
 本日、理事会に先立ち、自粛勧告等委員会を開催し、先般、金融庁から金利スワップ販売態勢等に関する行政処分を受けた三井住友銀行への対応について審議した。その結果、全銀協として同行を「厳重注意」とすることを決定した。
 次に、これは全国銀行個人情報保護協議会に関する事項であるが、本日開催した協議会の理事会において、先般、個人情報漏洩事案に関して行政処分を受けたみずほ銀行に対し、協議会として再発防止策の徹底を勧告することを決定した。
 最後に、お手元に「盗難通帳による払出し件数・金額等に関するアンケート結果等について」をお配りしている。今回の調査対象期間は本年の1月から3月までである。なお、今回から新たに「別紙4」のとおり「インターネット・バンキングによる預金等不正引出しに関するアンケート結果」として被害件数・金額の集計結果をお配りしている。

会長記者会見の模様

 まず、皆さまからのご質問をお受けする前に、個別行のことで大変恐縮ではあるが、この場をお借りして一言お詫びを申しあげたい。
 このたび、大阪において当行行員が逮捕されるという事件が発生したことは、誠に遺憾で申し訳なく、深くお詫び申しあげる。引き続き警察の捜査に全面的にご協力し、事実の確認に全力を注ぐとともに、内部管理体制の一層の充実・強化を図り、信頼回復に努めてまいる。


(問)
 景気に対する認識であるが、最近、株価なども不安定で円高傾向なども続いているが、景気の現状認識と見通しをお聞かせ願いたい。あわせてゼロ金利解除についてであるが、一部で6月にも解除という気の早い声も出ていたが、タイミング、判断、どのようにあるべきと考えているかお聞かせ願いたい。
(答)
 最初のご質問、2番目とも、先月の就任時にも同じご質問をいただいたように思う。景気に関しては、このひと月で見解が変わったということはない。その時申しあげたのは、全体として大変バランスの良い景気拡大が続いているということである。今回の息の長い景気拡大の根底には、企業の順調な業績があるということを申しあげたと思う。このひと月間において、それを裏付けるデータこそ出ているが、マイナスとなるようなデータは出ていないように思う。先般も、1-3月期のGDPが前期比年率1.9%と発表されたし、このひと月間に私も、前期の決算結果の報告を取引先各社からかなり受けたが、増収・増益の決算が多く、また今年度の見方も為替動向などに留意をされたうえで、増益決算を予想されているところが多かった。勿論、一時為替相場がブレていたが、今日は111円に戻っており、先月コメントさせていただいた状況と比較して、景気にマイナスの要素が出ているということもないように思う。来年3月期決算は増収・増益が予想されているので、それをベースに今回の順調な景気拡大が続くものとみている。
 2番目にご質問をいただいたゼロ金利の解除の件であるが、これも前回質問があり、あの時は3月に量的緩和の解除が行われたばかりであるということを申しあげた。そこから確かに約2ヶ月ぐらいは経っているが、まだゼロ金利解除というような方向で何かが進むような環境とは考えていない。ただ、いろいろな報道や、いろいろな方々のご意見があることも存じており、それはマーケットのことなので私の立場からコメントすることもないが、日銀総裁がいろいろな機会を捉えて総合的な判断をされるとおっしゃっているので、私どもとしてはそういう判断にお任せして良いのではないかと思う。ただ、前にも申しあげたが、われわれの窓口で拝見していると、民間設備投資は伸びてきているが、それをキャッシュフローの範囲内で行っている。決算報告を伺っていても、各企業はデット・エクイティ・レシオを非常に注意深く管理しているので、そういうところからすると借入需要が非常に盛り上がってくるというようにはみていない。


