2006年12月18日

畔柳会長記者会見(三菱東京UFJ銀行頭取)

斉藤専務理事報告

 事務局から、2点ご報告する。
 まず、本日の理事会において、お手許の資料のとおり、来年度の次期副会長および次期正副会長の担当委員会を内定した。
 なお、次期副会長の正式な選任は、10月の本席上で内定をご報告した次期会長と同じく、来年4月の理事会において行われる。また、担当委員会についても、正式な決定は次期正副会長が正式に選任された後の正副会長会議において行われる。
 次に、これは全国銀行公正取引協議会に関する事項であるが、公正取引委員会から改善要望があった外貨預金の広告表示について、お手元の資料のとおり、改善点を取りまとめ、本日付けで会員宛に通知した。具体的な表示例については、この協議会のホームページに公表しているので、ご覧いただきたい。 また、同協議会においては、仕組み預金等その他の金融商品の広告表示に関しても引き続き関係当局等と協議を重ねており、まとまり次第、公表していく予定である。
 なお、本件の具体的内容について更に詳細をお知りになりたい点があれば、会見終了後、事務局にご照会いただきたい。

会長記者会見の模様

 はじめに、個別グループのことで恐縮ではあるが、本日午前9時半に、米国監督当局の業務改善命令に関するプレスリリースを行ったので、私のほうから一言申しあげる。
 MUFGとその子会社である三菱東京UFJ銀行は、日本時間の本日、サンフランシスコ連邦銀行、ニューヨーク連邦銀行およびニューヨーク州銀行局から、米国におけるマネーローンダリングの防止対応に関連して業務改善命令を受領した。
 また、三菱東京UFJ銀行の米国子会社である三菱東京UFJ銀行信託会社は、米国預金保険公社およびニューヨーク州銀行局から、同じくマネーローンダリング防止対応に関連して、同日、業務改善命令を受領した。
 本件は、三菱東京UFJ銀行ニューヨーク支店等において、米国監督各当局の検査で同国内におけるマネーローンダリング防止対応が求められる水準に達しておらず、より強化が必要との指摘を受けたものである。 数年前に、UBOCに対して同様の指摘を受けた際に、リスクの高いコルレス取引にかかるデューデリジェンスを強化する、あるいは、UBOCを参考にしつつ銀行のニューヨーク支店の取引モニタリングシステムをアップグレードする等、種々対応を行ってきた。
 しかしながら、特にテロ防止等の観点から、米国で営業する金融機関に求められるマネーローンダリング防止に関する目線が年々厳しくなっていたことに、十分対応できていなかったと認識している。
 こうした問題に対応するために、今般、三菱東京UFJ銀行の国際部門においてコンプライアンス専担組織を本邦と主要海外地域に設けるとともに、コンプライアンス担当人員を100人から200人へと倍増させ、コンプライアンスの独立性を高めるような体制に変更した。また、持株会社においても、各業態のコンプライアンス活動に対するモニタリングを体制面、人員面を含めて更に強化していく。
 MUFGグループは、米国監督当局のご指摘を厳粛に受け止め、深く反省するとともに、業務改善命令の内容などを踏まえて策定する改善策を着実に実行することなどにより、マネーローンダリング防止対応策の充実、強化を図っていく。


