2015年3月19日

平野会長記者会見(三菱東京UFJ銀行頭取)

髙木専務理事報告

(なし)

 

会長記者会見の模様

 
(問)
 2点ある。1点目は、本日、全銀協会長として最後の会見となるが、この1年間を総括して、実現できたこと、あるいはやり残したことがあればお聞かせいただきたい。
 2点目は、日銀の異次元緩和が始まって4月で2年が経とうとしている。物価はなかなか目標には届いていないようだが、円安・株高が進み、企業の事業環境は好転しているように見られる。一方で、貸出の方は、まだ資金需要が少し不十分な面があるかと思うが、その辺りの評価についてお聞かせいただきたい。
(答)
 まず、1点目の質問からご回答すると、年末の会見では、昨年を振り返って、経済再生・デフレ脱却へ着実な歩みは続いたものの、なかなかその道のりは平坦ではなかったと申しあげた。
 今もその想いは変わらないが、その一方で、その後の動きを見ると、わが国経済が、昨年10-12月期にようやく実質GDP成長率が3四半期振りにプラスに転じ、足許では、堅調な企業収益を起点に設備投資、あるいは雇用環境、賃金の改善が期待できるところまできた。わが国における復活に向けた機運が徐々に高まりつつあることを感じさせる1年でもあったと思う。
 私自身、昨年4月に会長に就任した際、本年を、金融業界として、「実業・実体経済を支え、将来に向けた日本の持続的成長を確実にするために貢献を果たす年としたい」と申しあげた。実際、金融面では、2月の銀行貸出残高は前年同月末比2.6%増と42か月連続で増加を続けている。私どもの積極的な金融仲介機能の発揮により、お客さまの資金需要に応えていくという、私どもの本来の機能、取組みは着実に前進していると思う。
 また、「三つの柱」を活動方針として掲げたが、簡単に振り返ってみると、まず、第一の柱、「日本の再生・成長戦略への貢献」では、震災復興は、二重債務問題への各種支援の枠組み・施策を活用した取組みを引き続き進めてきた。成長戦略の実行あるいは中小企業向け金融では、昨年11月に行動指針を改定し、会員各行では、「事業再生や再チャレンジ」、「創業・成長・発展」に向けた支援の取組みを進めており、いわば、新しいフェーズに入った。また、ジュニアNISAの新設等、NISAの普及促進あるいは制度拡充への取組みも具体化することが出来た。
 次に、第二の柱、「安心・安全・便利な金融取引環境・インフラの構築」では、法人向けの被害補償の枠組み整備、あるいは会員各行のセキュリティ対策の促進等、多様化・巧妙化する金融犯罪への対策に不断に取り組んだ。また、反社会的勢力の対応では、先月この場で申しあげたとおり、警察庁とのデータベース接続方針を公表する等、さらなる取組みを続けてきた。全銀システムに関しては、昨年末に24時間365日稼働する新しいプラットフォームを構築する方針を決定し、こうしたプロジェクトを着実に進め、引き続き資金決済高度化等に注力していく必要があると考えている。
 最後に三つ目の柱として掲げた「公正・透明・強固な金融システムの構築」では、TIBOR改革を新体制のもとで継続し、信頼性の維持・向上に努めている。郵政民営化・公的金融への対応では、銀行界の主張を積極的に発信してきた。国際金融規制も大きな課題であったが、同様に、TLACを始めとしたグローバルベースでの新たな規制・ルール作りに対して、様々な形で意見を述べてきた。
 課題というご質問があったが、来年度は日本経済の再生・成長戦略の実行がまさに正念場であり、わが国の官民の力を結集した「実行力」の発揮により、新たな日本の成長ステージに向けた足取りをより確かなものにしていく大変重要な年になると考えている。私ども銀行界としても、デフレ脱却と経済の再生に向けた好循環の回転を加速・後押しすべく、より一層の金融仲介機能の発揮に努めていくことが重要だと考えている。
 また、個別のテーマでは、来年度以降も引き続き対応が必要なものもあり、例えば、IRRBBや標準的手法の見直し、フロア設定といった議論のある国際金融規制、TIBOR改革や郵政民営化といった継続的なテーマがある。その他、金融審議会では、今年度に議論が始まった決済高度化に加えて、金融グループ規制のあり方も議論される予定である。全銀協としては、こうしたテーマについて、次期会長となるみずほフィナンシャルグループの佐藤社長にしっかりとバトンを引き継ぐとともに、私どもも、個別行として、新会長のサポートに全力を尽くして参りたいと考えている。
 二つ目の質問であるが、黒田総裁の就任後、この2年間、いわゆる異次元緩和の効果として、長期金利の低位安定化、円安・株高と、金融市場の反応は総じてポジティブであったと見ている。さらに円安を背景に、企業収益が改善しており、結果として家計の雇用あるいは所得の環境が改善しつつある。さらには、最近では設備投資の数字も拡大し、金融緩和が実体経済に様々な形でプラスの影響を与えていることが見てとれるようになったと思う。消費者物価は、原油価格を含むエネルギー価格の値下がり等の影響も受け、足許で上昇ペースが鈍化しているが、一方で、重要とされるマクロ的な需給バランスの改善傾向は続いており、物価の押上げがいずれ顕在化してくるのではないかと思っている。
 そうしたなかで、貸出は42か月連続で増えてきているが、内訳を見ると、「業種」あるいは「企業規模」「資金使途」、どの面からみても徐々に広がりが出てきていることが重要であると思う。業種別に見ると、まず増えたのは製造業と不動産であり、それから金融・保険も比較的早い段階で資金需要が増え、これに加えて、最近では卸・小売業、サービス業でも資金需要が強まっている。企業規模別に見ると、まずは大企業から増え、これに加えて、一昨年の後半からは中小企業向けの貸出もプラスに転じており、さらに資金使途の面でも、当初は運転資金やM&A資金が中心であったが、設備資金の伸びも足許高まっている状況にある。私どもも、日本経済ならびに企業活動が回復するなかで、実体経済を支えるべく、一段と積極的な役割を果たして参りたいと思っている。
 一方で、低金利環境は商業銀行にとっては非常に苦しいものであり、預貸金利ざやは引き続き低下を続けている。そういったなかにあって、各行とも収益源の多様化に取り組んでいる。私ども自身を例にとってみても、国内の業務粗利益に占める役務取引やその他業務の占める割合がここ数年増えてきている等、収益構造自体が変わってきている。引き続き、商業銀行である以上は預貸業務が基幹業務であり、重要であることに変わりはないが、今のような低金利環境下では、各行が様々な取組みを通じて収益源の多様化を図っていく等、新たなビジネスモデルを構築していくことが重要だと考えている。


