令和2年3月19日

髙島会長記者会見(三井住友銀行頭取)

岩本専務理事報告

(なし)

 

会長記者会見の模様


(問)
 3問お伺いする。今回で髙島会長は最後の会見になるが、この1年間の総括と新年度に引き継ぐべき課題について教えていただきたい。
(答)
 私は昨年4月に全銀協会長に就任したが、それ以降、新時代の経済・社会的課題の解決に貢献する1年という方針を掲げて活動してきた。改めて振り返ってみると、改元や10連休対応あるいはG20、それから金融審での議論、FATFの対日審査など、イベントの非常に多い1年であったというのが率直な感想である。それらを総括して一言で申しあげるのはなかなか難しいところであるが、令和初年度における社会的課題解決に貢献すべく真摯に取り組んできたつもりである。しかし、残念ながら、来年度に向けて課題を残したのもまた事実と言わざるを得ないと感じている。
 足元では、まさに新型コロナウイルス対応が喫緊の課題であり、来年度も引き続き最優先の課題になるわけであるし、そのほかにも課題は多岐にわたる。そのうち、主なものとして三つ、すなわちオープンAPI、それからESG・SDGs、そして三つ目、LIBORの後継金利問題、この3点について、私の課題認識についてお話ししたい。
 一つ目のオープンAPIについては、まずは本年5月の契約締結期限に向けて、各行が最後まで気を抜かずに取り組むことが重要である。そのうえで申しあげると、API接続は決してゴールではない、スタートであるということであり、Fintech企業の方々との協業、競争を通じて、最終的にはお客さまにどのような新たなバリューあるいはサービスを提供することができるのか、それこそが重要な課題であると思う。
 二つ目のESG・SDGsについては、特に気候変動リスク等の環境問題に対する取組みが課題となると思う。ご案内のとおり、欧州を中心に、まさに国家戦略の色合いが強まるなかにおいて、各国それぞれの経済政策あるいはエネルギー政策があり、また、それに対して銀行界としてもしっかりと貢献していく必要があることは論を俟たないところである。全銀協としても、TCFD提言への賛同、TCFDコンソーシアムへの参画などを通じて意識の醸成に努めているが、会員行の取組みの底上げがまさに課題となってこようかと考えている。加えて、本年度は高齢者対応、子どもの貧困問題などにも取り組んだが、これらも引き続き重要なテーマになろうかと考えている。
 三つ目のLIBORの後継金利問題については、2021年末と想定されている恒久的な公表停止までに、円滑に代替金利指標に切り替えていく必要がある。そのためにマイルストーンを設定のうえ、タイムラインをしっかりと作成し、官民一体となって検討を進めていくことが肝要である。顧客対応や内部管理、システム対応など、一つ一つ課題を解決していくことが重要である。こうした課題への対応において、次期会長となられる三菱UFJ銀行の三毛頭取には、しっかりとバトンを引き継いでいきたいと考えている。
(問)
 新型コロナウイルスの感染拡大に関連して、外出自粛による内需の落込みなど経済にも影響が出てきている。そうしたなかで、政府からも資金繰り支援を柔軟に行うよう要請が来ていると思うが、現状、金融機関側の対応に問題はないとお考えか。また、全銀協としてどう取引先を支援していくか、お考えをお聞きしたい。
(答)
 まずもって、今般の新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、感染された方々や不安と困難のなかにおられる方々に対して、心からお見舞いを申しあげる。
 ご指摘のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた国内外の経済への影響は、従前、少なくとも年初の段階の想定をはるかに上回る深刻な状況にある。
 昨年を振り返ってみると、わが国経済については、非製造業は比較的底堅く推移していた一方、米中の対立などの不透明感から、製造業を中心に弱い動きも見られていた。しかし、全体としては、雇用や消費に支えられていた面があったが、弱い動きが顕在化しつつあった状況であったと思う。
 そこに今回の新型コロナウイルスの影響が加わってくるわけだが、大きく三つの影響が出ていると思う。
 一つ目は、わが国製造業のグローバル・サプライチェーンへの影響、二つ目は海外との人の往来が事実上凍結されることによるインバウンド需要の落込み、三つ目は、外出やイベントなどの自粛に伴う国内需要の落込みである。
 特に、インバウンドや国内需要の落込みが長期化し、雇用にまで波及してくることになると、わが国経済の底が抜けるような事態にもなりかねない。
 そのため、今後、公表されるデータが相当程度悪化すること、および、それがかなりの期間続く可能性があることを想定しておく必要があると思う。かかる認識の下、お客さまの資金繰り支援の取組みについてであるが、そもそも銀行は、政府の要請の有無にかかわらず、金融仲介機能を発揮していくことが社会的使命であり、現下のような緊急時においては、なおさらである。会員各行ともに最優先のテーマとして取り組んでいるところである。
 全銀協としては、政府や金融庁からの要請もしっかりと踏まえ、自らの責務を再確認し、主体的な取組みを促すため、3月12日付で会員行で申合せを行った。そのなかでは、お客さまからの緊急相談窓口を設置するなどして、主体的かつ丁寧に実態の把握に努めつつ、セーフティネット貸付や各行が独自に設定している緊急融資制度を活用して、新規借入や既存借入の条件変更のニーズに対して、迅速かつ丁寧に、柔軟に対応していくことについて申し合わせた。
 他方、お客さまからご覧になると、あまりに急激に事態が動いていることもあり、「まだまだ不十分ではないか」、「もっとスピード感を持って対応してほしい」と感じられる場面もあるかもしれない。先日も、麻生大臣から、直接ご指導いただき、改めて真摯に受け止めているところである。
 全銀協としても、まさに危機対応との認識の下、各行がお客さまに寄り添い、最大限の支援を行えるように、好事例を共有するなどして、しっかりとサポートして参りたい。
(問)
 最後に、これもコロナに関連してだが、マーケットが大きく荒れている。直近でもニューヨークダウで2万ドル割れや原油価格の急落、債券市場からも資金引揚げの動きが出ている。政策保有株などを通じて銀行財務への影響と金融システム全体に与える影響についてお考えを教えていただきたい。
(答)
 まず、マーケットの混乱が銀行業績に及ぼす影響についてだが、大きく二つ。すなわち、一つは株式や国債などの有価証券の価格変動に起因する直接的な影響、それから、二つ目に、一気に需要がなくなること、あるいはサプライチェーンの混乱や原油等のコモディディ価格の変動を受けたお客さまの業績、業況に起因する間接的な影響の二つが考えられる。
 足元、3月決算という意味においては、一つ目の価格変動に起因する直接的な影響がより大きく出てくると考えられる。ただし、この部分は各行の運用方針やポジションによるところがあり、一概に論ずることはできない。円高や株価の下落と、昨年度末と比べると金利が低下していることに伴う債券価格の上昇の双方が想定される。足元は、債券も含めて売られているところもある。
 他方、より長い目で見たときの業績影響で言うと、二つ目のお客さまの業績・業況に起因する間接的な影響のほうがより大きく出てくるのではないかと思われる。端的に申しあげると、銀行にとってのクレジットコストの上昇かと思う。例えば、一昨日、原油価格が17年ぶりの安値になったが、この安値水準が続くことになると、エネルギーセクターを中心に一定規模の与信関係費用が発生することを想定しておく必要が出てくる。
 そのうえで、改めて金融システム全体について見てみると、今回の新型コロナウイルスの影響で金融機関自身が大きく傷んでいるわけでないことも事実である。確かに、足元のマーケットの混乱ぶりを見ていると、リーマン・ショックを彷彿とさせるものがあるが、リーマン・ショックのときのようにマーケットが壊れている、機能しなくなっているというわけでは必ずしもない。足元では、国債や金からも資金を引き揚げる動きも見られ、投資家や企業が手元の資金繰りのために売らざるを得なくなっているという側面もあるかもしれないが、安全資産の選別が進んでいるという面もあろう。
 また、昨年10月に公表されている日本銀行の金融システムレポートにおいても、わが国の金融システム全体としては安定性を維持しており、金融機関はリーマン・ショックのときのようなテール・イベントの発生に際して、資本、流動性の両面で相応の耐性を備えていると評価されており、直ちにわが国の金融システムが損なわれるような虞はないだろうと考えている。
 したがって、重要なことは、マーケットに対して流動性の危機が生じないことを示すことであり、日本銀行による先日の企業金融支援特別オペあるいは6か国の中央銀行の連携によるドル資金供給の拡充などの枠組みも有効に活用しつつ、銀行界としてお客さまの資金繰り支援を含め十分な資金供給に努めていくことが最も大事であるということで、努力して参りたいと考えている。