(問)
 冒頭、話にもあったが、三井住友銀行が金融庁の処分を受けたり、銀行界で一連のいろいろな不祥事が起こっているが、特に三井住友銀行のような優越的地位の濫用のようなものが、個別行のことなのか、それとも全体にあることなのか、その辺のことについて考えをお聞きしたい。
(答)
 申すまでもなく、銀行には公共性ということが、特に求められていると思う。銀行という業種は、公的資金も投入されるような特別な業種という面もある。一般の企業以上に法令遵守の姿勢が強く求められている業種であると認識しており、いろいろなことが起きていることは誠に遺憾であり、法令違反はあってはならないと考えている。こういう事例が起きていることに対しては、襟を一層正してコンプライアンスに取り組んでいくことを個別行としても、全銀協としても強く思っている。
 コンプライアンスが各行の重要課題という認識は共通しているので、全銀協としても、昨年は「行動憲章」を改定した。これは、銀行の公共的使命、法令やルールの厳格な遵守を謳った行動指針であるが、これを改定し、会員銀行に周知・徹底した。
 加えて、今般の公正取引委員会の勧告があったので、昨年12月から1月にかけて、各行に注意を喚起しつつ、アンケート調査を行い、コンプライアンスの推進事例を取りまとめ、広く各行に配付した。
 さらに、この1月に独禁法改正があったので、これを踏まえ、平成14年度に改定をした「銀行の公正取引に関する手引き」の再改定に向けた作業を現在行っており、大体5月中に作業を終了するので、6月中にはこれを各行に配付する予定である。したがって、ご指摘の今回の事例を踏まえ、また貯蓄から投資へという自由化の進展の中で、コンプライアンスの強化に向けた自主的な取組みは本年度の全銀協の重要テーマでもあるので、この問題には一層取り組んでまいりたいと考えている。


(問)
 質問は2点である。
 今日、朝方、与謝野大臣が銀行の決算について、預金金利も低い水準だし、法人税は支払えないということを考えると、決算は良くなっているけれども、まだ半人前だとコメントされているが、これについてどのように受け止められるか。
 また、先ほどコンプライアンスの徹底を求めるという話があったが、なかなか不祥事が改まらないということを考えると、銀行に対して儲け過ぎという批判もあるが、一種、儲け方というか、そういうもののあり方が問われている気がするが、その点についてどうお考えか。
(答)
 今朝の大臣コメントは、直接伺ったわけではなく、報道されたことについては承知しているが、もし、そういうふうに表現されたとすれば、公的資金の返済が終わっていないということがある。国民の税金を入れていただいている最中であるということを考えると、まさに半人前という表現は当たるのかなと思う。
 個別行のことであるが、われわれとしては前期の決算で、非常に臨時損益が大きかったが、そういう決算をさせていただいたので、それと同時に公的資金の完済をまず第一歩としてやらせていただきたいと発表した。そのほかのことにも、まず公的資金を返済した後に、銀行は様々なステークホルダーに支えられており、特にお客さま、株主、従業員、社会、そういうステークホルダーに適切な還元を行いながら、銀行が持つべき収益性のサステナビリティを維持していくという課題があると考えている。したがって、公的資金完済後は、そういうものに一層真剣に取り組んでいかなければならないという姿勢自体が必要だと思っている。したがって大臣の言葉もそういうふうに受け止めさせていただいて、一層真剣に取り組んでまいりたい。
 2番目の質問については、なかなか事件が収まらないというご指摘と、一方で儲けすぎについてのご質問かと思う。どのようなときでもルールを守る、特に「官から民へ」という自由化が進むので、自由と規律をきちんとやらなければならないというのは非常に重要な要素だと思う。公共性が特に問われている銀行においては、コンプライアンスの重要性という認識をさらに深めなければならないと思っている。
 ただし、言い訳ではないが、ある時期、これは日本経済全体がそうであったが、ともかく厳しい経済環境、金融環境にあったので、まず自らの力で立たなければならないという面で、無駄を省いて、効率的に収益を拡大して不良債権処理を進めるという中で、若干そちらに重点が置かれたきらいがなかったわけではないと思う。いろいろな意味で正常化されてきて、少し経営の余裕が出てきたならば、そういうところをもう一度見直して、体制を立て直す必要があると思っている。個別行のことであるが、私どもとしては、特にコンプライアンスをこれからは現場できちんとやれるようにしていかなければならないという観点から、コストをかけてコンプライアンス専門の人を現場に配置して、全体としての収益とのバランスをとっていかなければならないと思っている。