(問)
 先ほども少し言及があったが、昨年4月の会見で、バーゼルIIIにおける銀行勘定の金利リスクの問題が非常に重要であるという会長の発言があった。足許では銀行が持っている国債や住宅ローン債権の金利リスクについて、自己資本を積み増すべきだというような議論が進んでいたり、あるいは、国債の信用リスクについても議論が進んでいるという状況であると思う。
 まだ議論の方向性が固まったわけではないと認識しているが、状況によっては、国債を大量に保有する日本の銀行業界にとって非常に重要な問題になると思うが、これについての認識や、今後どのように対応されていかれるのかをお聞かせいただきたい。
(答)
 いわゆるIRRBBの問題である。この場でも何度かお話をしてきたし、私も機会があるごとにこの問題については必ず付言をしてきたところである。一言で言うと、我々としては、バーゼルIIIの枠組みのなかで銀行勘定における金利リスクというのは、第二の柱として捉えられるべきであって、第一の柱として資本賦課の対象にすべきではないという主張をしているということである。
 二つの理由を申しあげる。まず一つは、銀行勘定への規制による資本の賦課というものが、銀行、とりわけ商業銀行が持つお客さま宛ての貸出供給能力、資金供給能力を減衰させる可能性があるということである。銀行の機能というのは、ストレス環境下においても常にこの銀行勘定を使ってお客さま宛てに資金供給を継続するということが期待されているわけであるが、仮にこの規制が導入された場合には、銀行勘定が本来持っているこの機能を大きく損なうことになる。
 とりわけ銀行勘定とトレーディング勘定の性格の違いというのを明確に認識すべきである。トレーディング勘定というのは、保有期間が非常に短く、市場の変動によって極めて機動的、弾力的に売ったり買ったりするものであるので、その都度その都度のバリエーションに基づくリスク評価が正しいと理解できる。しかしながら、銀行勘定というのは、安定的な資金調達源があれば、当該金利リスクあるいは貸出を基本的には保有し得るものであるから、この二つの性格は著しく異なる。
 二つ目としては、以前、これは2006年だったと思うが、バーゼル委員会自身が言っていたことであるが、銀行勘定の金利リスクというのは、国、通貨、銀行のビジネスモデル、貸出の種類であるとか流動性という観点や、預金者の行動特性等にも応じて極めて多様であり、一律のリスク計測や資本賦課にはなじまないものである。逆に言うと、第一の柱による資本賦課を行わなくても、第一に、自らのALMのなかでの管理が可能であるし、それをベースにして、第二に、当局による監督のもとで適切な管理が可能と考えているところである。
 いずれにしても、金融規制というのは金融秩序の安定化、金融機関の健全性の維持、それによって金融機関の持っている経済、産業のインフラという機能を確実なものにするのが目的であるが、規制の仕方を間違えると思わぬ結果を招くことになる。これはまさにそういうケースではないかという主張をこれまでもしてきたところである。
 現状どういう交渉が行われているのか、私どもとしては存じあげないが、今、申しあげたようなことをこれからも主張して参るし、関係当局におかれても、私どもの要望を反映したような形で交渉していただけるものと期待をしている。