(問)
 2点ある。1点目は3月16日に日本銀行が臨時で前倒しの決定会合を行って、3年半ぶりの追加緩和を決定した。まずこの受止めを教えていただきたい。2点目は、各国の中央銀行が協調して利下げや資金供給を行っても、足元のマーケットは混乱が続いている。金融政策のみの対応には限界論も出てきているが、この点についてどのようにお考えになっているか。
(答)
 まず、先日の臨時の日本銀行の決定会合に関しての受止めについて申しあげる。いつも申しあげていることであるが、金融政策は全銀協としてコメントする立場になく、日本銀行の専管事項であるため、あくまで個人の意見として申しあげる。
 今週月曜日に急遽開催された金融政策決定会合において、ETFやJ-REITなどの資産購入拡充と新たな企業金融支援特別オペの導入などが決定された。これは金融の円滑確保に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持し、企業や家計のコンフィデンス悪化を防止する目的で実施されたものである。マーケットがリーマン・ショック以来のボラティリティの上昇に見舞われているなかでの措置であり、率直に歓迎したい。
 特に、企業金融支援特別オペについては有効な施策であると感じている。最長1年間の資金を金利ゼロ%で提供されるということであり、銀行としても非常に使いやすいファシリティと言える。
 また同時に、各国中銀の協調により、米ドルの資金供給の枠組みが強化されたことも極めて有効であり、特に期間が1週間のファシリティが3ヶ月に延長されたことは、銀行のドルの資金繰りの観点からも非常に効果が大きい。各行とも平時の外貨の流動性については極力中銀のファシリティに依存しない運営に努めているわけであるが、足元の状況に鑑みると、むしろ積極的に活用し、その効果をお客さまの資金ニーズ、米ドルの資金ニーズに還元していくということが重要だろうと思っている。
 もちろん、金融政策のみでは新型コロナウイルス感染拡大の実体経済への悪影響に対する特効薬とはなり得ないし、それゆえに足元のマーケットのボラティリティが直ちに抑制できるとは限らないというのも事実かと思う。
 しかしながら、市場参加者の不安感を鎮めるとともに、金融面での目詰まりを回避するという観点からは極めて重要な意義があると思う。
 我々銀行界としても、日本銀行の政策意図を踏まえつつ、その枠組みをしっかりと活用させていただいて、お客さまの資金繰りを全力でサポートして参りたい。それが結果的には実体経済を下支えし、マーケットの安定化につながっていくであろうと考えているところである。
(問)
 石炭火力発電所の融資についてJBICの前田総裁が2月に、ダイベストメントは、レピュテーションは上がるかもしれないが、脱炭素社会への解決策にはならない、自分の庭先を掃いているだけだという見解を示したほか、JBICが関わる案件には参加するという金融機関に対し、ある意味責任を押し付けられているとの発言をした。この2点についての受止めを伺いたい。
(答)
 前田総裁の個別の発言についてコメントするのは、差し控えさせていただきたい。
 そのうえで、今指摘しておられたダイベストメント、要は化石燃料への投資から撤退していくことについて、個人的な考えを申しあげると、私も、ダイベストメントによって化石燃料依存を根本的に解決することができるとは考えていない。私も発起人の一人となっているTCFDコンソーシアムなどの場においても、この点がたびたび議論されているが、金融機関はダイベストメントではなく、むしろエンゲージメントを通じて企業の変化を後押しするということが重要であるとの認識が共有されつつある。すなわち、新たな技術開発も含め、ブラウンな案件をいかにグリーンな案件に変えていくか、そのトランジションをいかにサポートしていくかということが金融機関にとっては重要であると思う。
 ダボス会議などの際に世界の金融実務者の会合があるが、そういう場においてもエネルギーダイベストメントではなく、長期間にわたるエネルギートランジションをいかにマネージしていくかということを官民で協力し合って考えていくということが重要だという議論が行われている。個別の融資ポリシーはあくまで各行の経営判断にもとづく自主的な取組みとなるが、エネルギー基本計画をはじめとする本邦のエネルギー環境政策・方針と国際的な議論の進展の双方に意を配りながら、銀行業界全体が歩みを止めずに考え続けることが肝要ではなかろうかと思う。