(問)
 中間決算についてであるが、中間決算の受け止めと、一部銀行で法人税の支払いが再開される見込みとなったが、再開の動きについてどう思うかについて教えてほしい。
(答)
 現在、全銀協においても全国銀行ベースの計数の取りまとめを行っている最中であり、来週26日には公表する予定であるが、この中間決算も、17年度決算に続き、総じて好調な結果であったと受け止めている。
 ただ、大手行を中心に、貸倒引当金の戻入れや、繰延税金資産の計上等、一時的要因により収益が押し上げられている面が強いものと認識している。
 いわゆる営業のトップラインをみると、手数料収入は引き続き増加しているものの、貸出競争の激化による利ざやの低迷等により資金利益が伸び悩んでいるほか、債券関係損益を中心に市場収益も悪化している。結果として、業務純益は、全国銀行ベースでも減少したとみられる。貯蓄から投資への動きや、企業におけるキャッシュ・フロー経営重視の動きなどが、微妙に影響しているとも思われるので、この環境変化に適応した収益力の強化に向けて、経営努力を重ねていく必要があると考えている。
 法人税については、これまでも申しあげており、皆さんにもご理解いただいているものと思うが、各行とも全産業共通の税務ルールに則って対応している。わが国においては、無税の償却・引当の範囲が限定的であるので、不良債権の集中処理を進めるにあたり、有税処理が中心となり、会計上、赤字決算となる中で、法人税をお支払いしてきた。逆に、その後、会計上の利益が回復しても、過去の有税処理分の無税化が進んだことで、課税所得が発生しない状況となっている。つまり、会計上の損益と税務上の課税所得にタイムラグが生じている状況である。
 今後、課税所得の計上が続けば、税務上の繰越欠損金が解消して、法人税を支払うこととなるが、各行の税務ポジションにより、そのタイミングは異なってくる。早い銀行は今年度から、支払いが見込まれるとのことであり、個別行として私どもも、引き続き収益体質の強化に努め、早期に法人税の支払いを再開したいと考えている。


(問)
 政治献金について、会長自身の考え方と、個別行であるが、三菱東京UFJ銀行の検討状況をお聞かせ願いたい。
(答)
 個別行としては、いろいろなご意見をいただいている中で、今、検討中であり、結論は出していない。個人的意見をということであるが、前回も多少ご質問があって申しあげたが、公的資金をお返しして以来申しあげているとおり、銀行を取り巻くステークホルダー、お客さま、株主、従業員、地域、社会といった様々なステークホルダーに総合的にバランスをとって適切に貢献していくことが、わが国に基盤を置く金融機関の社会的責任であると考えている。今年になり、私どもも状況の変化に合わせ、本支店間の振込手数料やコンビニATMの平日の手数料などの無料化にも踏み切ったし、その他、営業店のサービス改善や、CSR経営に力を入れて取り組んでいるところである。また、株主にも先般の決算発表のときに増配を発表している。そういう総合的判断の中で、政治も社会基盤のひとつであるし、議会制民主主義の維持・発展にコストがかかることも事実であり、公的助成や個人の寄付が極めて重要だとは思うが、日本ではまだ個人の政治寄付が定着していないという実情の中で、あくまでも今申しあげた総合的バランスの中で考えていくということはあるのではないか。


(問)
 政治献金の件でお尋ねするが、日本では、個人の献金が定着していないと発言されていたが、畔柳会長は献金されているのか。
(答)
 私自身、そういう方向で考えている。


(問)

 今まで献金されたことはあるのか。
(答)
 今までは献金したことはない。


(問)

 今回、なぜ、急に献金されるのか。真意は何か。
(答)
 急にということではない。今まで私自身が献金していなかったのは事実であり、そういう考えを深めているということである。


(問)

 立ち入ったことを伺って恐縮であるが、政党といってもたくさんあるが、先ほど言われた政党はどこをお考えなのか。畔柳会長個人で政党というのはどちらに献金されようとしているのか。
(答)
 どちらの政党かということについては、政治寄付を受け入れる政党について、いろいろな評価を行う中で判断することであると思う。日本経団連の政策評価のような枠組みがあるが、日本の経済問題、少子化対策、あるいは雇用や就労の促進など、幅広い項目を対象に国民生活全体の発展につながるような政策作りを重視して判断していくものだと考えている。