(問)
 国際金融規制の関係で、先ほども話に出た「信用リスクに係る標準的手法の見直し」について、メガバンクのみならず地方銀行にも影響が大きいと言われているが、会長としてこの問題点をどのように整理して、全銀協としてバーゼル委員会に対してどのように意見を発信していくのか教えていただきたい。
 それともう一点、様々な国際金融規制が控えているなか、国際的に見てメガバンクの資本の水準は高いわけだが、やはりそういった国際金融規制を意識して今後も資本なり負債の手当というのは必要になっていくのか、現状認識を教えていただきたい。
(答)
 まず、最初の「信用リスクに係る標準的手法の見直し」に関するご質問にお答えする。昨年の12月に、バーゼル委員会から市中協議文書が公表された。従来は外部格付けをベースにしたリスクウェイトを使っていたが、リーマンショックのときに格付け機関は当てにならないということで、外部格付け機関への依存を減らす方向で議論が進んできた。その結果として、今回の市中協議文書では、二つのリスクドライバーのマトリックスにしたがって、リスクウェイトを決定するということが提案されている。例えば、法人向けの貸出あるいはエクスポージャーについては、売上高とレバレッジ倍率をリスクドライバーとしている。また、株式のエクスポージャーに関しては、従来は一律100%であったが、今回は上場株で300%、非上場株で400%というような提案がなされているところである。
 当然これらは日本の銀行、メガバンク、地域金融機関に大変大きな影響を与えると思う。このように新しい標準的手法には従来の計測方法と大きく異なる部分が含まれているので、第一に、見直しに当たっては十分な議論が尽くされるべきであると考えている。
 第二に、具体的な論点であるが、例えば先ほどの企業向け、法人向けのエクスポージャーに関して、売上高をリスクドライバーの一つとすることは、中小企業への融資に悪影響を与えるということは間違いない。果たして売上高とレバレッジ倍率という単純なマトリックスで、従来の外部格付けよりも、より納得性の高い、精度の高い評価ができるのかという点がある。
 また、標準的手法を使っている銀行だけではなく、内部モデルを使っている金融機関に関しても、標準的手法をフロアとして何らかの形で導入しようという動きがある。内部モデルを使ったアプローチというのは、リスク管理の高度化を各金融機関が努力するなかで生まれてきたものであるが、これは、それを逆に否定することになりはしないかと思っている。
 今月27日がパブリックコメントの期限であるので、今申しあげたような論点を含めて、バーゼル委員会宛てに私ども全銀協としては意見書を纏めるつもりでいる。
 また、今後の資本の水準に向けた対応については、まさに複数の規制が国際的に、あるいは各市場ごとに出ているが、その議論が全て収束しているわけではない。したがって、その時点での見通しを各行が持ちながら、柔軟な対応を行っていくことになるのだろうと思っている。確かにご指摘のとおり、日本のメガバンクはG-SIBsのなかでも相対的に高いTier1比率を持っているので、現状余裕はあるわけだが、先ほどから話題になっているような二つの大きな規制の細目が決まってくると、相当大きなインパクトが出る可能性もあるので、そのあたりを慎重に見ながら対応していくということだろうと思う。できることからやっていくということで、最近海外だけではなくて日本でもいわゆるAT1、Additional Tier 1の調達が始まっている。これも、決まったところから実施していくという対応がすでに始まっているということだと理解いただければよろしいかと思う。


(問)
 企業の新陳代謝に関して、銀行はどこまで赤字企業や経営の厳しい企業に手を差し伸べるべきなのか、会長の考えを伺いたい。財務面だけの判断なのか、それとも他に何か基準のようなものがあるのか。
(答)
 日本の経済や産業の再生・復活を図るためには、企業や産業の新陳代謝が必要であると思うし、私どももようやくそこまで辿りついたという感じを持っている。課題を抱えている企業の再生に関しても、そのような観点で取り組むことが重要で、債権放棄やDESといった金融支援は、単なる延命措置になってはいけない。平たく言えば、ゾンビ企業を生み出すための措置であってはいけないと考えている。言い換えれば、企業の再建可能性、あるいは事業の持続的な存続可能性をよく見極めたうえで、支援が行われるべきだと考えている。
 一般論として申しあげると、お客さまの企業が金融支援を要請する場合、当該企業は不採算事業からの撤退や、抜本的な事業改革・構造改革を行う場合が多いが、銀行としてはそのようなお客さまの計画をしっかり検証したうえで、逆に私どもがサポートを行わず、破綻してしまった場合の地域経済あるいは業界全体への影響等も同時に考えながら、判断していくことになる。