(問)
 2点ある。一つは、改正犯罪収益移転防止法に伴う本人確認の厳格化について、同法施行規則改正により、4月1日から非対面の本人確認方法が厳格化される。非対面の口座開設をする際、郵送する本人確認書類が増えるなど、利用者にとっては若干の負担増につながるが、銀行界としてどのように利用者に理解を求めていく考えか。また、これに関連して、郵送ではなくオンラインで本人確認を済ませるe-KYCを導入する銀行も増えている。本人確認でこのような新しい仕組みを採用する利点や課題についても聞きたい。
(答)
 ご指摘のとおり、4月から非対面の本人確認が厳格化されることになる。改正前は、顔写真付きでない本人確認書類の写し1点のみの送付が認められていたわけだが、改正後は追加の書類の送付などが必要となってくる。
 一般的に、非対面取引というのは本人確認書類の偽造やなりすましが容易に行われるので、マネロンリスクが高いと言われており、本改正はそのリスクを低減するために手続を厳格化したものと理解している。
 各行においては、この改正にもとづいて、非対面の本人確認手続を見直すことになるが、ご指摘のとおり、お客さまのご負担が増すことにつながるので、各行において、改正の趣旨も含めて、お客さまに丁寧に説明していく必要がある。全銀協としても、マネロン対策全般について、チラシの作成や広報活動を行うなどして、お客さまのご理解を得るように努めている。
 他方、オンラインで本人確認を完結するe-KYCは、導入時に各行で一定のシステム費用等の負担が発生する課題はあると思うが、お客さまにとっては簡便かつ迅速に手続ができるという利便性の向上が見込まれるほか、金融機関にとっても事務コスト低減や本人確認のシステム化によるミスの低減というメリットがある。今後、各行での導入が広がるものと考えている。
(問)
 先ほど話があった気候変動リスクに関してだが、バーゼル規制に関連して、今年1月にBISなどが連名で公表したいわゆる「グリーンスワン・レポート」のなかで、気候変動リスクを自己資本比率規制に反映させる議論の紹介があった。このレポートでは、いわゆるブラウンセクターへの融資のリスクウェイトを引き上げるといったやり方について慎重な見解を示しているが、EUの銀行監督当局は期限を設けてリスクウェイト調整の可否について議論を進めていく考えだ。会長は、この議論についてどのように受け止めているか。今後このような議論が進んでいく際に、邦銀としてどのような意見を発信していくべきと考えているか伺いたい。
(答)
 まず、申しあげたいのは、銀行の自己資本はリスクに対して保持すべきものであり、当然、自己資本比率規制は、銀行が抱えているリスクを適切に反映するものでなければならないということ。
 その観点では、このEUの議論には大きく二つの課題があるだろうと思う。一つ目は、グリーンとブラウンを本当に明確に区別できるのかということ、二つ目は、ブラウンセクターのリスクを適切に計測するためのデータが本当に揃っているのかということかと思う。
 私どもとしては、こうした課題が未解決のなかで拙速にリスクウェイトを引き上げることは、銀行経営、ひいてはお客さまの経済活動に歪みを生じさせかねないということを懸念するところである。
 まずは、TCFD提言に則って、金融機関、事業法人双方による気候変動関連の情報開示を拡充して、リスク分析のためのデータ整備とその開示を促すことが先決ではないかと考えている。
 実際に全銀協としても、TCFD提言への賛同やTCFDコンソーシアムへの参加などを通じて、気候変動リスクの開示に向けた会員行の意識の醸成や、具体的な取組みの後押しに努めているところである。今後は、気候変動リスクの分析手法などの分野においても検討を深めていきたいと考えている。


