2014年9月18日

平野会長記者会見(三菱東京UFJ銀行頭取)

髙木専務理事報告

 事務局から3点ご報告する。
 1点目は、本日、みずほフィナンシャルグループの佐藤社長を次期会長に推薦することが、理事会において了承された。来年の理事会での正式な選定手続きを経て、4月1日付で就任予定である。
 2点目は、本日の理事会において、お手許の資料のとおり、10月1日から11月1日までの1か月間余を「振り込め詐欺等撲滅強化推進期間」とし、被害防止のための啓発イベントの開催や、会員銀行や各地の銀行協会における、全銀協作成の頒布物(ポケットティッシュ等)の店頭配布等を通じた注意喚起を行うことを決定した。なお、啓発イベントの概要は資料2点目のとおりであるが、内容についてご質問があれば、会見終了後、事務局にご照会いただきたい。
 3点目は、本日の理事会において、8月28日に金融庁から法令遵守態勢等に関して行政処分を受けた國民銀行への対応を審議し、全銀協として同行に対する注意処分を行った。
 事務局からの報告は、以上である。

 

会長記者会見の模様

 


(問)
 先ほど事務局より、次期会長人事について、みずほフィナンシャルグループの佐藤社長を内定されたとの報告があったが、みずほフィナンシャルグループは全銀協の「銀行持株会社会員」であり、正会員はみずほ銀行である。なぜ持株会社の佐藤社長を選任されたのか、改めてその選任理由を伺いたい。
(答)
 全銀協の規定では、全銀協の理事は正会員または銀行持株会社会員の代表者で構成し、その理事のうち1名を会長とするということになっている。佐藤社長は、みずほフィナンシャルグループという持株会社であるが、このトップとして商業銀行業務も含めた幅広い分野において、卓越した見識・経験を持つ方である。加えて、すでに一度会長職を務められた実績もあり、現在も副会長として業界活動に貢献いただいている。私どもが内部で定めた資格要件を全て満たしておられるということである。これからも銀行界は様々な課題に直面していくことになるが、業界の舵取りを担うのに相応しい方ということで推薦し、理事会で承認を得たところである。


(問)
 マクロ経済関連について、本日の為替相場では円ドル相場が1ドル=108円台という約6年振りの水準まで下落したが、足元で消費や生産に停滞感が出ているなか、過度な円安進行は日本経済にとってマイナス要因となるのではないかとの懸念も出ている。現在の急激な円安が日本経済に及ぼす影響をどのように考えるか、また、円ドル相場の水準はどの程度が適切と考えているか伺いたい。
(答)
 円ドル相場は、今年の2月頃から1ドル102円前後の狭いレンジで推移してきたが、本日午後の時点では108円80銭ほどであり、円安の動きが強まっている。6月調査の日銀短観によると、大企業・製造業での今年度の事業計画の前提となっている為替レートは大体100円程度であり、ご指摘のとおり、足元の円ドル相場は多くの企業の想定水準よりも円安方向であることは間違いないと思う。
 この影響について、このような為替水準が続けば、自動車や機械等のいわゆる輸出関連企業にとっては収益の押し上げ要因となる可能性がある。その一方で、輸入ウェイトが高い内需型産業にとっては、円安が想定以上に進展することは、仕入れコストの増加や製品価格への転嫁が難しい場合、収益の押下げ要因となる懸念も大きい。
 日銀は引き続き大規模な金融緩和策を維持しており、また、今回のFOMCをきっかけに、そろそろ米国における超量的金融緩和策、いわゆるQEからのイグジットの準備も始まる状況に鑑みれば、日米金利差にもとづく円安基調が暫く続くと想定される。
 円ドル相場の変動が企業業績あるいは経済に与える影響は、業種や企業規模によって様々であるが、要は急速な為替相場の変動が一番懸念されるところであり、私どもとしてもこうした動向には引き続き注意を払っていきたい。
 もう少し付け加えると、マクロ経済的には、現在の日本の産業構造を見る限り、おそらく円安は日本経済全体にとってプラスであり、暫くはそれが続くと思う。ただし、先ほども申しあげたとおり、産業によってその影響はまちまちであり、また、特に中小企業では価格転嫁が難しいこと等から、収益が圧迫されるといったこともあるため、留意が必要である。


