2008年6月24日

杉山会長記者会見(みずほ銀行頭取)

斉藤専務理事報告

 事務局から2点ご報告する。
 1点目は、「振り込め詐欺防止啓発イベント」の開催についてである。全銀協では、今月を「振り込め詐欺撲滅強化月間」と位置付け、集中的な広報・宣伝活動を展開しているところであるが、その一環として、来る6月27日に、巣鴨真性寺において「振り込め詐欺防止啓発イベント」を開催することとした。当日は、タレントの江戸家小猫さんのトークショー・ライブ等のイベントを開催する等、高齢者の方に振り込め詐欺の手口や防止策等を分かりやすく説明するプログラムを用意している。また、オープニング・イベントには、杉山会長も出席するので、是非、ご参加いただきたい。
 2点目は、環境講演会の開催についてである。7月28日に、国際金融アナリストの末吉竹二郎氏を講師にお招きし、「銀行界における環境配慮行動のあり方について」というテーマで開催する。昨今の環境問題に対する関心の高まりも受けて、一般の方にも参加を呼び掛けているので、皆さんも、是非ご参加いただきたい。

 

会長記者会見の模様

(問)
 世界的なインフレ進行に対する警戒感が強まる中、欧米では利上げ観測が浮上している。一方、日本経済はすでに景気後退に入ったとの見方もあるが、こうした情勢を踏まえて景気の現状と見通しをどうみているか。
(答)
 原油をはじめとする資源や食料品の価格高騰が続いているため、インフレ率は世界的に高まる方向にある。新興国には、エネルギーや食料品価格上昇が全体の物価上昇につながりやすい国も多く、一部で金融引き締めの動きが出始めている。
 ほとんどの先進国では、今のところエネルギー・食料品価格の上昇がコア・インフレ率の上昇に波及している様子はうかがえない。しかし、将来的なインフレ・リスクに備える必要から、欧米の金融当局はインフレに対する警戒を強めており、特にECBは近い将来に利上げを実施するのではないかとの見方が市場で強まっている。
 サブプライム問題も完全に収束したわけではなく、欧米の金融当局は当面、景気の下振れとインフレの双方のリスクを踏まえて難しい政策の舵取りを迫られることになるだろう。
 日本経済は現在、「踊り場」の状況にあると認識しているが、景気の下振れリスクが強まっていることも確かであろう。食料品・エネルギー価格の高騰は、今のところ企業業績と家計の実質所得を押し下げることにより、専ら国内需要を下振れさせる要因となっている。
 原材料高に加え、昨年比で為替レートが円高となっていることなどから、企業業績の悪化が足元で顕著になっている。2007年度の経常利益(法人企業統計ベース)は6年ぶりの減益となったが、今年度も減益が続く可能性が高い。
 設備投資及び雇用者所得の原資となる企業の利益が減少することは、国内需要の下振れリスクを強めるものである。
 一方輸出は、米国経済減速の影響などから伸びはやや鈍化しているが、新興国向けの好調に支えられる形で全体としては高い水準を保っている。今後は、減税の効果で米国経済が多少なりとも持ち直すことが期待され、外需は引き続き日本経済を下支えするだろうと考えている。
 日本経済全体としてみた場合、原材料・食料品高に伴う企業業績悪化と物価上昇を背景に国内需要は当面、停滞が続くと見られるが、外需の下支えによって景気の大幅な落ち込みは避けられるのではないかと考えている。
 もっとも、欧米で金融不安が再燃したり、資源価格がさらに高騰するようなことがあれば、景気が大きく落ち込む可能性もあり、今後の動向を注意してみていく必要があると考えている。