(問)
 2点ある。1点目がコロナ関連で、先ほど危機対応について、それは社会的責務だと言われた。一方で、民間の金融機関としては株主などもいるなかで、この条件変更の対応等によって生じる不良債権増大のリスクをどう捉えているのか。また、一部の地域金融機関では業績があまり芳しくないなかで、そういったリスクを抱えてしまうことのバランスについても一言コメントをいただきたい。
 加えて、これはコロナ関連ではないが、2月の市場ワーキング・グループで高齢化社会への対応ということが議論された。改めて、高齢化社会や認知症患者の増大などに対する銀行の現場での苦労や問題点などがあれば、お聞かせいただきたい。併せて、全銀協の方で何かその取組みについて進めていることがあればご紹介いただきたい。
(答)
 最初は、新型コロナウイルスに関連する条件変更等の対応と不良債権関連の質問だったと思う。まず、条件変更を行う融資先というのは、すでにお取引をいただいているお客さまである。即ち、私ども銀行がその事業内容や従前の業績などをヒストリカルに把握をしているお客さまなので、条件変更を行うことがお客さまのためになるかは、取引銀行がまさに一番理解しているはずである。
 次に、金融機関サイドから見ても、貸出の原資がお客さまの預金であることを踏まえると、しっかりとご返済をいただくことが最大のポイントであり、条件変更等の対応は、そのための有効な手段である。まさに各行が今の経済状況を踏まえながら、自らの取引先の状況を見極めて対応していくことになる。
 なお、不良債権の増加の懸念からの質問であったが、今般、金融検査マニュアルが廃止されたことに伴い、条件緩和がイコール不良債権という形式的な取扱いではなくなっているということも踏まえる必要がある。こうしたことも各行が柔軟に判断できる助けになっているのではないかと考える。
 ちなみに、これまでも申しあげてきたが、地域金融機関については、直近の決算における不良債権比率は依然として低位にとどまっており、各行とも相応の自己資本を備えている。仮に不良債権が一定程度増加したとしても、すぐさま金融仲介機能が阻害されるという状況ではないと考えている。
 それから、二つ目の高齢化社会関連の取組みについて、認知症のお客さまへの対応という観点でお答えさせていただく。
 全銀協では、昨年、認知症のお客さまへの対応に関する会員向けのアンケートを行ったが、その結果を見てみると、課題は大きく二つあると考えている。
 一つは、お客さまの認知判断能力をいかに判定するのかということである。現在は、銀行員が面談を通じて、お客さまの言動から判断しているが、銀行員は必ずしも認知症の専門家というわけではなく、また、学術的に確立された基準があるというものでもない。したがって、複数で、上司も含めて面談するなど、各行で試行錯誤しているというのが実態である。
 もう一つの課題は、認知判断能力が低下・喪失した後に、ご本人や代理の方からの取引の申し出が、本当にご本人のためになる申し出であるのかどうか、それをどう確認をするのかという点である。これについては、法的に担保された成年後見制度の活用というのが第一であり、各行とも制度の紹介と利用を促しているが、成年後見人からのお申し出がない場合の対応については、非常に苦慮している。
 このような課題認識の下、全銀協では、昨年10月に「高齢社会対応等検討部会」を設置して、認知症のお客さまに対する窓口での対応や、地域包括支援センターなどの地域社会との連携において参考となる取組みを行っている銀行の具体的な事例の共有などを行ってきた。
 引き続き、非常に大きな課題であるので、銀行界としても取組みの底上げを図って参りたい。


