2013年11月14日

國部会長記者会見(三井住友銀行頭取)

和田専務理事報告

 事務局から3点ご報告する。
 1点目は、本日の理事会において、お手許の資料のとおり、反社会的勢力との関係遮断に向けた対応について決定した。今後とも、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力とは断固として対決し、関係遮断を徹底して参りたい。
 2点目は、インターネット・バンキングにおけるセキュリティ対策の強化等に関し、本日の理事会で、お手許の資料のとおり申し合わせを行った。本年に入り、インターネット・バンキングに係る預金等の不正な払戻しが急増している状況を踏まえ、お客さまに安心してインターネット・バンキングをご利用いただくための自主的な取組みを一層強化すべく、申し合わせを行ったものである。
 3点目は、中小企業金融等の円滑化への取組みについて、本日の理事会で、お手許の資料のとおり申し合わせを行った。今後、日本経済がデフレから脱却し、力強い成長を実現していくためにも、中小企業の経営改善、体質強化の支援に取り組んでいくことが重要であるとの認識の下、とりわけ、年末に向けて、銀行界としても企業等の資金需要に柔軟かつ積極的に対応し、金融の円滑化に全力をあげて取り組むことを申し合わせたものである。
 事務局からの報告は、以上である。

 

会長記者会見の模様

 


(問)
 今般のみずほ銀行の提携ローン問題に関して、社内処分を含む業務改善計画が金融庁に提出された。計画や処分内容について、どのように受け止められたか、加えて、今回決定された全銀協の対応策について、狙い等を含めて具体的にどういったものか説明いただきたい。
(答)
 先月の会見でも申しあげたが、これまで銀行界としては反社会的勢力と決別し、健全かつ適切な業務運営を確保することは大変重要な課題と認識し、その実現に向けた取組みを進めてきたところである。その意味で、今回の事態は非常に残念だと言わざるを得ない。
 社内処分を含む業務改善計画の内容については、金融庁にて精査されると伺っており、処分内容の妥当性等については、そのなかで検証されると思うが、みずほ銀行自身が「改善対応策を着実に実行し、反社会的勢力との関係遮断にグループをあげて取り組む」とおっしゃっておられるので、まずは、そのとおり、しっかりとご対応いただくことが大切だと思っている。
 そのうえで、今回の事態を踏まえ、全銀協、銀行界として対応すべき事項を改めて検討し、本日、お手許にお配りしたような追加対策を決定した。
 先月の会見でも申しあげたが、今回問題となった提携ローンは、銀行とお客さまの間に信販会社と加盟店が介在する、ある意味で特殊なスキームである。
 本スキームの提携ローンにおいて、この特殊性によって、銀行が本来行うべき反社会的勢力のチェックが十分に行われなかった面があることは、率直に認めざるを得ない、と思っている。今回決定した追加対策は、こうした反省を踏まえ、本スキームの提携ローンに関し、銀行界全体で、反社会的勢力のチェック態勢の整備、強化を目指すものである。
 それでは、追加対策の具体的内容について、大きく3点申しあげたい。
 まず、1点目は、「行動憲章の改正」である。今回問題となった提携ローンのような特殊なスキームでも、反社会的勢力との関係遮断が徹底されるよう、「銀行単体での取引のみならず、他社(信販会社等)との提携により、金融サービスを提供する場合にも、反社会的勢力との関係遮断を行うこと」を明記した。
 2点目は、「反社会的勢力の水際排除に向けた取組み」である。具体的には、四つの取組みを行う。
 第一は、入口である信販会社によるチェック態勢の強化のため、全銀協が独自に収集している反社データベースにある公知情報を、信販業界をはじめ、他業界に提供する。現時点においては、信販・クレジット業界のほか、信金、信組、労金、貸金業、生保、損保、信託の合計8業態から、データ提供の要請を受けているので、適切な情報管理体制の確保など、具体的な条件面を調整したうえで提供する。
 また、これは全銀協としての取組みというわけではないが、大手信販会社4社はいずれも銀行系であることに鑑み、信販会社と親会社との間で、反社会的勢力に関する情報を共有するといった対策も進める。
 第二は、銀行界の反社データベースを強化するため、これまでも検討してきた、全銀協と警察庁のデータベースとの接続について、警察庁、金融庁としっかりと協議し、前向きに検討を進める。すでに、先月の会見以降も、警察庁・金融庁・銀行界の実務者間で、具体的な議論を行っているところである。
 第三は、今回問題となった提携ローンについて、提携先の信販会社における、反社会的勢力との関係遮断に向けた取組みの状況を検証し、必要な対応を実施する、というものである。具体的には、例えば、信販会社において、「契約書等への暴力団排除条項の導入」、「反社データベースの整備及び反社チェックの実施」、「提携銀行に対し、ローン実行前に反社チェックに必要なデータを提供する態勢」等の状況を確認し、信販会社が適切な対応を実施するよう申入れ等を行う。
 第四は、今回問題となった提携ローンを取扱う会員行が、ローン実行にあたり、提携先の信販会社から、ローン申込者の氏名・生年月日等のデータを事前に入手し、反社チェックを行う態勢を整備する。反社チェックの結果、反社会的勢力であることが判明した場合には、貸出を実行しないことが基本であり、この点をしっかりと実行する。
 また、顧客との金銭消費貸借契約に暴力団排除条項を導入することについても、今回を機に、改めて徹底する。
 大きな3点目は、「反社会的勢力との事後的な関係遮断に向けた取組み」である。具体的には、反社会的勢力との取引が判明した場合には、暴力団排除条項にもとづき、速やかに関係遮断を図ること、また、直ちに適切に経営トップへ報告することをそれぞれ徹底する。さらに、反社会的勢力との事後的な関係遮断のための手段の一つとして、預金保険機構による「特定回収困難債権の買取制度」の利用を積極的に検討するよう、会員行に周知する。
 以上が、今回、全銀協として決定した追加対策である。反社会的勢力との関係遮断を徹底し、銀行界に対する信頼が確保されるよう、業界一丸となって、着実に実行して参りたい。