(問)
 マクロ経済に関してもう1点であるが、足元の経済に若干停滞感が出ていることを捉えて、来年10月に予定の消費税率の引き上げは、延期または凍結をしてはどうかとの声が政府・与党の一部からも上がり始めているが、会長としてはこれを予定どおり実施すべきだと考えていらっしゃるか、ご見解を伺いたい。
(答)
 少し長くなるが大事なテーマであることから、まず、現在の経済状況について、そして、その次に消費税率の引き上げについてお話したいと思う。
 まず足元の経済状況であるが、確かに9月8日に公表された4~6月期の実質GDP改定値は、前期比年率マイナス7.1%と、個人消費を中心に大幅なマイナス成長になった。ただし、よく内容を見ると、落ち込みの主因は4月の消費税率の引き上げであり、1~3月期の駆け込み需要の反動が現れた面が強い。ちなみに、1~3月期と4~6月期を均してみた場合の実質GDPの水準は、昨年の10~12月期を上回っている。すなわち年率換算でみた実質GDPは、昨年10~12月期が約527兆円、1~3月期と4~6月期の平均が約530兆円であり、これらの数字を見ても、基本的には景気の回復基調は続いているという認識である。
 少し細かく見ると、個人消費、これが一番気になるが、4月に大きく落ち込んだ後、5月、6月の戻りは比較的順調であったが、7月は再度下降した。ただし、7月の中身を見ると、マイナス幅の拡大0.5%のうち、私どもの分析では、0.3%程度がクーラーの落ち込みによるものである。言葉を換えれば、このクーラーの落ち込みに象徴されるように、天候不順が消費者の行動に悪影響を与えた可能性が大きいと考えている。ちなみに8月を見ると、百貨店の主要5グループの売上高合計は前年比でプラスとなっており、個人消費は概ね底固いと考えている。
 こうした背景としては、昨年からの政府・産業界・労働界の努力によるものであるが、賃金の上昇や雇用の拡大があり、この二つを掛け合わせた家計所得が着実に改善している。私どもの試算では、今年の賃上げと雇用者数の増加が雇用者報酬を約3.5兆円押し上げると試算している。今後も、堅調な企業業績を背景に、雇用・所得環境の改善は続くと考えており、これが個人消費の回復を支えていくだろうということである。
 次に、設備投資について、これも消費税率の引き上げ前後で振れが非常に大きくなっている。ただし、日銀短観では、今年の3月調査時点での大企業の設備投資計画は、ほぼゼロに近い数字であったが、6月調査時点では、前年度比7.4%の伸びとなっている。6月調査としては、平成19年度以来の高い伸びということである。
 次に輸出であるが、これは為替の影響が従来ほどには大きく寄与していないが、海外経済の影響、特に欧州や中国等の影響が大きいと考えており、今後の米国やアジア諸国の緩やかな回復をベースにすれば、持ち直してくる可能性が高いと見ている。
 以上をまとめて申しあげると、足元の経済状況は、企業業績の好転や、所得・雇用環境の改善が消費や設備投資に繋がるという、いわゆる好循環を基本的に続けていると見ていいのではないかと理解している。
 次に消費税率の引き上げについてである。改めて申しあげるまでもないが、安倍政権のもと、私どもとしても、是非日本経済の再生を果たしたいと思っており、そのためには、経済成長と財政再建の両立、さらには、その好循環を実現させる必要がある。そのためにまず大事なことは、日本再興戦略の改訂版に盛り込まれたような構造改革の諸施策、すなわち、医療・介護、環境・エネルギー、あるいは農業分野における取り組み、ないしは女性の活躍促進や働き方改革といった労働市場改革、そして、地域経済の活性化策等、いわゆる規制改革を含む諸施策を着実に実行する必要がある。
 2番目には、これも半ば国際的な公約である2015年度におけるGDP対比でみたプライマリーバランスの赤字半減、2020年度での均衡化を目指して、財政再建に不断の取り組みを続けていく必要があるということである。この財政再建は、社会保障制度改革等を通じた歳出の伸びの抑制と同時に、税収の増加等による歳入の拡大、この二つを実施しなければならない。この脈絡で考えれば、もちろん企業業績の好転による税収の拡大もあるだろうが、より構造的な改革として、消費税率の10%への引き上げは、よほど大きな景気の落ち込みがない限りは実施されるべきではないかと考えている。
 私も海外の投資家の方々と話をする機会がよくある。最近は海外メディアの論調が厳しいものになってきたが、海外の投資家、あるいは経済人のアベノミクスへの評価は引き続き高いと思っている。それは、先ほども申しあげた経済成長と財政再建の両立を評価しているということであり、海外の投資家は、すでに消費税率の引き上げを織り込んでいると感じる。むしろそのうえで、少子高齢化が進むなかで、わが国が直面する構造改革にいかに政権が取り組んでいくかということに強い関心が移ってきているということである。こうしたなか、仮に消費税率の引き上げが延期された場合には、これまでの安倍政権が培ってきた信頼、あるいは日本に対する国内外からの信任が低下し、金融市場、なかでも株式市場や債券市場に与える悪影響が出てくるのではないかと懸念している。
 もちろん、増税を機に景気が腰折れする事態は回避する必要がある。先ほども申しあげたとおり、天候の不順等もあって足元、やや景気動向に不安要因が見えていることも事実である。
 実際、政府・与党のなかには、消費税率の引き上げにあわせて追加的な景気対策を行うべきという声もあるが、景気情勢によっては、景気下支えのために弾力的な政策対応を行うという考えは、取り得るアプローチなのではないかと考えている。
 以上をまとめて申しあげると、現実的な政策運営のスタンスとしては、中長期的な財政再建にコミットしながら、税制改革や社会保障制度改革のスケジュールをしっかりと示しつつ、短期的には経済状況に応じた補完的な景気対策、そして、成長戦略への取り組みを着実に実行していく、このバランスが非常に重要だと考えている。