(問)
 在宅勤務について伺う。ちなみに、弊社も在宅勤務が始まっており、私の場合、家庭にも職場にも仕事は持ち込まないので、結局どこでも仕事をしていない。
 事業会社では接客する従業員の方々を除いて、本社部門ではかなりの人数の方をいきなり在宅勤務にされているわけだが、なかなか銀行界ではそれほど進んでいないようにお見受けするが、何か銀行界ならではの、いわゆるシステム的、物理的、制度的、それから規制的な要因から在宅勤務が進まない理由があるのかというのを1問お聞きしたい。
 もう1問は規制緩和について。前回の会見でもお話しされていたが、改めて銀行界として具体的に規制緩和してほしいことを伺いたい。
(答)
 銀行が、在宅勤務について非常に特殊な制約があるとは必ずしも思っていない。その例として、SMBCの個別行の現状についてご紹介させていただくと、従前から在宅勤務環境の整備を積極的に進めてきており、例えば社内規程など、ソフト面では整理を進めてきた。それから、ハード面として、セキュリティポリシーの観点からリモートアクセス専用の端末を2,500台用意して配布済みである。
 そして、今般、さらに4,000台の端末を追加で配備するということを決めているため、端末の数は在宅勤務の主な対象となる本部の基幹職4,500名を大きく上回る水準に持っていこうと、今準備しているところである。
 在宅勤務については、今申しあげたように、ハード面での投資が必要であったり、あるいは社内規程や一部イントラを使った決裁などルールに関係する部分など、その辺の両面の整備が必要となってくるため、その整備状況は会員各行さまざまなステージにあるというのが実態であろうと思う。
 銀行特有の事情として、お客さまに関連するデータを扱うことを前提に、特に情報管理、セキュリティ面に万全を期すことが必要であるということはあるが、在宅勤務が制約される類いのものではないと考えている。
 銀行界としても、かねてからいわゆる働き方改革に取り組んでいるなかにおいて、柔軟な働き方を通じて、従業員のエンゲージメント向上に資するという観点からも、在宅勤務は重要な手段の一つだろうと考えている。
 加えて、まさに足元のコロナウイルス対策という観点から、業務継続性の確保、あるいは感染拡大の防止といった効果も期待できるので、これを機会に、より積極的に使えるようなかたちにしていきたいと考えているところである。
 なお、家庭生活については色々な事情があろうかと思うが、体制としてはしっかりと整備をしてきたいと考えている。
 二つ目の規制緩和要望について。私ども銀行がお客さま、ひいては日本の発展・成長に貢献できる分野は、多岐にわたるが、規制緩和を考えるときには、大きく三つの切り口があろうと思っている。
 まず一つ目は、産業の発展、成長を支える黒子として銀行がお客さまのお手伝いをするための規制緩和という切り口。これは例えば、企業の再編、改革に必要となってくるリスクマネーを供給するための5%ルールの緩和。地方再生等に関する特定の出資については緩和されたが、より一般的な企業再生に関する緩和。また、ベンチャーと大企業の資本提携をサポートするための投資勧誘ルールの見直し、あるいは取引先の人材不足に対する人材派遣業、これは現実にいろんなニーズが、特に地方に行くとある。例えばこうした観点が一つの切り口ではないかと思う。
 二つ目は、デジタル時代の新たな成長産業の創造につながるような規制緩和という視点。例えば銀行グループによる新事業の創造を可能にする観点では、現在、銀行業高度化等会社が金融庁の認可を条件に枠組みとして認められているが、その認可要件の見直しを通じた、例えばキャッシュレス等の決済ビジネスの高度化や、金融ビジネスと非金融、特に例えば広告ビジネスとの融合、さらには自行で開発したさまざまなソフトウエア、システムの他行やお客さまへの販売、提供などが考えられる。
 最後に三つ目、まさに金融業そのもの、すなわち本業の成長をさらに後押しするための規制緩和という視点もあるのではないかと思う。例えば、現在、日本で銀行法上定められているいわゆる業務範囲規制。これは例えば、我々が海外支店で業務を行っている部分については、日本の業務範囲規制が域外適用される。それを免除し、現地で認められるものと同等の業務を追加で行えるようにすることにより、例えばアジアを中心にした現地の成長をより取り込んでいくことを可能にすること。あるいはファイアーウォール規制など、日本固有のルールを廃止することにより、海外の金融機関をより日本で活動ができるように呼び込んでいくということも考えられるのではないかと思う。
 足元の私ども銀行に対するお客さまのご要望は、実に多様化、高度化してきていると実感をしているところである。個々の規制緩和だけではなく、ぜひより大きな視点から業務範囲規制、業務制約などの規制のあり方を抜本的に見直すことを検討いただきたいと考えている。


