2015年12月17日

佐藤会長記者会見(みずほフィナンシャルグループ執行役社長)

髙木専務理事報告

 本日の理事会において、来年度の副会長を内定した。
 次期副会長は、9月に内定している次期会長と同じく、理事会での正式な選定手続きを経て、来年4月1日付で就任予定である。

 

会長記者会見の模様


(問)
 日本時間の本日未明にFRBが利上げに踏み切った。日本の金融界に対する今後の影響などについてご所見をお願いしたい。
(答)
 一言で申しあげれば、その内容を含めて市場関係者の予測の範囲内であり、個人的にもサプライズを感じた部分はなかった。
 米国の利上げについては、その開始の可能性が意識され始めてからすでに1年以上が経過している。しかも今年の前半には、9月にも利上げが行われるのではないか、との見方も決して少なくはなかった。ただし、夏には主として中国発の世界的な株価下落が発生し、中国をはじめとする新興国の景気減速が強く意識されていくなか、米国においても夏場の雇用統計が若干弱含んだこともあり、9月の利上げは結果的に見送られることとなった。その時のFOMCの声明文には「海外の動向を注視する」という文言が盛り込まれたとも記憶している。
 その後、米国の雇用情勢に勢いが戻り株式市場を中心とした金融市場も落ち着きを取り戻したことから、イエレン議長は今月2日の講演で「10月以降の経済・金融情勢は、労働市場の継続的改善というFOMCメンバーの期待に沿うものだ」と述べた。こうしたなか、市場関係者は、今回の利上げはほぼ確実に行われるだろう、むしろ行われない方が波乱要因になるだろう、と織り込んでいたのではないかと思う。
 少し振り返ると、2013年5月にバーナンキ議長(当時)が量的緩和の縮小開始に言及した際や、今年の8月、中国経済の失速懸念に加えて米国の利上げ実施が新興国に与える悪影響への警戒感が強まった時など、世界的な株価下落というかたちでマーケットは何回も揺れ動いてきた。そうした事態をしっかりと見つめながら、FRBは十分な時間をかけて市場との対話を進めつつ、慎重に市場の期待形成を図ったうえで今回の利上げに踏み切ったということである。
 そのため、金融市場の反応としてはご承知のとおり株価が上昇している。日経平均株価は前日比300円程度上昇しており、むしろ利上げを巡航速度で開始したということで、長く引きずってきた不安要因や不確定要因をひとつ乗り越えたという安心感が市場に広がっているのではないかと思う。
 もっとも、以前もこの場で申しあげたが、今後は利上げのタイミングよりも利上げのスピードや規模が重要である。これはイエレン議長の言葉でいえば利上げの「スペース」と「幅」ということになる。今回は25ベーシスポイントということで、幅という観点からは市場の期待と予測にしっかり沿ったものであったと思うし、今後は、どの程度の期間をかけてどの程度の幅で利上げを行っていくのか、ということが市場の大きな関心になってくる。イエレン議長は「Gradual」に、徐々にやっていくということで、当面は「緩和的な」状況を継続していくということを何度も言っており、今回非常にバランスのとれたメッセージが出されたと考えている。
 なかでも最も重要なのは、米国内のインフレ率が落ち着いている現状において、FRBは米国の景気拡大を抑制するような強い引き締めを意図していない、ということが非常に強く伝わってきている点である。
 今回は金融政策の正常化に向けた第一歩であったわけだが、今後とも「緩和的な」状況を続けていくということで、ゆっくりとしたペースで利上げを進めていくというスタンスが明確に市場に伝わり、市場参加者もそれを好感しているのだと思う。
 なお、ここで市場参加者のもう一つの見方を紹介する。FRBのボードメンバーと地区連銀総裁の政策金利予想の分布状況が公表されているが、それを見ると、最近の上値の重い株価推移の割には、9月に公表された前回予想からあまり変化していないように見えるというものである。この見方によれば、引き続き景気が良く、政策金利をもう少し上昇させなければならない雰囲気を惹起するような景気予想がベースにあるのではないか、ということになる。したがって、9月の強い見通しを今回変えなかったことをもって、政策金利の引き上げのスピードは速くなるかもしれないという憶測を持っている市場関係者も一部にいるようである。
 ただし、繰り返しになるが、イエレン議長自身が記者会見で「緩和的な」状況を維持していくということ、あるいは、経済情勢を慎重に見極めながら「ゆっくりと」政策金利を調整していくということを明確に打ち出している。したがって、先ほどのような一部の市場関係者の見方はあるものの、結局は今後もバランスのとれた運営がされていくのではないかと思う。そして、それを市場関係者が歓迎しているということだと思う。
 最後に、世界経済への影響であるが、今回のように市場や経済の動向を見極めつつ、世界経済に悪い影響を与えないことも確認しながら、ゆっくりとしたペースで利上げを進めていくということを前提とすれば、世界経済の安定という観点からは今回の利上げが大きな波乱要因になることはないと思う。
 ただし、注意しておかなくてはならないのは、長い間続いた金融緩和政策から利上げに踏み切り局面を変えることができる経済情勢にあるのは、いまのところ米国だけであり、日本や欧州など他の先進国地域や新興国との間には依然としてある意味での「景気格差」が生じている状況が続いていることである。
 今後、米国の利上げが市場に与える影響が少しずつ浸透しうまく広がっていくのであれば大きな問題にはならないと思うが、仮に市場がそうした受け止め方をしない局面が出てきた場合には、ドル高が一段と進む、あるいは新興国から先進国への資本逃避が起こる可能性がある。さらには、その結果としてドル高が予想以上に進み米国の輸出企業の足を引っ張って米国経済が減速するというリスクも考えられ、引き続き注意をしていかなければならないという環境は変わっていないと思う。
 ただし、FRBはそうしたメカニズムも認識していると思うので、今後もそれらを全て含めた経済情勢をしっかりと見極めたうえで、最適な判断が下されていくものと期待している。