(問)
 日本経団連が会員企業に対する政治献金の呼びかけを再開する方針を示したが、銀行界は過去に公的資金の注入を受けた経緯から、政治献金に対しては慎重姿勢を貫いていたと思う。今回の日本経団連の呼びかけについて、全銀協として、または個別行としてどのように対応されるのか伺いたい。
(答)
 ご指摘のとおり、先日、日本経団連が政治との連携強化に関する見解を公表した。もともと日本経団連は、企業の政治献金は企業の社会貢献の一環として重要との立場であり、今回の見解に関しても、経済と政治の連携の強化、すなわち、政策本位の政治の実現、議会制民主主義の健全な発展、さらには政治資金の透明性向上を図るうえで、クリーンな形での民間寄付の拡大を図ることは重要、との考えを改めて示したものだと思う。
 ただし、今回のポイントは、政治献金は企業の自主的な判断で、各社が個別に行うものという点である。こうした日本経団連の考え方に、私自身では違和感は特にない。
 ご指摘のとおり、銀行界の政治献金は、金融システム不安が高まり、公的資金の注入が行われた平成10年以降行われていない。その時と比べれば、現在の銀行界を取り巻く状況は正常化している。ただ一部の金融機関には依然として公的資金が残っているし、日本経団連の政治献金は会員企業の自主的な判断に任せるという考え方を踏まえれば、全銀協として政治献金の取りまとめを行う考えはない。あくまでも会員行、個別行の自主的な判断が前提である。ただ全銀協も日本経団連の会員であるので、もし日本経団連が傘下の会員行に自分たちの方針を伝えてほしいということであれば、その方針を伝えるつもりである。
 個別行の対応については決めてない。先ほど申しあげたような銀行界を取り巻く環境、私ども個別行の状況、それから社会・経済状況を踏まえ、総合的に判断してまいりたいと考えている。


(問)
 二つ伺いたい。先ほど、円安についてのご回答があったが、業種によってメリット、デメリットがあると思う。銀行経営という観点でみた場合に、円安が与える影響をどのように考えるか伺いたい。
 二つ目は、政策金融のあり方について、中長期の成長資金の供給促進に向けて、関係省庁による検討会が設置されることになったと思うが、リスクマネーの供給において、官と民の役割分担はどうあるべきか、伺いたい。
(答)
 まず、円安あるいは為替相場が銀行に与える影響について、広い意味から言えば、いつも申しあげているとおり、銀行は実体経済を映す鏡であり、まさに日本経済が円ドル相場あるいはユーロ円相場の動向によって受ける影響を、私ども銀行も受けるというのが基本である。
 銀行固有の影響としては、業態によってかなり差異がある。先ほど申しあげたとおり、産業界であれば輸出産業によりプラスに働く。もう一つは、海外に対する投融資を積極的に行っている企業等、海外におけるビジネスポートフォリオが大きな企業にとって、円をベースにしたリターンが大きくなるメリットがある。
 銀行も同じであり、海外事業が大きな金融機関であればあるほど、その事業が収益を生んでいれば、円建ての自己資本に対するリターンは高くなる。一方、デメリットとしては、自己資本比率規制やレバレッジ規制等がかかっているなかで、資産が膨張する、特に、資本を円で保有する金融機関の場合、リスクアセットが増加することによって自己資本比率が下がることがマイナスの影響として考えられる。
 ただ、先ほど申しあげたとおり、プラスに出るかマイナスに出るかは、銀行によって異なる。個別行の話になるが、私どもの場合は、自己資本比率に対する影響がないよう、海外投資に関するヘッジのポジションをつくっている。
 二つ目のご質問である政府系金融機関の役割について、今朝も一部報道で日本政策投資銀行の完全民営化に関する記事があった。日本政策投資銀行に限ってのことではないが、政府系金融機関に対する全銀協の考え方は、基本は民間の補完的な業務に特化すべきである、言葉を変えれば「民間にできることは民間に委ねる」という大原則に立っており、民営化に向けた大きな流れが後戻りしてはいけない。
 ただ一方で、以前の会見でも申しあげたが、政府系金融機関には民間金融機関にはできない機能がある。端的には、東日本大震災の際の復旧・復興への対応といった危機対応、それから超長期であるとか、あるいは海外の極めてリスクが見えにくい案件、官民あげてインフラ輸出を是非やりたいといった場合にそのリスクをとるような役割を担う。例えば20年、30年といった超長期の資金調達は民間金融機関では難しいことがある。そういったケースにおいて、政府系金融機関が国の信用をバックに補完することはあり得ると思う。日本政策投資銀行については、もともと2回民営化についての見直しをしてきた。今年度末までに政府の出資のあり方も含めて見直すことになっており、これから議論が始まることになる。私どもとしては、いま申しあげたような、本来、政府系金融機関が果たすべき機能・役割を明確にしたうえで、組織のあり方について議論してまいりたいと考えている。