(問)
 2点お願いしたい。またコロナウイルスで恐縮だが、コロナウイルスに端を発した景気悪化への懸念から、政府が現金給付を含めた経済対策の策定を今、検討しているが、この経済効果をどう見られているか。あるいは何か要望等々があれば教えていただきたい。
(答)
 経済対策についてだが、現在、例えば現金給付による家計支援を検討している等、報道ベースで承知しているが、まだ正式に発表されているものではなく、具体的な内容は分からない段階なので、コメントは現時点では差し控えさせていただきたい。
 一般論として申しあげると、現金給付は、過去に同様の措置を、これはリーマン・ショックのときだったと思うが、実施した際にも一定の効果があったと認識しており、今回も消費の下支えであるとか、あるいは生活防衛という観点からも有効な施策ではないかと思う。
(問)
 年度末まで2週間を切った。銀行は、政策保有株やインデックス投信など、さまざまな金融商品を保有している。各行のポジションにもよるので一概には言えないと思うが、足元のマーケットの状況に照らして、決算に与える影響、特に減損リスクについて、どう見られているのか教えていただきたい。
(答)
 おっしゃるとおり、各行の投資のポートフォリオ、あるいはポジションは区々であるので、全銀協会長としてコメントするのは差し控えさせていただく。一般論として申しあげれば、足元の日経平均株価などを見ても、この2ヶ月で約30%急落していることもあるし、あと2週間だが、年度末までに市況が改善しないと、一定程度の減損が生じるのも避けられないだろうと思う。また、足元は、これも先ほど同じことを申しあげたが、債券も含めて全資産売りの様相を呈しているところがあるが、昨年度末対比で見ると債券価格は上昇し、金利は下がっているので、金融機関が保有する債券が含み益を抱えている場合もあるのではないかと思っている。その場合、例えば円高の悪影響、あるいは株価下落に起因するマイナス影響は一定程度相殺されることになる。また、さまざまな金融商品ということで、邦銀だと、よくCLOの話が出るが、昨年10月、日本銀行が公表した金融システムレポートにおいて、邦銀が保有するCLOについてリーマン危機当時よりも厳しい条件でストレステストを実施し、信用リスク面での頑健性は相応に高いと評価されている。現実に邦銀が保有しているCLOのほとんどは、いわゆるトリプルAの格付のものであって、現状影響は、相対的には軽微なものにとどまっている。しかしながら、まさに今のネガティブな環境が続くことを考えると、格付が低いものを中心に、プライシングに影響が出てくるということになろうかと思う。先行きについては、当面慎重に見ていく必要があろうと思っている。


(問)
 政府系金融機関を通じた運転資金融資などのメニューが拡充された。かねてから政府系による民業圧迫に対して、民間として警戒感を持たれてきたと思う。政府系と民間の関係、あり方についてどのように考えられているかというのが、まず1点。
 もう1点。いろいろな銀行にとっての取引先である企業の営業自粛とか売上げの低迷や年度末の事情も相まって、資金繰りがかなり急速に悪化して緊急性が高まっていると思うが、審査などのプロセスの短縮だとか、現行のオペレーション上の短縮に向けた工夫があれば教えてほしい。
(答)
 最初の政府系金融機関との関係ということについて、私どもはかねてから政策金融のあり方について、民間にできることは民間に委ねるという民業補完が原則であると主張をしてきており、この姿勢は何ら変わるところはない。
 他方で、災害や経済危機など、民間の金融機関のみでは適切な対応が困難な局面においては、政府系金融機関にセーフティーネットとしての役割が期待されていると理解している。
 3月10日に政府が公表した新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策の第2弾のなかで、事業者の資金繰り対策等に万全を期すため、日本政策金融公庫などを通じて総額1.6兆円規模の金融措置を講ずることとされた。本対応策は、新型コロナウイルス感染症の影響が急速に拡大しているという、危機的な事態に対応するための緊急的な措置と捉えている。
 近年、民間の金融機関および政府系金融機関は、定期的に意見交換を丹念に行うなど、円滑な連携、協調を実現するために努力をしてきた。今回の感染症対策においても、銀行界として各政策金融機関と協力し、事業者の方々の支援にしっかりと取り組むことが今の状況ではより重要だと考えている。
 そして、二つ目。融資の迅速化等についての工夫についての質問だったと思う。
 金融仲介機能の発揮という社会的・公共的使命を担っている銀行として、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、経営環境の急速な変化によって短期の資金繰りに影響が生じている事業者に対し、スピーディーな支援を行っていくことは極めて重要だと認識しているのは、先ほど来お話をしているとおりである。
 例えば、私どもSMBCの例で申しあげると、まずもって、平時より、中小企業向けの貸出業務において、営業店のスピーディーな対応ができるように体制を整備してきていたわけであるが、今般の新型コロナウイルスの影響拡大を踏まえて、改めて営業店に対して、お客さまからのお申し出に対しては丁寧に対応し、迅速に回答するよう周知徹底をしているところである。
 また同時に、お客さまと営業店の折衝状況をCRMというシステムを通じて本部でも随時把握をしており、営業店と本部が速やかに対応方針について協議をするという枠組みをより強化して、スピーディーに対応ができるように努力しているところである。
 さらに、金利などの貸出条件に関して一定の条件を適用する場合、従来本部の決裁だったものを営業店の決裁に変更するということを、足元、今週から一部開始し、さらに4月に入ってからも内容を拡大しようということを決めている。足元の状況をよく見て、柔軟により早く意思決定をしてお客さまに回答ができるように、継続的な努力をしているということである。