問)
 具体的にどこの政党なのか。
(答)
 私自身がどこへということは申しあげることもないと思う。今申しあげたような政策を重視している政党に考えたいと思う。


(問)
 政治献金の話であるが、献金を再開する前に順序として、社会的コストとしてまず法人税を再開してから献金するべきではないかという意見もあるが、この点に関して畔柳会長はどのようにお考えか。
(答)
 税金については、冒頭お答えしたつもりである。前から申しあげているとおり、企業も市民としてルールに則って、国民的義務として税金を払わなければならない。税務ルールに則って対応していくということは、あらゆる主体に共通した税をお支払いする態度だと思う。私どもも払いたくないということではなく、ルールどおりにやらせていただくということをいつも申しあげている。


(問)
 銀行の献金再開にあたっては、預金者の批判的な声も大きいが、畔柳会長はなぜこうも批判の声が強いとお考えか。
(答)
 まず預金金利が全般に低いということに対して、いろいろな批判があるということも承知しているが、この点については、私どもは、どうしても、市場金利に連動して金利を運営させていただく業態だと思う。日本銀行の金利政策も、主として市場金利というものを見ながらやっており、その原点には消費者物価の動向があって、成り立っていると思う。したがって、いろいろなご批判をいただいているが、預金金利だけを取り出して銀行経営を語るのはなかなか難しいものがある。片一方で、例えば住宅ローン金利など貸出金利もあるので、それとの連動で考えていただければというところはある。
 ただし、そういうご不満が多いということもよく存じあげており、したがって、今年春に市場金利が動いた時にはいち早く対応させていただいたつもりである。そしてまた、それ以外の手数料に関しても、本支店間の振込手数料の無料化であるとか、先月発表させていただいたとおり、皆様のご要望の強いコンビニATM関係の手数料無料化にも踏み切らせていただいた。いろいろなご要望は謙虚に受け止めつつ、私どもにできることを着実に行い、サービス改善に努めて、ご理解を得ていく努力を続けなければならないと認識している。


(問)
 コンビニATM利用手数料の一部無料化は来年3月の話だと思うが、それを待ってから政治献金を再開するお考えはないのか。
(答)
 時期について最終的な決定はしていない。システムもかかわっている話であり、タイミングは照合させていない。


(問)
 まだ政治献金の最終決定はしていないとのことであるが、いつ頃最終決定をされるつもりなのか。
(答)
 さきほども個人的意見としてお話させていただいたが、しかるべく決定機関にかけてそこで決めてからでないと、申しあげられない。あくまでも個人的意見として申しあげたものであり、いつということは決めていない。


(問)
 個人的意見としては、献金を再開すべきとお考えなのか。
(答)
 さきほど申しあげたとおり、総合的なバランスの中で判断するということは、考えられることである。


(問)
 結論は出していないのか。
(答) 出していない。


(問)
 総合的なバランスの中でとおっしゃったが、私にとっては総合的なバランスを考えると、今再開するのは預金者とか株主とかそういうところから批判が高まって、銀行の評判が結果的に下がって、何も良いことはないように思うが、きちんと預金者、株主に今の総合的なバランスということを納得してもらえると今思っているのか。
 それと判断の中に経団連の会長・副会長企業で、今、政治献金していないのは、三菱東京UFJと東京電力。これは建前上は公的企業であるから、特定の政党には本体としては政治献金をするのはよろしくないという判断でなさっていないようである。あとNTTはいろんな法律上問題がある。となると、自主的にしていないのは銀行だけだと思うが、その経団連の中で肩身の狭さをこれまで感じられていたことがあるのか。そういうことがなんらかの今回の決定に影響をしているかどうかの2点お聞かせいただきたい。
(答)
 最初のご質問に関してはいろいろな見方があると思うので、私があまり断定的にここで申しあげることではないと思うが、個人的意見として総合的判断の中で考えることがあると思っていると申しあげ、そのようにお答えさせていただくしかないかと思う。
 二番目のご質問は個人的にもほとんど経団連の活動はしたことないし、ご質問のようなことは判断に入っていない。