(問)
 2点目になるが、ゆうちょ銀行の預入限度額の議論が進んでいるようであり、1,000万円から引き上げられるという報道もでている。今後の見通しや全銀協としての対応について、改めてお願いしたい。
(答)
 ゆうちょ銀行の預入限度額の問題は、郵政民営化委員会の増田委員長の記者会見等について、報道を通じてその内容は承知しているところである。預入限度額の問題を含む「今後の郵政民営化の推進の在り方」に関する議論については、現在、郵政民営化委員会で引き続き審議中であると認識しているが、ゆうちょ銀行の預入限度額の問題に対する我々銀行界のスタンスは、これまでと変わるところはない。
 改めて申しあげると、上場を果たした後のゆうちょ銀行は株式市場を通じた経営に対する規律の下で、企業価値の向上に取り組んでいかれると認識している。その企業価値の向上に関しては、四つのポイントがあると思っている。一つ目は、ゆうちょ銀行自身の成長戦略の着実な実行、二つ目は、公正な競争条件の下での民間金融機関との協調・連携、三つ目は、巨大になったバランスシートの規模縮小を通じた適切なリスクコントロール、四つ目は、日本郵便との取引に関わる透明性の確保である。この4点が今後のゆうちょ銀行の企業価値向上のポイントになるということは以前から申しあげているとおりである。
 今回、上場を果たしたことにより、ゆうちょ銀行の完全民営化に向けた重要な第一歩が記されたと考えているが、一方で、株式上場後も依然としてその株式の大半が国に間接的に保有されており、引き続き、我々民間金融機関との間の公正な競争条件が確保されているわけではない。したがって、今後はゆうちょ銀行の完全民営化に向けた具体的な道筋が早急に示されることが極めて重要である。
 公正な競争条件が確保されない中で、預入限度額が引き上げられるようなことがあれば、以前から申しあげているとおり、次のような様々な問題が発生すると考えられる。一つ目は、民間金融機関、特に地域金融機関からの資金シフトが起こって、金融機関の経営に悪影響を及ぼす懸念がある。地域金融機関は、地方公共団体と組んで、安倍政権の掲げる「地方創生」に向けたプランを練って進めようとしている中、その勢いをそぐことにもなりかねない。二つ目は、預入限度額引上げによりバランスシートが膨らむことで、今現在もある巨大な金利リスクがさらに増加する懸念がある。三つ目は、ゆうちょ銀行自身の成長モデルである「機関投資家モデル」において、バランスシートが大きくなることにより、機動的な資産運用が困難になるという懸念がある。四つ目は、我々民間金融機関との協調・連携に向けた雰囲気が少しずつ醸成され、個別の地域ではATMの共同利用等の機運が高まってきているにもかかわらず、そうした連携・協調の流れの大きな障害となる懸念がある。こうした預入限度額の引上げに伴う弊害があることから、全銀協としては反対の姿勢を続けていかざるを得ない。
 以前から申しあげているとおり、ゆうちょ銀行と我々民間金融機関が公正な競争条件の下で切磋琢磨し、また協調・連携しながら共存し、双方が日本経済の発展のために力を尽くしていけるような枠組みを作っていくことがあるべき姿であり、そうした観点での議論を期待したい。