(問)
 先ほど、来年度の継続テーマの一つに、郵政民営化をあげられたが、今月から、自民党でゆうちょ銀行の預入限度額引上げについての議論が始まっている。改めて預入限度額引上げの問題について伺いたい。
(答)
 まず、先月も申しあげたとおり、日本郵政グループの上場は、私どもが求めている郵政民営化のプロセスにとって非常に重要なステップであり、銀行界としてもその円滑な上場を期待していることは繰り返し申しあげてもよいと思う。加えて、先月も申しあげたが、先に日本郵政グループが発表された豪州物流会社の買収や、機関投資家的なビジネスモデルを目指されているものと推測しているが、市場運用・市場リスク管理のプロ人材を募集していることは、日本郵政が新しい形でグループの将来像を明確化しようと努力をしている、現在可能な業務領域で新たな取組みを始めようとされているものだと認識している。
 ただし、私ども銀行業界としては、政府関与が残り、民間金融機関との公正な競争条件が確保されていない状況のなかでは、預入限度額の引上げ、あるいは新規業務の拡大は認められるべきではないという考えに変わりはない。
 特に、預入限度額の引上げは、ゆうちょ銀行の再肥大化を招く可能性があり、以前から私どもが指摘する同行が抱えるリスクのさらなる拡大に繋がる懸念がある。また、私どもが重要だと考えているのは、地方への影響である。現在でも、ゆうちょ銀行は地方において、20%を超える大きなシェアを占めている。そのようななかで政府関与が残る状態で預入限度額が引き上げられれば、民間金融機関、とりわけ地域金融機関から資金シフトが発生し、地域金融機関が取組みを強化している地方創生に向けた取組み、あるいは地方の中小企業等への円滑な資金供給に悪影響が及びかねないことを懸念している。いずれにしても、預入限度額は、「当面は引き上げない」ことが改正郵政民営化法の附帯決議に盛り込まれている。現状、その内容を遵守されているが、郵政民営化法では、「他の金融機関等との間の競争関係に影響を及ぼす事情等を勘案して定める」とされており、先ほどから繰り返し申しあげているとおり、政府関与が残る期間は、預入限度額が引き上げられるべきではないと考える。


(問)
 先日、りそなホールディングスが公的資金の完済方針を表明した。りそなの公的資金は、長年、不良債権問題の象徴とも言われてきて、12年掛けて完済に至るわけだが、全銀協会長として、あるいは長年業界に身を置かれたバンカーとして、感想等があれば伺いたい。
(答)
 まず、後者の立場として回答すると、個人的には感慨深い。細谷氏以来、りそなグループの経営陣、従業員が、本当に心を一つにしてようやくここまで漕ぎつけられた。
 また、日本における広域リテールバンクとしてのビジネスモデルを新たに築こうとされ、その成果を上げつつあるということに対し、個人的に非常に深い敬意の念をもっている。
 続いて、全銀協会長として、一般論として公的資金に関してコメントすると、平成10年以降、金融システムが不安定化するなか、銀行界全体で12兆円を超える公的資金の注入を受けた。この公的資金については、非常に長い年月を要したが、全体として見れば、当初の注入額、すなわち簿価を上回る返済が進み、国民の皆さま、納税者の皆さまには大変なご心配をお掛けしたが、元本を毀損し、国民負担が生じるような事態は回避できたものと思っている。
 それはすなわち、日本における公的資金も活用した預金保険制度を通じた金融危機対応が、この十数年の歴史のなかで、金融システムの安定化に大きな役割を果たした先行的事例と見ることができる。
 この点は、昨年のTLACの議論において、グローバルなレギュレーターから、日本ではしっかりとした制度整備が進んでいるという評価を受けたことにも繋がっているのではないかと思うし、今回の完済もそうした評価を裏付けるものではないかと感じている。
 いずれにしても、今回改めて感じたことは、私ども銀行界は、バブル期に大量の不良債権を発生させ、日本で金融危機を経験してきたことを忘れてはならないということである。私ども自身も含め、日本の銀行は公的資金の注入を受けて、大手行を中心とした業界の再編・リストラにより、ようやく立ち直った。その経験を踏まえ、しっかりと内外の金融規制にも対応しつつ、個々の銀行が今置かれている、あるいは将来置かれるであろう経営環境を踏まえ、揺るぎないビジネスモデルを構築していく必要があるということを感じたところである。