(問)
 今年度上期は各行とも概ね好調な決算が見込まれているようだが、下期の業績およびその経営環境についてどのように見通しているか。加えて、政府が企業に対し積極的な賃上げを求めているが、これに関して業績好調な銀行界において賃上げの機運があるのかどうか、お考えをお伺いしたい。
(答)
 上期の経営環境を振り返ってみると、アベノミクスのプラス効果が実体経済に波及し、企業業績の改善が続くなか、期初12,000円台だった株価も14,000円台に上昇、第1四半期に大きく動いた長期金利についても、日銀のオペレーションを背景に徐々に落ち着きを取り戻している展開となっている。
 現在各行で上期の業績を順次発表しているところだが、こうしたポジティブな環境を背景として、概ね良好な決算となっているようである。
 他のメガバンク2行は今日決算発表ということなので、個別行の話を申しあげると、上期は市場営業部門の収益が好調だったことに加え、海外を中心に貸出残高が増加し、貸金収益が増加している。加えて国内大企業のM&A案件等非金利収益が増加したことなどから、業務純益が上振れとなった。さらに与信関係費用が「戻り」となったほか、SMBC日興証券などグループ会社の業績も好調だったことから、SMFG連結の当期純利益は、当初業績予想比約2,150億円上振れし、5,057億円となった。
 ご質問にあった下期の経営環境を見通してみると、国内の景気は広がりを伴いつつ、ある意味、自律回復メカニズムが徐々に働き始めている段階にあると認識しており、基本的には現在の良好なファンタメンタルズが続くと見ている。銀行界全体の業績も下期および通期ともに概ね順調なものになるのではないかと見ている。
 当行でも年度の業績予想を上方修正し、SMFG連結の当期純利益は当初予想より1,700億円上振れの、7,500億円を見込んでいる。
 以上がメインシナリオである。リスクファクターとしては、個別行によって影響度合いは違うと思うが、円金利が現在の水準から上昇に転じた場合の市場部門収益への影響、あるいは海外経済の想定外の落ち込みや、米国の金融政策の変化に伴う市場の動揺などが考えられると思う。いずれにせよ、しっかりと業務運営を行って参りたい。
 もう一つのご質問にあった賃上げについてだが、先日決定された「経済政策パッケージ」のなかでも「足元の経済成長を賃金上昇につなげることが、復興特別法人税の前倒し廃止の前提」とされているし、10月1日に公表された税制改正大綱においても、いわゆる「賃上げ促進税制」の導入が盛り込まれた。さらに、政府から経済界に対し、新制度の利用要請があるとも聞いている。
 こうした状況は私も十分認識している。
 総報酬の引き上げについては、まさに業績の動向や将来の見通し等を踏まえて個々の企業で判断することであり、業績の良好な企業や将来の見通しに確信を持てる企業は、総報酬を引き上げていくのではないかと思っている。銀行界においてもその点は変わらない。
 当行では、現時点で、何かを決定したということはない。先ほど申しあげたいろいろな要素を総合的に勘案し、検討して参りたい。