(問)
 金融商品取引法等の改正法が成立したが、銀行・証券のファイアーウォール規制見直し等の規制緩和によって期待することや今後どう取り組んでいくかについて、お聞かせいただきたい。
(答)
 銀行界にとっても大変意義深い一里塚だと認識している。
 最近、特に金融サービスの多様化、高度化、国際化の進展には目覚しいものがある。こうしたなか、今回の改正で、欧米が先行する規制緩和の方向に一歩踏み出したことは、利用者の利便性向上、また、わが国金融・資本市場の競争力強化という観点から高く評価したい。
 まず、ファイアーウォール規制の見直しであるが、主な内容は、銀行と証券の役職員の兼職規制撤廃や情報共有制限の緩和である。これにより銀行と証券の連携が今まで以上に取りやすくなる。
 お客さまは、銀行か証券かを問わず最良の金融サービスを求めている。私どもも、もはや、「証券のことは証券会社にお聞きください」といった体制ではお客さまの満足を得られず、国際的な競争力も高めることができない。
 金融グループにおいて円滑なコミュニケーションをもとに知恵を出し合うようになれば、グループ横断的に、より質の高い金融サービスを提供していくことが可能となる。これが、お客さまの調達・運用手段の多様化・効率化につながる。こういった点がファイアーウォール規制の見直しの意義であろうかと思う。
 また、今回の改正法においては、銀行グループの業務範囲も拡大される。イスラム金融や排出権取引の解禁、また、いわゆる5%ルール等の議決権保有制限の例外措置拡充などである。
 銀行が提供できる商品・サービスが拡充していくということは、お客さまの様々なニーズに幅広くお応えできるようになるということである。
 今後も本格的なマーチャントバンキング業務の拡充など時代の要請に合わせた見直しが期待される。
 一方で、このファイアーウォール規制見直しや銀行グループの業務範囲拡大にあわせた形で、利益相反管理態勢の構築、また、優越的地位の濫用防止など内部管理態勢の整備に対する自主的・自律的な取組みが大変重要になってくる。
 たとえば、金融機関が業務範囲を拡大させたり、グループ経営を広げていくと、複数のお客さまの利害が相反するような事例が様々な形で生じかねない。こういった利益相反は、お客さまの信頼を損ないかねないので適切に管理していくことが必要である。
 これは非常に重要なことだと考えていて、「顧客利便性」と「顧客保護」の両輪をバランスよく向上させ、お客さまに安心してご利用いただけるよう、内部管理態勢整備に万全を期していく必要がある。
 この改正による制度の詳細は政令・内閣府令等で今後策定される。改正の実効性が確保され、わが国金融・資本市場の競争力や利便性の向上に繋がるものとなるよう、銀行界として制度の詳細設計にあたって大いに意見を発信していきたいと考えている。
 証券会社がどうだ、銀行がどうだという観点ではなく、あくまでも「利用者の観点」からこの議論を進めていきたいと思う。


(問)
 最近中小企業に対する金融機関の貸し渋りというようなことがよく言われているが、これに関して全銀協会長としてどのように受け止めているか。
(答)
 足許では、原油・原材料価格の高騰、急速な円高の進行、個人消費の低迷などにより、景気の減速感が強まっている。
 こうしたなか、原材料価格を転嫁しにくい中小企業を中心に、業況悪化に備えようという守りの気持ちが一段と強くなっているように思う。「債務の過剰」に対する経営者の警戒心も強く、設備投資に対する慎重な姿勢や運転資金抑制の動きが広がっているようだ。
 おっしゃるようなご指摘があることは承知しているが、私どもとしては、バブル崩壊後の極めて厳しい状況を克服して、自己資本も充実しており、貸出資産を増やすことに逡巡するような状況にはないと思う。
 むしろ、ここ数年の顧客部門収益の伸びを支えてきた役務収益が、市況の悪化を要因とした投資信託の販売落ち込みなどにより低調となり、各銀行とも、お客さまとのお取引の基盤となる「貸出」をできるだけ伸ばしたいと考えているところである。
 具体的には、各銀行とも、長期に安定的なお取引を継続していく観点から、個々のお客さまとの対話を通じて、事業内容やキャッシュフローの分析、保全面の取扱い等を含めた多面的な検討を行い、企業の資金ニーズに積極的に応えるべく様々な工夫をしているところである。
 特に、中小企業金融には積極的に取り組んでおり、例えば、みずほ銀行においても、キャッシュフローを重視した無担保貸出商品や、お客さまの商品や売掛債権等の事業収益資産を活用した融資などに積極的に取り組んでいる。
 また、全銀協として取り組んでいる電子債権記録機関の設立検討も、中小企業に対して、手形割引に替わる資金調達手段を提供しようとする新たな試みである。
 確かに、場合によっては、様々な検討を行ったにもかかわらず、銀行としてお客さまの資金ニーズに対応できないケースがあるかもしれない。
 こうした場合にも、お客さまにご納得いただけるよう十分に説明を尽くすことが重要であると考えており、会員各行にも徹底を図っているところである。
 私どもとしては、銀行の社会的役割が「適切なリスク管理のもと、適切にリスクをとり、企業の資金需要に対して円滑な資金供給を行うこと」であることを改めて認識し、中小企業のお客さまへの資金供給に、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと考えている。
 また、資金供給に止まらず、事業承継やM&Aといった各種ソリューション等の提供を通じて、企業の経営支援についても積極的に取り組んでいきたい。