(問)
 コンプライアンスについて2つ質問させていただく。
 1つは三井住友銀行に対して厳重注意という処分を決定されたということだが、これは三井住友銀行が何か行動を制約されたり、何か活動を自粛しなければならないことを伴うのか。もし、メガバンク3グループで回すのであれば、来年、三井住友グループが協会長の番になると思うが、例えば来年協会長就任を辞退するとかそういうことを伴うのかお聞きしたい。
 また、先ほど、畔柳さんからお話があったように三井住友だけでなく、三菱東京UFJもみずほも不祥事が出ているが、これは一過性のものなのか、それとも規模が大きくなりすぎて何かコントロールするのが難しくなっているのではないかという指摘もある。too big to control みたいな、そういうことであると、コンプライアンスを一生懸命やられるのは勿論わかるが、規模の問題が絡んでいるとすればかなり根源的な問題もあるかなという気もする。企業グループのサイズがこうした不祥事の続発に絡んでいるのかどうか、協会長がどう見ていらっしゃるのかお聞きしたい。
(答)
 最初のご質問であるが、今回の厳重注意で三井住友さんの協会での活動に何か変化があるのかということに関して言えば、むしろ三井住友さんの再発防止策を今後の会員銀行の活動に活かしていただくという意味で、従来にも増してコンプライアンスについて三井住友さんに活動を期待するということであり、全銀協での行動を制約するというものではない。全銀協は全銀システムなども運営しているが、業務インフラを担っているわけであり、それを支えていくということが会員銀行にとっては、義務的な側面もある。したがって、活動自粛というのは総合的に判断して限定的に行うべきものだと思うし、一方で、社会的影響が大きいので、今回、自粛勧告等委員会としては、厳重注意という形にさせていただいて、奥頭取が国会できちんと述べられている再発防止策について、われわれも一緒になってよく学んでそれを活かしていきたいという趣旨である。次の会長行については、今から何か申しあげることはなく、その時々に適切に選んでいくべきものなので、まだ、次の時のことについてはコメントを差し控えさせていただく。
 2番目のご質問は、こうしたことが起きているのは規模が大きくなりすぎたからではないかということだが、これについては1つ1つの事例がいつ発生して、それは合併する前であったか後であったか、あるいはそういった体質的なものがいつごろ起こったのかなど、いろいろな問題があり、そう簡単に結論づけられない。規模が大きくなったからそういうものが起きるというように考えるのは、いろいろ分析してみないとわからないのではないか。敢えて申しあげさせていただくと、規模が大きくなっているのは日本の銀行だけでなく、グローバリゼーションが進んでいる中で言えば、欧米の銀行も合併を重ねて非常に大きな規模になっている。世界の金融はそういう中で動いているので、規模を理由にコンプライアンス、法律を守るということが左右されてはいけない。やはり、自由主義社会においては、ルール、法律を守るということがどういう状況になっても大前提であり、世界の動きの中で適切にそうしたことをやっていかなければならないと理解しなければいけないと思う。


(問)
 公的資金がまだ入っているので半人前という話があったが、逆に伺いたいが、どうなったら一人前の銀行に戻るのか。公的資金返済を終えれば一人前なのか、それとも他に何か必要な要素があるのか。
(答)
 やや繰り返しの回答になるが、企業は誰のものかといわれると、特に銀行は、さきほども申しあげたとおり、お客さま、株主、従業員、社会、そういうステークホルダーの方々からのご支持を得て、世界でも伍していけるような経営をしていかなければいけない。収益水準にしてもそうである。それを実現させないと、全般にわたって100点を取れたということにはならないのではないかと思う。勿論、日本における企業のあり方と欧米の投資家の考えには、多少差がある。ただ、私どもの銀行は、ベースは日本にあるし、日本のお客さまを中心として利益をあげさせていただいていることから、さきほど申しあげたステークホルダーの方々のご支持をいただけるような経営をしていくことが、ある意味では答えになるのではないかと思う。そのどの部分でも何かご不満があれば、一人前ではないというご批判を受けるようなことにもなると思う。若干私見が入るが、そのように思う。