(問)
 先ほど下期の経済見通しについて質問があったが、今朝GDPが発表されて4期連続のプラスとなったが、個人消費、輸出が弱いということで前期に比べると伸び率が鈍化したというかたちになっている。どのように感じているか。また、改めて今後の経済環境、設備投資、貸出を含めて見通しを教えてほしい。
(答)
 7-9月期の実質GDPの速報値が発表され、前期比年率で言うと+1.9%という数字である。年前半の高成長からはペースが鈍化しているが、マーケットコンセンサスに比べると少し上回ったのではないか。質問にもあったが、海外景気の回復の遅れを受けて輸出が減少に転じたことが、ペースが鈍化した理由であり、また、個人消費も、株価がボックス圏に入ったことなどでマインドが若干悪化したため、これまでの牽引力が低下したということだと思う。
 私がどう見ているかということだが、足元の成長ペースの鈍化は、一時的なものであると認識している。内需を見てみると、回復の基調は決して崩れておらず、むしろ自律的な回復メカニズムが徐々に強まってきている様子がうかがえると思っている。
 少し分野別に見てみると、家計部門では、自動車、高額商品、レジャーなどの消費が底堅く推移しているし、景気ウォッチャー調査の現状判断DIも好不調の分かれ目となる50を概ね上回って維持されている。また、住宅着工も消費増税前の駆け込み要因などもあって、一戸建てを中心に高い伸びが続いている。
 それから公共投資であるが、これは2月に成立した緊急経済対策関連の事業が進捗し始めており請負金額が増加している。
 さらに、出遅れていた設備投資が4-6月期から増加に転じるなど、企業部門にも前向きな動きが見られるようになってきた。また、設備投資に先行する機械受注についても、足元では製造業、非製造業ともに増勢が明確化してきている。
 こうした需要面の回復を受けて、雇用者報酬の増加傾向も続いており、先ほど申しあげたとおり、自律回復メカニズムが働き始めているといえるのではないかと思う。また、消費者物価上昇率もプラス幅が趨勢的に拡大しており、デフレ脱却に向けた着実な歩みが見られる。
 総じてみれば、わが国経済は内需主導の底堅い回復軌道をたどっていると考えられるのではないか。


(問)
 中小企業金融等の円滑化についての申し合わせがあったが、足元の中小企業向けの融資の取組みをお伺いしたい。
(答)
 私ども銀行界としては、中小企業のお客さまの金融ニーズにしっかり対応して、金融仲介機能を適切に果たすということが、本来の使命と思っており、各行とも取り組んでいるところである。
 銀行全体の中小企業向け貸出は、前年同月比マイナスが続いていたが、足元そのマイナス幅は縮小して、本年5月には一旦プラスに転じ、その後、7月、8月と2ヶ月連続で前年同月比プラスで推移するなど、下げ止まりの兆しが見えつつあると思う。
 全銀協では、5月に金融円滑化法の期限到来後に銀行界が共有すべき理念を改めて明確化するため、「中小企業者等に対する金融円滑化に向けた行動指針」を改定した。そのなかで、例えば、「債権・動産担保融資、いわゆるABLだが、こうしたABLなどの、不動産担保や保証に依存しない融資の活用を含め、適切かつ積極的なリスクテイクを行う」、あるいは、「お客さまの状況等に応じた最適なソリューションを、お客さまの目線に立って提供することを通じて、お客さまの主体的な取組みを支援していくように努める」という点を明記しており、そうした考え方に則って、様々な取組みを各行で工夫して行っているところである。