(問)
 最近、金融業界で各社FinTechへの取組みを強化しており、これまでは銀行に対して厳しい業務規制が課せられていたことから、日本では取組みが遅れていた面があった。しかし、昨日、金融庁の金融審議会で業務規制が緩和するという見通しが固まり、例えば、銀行グループによるITベンチャーの買収なども可能になると思うが、業務規制が緩和されることについて、佐藤会長の見解をお聞かせいただきたい。
(答)
 一言で申しあげれば、金融審議会における今回の議論の方向性については、大いに賛同したいと思っている。私自身、メンバーを務めている経済産業省の産業構造審議会において、AIやIoTの動きを日本経済としてどう受け止めるのかという重要な議論に参加しているが、金融界について考えてみても、様々な分野、例えば決済、インベストメントあるいはアドバイスといったような、金融のあらゆる面において異業種からの参入が進んでいる。2014年度だけを見ても、全世界でFinTech絡みの企業に投資された金額は122億ドルであり、一昨年の約3倍という大変な勢いで新しいビジネスが起こってきていると言われている。
 この流れに対して、私ども日本国内の金融機関が競争上追いついていかなくてはならない、あるいはそれをしっかりと受け止めて我々自身の成長モデルに繋げていかなくてはならないということは、もう待ったなしの状況であり、日本の金融当局もその動きをしっかりと正確に捉えておられるので、金融審議会における今回のような結論の方向になったのであろうと思う。
 今回の議論は、大きく分けると二つの流れがあると考えている。一つは、今指摘いただいた、いわゆるテクノロジーを使った新しい金融サービス、あるいは利便性の追求である。持株会社等を通じたテクノロジーの会社への出資を可能とすることにより、金融グループにこうした機能を付与していこうという流れである。
 もう一つは、例えば金融グループ内の共通・重複する事務等を一つにまとめて、持株会社が統括的・一元的にその業務を行い、その傘下の会社に対する共通のプラットフォームとしてサービスを提供することができるような枠組みを作り、金融グループの機能を強化しようという流れであり、これは金融グループの経営の効率化という観点から非常に重要な解決策を提起していると思う。昨今の欧米の金融機関は、業務粗利益が伸びないなか、当期利益をキープするために、経費構造の改革あるいはオペレーションの改革という意味で、「オペレーショナル・エクセレンス」と名付けている業務プロセスの改善に大きく取り組んでいる。そのようなことも今回の規制見直しのなかでしっかりと捉えられている。
 こうした二つの側面から、今回の議論の方向性には、大いに賛同したいと思っている。


(問)
 先ほどのお話にあったアメリカの利上げについて1点お願いしたい。国内の影響について中期的、将来的に考えて住宅販売、住宅ローン金利に影響を与えるのかどうかをお聞かせ願いたい。
(答)
 米国金利の上昇がダイレクトに日本国内の金利の上昇に繋がるということではないと考えており、短期的に考えれば、直接大きなインパクトとなって今回の米国での利上げが日本国内の住宅ローン金利に跳ね返るということはないと思う。
 ただし、中期的に見て、米国での利上げがリーマンショック以降の全世界における超金融緩和がその出口に差し掛かっていることを意味する、という考え方からすれば、ある程度の時間軸では日本もEUも、あるいは全ての国がいずれは出口に向かっていくということであろう。その過程で金利の上昇はいずれ起こるので、米国での利上げが今後どのようなかたちで行われ、またそれが米国経済にどのような影響を与えていくのかについて、日本経済への波及などの面からもしっかり見ていく必要がある。
 このような状況に鑑みると、日本もいずれは超金融緩和の時代から抜け出す時期が来なければならないということだと思う。ただし、繰り返しになるが、足元で米国の金利が25ベーシスポイント上がったから日本国内の住宅ローン金利がすぐさま上がる関係かといえば、そういうことではないだろうと思う。