(問)
 今のりそなホールディングスに関連して今後の銀行界の展望について伺いたい。公的資金の完済が見えてきたということ、2005年4月にペイオフが解禁されてから10年ということで、一つの危機対応というものに区切りが付いている局面かと思う。
 他方で今、金融審では銀行グループの業務範囲の見直しに向けた議論が始まるようであり、いわゆる「Fintech」の台頭もあり、これから銀行界は変わっていくのではないかと思うが、今の局面変化をどのように捉えているか、今後、銀行業界がどのように変わっていくのか展望を伺いたい。
(答)
 非常に広範な質問である。金融業界と言っても様々で、それぞれの金融機関、あるいは業態が、持続可能と考えるビジネスモデルをお客さまのニーズ、あるいは社会的な環境、金融規制の変化等に対応する形で常に鍛え続けるということだと思う。
 したがって、一つの正解というものはない。私どもの業界のなかでも様々な取組みが、メガバンクでも、地域金融機関でも行われている。そのなかでもFintechの話題が出たので、金融審でそういった議論もされていることから、そこに絞って話をする。
 以前にも申しあげているが、やはりICTの急速かつ飛躍的な発展は、金融のあり方を大きく変えていく可能性があると私は思っている。
 Fintechというのは、FinanceとTechnologyを合わせた言葉であるが、最近では特にベンチャー企業による金融分野における新しいソフトウェアであるとか、あるいはソリューション、決済等の提供が注目されており、それは新たな収益機会を創出する効果があり、他方で、オペレーションの効率化、業務の効率化、コスト削減にも繋がるということである。
 したがって、多くの起業家が積極的に参入し、また、金融機関もこれに対応しているという状況である。特に海外の金融機関ではそういった動きが極めて急だと私自身様々な機会で感じるところである。
 日本でも従来、いくつもの先進的な取り組みがあった。高機能ATMは、機能で言えば世界に冠たるものであり、モバイルバンキングも早い段階から始まった。生体認証技術の実用化も世界に先んじた例だと思っている。
 ただし、ICTの変化の流れが非常に速く、またお客さまの行動様式も大きく変わり、とりわけリテールのお客さまの行動パターンの変化・多様化は極めて顕著である。
 したがって、先ほど申しあげたように、私自身はICTの進化、ビッグデータ、コグニティブ・コンピューティング等、これらが銀行業の将来を変える可能性があることを感じている。
 それに加えて、そういった技術の発達をベースに、他業態が、銀行業務のアンバンドル化という言葉のとおり、預貸・為替の全てを行わず、決済なら決済に特化する、商流ファイナンスなら商流ファイナンスに特化するという形で進出してきていることに留意する必要があり、それが大きな環境変化だと思っている。
 では、これらにどう対応していくかであるが、一言で言うとオープンイノベーションだと思う。これはメーカーで良く使われる言葉だが、金融も同じで、自前主義からの脱却は必要なのであろう。
 もちろん銀行であるので、自分でやらなければならないことは自分でやるが、より外部の知見、あるいは技術を積極的に取り込んでいく必要があるということを感じでいる。ベンチャー企業との提携であるとか、場合によっては投資といったことも考えられると思っている。
 そういう流れで見てくると、今回の金融審では持株会社の機能の発揮というテーマと併せて、銀行本業とシナジーが期待できる分野での業務展開、の2つの視点での議論が行われると思うが、今申しあげたような大きな環境変化があるなかで、まさにタイムリーな議論が行われることを期待している。


(問)
 日本の場合、人口減少が今後も続いていくことが大きな課題になってくると思うが、メガバンクと異なり、地域金融機関を中心に海外に新たな収益源を求めることが難しいような金融機関はどう対応すべきか、また、人口減少は銀行業界にどのような変化をもたらすと見ているのか会長の見解を伺いたい。
(答)
 確かに人口動向はGDP成長率を構成する3要素の一つであり、その減少は、金融だけでなく全ての産業にとってプラスではないと思う。ただし、そうしたなかでも新しいニーズは確実に芽生えており、例えば、高齢化が進めば、金融資産を蓄積したお客さまの層が新たに生まれるわけで、そのようなお客さまの運用ニーズにどうお応えするのか、ということがある。また、世代交代が起きるなかで、資産承継や中小企業の事業承継もある。このような新たなニーズを的確に把握し、お応えすること、これにより経済成長を後押しする役割を金融機関が果たせるのではないかと思う。言い換えれば、従来からの伝統的な預貸業務だけではなく、ソリューション型のビジネスを、リテールや中堅中小企業の分野でも展開することによって、ビジネスチャンスを自ら創出できると思っている。
 また、地域金融機関は企業の海外への展開を積極的に後押ししている。こうした取組みは世界的にも例がないことだと思っているが、これも人口減少や、経済規模が小さくなることへの対応の一つだと思う。
 さらに、もう1点、他国にはない日本の金融機関の経済に対する貢献が、いわゆるビジネスマッチングである。金融仲介だけではなく、事業仲介に積極的に取り組んでいる。すなわち、新たな国内における産業を地域内でマッチングする、あるいはメガ等との提携により、各地域の潜在的な資源、経営資源、技術、商品等を全国規模でマッチングすることで、新たな成長を生み出す切欠にもなる。農業の6次産業化も、ある意味でそういう面があり、そのような可能性を創出していくことが重要だと考えている。