(問)
 3点伺いたい。まず、反社会的勢力への対応だが、これは一つの重要な課題だと思うが、上半期を終えて今の検討状況を伺いたい。
 2点目はG20で議論される国際金融規制のご所見を伺いたい。
 3点目は、これまでも法人の補償で議論になっていたが、インターネット・バンキングの被害が引き続き高水準であり、お客さまにとって非常に便利なサービスがセキュリティへの懸念から利用されなくなることは、銀行・お客さま双方にとって望ましくないことだと思うが、今後の中長期的なリテール分野でのインターネット・バンキングの将来性についてセキュリティとの関係でどのようにお考えか伺いたい。
(答)
 反社会的勢力の排除の問題だが、これは昨年、皆さんご承知の出来事があり、その後全銀協として取り組み方針を改めて確認すると同時に、取引の排除を行うために、おそらく最も有効な手立てと思われる警察庁のデータベースとの接続に取り組んでいるところである。日証協では平成25年1月から接続が始まっており、現在、全銀協でも金融庁ならびに警察庁と実務者レベルでの協議を行っている。
 今、具体的に接続のスキームや要件に関する詰めを行っている。なぜ、証券業界で比較的早くできて、私どもで時間が掛かっているかというと、やはり銀行は取引件数が膨大である。このため、これを可能にするためのシステム対応、事務フロー等も様々な角度から検討する必要がある。
 なお、一部に預金保険機構がこのスキームに関与するのではないかとの報道がある。今、この段階で私からこの点についてコメントすることはないが、特定回収困難債権への対応等、預金保険機構はこの分野で高い知見をお持ちなので、今回の協議に参加していただいていることは事実である。
 ただ、どういった形で警察庁のデータベースと接続ができるかということは、この段階ではまだ何も申しあげることはない。いずれにしてもなるべく早い段階で基本的な制度設計を終え、実現に向けて取り組んでいきたいと考えている。実現まで一定の時間は掛かるが、方針は出していきたい。
 次に、国際金融規制についてであるが、4月にこの場で申しあげてから何度かご質問いただいている。大きな論点は二つある。一つはGLACという破綻時における損失吸収能力をいかに高めるか、どこまでそれを要求するかという議論。もう一つはIRRBBと言っているが、銀行勘定における金利リスクの自己資本比率上の取り扱いをどうするのか、という問題である。
 G20で議論されるのではないかと報じられているのは、とりわけ前者のGLACだと理解している。私ども全銀協も7月31日にポジションペーパーをまとめ、この問題を検討しているFSB、金融安定理事会に提出した。ポイントは5点あり、GLACの水準、一部に倍になるという報道があるが、これは各国、法域ごとの破綻処理法制・制度の整備状況を考慮するべきであるということが1点。2番目がGLACの水準が破綻処理戦略と整合的に個別に決められるべきであるという点。これは、破綻処理が非常に容易な構造になっている金融機関においてはその分だけGLACは低くても良いのではないか、というような意味を含んでいる。それから3番目は、GLACはバーゼルの自己資本比率規制とは別の世界で議論されており、かつG-SIBsの29行だけの話であるが、バーゼルの諸規制と整合的であるべきだということ。
 4点目はそもそもこのGLACという損失吸収性のある債務に何を含めるかということである。以前、この場で預金を含めるかというご質問をいただいたが、何を損失吸収性のある債務として認めるのか、これによって相当具体的な影響力があるため、柔軟な対応を認めてほしいということである。
 5点目はGLACの保有場所に関してであり、これは持株会社や母国だけではなくて、いろいろな子会社で持っているものも合算すべきということである。
 その後、私どもも国際的な協議の場で話をしているが、全銀協の主張とほぼ軌を一にするような主張もいくつかの国の有力な金融機関から出てきている。彼らも各国の当局に働きかけを行っていると承知している。
 いずれにせよ、いろいろな見方はあるが、金額が大きい以上、私どもが今言ったことを考慮せず決めると極めて大きな資本インパクトがあり、金融機関が持っている信用仲介機能、貸出能力を大きく削ぐことになりかねないため、引き続き意見発信をしていきたい。
 IRRBBについて一言だけ申しあげると、いわゆる商業銀行により強い影響を与える規制であるので、これも、商業銀行ビジネスモデルをベースとする有力な金融機関と一緒に行動している。ただ、かなり本質的な問題でもあるので、少し時間が掛かりそうであり、年明けになるのではないかと思う。
 三つ目のインターネット・バンキングだが、私どもはいろいろと手を尽くしてきた。先には法人インターネット・バンキング向けの考え方をお示しし、補償に対する取り組みの方針を出した。ただ、被害は相変わらず続いている。警察庁から今月発表されたデータによると上半期が1,254件、18億5,200万円。昨年は1年間で1,315件、被害総額14億600万円だったので、倍のペースである。傾向としては二つあり、被害が地域金融機関に及んでいる。そして、法人のお客さまの被害が拡大している。
 先ほどご指摘のとおり、また、前回の会見でも申しあげたように、今やインターネット・バンキングは社会インフラになりつつあり、私どもも日々高度化し巧妙化する犯罪の手口に対して迅速に対応し、被害の拡大を食い止めるべく努力をするし、お客さまに対する注意喚起も続けてまいりたいと考えている。
 最後に、インターネット・バンキングの世界をどうするかということだが、銀行だけではなく、ノンバンクによる送金や決済等のサービスもすでに始まっており、お客さまのニーズも非常に強い。したがって、各行それぞれ知恵を絞って、お客さまの利便性向上と、銀行がやる以上は安心・安全が基本であるから、セキュリティにも十分配慮しながらこのビジネスを展開していくということが、共通の姿勢ではないかと考えている。