(問)
 年明けから始まるマイナンバー制度について2点ほど伺いたい。1点目は、銀行界でも年明けから収集が本格化すると思うが、その収集に当たって留意すべき点について会長としてどのようにお考えか伺いたい。
(答)
 マイナンバーについては、いよいよ来年の1月から利用が開始される。実務面で申しあげると、マイナンバー、特に個人番号を含む特定個人情報の取扱いに当たっては、厳格な安全管理措置が義務付けられており、これは金融機関としては極めて重要な責務だと捉えている。全銀協としても、関係当局と連携しながら事務取扱や情報管理の通達などを整理して会員行に周知徹底するなど、準備を進めてきたところである。現在、各行では来年からこの制度が始まるに当たり、十分な準備が済んでいると理解しているが、今後も、万全な対応が必要だろうと思っている。
 来年1月のスタートを契機として、今後はマイナンバー制度をどう利活用していくのかという次のステージに入っていくということになると思うが、その観点で二つ申しあげる。
 一つ目はマイナンバーという番号そのものをどう利活用できるのか、あるいは利活用していくのかということである。個人番号について申しあげると、法律で利用目的が現在厳しく制限されているので、これをどう利活用していくか、将来的な観点からの議論がこれから真剣に進められていく必要があるだろう。その過程において金融界としても、我々自身の利活用のアイデア、あるいはそれに伴う事務やシステムのあり方といったものについて、大いに議論していきたいと思っている。
 一方で法人の番号については、これは政府からのデータベース提供などを含め、いくつも利用可能な分野があると認識していて、これについては、銀行界としても、あるいは個別行としてもアイデア出しをして利活用を進めていきたいと思っている。
 二つ目は、マイナンバーという番号そのものではなくて、併せて整備されていく個人番号カードや、あるいはマイナポータルといったサービスの利活用についてである。これも法律上でも民間での利用が可能とされている。ただ、これらを具体的にどう利活用していくかということについては、全銀協として何か特定の考え方をもっているわけではなく、今後、個別行が業務戦略において、どういう利活用をして、どういうサービスを提供するかということについて検討していくものと考えている。
 いずれにしても1月のスムーズなスタート、これが今の段階で銀行界に与えられた重要な責務だと認識している。


(問)
 利活用に関して何か具体的なイメージはあるのか。これまでの会見でも会長は活用に関して言及されていたと思うが。
(答)
 先ほど申しあげたように、個人番号については、現在、利用目的は税務関係等に限られている。したがって、利活用議論が進むかどうかはこれからであるが、仮に今後個人情報の問題などがクリアされ、個人番号が利活用可能になった場合ということで申しあげる。
 例えば、金融機関には、Eコマースや通信あるいは自動車の購入といった個々人の支払いデータが集まっている。こうしたデータの集積によるビッグデータの活用といったことが考えられるのではないか。従来は、こうしたデータを名寄せすることが非常に難しかったわけだが、仮に個人番号が一般的に使えるようになったとすれば、その個人がどういう生活パターンを持っていて、どういう趣向を持っていて、将来的にどういう行動を起こすかということが、データを一本化して処理することができるようになる。そうしたところにおいて、新しいビジネスが出てくる可能性はかなり高くなると思う。
 金融分野だけに限ってみても、そうしたビッグデータを使ったその人のためのカスタマイズされた金融サービスというものがおそらく出現するだろう。
 最大のポイントは個人のデータについてどれだけ利活用が許されるのかということだと思う。先ほど申しあげた産業構造審議会でも議論があったが、Aさん、Bさんという名前付きの個人のデータでは色々問題が生じる可能性があるので、Aさん、Bさんという名前をマスキングした個人、1番目の個人、2番目の個人というかたちであればデータが使えるというところまでは、諸外国の動きを見ていてもあり得るだろうと思う。その場合は、特定のAさんに対するカスタマイズされたサービスということはできないが、個人そのものではなくて、一括りにカテゴライズした「そういう人」の行動なり趣向なりに対してマッチした金融サービスを提供していくということは可能になってくる。
 いずれにしてもデータの利活用がどこまで許されるかによって、金融機関としてのビジネスチャンスは違ってくるが、その範囲はおそらく確実に広がっていくだろうと思う。将来的には、さきほどのFinTechの話と同じように大きな領域になってくると認識しているところである。