(問)
 アメリカの大手金融機関リーマン・ブラザーズやモルガン・スタンレーが、先日、追加損失というか、とても悪い決算を発表したと思うが、それに伴って米国の銀行株がベア・スターンズ危機の3月よりもさらに低い水準にあって、また世界的金融不安が再燃しているのではないかという懸念が広がっていると思うが、日本の銀行株もそれにまたひっぱられているようだが、杉山会長が先ほどまだサブプライム問題が収束していないというふうにおっしゃったが、どのようにそういった状況をお考えか、改めてお聞かせ願いたい。
(答)
 確かに、欧米の金融市場をみると、サブプライム問題が完全に収束したわけではないと思う。今もお話があったように、欧米の金融機関では、足許までリストラや資本増強に取り組む状況が続いている。一方、日本の金融機関は、先ほど申しあげたように、それほど自己資本が痛んでいるわけではない。マーケット環境、経済環境は厳しくなっているものの、欧米の金融機関に比較すれば相対的には良いポジションにあると見ている。
 あとは日本の実体経済がポイントであろう。アメリカは相当実体経済が厳しくなってきており、それが金融機関の経営に影響を与える懸念があるとも見ている。日本の実体経済の見通しも、決して明るいものではないが、アメリカに比べれば相対的には良いと言えるのではないか。アメリカに対する輸出は減少しているものの、アジア、特に中国、インド、あるいは中東、ロシアという新興国への輸出は堅調であり、外需が経済を支える構造に変化はない。こうした状況のなかで、今後は、内需拡大にどのような施策が打てるかというのが、最大のポイントではないか。みずほ総研の予測では、2008年度の経済成長率は1.5%前後、2009年度は若干回復に向かい始めるものの年度としての成長率は1%前後と見ている。しばらくは厳しい状況が続くだろうが、日米比較において日本は相対的に見て良好な状況にあると思う。


(問)
 先日、三井住友銀行がイギリスのバークレーズに出資するという報道がいろいろなされていたが、邦銀の存在感が改めてまたスポットを浴びていると思うのだが、杉山会長の見解をお聞かせ願いたい。
(答)
 個別行の出資については、それぞれの戦略に応じて各行が個別に判断することであり、コメントは差し控えたい。
 全体感としては、現在の状況が邦銀にとってチャンスであると捉える見方があることは承知している。一方、チャンスかどうかという判断については、それぞれの銀行の経営方針、あるいは施策、戦略に応じて異なるものである。また、先ほど申しあげたとおり、欧米の金融市場には未だ不透明感が漂っており不確実な状況が続いていることから、一概に「チャンスである」とお答えすることに難しさも残る。ただし、欧米の金融機関との比較において、全般的には邦銀の資本に余裕があるというのも確かであり、あとは、このタイミングが果たして良いのか、本当にチャンスなのかということを、個別の戦略に照らして考え、各行が個別に判断していくということではないか。