(問)
 政府が打ち出している地方創生について伺いたい。銀行界がどういう受け止めをしているのか。銀行界がどういった貢献ができるのか会長の考えを伺いたい。
(答)
 個人的な見解だが、今の日本経済は、グローバル経済圏における企業や産業分野は、引き続き強い競争力を持ち収益も好調であるが、ローカル経済圏における企業については苦境が目立つ。日本全体のGDPに占める首都圏の割合はおそらく3割強、東名阪で5割程度である。したがって、それ以外の地域の経済活性化は、今後の日本再興を進めていくうえで大きなテーマであり、今回の安倍改造内閣の発足に当たり、担当大臣が任命され、「まち・ひと・しごと」に関する取り組みが始められたことは重要と考えている。
 私ども銀行界においては、この数年間、特に過去1年間、様々な取り組みを行ってきた。昨日の寺門地銀協会長の記者会見でも、地域密着型金融の取り組みが公表され、農林水産業や再生可能エネルギー分野における、特色ある地域資源を活用したビジネスの育成のサポート等、多くの事例が紹介されている。日本の金融機関は、単純な金融機能だけでなく、非金融サービスを提供する点でユニークな存在である。その一つであるコンサルテーション型のバンキング機能を発揮して、地域経済の発展に貢献していきたい。
 先ほどの「まち・ひと・しごと」について、「まちづくり」の視点で申しあげると、期待や可能性を感じているのが、PPPとPFIである。日本再興戦略の改訂版でも掲げられているが、地域における事業機会の創出、公的部門の効率化やサービスレベルの向上の点から、この分野については我々も地域金融機関と一緒になって取り組んでまいりたい。
 次に、「しごと」に関して銀行ができることは、成長産業を支えるビジネスマッチングである。従来であれば、中小企業や中堅企業の間や、地域内におけるマッチングが中心だったが、最近では地域を超えた取り組みが行われるようになっている。また、大企業とビジネスシーズ、非常に特徴のある技術を持った中小企業、場合によってはベンチャーとのマッチングや、海外とのビジネスマッチングを手掛ける等、広がりのある取り組みが行われている。これが地方におけるビジネスの活性化、「しごとづくり」にも繋がると考えている。