(問)
 総合的判断についてお伺いしたいが、頭取はこういう席で説明すれば役目が済むのかもしれないが、実際、お客様と対応している支店の人とか営業の人とかというのが、特定政党にこういうご時世の中で献金したことについていろいろお客様から言われると思うが、そういうことに対してどのように行内に説明するのか、総合的判断だから君らやりなさいというのか。
 先ほど、同友会の記者会見では北城代表は政治献金というのはあくまで個人と政党交付金で賄うのが原則であり、個々の企業がやるのであれば、世の中に説明がつくように、きちんと理由を納得いくようにしていかなければいけないのではないかということをいわれた。それはそうだと思う。その総合的判断というわかったようなわからないような言葉で世の中を説得できるのか。そのことについての経営者の基本的な姿勢を含めてお話し願いたい。
(答)
 先ほども、幹事の方のご質問に、公的助成や個人献金が極めて重要であるということを申しあげたし、また、個人献金が未成熟な段階での総合的判断というように申しあげた。その判断は、内部的には経営責任で行うものであると思う。現場が動けないようなことを私が強引にやるということではなく、本件に限らず私どもとして現場にきちんとした説明をする時はする。実際、私どもの営業現場は一番大事なところであるので、そこについての認識はもっているつもりである。


(問)
 今日、日銀が年内の金利据え置きを決定されたが、そのことに関しての感想と現状の景気認識に関しての考えをお聞かせ願いたい。
(答)
 まず、金利の前に、景気の今の状況に関しての基本的な見方を申しあげると、先月お答えしたこととそう大きくは変わっていない。その後、若干データが出るに応じて報道でも市場でも考え方に少し変化があるように思えるが、大きく見ると変わっていないと思う。
 まず7~9月の実質GDP成長率が前期比年率0.8%に下方修正されたとか、設備投資の先行指標である機械受注が一進一退となるなど、やや難しい局面を示唆しているようなデータでもあったし、一方で、日銀短観を見ると中小企業の景況感が改善しており、総合してみると、企業業績をベースとした日本の景気拡大局面は変わっていないと思う。ただし、消費者物価の動向など、慎重に見なければいけないタイミングであることも確かで、特に金利に関しては消費者物価がどう動くかで相当大きく影響受けるところがある。7月の基準改定で携帯電話の要因により数字がだいぶ変動した消費者物価については、12月下旬の発表が非常に注目されると思う。
 日本銀行としては、年内の利上げはないというような判断を今日されたと思う。ただし、マーケットでは1~3月にあるのではないかという見方が強まっていると聞いている。今後、いろいろなデータを日本銀行が総合的に判断されて、最終決定されるのだろうと思っている。


(問)
 先ほど頭取がおっしゃっていた個人献金であるが、どのタイミングでどういった方法でやろうとお考えか。
(答)
 自分なりに考えて行う。


(問)
 年内もあり得るのか。
(答)
 そこまでは決めていない。


(問)
 方法はどういった方法か。
(答)
 方法は普通、振込みであろう。


(問)
 政党本部への献金ということでよいか。
(答)
 よい。


(問)

 政治家個人にではなく。
(答)
 通常の個人献金のやり方に従って行うことだと思う。


(問)
 冒頭ご発言があったアメリカのマネーローンダリングの関係であるが、先ほど、アメリカの当局の目線が年々厳しくなってきたことに対応ができていなかったというようなご説明があったかと思うが、以前にもアメリカの子会社の方で指摘を受けられることもあったし、なんといっても国際業務も邦銀の中でも非常に経験がある銀行だと思う。それだけに、なぜ、しかもテロを背景にいろいろ厳しくなっていることというのは、素人目にもわかるような気がするのだが、なぜズレが生じてしまったのかというところの、頭取なりの分析と対応策等についてお考えをお聞きしたい。
(答)
 本人確認というのは非常に重要なポイントであるが、本人確認のあり方も、単にマニュアル的にではなく、本人確認の徹底、あるいはそれをチェックするシステムの新しさ、そういうものについていつもベストの体制にしてないと今の要請には応えられない。そうした中で、もう少し時間をかけてシステムを作っていこうというような判断は、甘かったと思う。また、その徹底についての認識が、もう一つ現場感覚の認識に至っていなかったのかもしれない。したがって、今回行った国際コンプライアンス部の設置などの対策を、単に今回の問題に止まらせず、世界各国で起きている問題に対して、国内での投資家保護などのいろいろな問題と同じように、現場において求められるレベルがきちんとできていないといけないということを、再認識させられたと思っている。