(問)
 決算が出揃ってきているので、決算に絡んで教えていただきたい。パッと見た感じでは、どの銀行も資金利益の減少を手数料収入で補う、なかでもリテールにおける投資性商品関係の手数料収入で補うという構造になっていると思うが、リテール分野の好調というのはいつまで続くのか。踊り場が来るとすれば、どういう局面でリテールの好調の踊り場というのは来るのか。
 2点目は、リテールに対する取組みというのは各社似たように見受けられるが、差別化を図るとしたらどういうふうに差別化が図られるのか、畔柳会長の銀行を例に出していただいても構わないが、そのあたりについて教えていただきたい。
(答)
 最初の質問にもあったとおり、お客さまからみれば借入の資金需要が盛り上がってこない中で、営業収益の限界的な増加分が手数料・役務収益からあがっているというのは確かである。これは、リテールだけに限らず法人においても、特に大企業などは、借入はしないがエクイティ・ファイナンス等を行うことで投資銀行業務にかかる収益があがってきたり、MUFGレベルで申しあげると、傘下に三菱UFJ証券というのがあり、全般に証券会社自体は手数料収入によっている。そういう意味では単純に「MUFG連結グループの役務収益=リテールの投資性商品手数料」というわけではないが、それがかなりのシェアを占めていることは確かである。この背景は、貯蓄から投資へという流れが始まったということではないかと思っている。やはり経済の成熟化に伴って、金利水準は全体として低いものになっていくし、特に日本はここ何年か低金利の状況が続いたので、従来個人の資産形成において預金中心の運用をしていたものが、アメリカのようにもう少し投資性商品のシェアを高くしていくという消費者の動きが、日本でも始まってきている。かつ、行政の方でも貯蓄から投資へということで、そういう環境を整えてきたプロセスにある。そういうことから、銀行がお客さまに適切に商品をお勧めすることが大事だが、特に投資信託とか、変額個人年金保険を購入される方々が増えてきている。それに伴って収益が増加してきているということかと思う。それではいつまで続くのか、貯蓄から投資へといっても、どのくらい変化していくのかということは、なかなか予測が難しいところがある。現実に、預金を増やしている方もいらっしゃるので、全体でみればそれほど貯蓄から投資へという動きが日本で起きてきたというところまでは、まだいっていないわけで、今後この動きがもう少し本格化するという見方もありえる。したがって、どこにきたら踊り場なのか、ということについて予測できる段階にはまだないように思う。そこで一番気をつけなければならないのは、自由化が進んで、銀行における投資性商品の販売が増えてきている中で、最終的にお客さまが満足していただけるかどうかということである。結果として貯蓄から投資へという流れがお客さまにも良かったということになって、銀行も手数料収益が拡大して共存共栄するような姿になっていけば、その流れがさらに続くという面もあるかと思う。したがって、最後のご質問でいうと、特にウルトラCはなくて、徹底的にお客さま本位に、そして銀行が取り扱う投資性商品の信頼性というものをどう守りながらやっていけるか、というところにかかっているのではないか。


(問)
 今朝の一部報道で、日本郵政公社の決算、特に郵便貯金事業の決算について報道があった。個別でいえば、三菱UFJフィナンシャルグループの最終利益を大きく上回る、ちょっと数字は忘れたが、1兆数千億という決算が報道されている。拡大路線、あるいは肥大化という批判がある中で、この郵政事業、特に郵便貯金の事業の決算、業績の数字についてどのようなご感想をお持ちなのかということが 1点。
 あと、先ほど、三井住友の件で厳重注意があったということだが、独禁法違反、あるいは、コンプライアンス違反ということが行われていた当時の頭取である西川社長が日本郵政の社長でいらっしゃるということについて、相応しいのかどうかという声が一部であると思うが、これについてご意見をお聞かせ願いたい。
(答)
 郵政の決算に関する報道があったということは承知しているが、これはまだ正式発表ではないと思う。少なくとも正式発表されていないものについて、こういう正式の場でコメントするのはいかがかと思うので、基本的には差し控えさせていただきたいと思う。正式発表された場合には、われわれと同じ基準でみてどうなのか、調達運用それぞれのコストや、構造的なもの、どことどこを比較するのかというような前提を明確にして比較することが必要だと思う。
 2番目のご質問については、三井住友銀行さんでそういうことが起きたということは、本当にルール違反はあってはならないことで、誠に遺憾なことであるし、現在、奥頭取がそれに対応して再発防止策を徹底するということを表明されている。西川さんが日本郵政の社長としてどうかということについては、われわれの問題ではなくて、日本郵政さんなりご当局がお考えになることではないかと思うので、意見を差し控えさせていただく。


(問)
 今の最後のくだりであるが、確かになかなかおっしゃりづらいのはよくわかるが、西川さんは全銀協の会長もお務めになって、銀行界のリーダーたる人であったにもかかわらず、ああいうふうな経営をしたと、まあ、郵政のトップに座ることはどうかはともかくとしても、責任ということについては、畔柳さんがどういうふうにお感じになるのか。ああいうような厳しい行政処分を受けたにもかかわらず、全銀協としては厳重注意というのは、甘くないのかどうか、そのへんの判断が今ひとつわからないので、改めて教えていただきたい。
(答)
 最初の質問については、先般の国会でも奥頭取が答えられていた。これは、個別銀行の話であり、三井住友銀行が対応する話であると思う。
 2番目の話であるが、これも先ほど質問があったとおり、われわれ任意団体としての全銀協のあり方の中で、今回の社会的影響の重要性も踏まえて、皆で協議した結果、厳重注意にさせていただいたということである。