(問)
 東京オリンピックの延期ないし中止の案がにわかに浮上してきているが、延期ないし中止になった場合の経済的な影響はどのように見ているか伺いたい。
(答)
 東京オリンピック・パラリンピックの延期や中止についてさまざまな報道がなされていたり、一部、経済損失の試算を出している方もいることは認識しているが、IOCも現時点では予定どおり開催すると表明しているうえ、政府や東京都も延期や中止についてコメントしているわけではないので、現時点で、全銀協として、仮の話のインパクトについてコメントするのは適切ではないだろうと思う。
 今はまさに国を挙げて感染拡大を抑止して、収束に向けて最注力しているという時期であり、その経済影響も最小にすべく各種施策が打ち出されている。我々銀行界としては、まずは年度末の資金繰り支援を筆頭に、お客さまに寄り添った対応を行うことで貢献したい。経済インパクトを計算して発表するよりは、そちらのほうが大事だろうと考えている。


(問)
 冒頭で課題として挙げられたLIBORについてお尋ねする。LIBORから違う金利にフォールバックする際にスプレッド調整を行う必要があると思うが、スプレッド調整についてイギリスやアメリカではすでに市中協議が開始されているが、日本では検討が進んでいない。日本の対応は海外に比べて遅れている印象だが、これについてどのように受け止めているか。また、そもそもスプレッド調整の検討は誰が主体的に進めるべき話なのか。
 もう一つは、これから銀行とお客さまとの間で移行とかフォールバックに関する折衝を開始するわけだが、去年、検討委員会がアンケートを実施した結果、最も人気を集めたものはターム物リスク・フリー・レートだった。ただ、ターム物リスク・フリー・レートは現在存在しない金利なので、フォールバック契約を行う際に、存在しない金利を選定することはそもそも可能なのか。存在しない金利が人気を集めてしまったことが、顧客対応が進んでいないことにつながっているのではないかと思うが、その辺りはいかがか。
(答)
 最初の質問についてだが、LIBORとその代替金利指標の間の差異を調整するスプレッド調整については、確かに海外での議論が先行している面は否定できないかと思う。まず、ご承知のとおり、デリバティブに関しては、ISDA(スワップ・デリバティブズ協会)による市中協議の結果、LIBORから代替金利指標への移行時のスプレッド調整に関しては、過去5年間の中央値を用いて調整することが決定されている。これがグローバルに適用される統一的な手法になるということは言えると思う。かたや、貸出や債券等、いわゆるキャッシュ商品についても、海外でまさに市中協議が行われているのはご指摘のとおりであり、具体的には、昨年12月に英国のUKリスク・フリー・レートワーキング・グループが、英ポンドLIBORに係るスプレッド調整に関する市中協議を開始している。米国でも、本年1月、いわゆるARRC(代替参照金利検討委員会)が、米ドルLIBORに関して同様の市中協議を開始している。ただ、開始はされているが、まだいずれも結論を出すには至っていないところである。
 わが国においては、日本銀行が事務局を務める「日本円金利指標に関する検討委員会」において、海外の動向も踏まえつつ、今後議論される見込みと聞いている。本件はまさに金融機関とお客さまの損益に直結する論点であるので、事業法人を含む幅広い関係者が参加する検討委員会の場でしっかりと議論されることが重要だと考えており、そこに我々も積極的に参画していきたい。
 LIBORに関する二つ目の、ターム物リスク・フリー・レートに関する質問だが、LIBORから代替金利指標へ移行する契約は、契約当事者間の合意事項なので、現在存在していなくとも、今後整備されることが見込めるという金利をベースにして、後継金利として指定すること自体は、契約上は問題ないものと理解している。もっとも、実際に移行する際、まだ金利が存在していないままであれば、金利が決まらないことになってしまう。こういう事態を回避するために、米ARRCが昨年5月、相対貸出に係る後継金利の選定に関して、いわゆるフォールバック条項の推奨文言を公表している。具体的には、予め契約当事者間で複数の代替金利指標に優先順位を付けて、LIBORが公表停止になった際に、利用可能な金利指標をその優先順位にもとづいて決めていくという仕組み、これをウオーターフォール方式と呼んでいるが、これが推奨されている。現在、「日本円金利指標に関する検討委員会」においても同様の仕組みが検討されているところであり、国内においても、すでにこのARRCのフォールバック条項を参考にした事例での約定が出始めていることも承知をしているところである。基本的に契約当事者の合意によって、自由に契約文言が決められるという枠組みはそのとおりだが、こうした海外の事例もしっかりと参考にしつつ検討をしていくことになると考えている。
 LIBOR問題は、ターム物リスク・フリー・レートの構築を含めて不確定要素が多いのも確かだが、それらが全て解消されないとほかのことが決められないというのでは、最終対応が間に合わなくなることが懸念されるわけであり、こうした点を踏まえて、銀行としても可能な限りフォワードルッキングに、早い段階でお客さまとの対話を始める必要があると認識しているところである。