(問)
 本日、金融トラブル連絡調整協議会で報告がまとまったと思うが、トラブル処理、苦情処理など専門家の仲介機能の利用実績がやや芳しくない、それで制度の運用の見直しの必要性みたいなものが報告されたと思う。全銀協として今後苦情処理への対応とか、紛争処理への対応で新たに見直すお考えがあるかどうか、あるのであれば具体的にどういう方向で見直すかということをお聞かせいただきたい。
(答)
 本日、金融トラブル連絡調整協議会が開催され、金融ADRの整備にかかる今後の課題について「座長メモ」が取りまとめられることになった。座長の岩原先生をはじめとする関係者の方々のご尽力に、まず御礼申しあげたい。
 金融トラブル連絡調整協議会では、これまで利用者保護の一層の強化の観点から、金融ADRの中立性・公正性、実効性の向上等について、私どもをはじめとする業界団体や、消費者団体、有識者等の方々との間で忌憚のない意見交換を行ってきた。
 今回、こうした取り組みの成果が座長メモの形で取りまとめられたことは、大変意義深いことであると思うので、本件にかかる私どもの認識と取組について、若干お話ししたいと思う。
 金融分野における苦情解決・あっせん業務の信頼性を高め、利用者保護の取り組みを推進するための制度として、昨年9月の金融商品取引法の施行時に「認定投資者保護団体」が導入された。
 全銀協では、「利用者視点の徹底」を今年度の活動方針として定め、金融市場に対する信頼感、安心感の追求に向けた取り組みを進めており、こうした観点から、「認定投資者保護団体」の認定申請を行う方向で現在準備を進めているところである。
 全銀協では、これまで、全国51ヵ所の銀行協会に「銀行とりひき相談所」を設置し、お客さまからのご相談や苦情に対して、きめ細かく対応する体制を整えてきた。また、公平性の観点から第三者機関である「弁護士会仲裁センター」と連携し、解決に向けた取り組みを支援してきた。
 冒頭にも申しあげたが、「貯蓄から投資」への動きが加速するなかで、利用者保護に関する取り組みを一層進めるべく、全銀協として自前の紛争解決支援機関を設置し、「認定投資者保護団体」の認定申請を行うことを予定している。
 私どもとしては、苦情・相談から紛争解決まで一貫して対応する体制を整備することにより、利用者にとっての「利便性・効率性」を高め、一方で業界型ADRとしての「専門性」を兼ね備えた体制を作りあげたいと考えている。
 なお、業態横断的な金融ADRや自主規制機関化等の法的整備を求める意見が一部に出ていることは承知しているが、相談員の専門性の確保や制度の実効性など、現時点では課題も多く、慎重な検討が必要であると考えている。
 私どもとしては、こうした取り組みは、お取引に際し苦情やトラブルが生じたお客さまに対して単に解決手段を提供することに留まらず、金融サービス全体の質的向上につながる大変重要なものであると考えている。
 銀行界の取り組みには、まだまだ改善すべき点もあろうかと思うが、お客さまに安心してご利用いただけるよう、利用者の視点に立って、自主的・自律的な取り組みを進めていきたい。


(問)
 金融庁が金融監督庁の形として発足して10年経ったが、この間、金融当局と業界との関係がどう変わってきたと見ているか、あるいは今後の課題があるとすれば何か、お聞かせ願いたい。
(答)
 金融庁発足10年について、新聞各紙でも報道があったようだが、この10年を振り返ると、官民挙げて諸々の課題を克服し、金融市場の大混乱を切り抜け、そして今日に至った。そういう時期であったと私どもは考えている。
 金融庁におかれては、昨年、ルールベースの監督とプリンシプルベースの監督の最適な組み合わせなどを柱とするベター・レギュレーションの方向性を打ち出された。これは、銀行界の自己責任を重視し、自助努力を促す金融行政を行っていくとのメッセージだと受け止めている。
 私ども銀行界としては、この趣旨を踏まえ、より一層自主的・自律的な取り組みを進めてまいりたい。