(問)
 5年後10年後、銀行界にとって脅威となる競争相手とは、どのようなものだと思うか。もしかすると、それはすぐそこにある危機として近寄っているのかという点も含め、お伺いしたい。
(答)
 まず、脅威はどこから来るのかというと、1点目は環境の変化であろう。企業の存続・成長は、環境変化に対して如何に柔軟かつ的確に対応できるかということをおいて他にない。脅威は実は内在しており、各金融機関が市場環境の大きな変化に対応できないことが最も大きな脅威だと思う。これは金融機関だけではなく、他の業界を見ても過去何度も経験してきたことである。したがって、最も重要なことは、私ども自身がお客さまのニーズ、市場環境や規制・制度等の変化に対して、如何に迅速かつ的確に対応できるかだと考える。
 2点目としては、コンペティターからの脅威がある。これには幾つかのレベルがある。一つは、先ほど申しあげたICTの発達を梃にした他業態の金融事業への進出、これは間違いなくあると思う。様々な業態からの進出が考えられ、私見ではあるが、リテール分野では相当大きな脅威になるのではないかと思う。例えば、リテール商流を自ら持っているような業界・企業が、それに決済やファイナンス等の金融機能を繋ぐことで、顧客との複層的な関係を築き、極めて柔軟なビジネスモデルを創ることができる。プライシングにしても、こちらは無料にして別のところで収益を上げるといったこともできる等、ここ数年でかなり大きな影響を顕在化させていくのではないかと思う。
 これに比べると、ホールセール分野では、例えば、最近話題になっているクラウドファンディングは、私も非常に意味のあることだと強い関心を持っているが、影響度、マグニチュードという点で言えばやや異なるかもしれない。また、コグニティブ・コンピューティングをM&Aに活用する場合、データ発掘には効果があるかもしれないが、最終的なスクリーニングとかネゴシエーション等は最後まで人間に残るのではないかと思う。これは、起債やエクイティファイナンス等の分野でも、おそらく同じではないかと思う。
 そして、与信・貸出については、お客さまとの長期的な関係、まさに先ほど申しあげた複層的な関係の構築をベースにしているので、これが容易に侵食されることはないと思うが、自信過剰にならず常に謙虚に、冒頭申しあげた環境の変化に対応していく必要がある。
 最後に、グローバルにビジネスをしている人たちにとっては、国際的な競争がますます激化することは間違いない。邦銀のうちメガ3行がG-SIBsの一員であるが、5年後10年後も引き続きG-SIBsの一員でいることができるのか、いるべき存在足り得るのか、厳しい競争のなかで問われることになる。こうした状況下でも、やはり、自分自身にとってのコアビジネスは何か、自分ならではのオリジナティのある強みは何かということを常に考え行動し、実現していくことが必要だと思う。


(問)
 イスラム金融市場の拡大により、邦銀にどのようなチャンスが訪れるかということと、今後、規制緩和が行われることで、現状とどのように変わっていくかという点を伺いたい。
(答)
 平成25年10月、都銀としてイスラム金融の銀行本体への解禁を当局に要望し、本年2月に監督指針の改正案がパブコメに付されたところである。ご承知のとおり、現在、イスラム経済圏の拡大が非常に注目されており、そういった地域、あるいは、イスラム金融を選好されるお客さまのニーズに応えていくことが、私ども日本の金融機関のビジネスチャンスを広げていくことは間違いないと思う。
 現地法人では追加的なコストも掛かり、ネットワークの面で見ても、支店でイスラム金融を取り扱うことができるようになれば、より競争力のある商品・サービスを提供することが可能となり、ひいては日本の金融機関の、他のイスラム金融取扱金融機関に対する競争力も高まるものと期待している。


(問)
 震災から4年目という理由で聞くことは意味をなさないことではあるが、改めて銀行や金融市場におけるBCPについてお考えを伺いたい。つまり、今日いろいろな技術革新があり、業務が多様化し、グローバル化していくなかにあっては、BCPは常に変化していくと思うが、それに対して個別行や全銀協としてどういった方向性で考えていくのかご教示いただきたい。
(答)
 先日、東日本大震災から4周年を迎えた。まさに日本は震災とともに歴史を歩んできた国である。そのなかで、金融機関や金融システムにとって最も大事なことは、信頼、信用、安定性ということである。したがって、激甚な災害が起こった場合でも、少なくとも最低限の事業や業務が継続され、社会インフラとしての機能が維持できる状況を常に作るべく努力していくことが基本だと思っている。全銀協も予てよりBCPに取り組んできた。やや実務的な話ではあるが、全銀協のBCPとしては、手形交換所の運営や外為円決済、現金自動支払機のオンライン提携等、それぞれの業務でしっかりとしたコンティンジェンシープランを作っている。
 ただし、プランを作るだけではなく、やはり訓練が大事であり、今年度は、昨年の9月に会員銀行が参加する平日日中の訓練を実施した。また、11月には、週末に災害が発生する場合には、銀行に人がいない状況で起こるため、平日とは状況が異なるということで、休日訓練も実施した。訓練を実施すれば、当然、いろいろと反省すべき点や課題が出てくるので、それらを踏まえ、さらにコンティンジェンシープランを練り上げる努力をしていくということである。
 また、生活の知恵に近い話ではあるが、前回の震災時には、例えば、現金の払戻し業務を融通して行うということ等をその場で考えて実施したが、そういったものを事前の備えとして整理しておくということにも取り組んでいる。現在、そういった整理を纏めているところであり、例えば、一つは、現金輸送の共同化と呼んでおり、もう一つ、先ほど少し触れた他行の預金の払戻し業務も、きちっとした手続きを整理しておき、お互いに認識しておくといったことである。こういった必要な対応を全銀協自身が行うと同時に、会員銀行に対して、全銀協が取り纏めた震災対応に係る業務継続に関するガイドラインを配布する等、引き続き不断の努力をしていくということだと思う。