(問)
 先ほど事務局から配られたアンケート結果に関連して伺いたい。今回、インターネットバンキングによる預金の不正引出しのアンケートの集計を出しているが、インターネットバンキングの被害者に対して、当該金融機関は金額を返還したのかどうかというのがまず1点と、キャッシュカードについては補償ルールを協会で作られたと思うが、インターネットバンキングの被害者に対する補償についての考え方は、キャッシュカードと同様にそのルールが適用されるのかどうかについて教えてほしい。
(答:斉藤専務理事)
 金額を返還したかという話は個別の話なので承知していない。被害者に対する補償は、偽造盗難キャッシュカードについての法律の施行に伴う対応の中で行ったものであり、インターネットバンキングによる預金等の不正引出しとは一線を画している。
(畔柳会長)
 必要があれば、後ほど詳しくお聞きいただければと思う。


(問)
 変額年金の窓販について伺いたい。今回の決算でも、一部の銀行ではすでに投信による手数料を年金の窓販による手数料が上回っているところも出てきているほどブームになっていると思うが、このブームについて、危うさは感じないか。これまで投信は長い歴史がある商品で、上げ相場も下げ相場も経験してきているが、変額年金は実際のところ上げ相場しか経験していない。このブームについて危うさを感じないのかどうか。一部の保険会社は商品性の見直しにも踏み切っているが、この辺はどうか。
(答)
 私どもの銀行で説明すると、保険窓販が3年ぐらい前に解禁されて、われわれが取り扱うことになった際に、私どもも過去にいろいろな経験をしてきたことから、保険販売に伴うリスク管理についてはかなり体制を整えながら、そのリスクはいろいろな範囲におよぶが、3ヶ月毎に実態をよく見ながら運用してきているし、今もそうした運用を続けている。その時点時点でチェックしながら、私どもは全体の方針をいろいろと検討して対応している。この時点で、今ご指摘のようなことを特に感じているところはない。ただ、やはり投資商品であるので、先行きも常に注意深く、販売とリスク管理のバランスをとってやっていかなければならないことは、かなり自覚しているつもりである。


(問)
 1点目は、先ほど会長が、徹底的にお客さま本位になると言っていたが、未だにお金を銀行AからBに送金するときには手数料が350円かかるし、時間外に預金をおろすとまたそこで手数料がかかってしまう。海外ではそういうことがないのかもしれないが、これはいつになったら無料になるのか。預金者にとって、お金を置いておくというコストが依然としてかなりあるように思うが、そもそもこういうコストというものは取るべき手数料であって、なくすべきものではないのか、考え方を教えてほしい。
 2点目は、決算が出揃ってきて、その結果、今も資金需要がまだ旺盛ではないという発言があって、ゼロ金利もまだ続いている。今日の銀行の株価も10%下落するところもあって、少し先が明るくないというか、半人前だというような発言もあった訳であるし、もう少し本来自信を持つべきではないかと思う。公的資金も返したし、不良債権もほぼ処理が終わっていて、もっと強気で各銀行の頭取が胸を張って、ここまで自分たちはやってきたんだ、これから一気に攻めるぞ、というメッセージを市場に送る時期にきているのではないかと個人的に思うが、どう思われるか。公的資金というのはかなりの重石で、来月の返済までは今のようなスタンスをとらざるをえないのか、教えてほしい。
(答)
 手数料についてのご要望が多いということは、もちろん私どもも理解している。私どもでは窓口のアンケート調査などを積み重ねているので、そういうお客さまの声も直接的に伺っている。一方で、システムダウンをしないための、あるいは利便性を提供するためのコストがかかっているというのも確かである。そのコストといただく対価のバランスの問題だと思う。欧米でも手数料に関しては、すべて無料でやっているということではないと思う。私もアメリカにいたことがあるが、手数料を取られるものは取られる。ただ、お客さま本位の経営を説くときに、お客さまがお受けになるサービスとお支払いになる手数料とのバランスでどうかということについては、われわれはこれからも真摯に努力を続けて、少しでもご満足を得られるように努めていきたいと思っている。
 2番目の質問については、少し元気がないのではないかというようなご質問と思うが、あまりそういう自覚はない。今日、少し株価が下がっているのは、世界全体の動きの中で生じたものかと思うし、アジアのマーケットが下がったことが日本にも影響しているのではないかと思っている。昨日の決算発表でも、臨時損益という要因はあったが収益を上げさせていただいたことで、公的資金を完済させていただくということを表明させていただいた。それにより、その後はより自立的な経営をやります、というメッセージを申しあげたつもりである。言い方がまだ足りなかったかもしれないが、大いに意欲的に臨んでおり、他行も何年か前に比べれば、皆、そういうつもりでいるのではないか。