(問)
 この6月に改正建築基準法が施行されて1年が経過したが、昨年は建築確認に手こずって、だいぶ住宅着工がかなり落ち込んでいたようだが、今後、ますます金利が上昇していくなかで、住宅ローンの実行という意味では、金融機関としては厳しい環境が続くと見ているか。
(答)
 建築基準法改正に伴う建築確認の厳格化の影響により、住宅着工件数が一時期相当落ち込んだのは事実であるが、その点は反動による持ち直しも見られる。
 しかし、ここに来て足許の景況感が厳しくなってきたこと、金利も若干上昇したことなどから、個人の方々が住宅購入に慎重になっているようである。
 また、先ほど申しあげたように、原材料価格の高騰などから企業業績が厳しさを増しており、その影響として個人所得が伸びにくい状況が今しばらく続くと思われるといったことからも、家計の住宅購入意欲がこれから一気に高まってくるというのもなかなか期待しづらい面もある。
 したがって、銀行の住宅ローンを取り巻く環境は厳しく、金利面を含めた激しい競争が起こっている。おそらくそういう状況が今しばらく続くと見ており、住宅ローンに関して言えば、決して良い環境ではないと見ている。


(問)
 貸し渋りについて2点確認したい。
 原材料高騰を転嫁できない中小企業の状況があるといわれたが、銀行の貸出の姿勢が変化しているのか。
 もう1点は、先日、地銀協の会長が貸し渋りの要因について、メガバンクが引き締めているという見解を示されたが、その点についてはいかがか。
(答)
 地銀協会長の件は承知していないので何とも申しあげられない。
 繰り返しになるが、中小企業の資金ニーズそのものが盛り上がっているわけではないという状況がある。そこには、中小企業がそもそも景気低迷の影響を受けやすいということや、景況感の悪化に伴い「資金繰りや資金調達が困難になるのではないか」という不安感を持たれるお客さまが増えてくることなどが背景にあると思う。
 銀行としては、お客さまの幅広い借り入れニーズに対して保全面を含めた様々な検討を行いながら、可能な限り対応するような体制を取っている。したがって、貸し渋りや貸し剥がしを行っているつもりはないし、そのような見方があるとすれば非常に心外である。
 貸出姿勢も変えていない。ただし、1年前、2年前とでは、資金ニーズの内容が少々変わってきているように思う。そうしたなかで、私ども金融機関としても、実態把握に努め、様々な検討を行った上で総合的に判断している。場合によっては、お客さまにご相談をさせていただき、また、ご理解が得られるようにご説明をしていくなかで、少し厳しめな意見を申しあげざるを得ない状況もあるかと思う。


(問)
 第一四半期は債券市場の金利変動が大きく、5月だけで見ると、都銀が1兆円近く売り越している。このような金利のボラティリティの動きに対して、四半期決算への影響と、市場部門の運営スタンスの変化についてうかがいたい。
(答)
 長期金利は、その水準を切り上げてきたものの、ここにきて若干低下してきている。四半期はまだ終わっておらず、決算への影響はわからないが、金利動向は、見通しも含め、銀行界全体にとって相当厳しい状況だと思う。
 私見として申しあげれば、一般的に、金利上昇は経済の引き締め効果を持つがわが国の、長期金利の代表的指標である10年物国債が1.8%程度という水準は、世界的に見ても決して高いとは思っていない。企業の財務的な健全性も向上していることを踏まえると、足許の金利上昇により、経済全体が深刻なダメージを受けることは当面はないと思っている。しかしながら、投資家という立場では、ボラティリティが高まり、金利見通しが非常に厳しい局面で、債券運用を積極化しにくいというのが実態である。