(問)
 二つあるが、1点目はロシア向けの経済制裁について伺いたい。8月に日本も欧米と足並みを揃えて追随する形で制裁を発動した。日本については金融面では特に制裁がかかっておらず、ロシアの金融機関の債券や株の引き受け等、欧米では禁止した一方で日本では禁止されていない。ロシアとの金融・経済面においてどういう影響が出ているか、お考えを伺いたい。
 2点目は、日本のマネロン対策について、以前もお伺いしたが、すでにFATFから取り組みが不十分という指摘がなされ、臨時国会で法整備も検討されている。犯収法の改正も控えていると思うが、突き詰めていくと顧客の利便性を損ない、共謀罪等、国民生活に支障をきたすものも含まれているとの指摘もある。これらの兼ね合い、また、このまま放置していると国際金融界でどういう影響があるのか、お考えを伺いたい。
(答)
 対ロシア制裁については、ご指摘のとおり、7月の米国による制裁以来、EUが追随し、日本でも一定の制裁措置が8月に行われた。一部報道されている追加的な制裁について私どもは未だに知らないが、やはりロシアは、安全保障は別にして、大きく捉えれば特に欧州との関係において経済的に重要な存在である。日本とロシアとの関係は、従来は資源が中心であったが、最近ではそれだけではなく、様々な日系企業の進出もあることから、少なからざる影響はあると考えている。
 私ども日本の金融機関にとっては、まず各国の規制にいかに従うかというのが重要であり、今は、米国、ヨーロッパ、そして日本の規制に対応しているところである。やはり様々な経済活動、企業活動、あるいは金融面での影響はすでに現れてきている。今のところ、金融活動について言えば、まだ全面的な凍結ではないし、極端な形ではないが、私どもとしては、特に日露間における経済、企業活動の大きな障害にならないような形で収束することを期待している。
 二つ目のFATFに関しては7月にご質問いただいたと思うが、私は非常に重大な出来事であると捉えている。日本語の資料を見ると、これは一種の警告との捉え方をされており、そのとおりである。実際、現時点で、我々がFATFにおけるハイリスク国に指定されたわけではない。日本はテロ活動あるいはそれに伴う資金が犯罪であるという法制化、顧客管理措置義務、要するにデューデリジェンスに関する法令の制定が未だ不十分ということで、必要な法案の成立を含めて、マネロンおよびテロ資金供与対策の不備に迅速に対応せよということである。
 ただ、これは2回目であり、1回目は平成20年3月の第3次審査において、特に顧客管理を中心にFATF勧告の遵守状況が芳しくないということを言われており、英語の原文では、かなり厳しい表現が使われている。これを受けて、各行では、現在の関連法令あるいは金融庁の監督指針に則って、AMLに対する方針の策定や、内部管理手続きの厳格化、整備を行ってきている。したがって、6月以降、日本の金融機関に対して海外の金融機関から、具体的なアクションが行われたということは聞いてはいない。
 加えて、日本政府も、昨年、警察庁主導で有識者懇談会を開催し、7月にFATF勧告の水準達成のために必要な措置を盛り込んだ報告書をまとめ、法整備に向けた取り組みも進んでいると承知している。
 しかしながら、あまり考えたくはないが、仮にさらに遅れるようなことがあると、日本がハイリスク国のリストに入るということがないとは言えない。いきなりそうなるかどうか分からないが、仮にハイリスク国入りをすれば、大きく2つの影響が出てくる。
 まず第一は、銀行自身の活動が制約される。例えば、コルレス銀行からコルレス契約の解除を求められる。実際、マネロンに伴う各国当局の対応は非常に厳しく、コルレス業務を縮小する国際金融機関は最近多い。そういう対象に日本の金融機関がなる可能性がある。加えて、海外の機関投資家からの取引が圧縮される。さらに、海外の監督当局から日本の銀行の海外事業に対する監視の目がこれまで以上に厳しくなることが考えられる。
 第二は、より懸念しているが、端的に言えば海外送金が遅れるということである。仮に、日本がハイリスク国入りすれば、ハイリスク国への送金についてはデューデリジェンスをしっかりやらなければならないというのが、まさにマネロンの本質である。それを各国の金融機関が始めた場合には、日本のお客さまは、ドル建てであろうが、ユーロ建てであろうが、送金がおそらく遅れる。つまり、現在であれば翌日着くものがおそらく翌日には着かなくなる。まさにご指摘のような、顧客利便性が大きく損なわれるような事態もあり得ると思っている。
 アンチマネーロンダリングというのは国際的な合意であり、国としての責務であり、そして、金融機関としての責務でもある。所要の法整備等、迅速な対応を強く期待するところである。


(問)
 本日、円安を背景に株価が1万6千円台を回復したが、どう受け止めているか。また、円安がマイナスに働く業種への懸念もあるが、いずれかの時点で、円安が株価のプラス材料ではなくなるとの考えもあり得るのか。
(答)
 先ほどお答えしたとおりで、日本経済の産業構造から見れば、マクロ的に現在の円安は、おそらくプラスに働くと考える。それを反映して、今日の株式相場が上昇したと考えている。しかしながら、先ほども申しあげたとおり、とりわけ輸入原材料、あるいは資源に依存するような産業において、円安が業績の悪化に繋がることは間違いないと思う。さらに、日本のエネルギー問題にも影響が出てくる。ご承知のとおり、LNG等の輸入は、原発停止以来、大幅に増加している。これはすなわち日本の国富、言い換えれば、私どもが働いて稼いだお金が、海外に流出するということであり、まさにそういった意味で傷口を広げることになる。
 したがって、為替水準の適正なレベルを申しあげるのは非常に難しい。過度な円安は、日本経済にとってマイナスになる可能性があるし、もう一つは、過度な変動は、企業経営あるいは消費者の生活にとって、決して好ましいことではない。この二つを申しあげておきたい。