(問)
 ドル調達コストの上昇について、今日のFOMCの結果を踏まえて、調達コストの上昇がどれだけ続きそうか、という見通しや邦銀の海外ビジネス展開への影響について見解を伺いたい。
(答)
 足元、昨晩の米国での利上げの発表以降、それを理由にした金利コストの上昇が見られている訳ではない。最初のご質問にもお答えしたとおり、およそ25ベーシスポイントの利上げはすでに市場に織り込まれていた。ただ、前回の会見時にも申しあげた昨年の中頃から続いているドル調達コストの上昇トレンドは、おそらく今後もしばらくは続くのではないかと見ている。
 今後の世界経済の状況にもよるが、米国経済の一人勝ちがしばらく続いていくとすると、ドルに対する資金需要、結果的にはドル調達コストの上昇がこれからも続くので、日本の金融機関のみならず、欧州も含めて米国系でない金融機関のドル調達については従来よりコストがかかってくると思う。
 したがって、日本の金融機関にとって、海外業務はまだまだ伸びると思うが、そのコストを跳ね返すだけのビジネスモデルを作り上げていくことができるか否かが本格的な勝負所になってくるのではないか。
 おそらく、貸出でスプレッドで稼ぐというビジネスのあり方は、調達コストが上がり徐々に収益性が落ちてくる。よって、貸出だけに頼るのではなく、貸出を一つの切り口として、非金利収入、すなわち金利以外の収入やビジネスチャンスをどれだけ広げていけるのかが、日本の金融機関の海外業務の勝負の分かれ目になってくると思う。そのようなビジネスモデルを成功裏に展開できた金融機関だけが、引き続き海外業務を伸ばしていけるというフェーズに入っていくのだろう。


(問)
 政党への政治献金の件についてだが、経団連からの呼び掛けもあったと思うが、もう、そろそろ年末ということで、協会としてのスタンス、それから個別行としてどう対応するかという点について、お伺いしたい。
(答)
 前回もご質問をたくさんいただいたが、繰り返しの点も含めて申しあげると、全銀協として何か取りまとめを行うということはない。
 個別行としてどういう考え方でこの案件を検討するのかということについて申しあげると、私どもにとっての政治献金というものは、やはり我々自身の社会貢献に対する取組みの基本方針との関係で、その妥当性を判断しなければならないだろうと考えている。みずほとしての社会貢献への取組み方針はすでに規定しており、一部読み上げると、「自らの利益と社会の利益を調和させ、社会を支え社会とともに歩む『良き企業市民』として、社会貢献的責任を全うします」というものである。
 したがって、今回の政治献金を実施するか否かを決める一つのメルクマールは、この政治献金を仮に行うとした場合に、それが社会全体にとってプラスになるのか、そして、我々を取り巻くステークホルダー、例えば、我々の株主、お取引先、あるいは従業員の利益に合致するかどうかということがポイントになってくるだろう。
 そういう意味で、政治献金がこの日本経済の安定・発展に資するものであるかをしっかり検討し、同時に、我々みずほの社会貢献への取組み方針と合致するかをチェックしていく、ということになると思う。
 日本経済の安定・発展が、金融・資本市場の活性化につながるということは明白であると考えており、金融という産業の一翼を担っているみずほとしても、その観点が非常に重要であると考えている。
 時期について、みずほとしては、年内に実施するか否かを決める予定である。その際には今申しあげたように、この政治献金が社会貢献活動としてふさわしいものか、また、献金する相手が日本経済の安定・発展に資する施策あるいは政策をもっているかを十分に吟味したうえで決定する、ということになると考えている。