(問)
 改めて政治献金の件でお聞きしたいのだが、個人的にはというふうにおっしゃっているが、これは三木会長とか、あるいは他の役員の方と協議はなさっているのか。そして、同じような考えを三木会長も持ってらっしゃると理解していいか。
(答)
 それは、他の問題でも、全て経営の重要な問題は経営幹部と相談しながらやっている。本件に関してだけ特に何か、ということはない。


(問)
 今の頭取のお考えについては共有されているという、コンセンサスが得られていると理解してよいか。
(答)
 さっきも申したが、しかるべき決定プロセスを経て結論を出そうと思っているので、あまり軽率にはいえないが、もちろんそういう話し合いをしながら、検討している。


(問)
 特に強い異論は出ていないのか。
(答) 今のところ経営幹部の中に、そういう考えは出ていない。


(問)
 昨日、自民党幹事長の中川さんが、銀行の自民党への融資について、つなぎ資金だというふうにおっしゃった。東京三菱銀行とUFJ銀行と、両方併せると10億円以上の融資を自民党にしている。この融資の性格について、昨日話が出たのだけれども、つなぎ資金等という言い方があったのだけれども、つなぎ資金だと考えてよろしいのか。
(答)
 融資残があることは確かで、歴史もある話だと思うが、個別事案の判断の細かいところまでは、ここで申しあげられない。当行の個別与信判断のプロセスに則って融資を行っているものであって、何か特別扱いしているということはない。中川幹事長のご発言に関するご質問がもうひとつ良くわからないが、今日話題になっている政治寄付は、借入金返済を目的としているものではない。


(問)
 いま、お言葉の中でよくわからなかったのだけれども、個別事案のプロセスの中で生じたものとおっしゃったが。個別事案の。
(答)
 個別プロセスの判断に則って、融資というものはすべて行われている。


(問)

 個別プロセスの判断とは何か。
(答)
 普通お貸出をするときに必要な、いろいろなチェック項目である。


(問)
 返済の可能性とか、担保の有無とか、ということをお考えになったということか。
(答)
 そういう総合的判断で実行してきていると思う。


(問)
 担保はあるのか。
(答)
 そういう個別事案の内容をここでご説明する場ではないと思う。


(問)
 個々の話といっても、きちんとこれは政党の決算として、公表されていることである。それについて、銀行がおっしゃるように、企業市民であり、社会的責任を負っているのだったら、きちんと説明されたらいかがか。
(答)
 原則として個別の融資案件については、私どもとしてはお答えしていないと思う。


(問)
 そんなことはないだろう。例えば不良債権でもって、債権放棄したり、いろいろ救済したりするときには、かなり具体的なことを銀行はおっしゃっていると思う。担保があるのか、ないのか。言えないのだったら、言えないと言ってください。
(答)
 個別の案件については、お答えはできない。


(問)
 アメリカの当局の処分の件について2点ある。1点目は今回の処分で、とりあえずアメリカの現状の業務にどういう影響があるのか。今後のアメリカの金融持株会社の認可の申請、こういう新規業務にどういった影響があるのか。
 2点目は、国際コンプライアンス担当者を100人から200人に増やしたりとか、コルレス取引のことを強化したりとか、いろいろやっておられるとは思うが、今後この処分を受けて、さらに具体的にどういった対策を取られるのか教えてほしい。
(答)
 新規業務への影響についてのご質問だが、まったく影響がないということはないと思うが、FHCがいつ取れるかということを前提にして、何か具体的に計画を立てていたということではない。当局に申請し、許可を得ないと見通しを簡単につけられないものであるから、これを前提に収益計画を立てていたわけではない。既存の他の業務については、いただいた業務改善命令から直接的な影響は生じないと思っている。
 対応策については、米国において指導を受けてきたので、専門機関などにも相談して、考えられるものを全て方針として決定しているので、国際コンプライアンス部の設置、人員強化、教育などが重要になると思うが、「Plan Do See」の「Plan」は全部できているので、あとは「Do」だということで、引き続きご指導を得ながら行っていく。今日、新たに「Plan」することはないという状況になっている。