(問)
 安倍政権の第3の矢で企業統治が柱として注視されているが、高度成長時代には、銀行がデット・ファイナンスを通じて企業のガバナンスに貢献してきた面があったと思う。一方、バブルの時代には不動産業者や建設等を中心に暴走を止める、つまりガバナンスを効かせる、というより、むしろ暴走を後押ししてしまうようなところもあったのではないかと思う。先ほどの企業再生、あるいは、りそなの公的資金返済にも関連するが、足許で株式市場が非常に好調で日経平均も2万円に迫るというような勢いだが、官製相場との見方もあり、今バブルの頃の同じ轍を踏んでいるということはないか。
 2点目としては、今の企業統治の議論は、どちらかというとエクイティ・ファイナンスを通じてROEを高めていくという観点の議論が中心と思う。銀行が一般企業に対してガバナンスを効かせていく場合は、引き続き、デット・ファイナンスを通じてということになると思うが、かつてのメインバンク制の時代のようにはいかないと思うので、バブルの反省も踏まえて、これから企業に対するガバナンスにどう対応していけばよいか、お考えを伺いたい。
(答)
 1点目の質問に関して、全銀協会長として株式市場についてコメントすることはなく、個人的な見解であるが、一つは日本の企業のいわゆる「稼ぐ力」がこのところ確かに高まってきていることを背景に、株式市場における各企業に対する評価が高まってきているというのが今の株式市場の実態ではないか。例えばPERやPBRを見てみると、他国の市場との相対評価において、現状の日本の株式市場の水準が異常とは言えないというのが一般的な見方ではないかと思う。
 2点目については、"govern"というのは支配するということであり、そもそも銀行による企業のガバナンスというのはあってよいのかという意見もあるだろう。デット・ガバナンスという言葉を使う方がいるが、確かに、与信、融資をしている銀行として、融資先の返済可能性を常に確かなものにするための努力を払うのは当然である。そのなかで、企業の健全性が維持されているのかということを常にモニターする機能は確かにあるが、それをもってガバナンスというかどうか、ということだと思う。
 私としては、どちらかというとファイナンスにおけるディシプリンに近いのではないかと思う。先ほどご指摘があったように、バブルの時代に、金融における借り手と貸し手の規律、すなわち、ディシプリンを私ども自身が失ったわけであり、借り手も貸し手も双方でこの規律を維持することを確認する努力は常に必要である。具体的には、お客さまの足許の業績、バランスシート、将来における事業計画、成長の見通し、リスクファクター、これらを総合的に勘案して融資を行うということである。その後は、当初想定した前提条件が維持されているのかということをお客さまとの対話のなかで確認していく。それをデット・ガバナンスと言うのであれば、そういった機能は必要であり、これからも変わることはないと考えている。この規律は双方にとって大事であるというのが私の意見であり、我々もディシプリン、すなわち、規律をもって臨まなければならないし、お客さまもそうである。これは、他の産業とはやや異なるところがあるのかもしれない。


(問)
 震災から4年が経過したことに関連して、震災復興はまだまだ道半ばだと捉えている。会長自身は被災地にも足を運ばれていると思うが、被災地の現状とその課題、また銀行界としてこれからどう貢献していくべきか、お考えをお聞かせいただきたい。
(答)
 先ほども触れたが、私も式典に参加させていただいた。震災から4年経過したが、改めて被災された皆さまにはお見舞いを申しあげたいと思う。
 昨年12月にもお答えしているが、11月に復興庁が発表した資料を見ると、インフラ関係の復旧は9割方完了している。その一方で復興住宅であるとか集団移転とか区画整理とか、この辺がまだ非常に遅れている点だろうと思っている。
 もう一つは、昨年7月に被災地にお邪魔して被災企業の皆さんとも話をしたが、被災した結果、復旧するまでの間に、お取引先との関係が中断し、それが戻ってこないというのが非常に大きな課題だと感じた。そういう意味からすると、今のこのフェーズは、インフラの復旧、復興から、経済や生活の再建に、位置付けが変わってきていると思っている。
 銀行界としては、個別行レベルにおいて、災害義援金の受付から初めて、被災された企業であるとか、あるいは個人のお客さまに対する融資の相談、二重債務の問題に対応してきたわけだが、これからは今申しあげた地域経済の再興のために何ができるかということにも取り組んでいく必要があるのだろうと思っている。二重債務問題は引き続き残っている。したがって、これについては真摯に対応していくが、それと同時に地域の再興に向けての新たな取組み、先ほど申しあげたビジネスマッチング等によって早期の復興を後押しする、こうした動き方をしていかなければならないのではないかと考えている。