(問)
 昨日の国会答弁でも、「銀行本体に暴力団融資がある」という話が出たが、水際での反社排除を強めても、後から反社であることが分かったり、反社になったりするケースがあり、完全に排除することは難しいというのが実感ではないかと思う。そうしたなかで、今回、全銀協でチェック体制の強化、行動憲章の改正等の対策を決定されたが、これで十分だと見ているのか。
 また、メガバンクが保有する反社情報はかなり豊富だと思うが、地銀はわりと弱いと聞いている。したがって、非常に難しいとは思うが、銀行界全体で例えば反社の情報だけに限って、各行が情報を持ち寄り、総合的なデータベースを作るということも、考えられなくはないと思う。全銀協として、そういった案を検討しているか。もし、検討しているのであれば、その実施に向けた課題を伺いたい。
(答)
 今回の事態を踏まえて、全銀協として現時点で考えられる対策を取りまとめ、本日発表したが、当然今後とも不断に対応を見直して、必要があればさらなる追加対策を講じていく所存である。
 ただし、質問のあった「各行が保有している反社情報の共有」については、現時点ではなかなか難しいのではないかと考えている。その理由は、各行が保有する反社会的勢力の情報は、各行が自らの責任において自行で利用することを前提に収集しているものであり、その中には、地域における噂や風評といった類の情報も含まれ得る。したがって、他行が利用した場合の責任を負うことは難しいし、また、反対に情報提供行が責任を負わない情報を他行が利用することも難しいのではないかと思う。
 また、個人情報保護法上は、人の財産等の保護のために必要がある場合には、本人の同意なく個人情報を第三者に提供できることとされており、「反社情報の共有」はこれに当たるとされているが、先ほど申しあげたとおり、各行が持っている情報はそれぞれ定義も基準も異なり、また、いわゆる噂、風評の類の情報も含まれ得るので、これを共有し、使用することについては、個人情報保護法上の問題が生じかねないと思う。
 こうしたことから、現時点においては、各金融機関が持っている反社情報を統合することは、検討していない。


(問)
 今日、発表いただいた「反社会的勢力との関係遮断に向けた対応について」の2頁目の(2)に該当すると思うが、昨日、国会で、「会員行の提携ローンの実態はどうか」という質問があり、「提携ローンを取り組んでいる会員行があるのは存じあげているが、細かくは調べていない」という回答があった。今後、調査、あるいは検証するということであったと思うが、その予定はあるのか。
(答)
 今回の提携ローンを会員各行がどれだけ行っていて、その取引の中で、反社会的勢力との取引と疑われる件数がどれくらいあるのか、ということを調べることについては、考えていない。
 本来的には、提携ローンを取扱っている個別の金融機関がそれぞれしっかりと調査すべき問題だということであり、金融庁におかれても、検査や監督等を通じてそうした状況を把握されていると思う。また、反社会的勢力との取引というのは、大変センシティブな情報でもあるので、全銀協として会員各行の反社会的勢力との取引の額、あるいは件数等の情報を収集することは考えていない。


(問)
 東京電力に関し、政府や議員のなかから、分社化、持株会社化等、いろいろな案が出てきており、人によっては「破綻させろ」という声もある。銀行界としては、どういったかたち、体制が望ましいと考えているのか。また、「破綻させろ」という議論に対してどのように捉えているのか教えてほしい。
(答)
 まず、東京電力の体制変更について様々な報道が行われているが、現在のところ、東京電力から「体制の変更等について具体的に決定した事実はない」と聞いている。また、東京電力の体制について、東京電力から、「賠償、廃炉、安定供給を実際にやり抜けるのは東京電力しかないと考えており、全社員一丸となって責務を果たしていく所存である」とお聞きしており、私どもとしても、東京電力がその責務を着実に果たしていただくことを期待している。
 破綻処理云々ということについては、これは様々な議論を経て、賠償、廃炉、電力の安定供給を全うするためにどういう方法がいいのかということで議論がされて、現在の枠組みである原子力損害賠償支援機構を通じた支援体制が構築されたものだと理解している。当初議論されたときにも、破綻処理云々という声があったと記憶しているが、破綻処理を行うよりも、支援機構のもとで政府が認定し、多くのステークホルダーが合意した総合特別事業計画にもとづいて東京電力がしっかりと責任を果たすことが望ましい、また、それが福島再生に向けた最善の道だ、ということで選択されたと認識している。
 我々としては、2兆円の緊急融資や総合特別事業計画にもとづく残高維持、ニューマネーの協力など、日本の金融機関としてしっかりと責任を果たしており、引き続き現行の枠組みを維持していくことが重要だと考えている。