(問)
 先週金融庁から公表された金融モニタリング基本方針について伺いたい。
 重点施策の1番目として「優越的地位の濫用や利益相反が生じていないか」、「手数料や系列関係にとらわれることなく金融商品・サービスが提供されているか」、といった点を検証していく方針が示された。これらの点については、これまでも金融機関はしっかりと取り組んできたと思うが、改めて指摘されたことの受け止め、今年度以降の取り組みについてどう考えているか伺いたい。
(答)
 今回の金融モニタリング基本方針には、質問いただいたポイント以外にもいくつものポイントが含まれている。そのなかで私自身が非常に評価したいのは、キーワードに「好循環の実現」が掲げられたことである。
 現政権が向かっている方向と軌を一にして日本経済の再興を図ろうと、「真に顧客のためになる金融商品・サービスの提供」をキーワードに、それを起点にして金融仲介機能を発揮し、顧客企業あるいは家計の成長を促し、それがさらに日本経済の発展に繋がり、銀行の収益に繋がる、というサイクルを作ろうという構想で、私どもも大変共感している。
 その一環として、ご指摘の点がある。すなわち、「真に顧客のためになる金融商品・サービスの提供」ということである。
 まず優越的地位の問題に関しては、特にグループ経営が行われているような金融機関において、ある商品をお勧めする際に、いわゆるセット販売、他の商品の購入を無理強いするというようなことがあってはならないということであろう。
 とりわけ、問題になるのは貸出とそれ以外の商品のセット販売であり、本来のお客さまの利益を損なうような行動を慎む必要があるということである。
 また、系列企業の利用が必ずしも悪いとは思わないが、系列の過度の利用も同じであり、基本的にはベストの商品をお客さまにお届けするということである。
 総合的な金融商品・サービスをお客さまにご案内できる、いわゆるワンストップ・ショッピングのサービスを提供できるというのが、総合金融業態をとっている金融機関のビジネスモデルであり、否定する必要はないが、一言で言えば、アカウンタブルでなければならない。この商品・サービスが良いということをお客さまにもしっかりとご理解いただいたうえで、購入いただくことが必要と考える。会員各行は、これらの点に引き続き留意しながら事業運営を行っていくことになる。


(問)
 銀行界とキャッシュレス社会の関係について伺いたい。最近、訪日外国人の増加等も相まってクレジットカード利用できる環境を整備しようとする機運が一段と高まっているが、こうした流れが銀行界にとってどのような影響を与えるのか、加えて、銀行界としてこの流れに貢献、あるいは対抗するのかについて伺いたい。
(答)
 キャッシュレス決済についての質問と思うが、ほぼ革命的とも言えるようなIT技術の進化・発展に伴って、極めてローコストで商取引が行われ金融決済ができる世の中になってきた、ということである。
 個人のお客さまに関して言えば、インターネットショッピングがこれからますます普及していくことは間違いないと思う。
 したがって、金融機関、銀行としても、こうした社会における流れを先取りする形で様々な決済サービス、あるいはバンキングサービスを提供していくことが重要であろうと考える。
 これも各行様々な取り組みを行っていると思うが、その一つがインターネット・バンキング、モバイルバンキングである。私どももじぶん銀行というモバイル専用銀行を持っている。電話する必要もなく、免許証をスマートフォンで写し、その後は画面操作だけで口座が開設できる。
 また、クレジットカードはもちろんだが、デビットカードの取扱高も増加している。これもお客さまの心理を上手く捉えた商品になっている。クレジットカードだと後で請求が回ってきたときに困るケースもあるが、そのようなことを回避したいと思う人が増えている。使ってすぐに引き落しになるが、キャッシュは持っていなくてよいということで、やはりキャッシュレスに対するモチベーションというかインセンティブは高いと感じる。
 このようにこれからも様々な取り組みが各金融機関において行われることを期待している。ただし、先ほども申しあげたが、銀行、あるいは銀行の関連会社が行う以上は、安心、安全を確保する点も重要であるから、これに対する配慮を忘れることがないようにやっていきたいと考えている。