(問)
 融資に関して二つ質問したい。1点目は金利について。先ほども利ざやの低下が続いているという話があったが、4月からの新年度では利ざやの下げ止まりは見通せるのか、どういったことがきっかけで下げ止まりになり得るのか、見通しをお聞かせいただきたい。
 2点目は貸出のボリュームについて、42か月連続で増えているということだが、増え方の構造的な変化があるのかどうか。過去の経済拡大局面と比べて違いがあるか、例えばICTの発達によって設備投資等の金額が減っているといった、構造の違い等、今後の見方も含め教えていただければと思う。
(答)
 まず、利ざやの質問についてである。ここでも何度かお話しをしているとおり、一言で言うと、利ざやは需給と金利の絶対水準で決まる。後者については、今の日本における金融緩和政策が大きく変わらない限りは、急速な金利の上昇を期待できる状況ではないと考えている。前者、いわゆるクレジット・スプレッドについては、資金需要が貯蓄の増加を超えていつ立ち上がってくるのかということだと思う。
 もう少し細かく見ると、既存の中長期貸出が、順々に期日を迎える都度、今の低利ざやの貸出にシフトされていくため、今と同じ環境が続けば、引き続き緩やかながら金利・利ざやとも低下するだろう。これが反転するためには、やはり積極的な資金需要が出てくるタイミング、先ほど申しあげたとおり、貸出は現状前年比2%を超える増加が続いているが、この流れがさらに力強くなるときが転換点になると思う。
 2点目、貸出ボリュームの増え方の過去との違いについての質問だが、これについては、今直ちにICT等の影響で資金需要に大きな変化があるというわけではないと考える。個人、法人とも景気の回復局面で実需が生まれてそれに伴って資金需要が出てくるわけであり、今回の場合、先ほど申しあげたとおり、まずは円安効果が現れて製造業で資金需要が生じ、景気の先高感、市況の反転という意識から不動産関連投資が増えて不動産に対する融資が増加した。そして、少子高齢化ほか日本市場の構造的な変化も意識し、M&Aを含めた海外への事業投資が出てきた。これらが今回の初期的な段階での特色であったと思う。それが徐々に大企業から中堅中小企業へ、業種で見れば製造業、不動産業あたりからサービス業にまで広がりつつあり、こうした点を捉えれば、アベノミクスに伴う景気回復効果をそのまま映したものになっていると申しあげてよいと思う。
 他方、個人に関しては、所得環境、雇用環境の改善を映す形で、クレジットカードの利用等が増えてきている一方、住宅関連は、消費税率引上げの反動落が今も続いており弱含みとなっている等、今回の景気回復の波及効果がそのまま貸出のパターンにも表れているのではないかと思う。
 最後に、今は設備投資が出てくるという段階に、漸く差し掛かろうとしているとの印象を受けている。円安効果による海外から日本への生産拠点の移転も一部の企業で見られる。現状は手元資金、手元流動性の取崩しで投資を賄っておられるお客さまが多いと思うが、借入の需要に繋がるタイミングが来ることを期待している。
(問)
 念のためだが、金利、利ざやの転換点というのは来年度訪れる可能性はあるか。
(答)
 分からない。


(問)
 最後に一言お願いしたい。
(答)
 この1年間、ここにお集まりの皆さまをはじめ、全銀協の役職員の皆さま、会員各行の皆さま、その他関係者の皆さまから大変なご支援、ご協力、ご指導をいただいた。改めて厚く御礼申しあげる。
 来月からみずほフィナンシャルグループの佐藤社長が会長に就任される。皆さまもよくご存じのとおり、佐藤社長は内外の金融経済、産業に非常に高い識見を持たれ、卓越したリーダーシップを兼ね備えられた方だと思う。加えて、全銀協の活動にも、すでに一度会長として携わっておられるので、必ずや、銀行界を力強くリードしていただけるものと確信している。私ども銀行界としても、新会長の下で一丸となり、引き続き、日本の経済の新たな成長ステージに向け、全力を尽くして参りたいと考えている。
 最後に、皆さまに佐藤新会長への一層のご支援をお願いして、私のご挨拶とさせていただく。1年間本当にお世話になり、ありがとうございました。