(問)
 東京電力の話だが、中間決算は黒字であったが、必要経費を来年度以降に繰り延べたり、書面上で少し字面を合わせているようなところもあるとの指摘がなされている。会計面から見て、引き続き各行とも東京電力を正常先と認定していると思うが、その根拠を改めてお伺いしたい。
(答)
 東京電力は、経費削減をすることによって、あるいはリストラを行うことによって、総合特別事業計画で立てられた計画の達成に向けて鋭意努力をされている。また、12月のニューマネーに関する検討に際し、東京電力から今後の事業計画や収支計画をいずれかの段階でご提出いただくわけだが、我々としては、そういった計画も拝見させていただきながら、融資の判断をしていきたいと思っている。
(問)
 正常先にしている根拠を教えてほしい。
(答)
 これは個社の取引に関することなので、債務者区分がどうであるとか、あるいは、その根拠ということについては、「我々が内部で定めている基準にしたがって適正に判断をしている」としか申しあげられない。


(問)
 反社対策の強化について、水際排除の中で提携ローンを扱う会員行が事前に申込者の情報を入手するよう求めるとのことだが、そうなると、銀行が関係する4者型の提携ローンについてはもともとそういうチェックがないということが特徴だったと思うが、今後は事前チェックが全て入るという理解で良いか。
(答)
 そういう方向にもって行きたいと考えている。


(問)
 先ほどの東京電力の件で、金融機関としては2兆円の緊急支援であるとか、残高の維持等、しっかりと責任を果たしているとのことだが、与党が東京電力の再編に関連して、提言を先日出された。そのなかで、国の関与がより強まる前提として、東京電力の経営者だけではなくて関係者が責任を果たすことが重要だと書いてあり、与党議員の中にはそこに金融機関が含まれるという解釈をしているところがあるが、その責任というのは、今おっしゃったような、今の総特に書かれているような金融機関が果たすべき責任の範囲内に収まるという理解か。
(答)
 今回の、自民党の東日本大震災復興加速化本部がとりまとめた政府に対する提言においては、除染であるとか廃炉、汚染水対策における東京電力と国の役割が示されたということであるが、大きな枠組みで申しあげると、総合特別事業計画の枠組みは大枠では変更せず、国がサポートする体制を提言されたものと理解している。
 我々はこれまでも2兆円の緊急融資等、様々な協力を行ってきており、今後、我々に何か協力を求められるのかどうか分からないが、総合特別事業計画の枠内で考えていきたいと思っている。


(問)
 反社勢力の水際排除の取組みの、銀行界と警察庁データベースの接続について、細かい話を伺いたい。銀行界と警察庁のデータベース接続については、全銀協が自主規制団体ではないというところで、なかなかダイレクトな接続が難しいという話を聞いているが、実務上どんなことが難しく、それでもなおそういったことを克服して、いつ頃、どんな形で接続に目処をつけることができそうなのか伺いたい。
 もう一点、警察庁との接続によって共有した反社情報は、銀行以外の、貸金業界であるとか、生損保業界に対して供与可能であると考えておられるのか伺いたい。
(答)
 警察庁のデータベースとの接続についてだが、情報管理の問題や、銀行取引というのは大量に行われるので、その確認のやり方の問題等、クリアしなければならない問題はある。今後、警察庁・金融庁・銀行界で協議をしていくなかで、議論を深めていきたいと思っている。したがって、データ接続の目処というのは、今のところ見通せる状況にはなっていない。
 それから、他業態との共有ということだが、今後の議論次第だが、銀行界と警察庁がデータベースを接続したとして、それを他の業態と共有できるかというと、これはなかなか難しいのではないかと思う。したがって、例えば他の業態が警察庁のデータベースを使用する場合は、その業態と警察庁がつなぐということになるのではないかと思う。