(問)
 反社会的勢力との取引について追加で質問をさせていただきたい。データべース接続について実務的な話し合いをしているとのことだが、そもそもの反社取引はどうあるべきか。例えば、会長が頭取として去年中間決算でおっしゃっていたが、そもそも金融インフラとして、そういう人たちのご家族の方に対する生活口座をどうするか、子供の給食費を振り込むにはどうしたら良いか等、反社勢力とは断絶しなくてはいけないと思うが、どこまでやるのか。逆に言えば何を必要最低限のインフラとして提供せざるを得ないのか、銀行界として考える必要があると思うがどうか。
(答)
 とても難しい問題だが、二つの観点があると思う。
 まず、反社会的勢力の定義の問題である。一般的には犯罪対策閣僚会議で示された、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等が定義として用いられている。しかし、このなかには例えば元暴力団は入っていない。また、そもそも誰が反社会的勢力かを認定するとなると、今のところ警察しかない。
 したがって、実際に始まっている取引を解消するという観点では、警察からの情報提供がなされた場合に限られることが多い。もちろんそれ以外も努力はするが、非常に難しい面がある。
 警察から提供される情報は、基本的には暴力団、あるいは暴力団員であるという情報が多いため、それ以外への対応はなかなか難しい。入り口での排除であればこれ以外にもあるが、暴排条項を発動して取引を解消するとなると、これ以外はなかなか難しい。
 二つ目は、どの取引を排除するかの観点だが、これは去年の秋に活発な議論が行われた。私も決算会見において、一律の取り扱いが難しいのではないかと申しあげた。
 実際、私どもの約款においては、銀行取引約定書の暴排条項には元暴力団員が入っているが、普通預金取引約款には入っていない。これは、暴力団員を更生させるのはまさに社会的な要請と思うが、仮に全ての生活のツールを取り上げてしまうと更生が難しいためである。そうした考え方から、銀行取引約定書と普通預金約款で変えている。さらに言えば、貸出についても、子供の教育ローンはどうするのかという問題もあるかもしれない。そもそも家族はどう扱うのかということもある。
 したがって、これらの点については、様々なことがこれからも検討されていかなければならない。取引内容にせよ、あるいは対象となる反社会的勢力の定義にせよ、ただ一律にこうだと決めるのは非常に難しい。引き続き全銀協あるいは各行において真摯に取り組んでいきたい。今申しあげたような事情も踏まえつつ、まずは、警察庁のデータベースの接続から取り組んでいく方針である。


(問)
 新卒の採用活動のあり方について伺いたい。日本経団連が指針を改正し、2016年度入社の大学生から、採用活動の後ろ倒しが行われる。人手不足の影響で売り手市場になりつつあるということもあるが、来年3月卒業者の採用活動でも囲い込みが激しくなっているとの声も聞かれる。来年展開される採用活動について、銀行界としてどのように臨むべきか、会長の考えを伺いたい。
(答)
 日本経団連は、いわゆる共同宣言という形で、「採用選考に関する企業の倫理憲章」への参加を呼びかけている。したがって銀行界においても、今回の決定の趣旨を踏まえ、各行が「採用選考に関する指針」を尊重しながら、各々の経営環境や人材戦略を踏まえた対応をしていくことになる。
 個別行としては、まだ公表しているわけではないが、この指針に則り、3月以降の広報活動開始、8月以降の選考活動開始とするつもりである。
 なお、せっかく時期を遅らせるのであれば、その時間を是非有効に活用いただきたいということを教育界にお願いしておきたいし、学生の皆さんにも、時間を有効に使い、是非視野を広げてほしいと思う。


(問)
 スコットランド独立の住民投票が今日から始まるが、仮に独立となった場合、金融市場への影響はどのようになるか。また、日本経済や世界経済への影響についてどのように見ているか。
(答)
 これはなかなか読めないところがある。一つの大きな経済圏としてこれまで運営され、対外的なプレゼンスも持っていた国が二つに分かれるため、いずれもがこれまでと同じ国の姿、経済の姿ではなくなる。そういうことだと思う。
 特に、スコットランドはいわゆる北海油田を有している。スコットランドを除く英国圏においては、エネルギーの自給率が低下することになるだろうし、貿易収支の赤字が拡大し、さらには政府の歳入が減ることが考えられる。
 一方、スコットランドについて言えば、通貨の問題が非常に大きい。そもそもポンドに残ることができるのか、ユーロに加入するにしても時間が掛かる等、たくさんの課題があると思う。最終的にはもちろん国民の意志にもとづいた決定がなされるということであろう。
 金融機関について言えば、スコットランドには多数の金融機関が存在する。一番有名なのはRBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)であるが、それ以外にもエジンバラやアバディーンにヨーロッパを代表する資産運用会社が存在する。スコットランド独立の影響に関して、今の反応を見ていると、銀行界の反応がより先鋭的であり、資産運用会社の方が比較的冷静に受け止めていると思う。いずれにせよ金融機関は、最後は国の信用が拠り所という性格を強く持っているので、何らかの影響は受けることは間違いない。
 先ほどの通貨の問題、実体経済の問題、もちろん外交問題もある。私どもとしても注意深く今回の決定を見守っていきたい。
 もう一点言えば、他にも似たような国がある。ベルギーでは昔から南と北の分裂問題を抱えているし、スペインのカタルーニャもあり、カナダにも同じような問題がある。したがって、スコットランドの動きがトリガーとなり、世界の経済が細分化するといった動きに繋がることを懸念している。