(問)
 先ほど、現状の業務あるいは新しい業務に、それほど大きな収益計画とかには影響がないということだったが、実際に収益計画に織り込んでいなくても、例えば決算上は影響なかったとしても、米国での業務拡大の計画といったことにはやはり影響があるということなのか。2点目は確認だが、基本的に今回の処分の後に、これ以上の対策を取られるということはないと理解すればよいのか。
(答)
 繰り返しになるが、特に影響はないというのは、例えばすぐさま何か申請したら認可になるかといえば、やはり今回受けた命令にきちんと対応しなければいけないということは当然であるから、とりあえず、先ほど申しあげた「Do」をやりきるということが一番大事である。その次の段階はそれを終わってからと受け止めている。
 2番目のご質問については、ありとあらゆる対応策を出して、それをプラン化して、当局とも話し合いながらやっているので、「Do」の段階に入っていると申しあげた。


(問)
 2点ほどお願いしたい。また献金の話で恐縮だが、先ほど、他の役員の方と相談して、ということだったが、会長行として、他行の役員、特にみずほさんも再開するといった捉え方をされているが、例えば前田社長とか、経団連副会長の人事もあることなので、その点を1つ伺いたい。
 もう1つは、98年に小渕元首相が、銀行からの政治献金を受け取らないという判断をされたと思うが、そのことについての感想と、今はその時期と何が変わったのかの見解を伺いたい。
(答)
 最初のご質問については、当初から個別行の判断ということであって、一切他行と話し合うということはしていない。
 それから、小渕元首相の時の状況をすべて知っているわけではないので、正確な答えになるかどうかというところはあるが、社会的基盤として経済の問題、少子化の問題、雇用の問題など、いろいろな問題を、議会制民主主義を通じて解決していくということに関して、総合的判断の中で考えられるのではないかと先ほども申しあげた。


(問)
 「預金にかかる広告の一部修正について」という今日の発表についてだが、三菱東京UFJ銀行もこれに該当する項目があったのか。
(答)
 私どもとして、直接的にはなかったと思う。ただ、お客さま第一を掲げる中でのご説明のあり方としては、日々反省するところもあるので、今日の発表についての直接のきっかけは私どもの銀行ではなかったと思うが、それを他山の石として、いろいろ見直していることは確かである。誤解を与えないような広告でこれからも対応していくということは、申しあげておきたい。


(問)
 ここで改善項目が出されたようなことについては、三菱東京UFJ銀行ではなかったと理解してよいか。
(答)
 よい。


(問)
 これはごく一部か。公取が指摘するということは、社会的な影響があってのことだと思うが、銀行界でこういうことについては、今までどういう検討をしてきたか。
(答)
 銀行に限らず、いろいろな意味で、消費者保護や投資家保護の問題が重要になってきている。今年の8月には住宅ローンの関係の広告でもあった。やや全体的に生産者本位のあり方から、本当に消費者の視点でもう一回チェックをし直すということは、非常に重要な銀行界の認識である。今年度の全銀協がスタートしたときから、自由と規律、自由化が進むだけに、われわれ自身が規律ということについて本当に考えなければならないと考えてこれまでやってきたのだが、しかし、こういうことが出ているということは、まだまだ努力しなければいけないと認識している。


(問)
 消費者目線で考えると、献金はやはり変かと思うのだが、先ほどの答え以外ないか。
(答)
 先ほども、私なりにきちんと答えさせていただいた。

別添資料:畔柳会長記者会見(三菱東京UFJ銀行頭取)