(問)
 コロナについては、直ちに金融仲介システムに影響を与える事態にはなっていないと何度かおっしゃっていると思うが、とはいえ、地銀等のなかには経営状況が厳しいところもあると思う。実際、金融仲介機能に影響が出てくる可能性や、危機感については、どう見ているか。
(答)
 足元の状況を踏まえると、現段階で銀行の健全性や金融仲介機能に直ちに大きな影響を与える事態になっているとは考えていない。むしろ我々は、実体経済および企業活動への影響が徐々に顕在化し始めるなか、銀行の使命である金融仲介機能を一段と強化し、お客さまへの資金支援に努めていくことが一番大切だと考えている。
 もちろん、信用コストへの影響については、いろいろなかたちで銀行経営にとってしっかりと見ていくべき話であるが、問題が収束するまでの期間、あるいは経済への影響度合いに依存する部分が大きいところなので、現時点でなかなか全貌をはかり難いのも実態である。もっとも、現時点で大幅に、この期末にかけて信用コストの面で悪化しているということでもないと思われる。また、マーケットリスクについては、当然のことながら、より直接に期末の決算に影響が出てくるという面は否定できないが、それぞれの銀行のポジション、あるいはポートフォリオは区々にわたる。
 また、これも何回も同じことを申しあげているが、地域金融機関においては、直近の決算をご覧になると分かると思うが、歴史的に見ても不良債権比率は依然として低位に留まっている。かつての危機、日本の90年代の後半、あるいはリーマン・ショック直後等を考えてみても、自己資本の備えは相応に高まっている。したがって、冒頭申しあげたとおり、今、金融の仲介機能が大きく懸念されるほどの状況ではないということは確かであろう。もっとも、先ほども申しあげたとおり、新型コロナウイルスの問題が、今後どういうかたちで収束に向かうのか、その長期化の度合いによって影響度合いも大きく変わってくるので、今のパンデミックの状況については、しっかりと引き続き見ていく必要がある。


(問)
 最後、改めてになるが、この1年間ご対応いただきありがとうございました。最後に、会長から一言コメントがあればいただきたい。
(答)
 ありがとうございます。本当にこの1年、全銀協の会長を務めるに当たり、ここにお集まりの皆さまは特にそうだが、各方面の皆さまから本当に多大なるご支援を頂戴した。こうして最後の会見をフェース・トゥ・フェースでさせていただくということ自体、皆さまのおかげであり、この場をお借りして厚く御礼申しあげたいと思う。
 一言申しあげると、任期を終えるに当たり改めて思うのは、銀行を取り巻く環境は、引き続き非常に厳しいということである。足元は、先ほど質疑にあったとおり、新型コロナウイルス対策という危機対応がまさに社会的な、社会共通の課題になっているわけだが、そのコロナ危機が去った後も、国内においては、やはり引き続き少子高齢化の進展や、超低金利環境などの課題は残るわけである。また、世界を見ても、引き続き米中の覇権争いは続く。また、Brexit後のイギリス、EUの関係がどうなるのか、あるいは中東をはじめとする地政学リスクの不透明感、不確実性が残る。
 こうした状況を踏まえると、来年度は世界にとって、あるいはわが国にとっても、持続的な成長を今後も長く作っていけるかどうかという観点では、非常に重要な1年になるのではないかと思う。
 そうしたなかで、来月から三菱UFJ銀行の三毛頭取が会長に就任されるわけである。三毛頭取は、アメリカ時代からよく存じあげているし、本当に心から信頼申しあげている方である。その人格、見識ともに極めてすぐれた方であることを私はよく知っており、全銀協会長として卓越したリーダーシップを発揮していただけると確信しているところである。
 ぜひ三毛新会長に対しても、私が皆さまからいただいたご協力、ご支援を心からお願いしたいと思う。それをもって、私からのお礼の挨拶とさせていただきたいと思う。この1年間、本当にお世話になりました。ありがとうございました。