令和2年6月18日

三毛会長記者会見(三菱UFJ銀行頭取)

岩本専務理事報告

(なし)

 

会長記者会見の模様

 


(問)
 3問お伺いしたい。1点目は、緊急事態宣言が解除され、経済も再開に向けて動き出した状況であるが、先行きを含めて景気認識を聞かせてほしい。
(答)
 日本経済は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、ある意味戦後最大の経済危機とも言われるほど、非常に厳しい状況にあると認識している。感染そのものは、当初、1月から2月にかけては中国が中心となっていたが、2月末以降、欧米やわが国でも感染が拡大し、感染者が急増する、言わば世界規模の公衆衛生危機になった。各国ではこうした感染の拡大を抑止するために各種経済活動の制限措置を導入し、これが未曽有の世界的な経済危機へ発展したと思う。
 わが国では、2月末からイベントの自粛や個人の外出自粛が始まり、4月に入ると感染が一段と拡大して緊急事態宣言が発令される展開になった。内需では、サービス消費を中心に個人消費が大幅に縮小し、企業生産の落込みとともに、先行き不透明感等を背景に、設備投資の先送りや見直しといった動きが出てきた。外需では、これまではインバウンドを進めてきたが、諸外国の渡航制限、本邦での検疫強化を受けて、訪日外国人数がほぼいなくなると言える水準まで減少したほか、海外経済の失速を受けて輸出も大幅に減少している状況である。実質GDPの成長率で申しあげると、1ー3月期に2四半期連続のマイナスを記録したが、4ー6月期も3四半期連続、かつ1ー3月期を上回る大幅なマイナス成長が見込まれている。
 4月末から、海外では公衆衛生措置の緩和が始まり、本邦でも5月下旬には全国で緊急事態宣言が解除されるなど、国内外で経済活動再開の動きが見られていることから、経済活動の水準はこの4、5月をボトムとして年後半から回復に向かうと考えられる。雇用維持や資金繰り支援、給付金の支給等を柱とする今年度の補正予算の執行が進むなかで、経済を下支えすることも期待される。
 ただ、この公衆衛生措置の緩和が段階的に進んでいることや、新しい生活様式の下で企業や消費者のマインドの回復には相応の時間がかかるのではないかとみられることから、経済活動の再開直後こそリバウンドがあるものの、その後の景気回復ペースは緩やかなものになると想定せざるを得ず、2020年通年でも大幅なマイナス成長は避けられない見通しである。さらには、有効なワクチン、治療薬が入手可能になるまでは、感染の第2波、第3波のリスクにも引き続き留意が必要な状況と考えている。
 先行きの経済環境は引き続き厳しいものが予想される。こうしたなかで、銀行界としては、政府における様々な対策と歩調を合わせながら、資金繰りの支援など、銀行としてできることをしっかりとやっていきたいと考える。
(問)
 政府、日本銀行の政策の後押しもあり、民間の金融機関は企業の資金繰り支援にかなり力を入れているが、足元の資金繰り支援の進捗について教えてほしい。
(答)
 今週、日本銀行の金融政策決定会合が開催されたが、金融政策そのものについては日本銀行の専管事項であるため、全銀協会長としてコメントすることは差し控え、私個人の見解として少しお話ししたい。
 15、16日に開催された日本銀行の金融政策決定会合では、政策の枠組み自体は現状維持とされつつも、第二次補正予算成立により資金繰り支援が拡充されたことを反映するかたちで、これまで約75兆円とされていた「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」(特別プログラム)の総枠が約110兆円にまで拡大された。
 日本銀行は、3月の会合以降、量的緩和の拡大、市場への流動性供給、企業の資金繰り支援等、金融市場の安定維持、企業金融の円滑確保、これらに非常に迅速かつ、取り得る最大限の措置を実施してきたと考える。企業等の資金繰り支援と市場の安定維持に努める観点から、今後必要に応じて躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる姿勢を堅持している点も、大変心強い。
 これら金融政策に、経済の正常化に向けた各種の財政政策対応が組み合わされることで政策効果が最大限発揮され、難局が克服されることを期待しており、金融機関もそうした動きに歩調を合わせてしっかりと貢献していきたいと考える。
 足元の銀行界の新型コロナウイルス感染症に対応した資金繰り支援の計数を申しあげると、5月末の全国銀行の貸出残高は531兆円、前年同月比ではプラス32兆円、6.4%増で、全銀協として計数の公表を開始した1999年10月以降で最も高い伸びとなっている。
 また、実質無利子・無担保融資については、5月1日の制度開始以降、各行において資金繰りに悩まれている事業者の皆さまのご相談に迅速に対応すべく、ゴールデンウィークも一部店舗を開店し、相談窓口を設置したほか、各拠点にも相談窓口を開設し、サポート人員を拡充することで対応を強化してきた。
 足元の銀行界の実績を簡単に説明すると、5月末時点の申込受付件数は約14万件、融資決定件数が約6.8万件、融資決定額が約1.36兆円と、多くの事業者の皆さまに支援を実施させていただいている状況である。今回、第二次補正予算で実質無利子・無担保融資の枠が3,000万円から4,000万円へと増額されており、制度利用の増加も今後想定される。各行でも手続の迅速化のために様々な工夫をしているが、銀行界としても協働できる分野の検討も行いながら、そうした対応に引き続き最優先で取り組んでいこうと思っている。
(問)
 先日、各行の決算が発表されたが、それぞれ与信コストの増加が見られ、長期化すると金融システムに対する不安、懸念が生じるのではないかという指摘もある。そのあたりについて、認識を伺いたい。併せて、先日政府が金融機能強化法を改正して、より使いやすい制度になったかと思う。そのあたりについての受止めを伺いたい。
(答)
 与信費用については、一部の銀行で昨年度に予防的な引当ての積増しを行っているが、今後予想される経済活動の回復ペースが緩やかにならざるを得ず、今年度の日本経済の大幅なマイナス成長が避けられない見込みであることから、多くの銀行は今年度も国内外の与信先の業況悪化を背景に、与信費用のさらなる拡大を見込んでいると考える。
 もっとも、銀行の財務はリーマンショックのときと比べると頑健性を増し、健全な状況であることから、現時点で金融不安が生じる状態にもなく、また、今後予想される与信費用の増加によって直ちに銀行セクター、金融システム全体に深刻な影響が及び、公的資金の注入の必要性が高まるような状態になるとは考えていない。
 そうしたなか、今回の政府による金融機能強化法の拡充は、麻生大臣も談話のなかで示されているが、現在の日本の金融システムは安定しており、その健全性には問題がないとの認識を前提としたうえで、地域金融機関を念頭に置き、その財務の健全性確保と金融仲介機能の維持のために、万が一の場合に備えたセーフティーネットを予防的に強化するためのものだと理解している。
 具体的には、第二次補正予算において支援枠が12兆円から15兆円へ増額されるとともに、法改正により支援申請期限が2022年3月から2026年3月へと延長され、公的資金注入に至った経営責任の明確化や収益目標の設定など、従来課していた条件の撤廃が措置された。
 感染防止のための公衆衛生上の措置を通じ、経済活動の制限が取られたことに起因し、万一、最終的に銀行への資本注入が必要な状況になるとすれば、今回の改正において経営責任の明確化等が撤廃されることで、柔軟性を確保いただいたものと考えている。他方で、活用に際しては、地域経済の再生に資する方策の策定が求められることになっているので、地域の特性等に応じて計画が策定されていくものと理解している。
 いずれにしても、今回の危機は金融危機ではなく、感染症という公衆衛生危機に端を発した経済危機であるため、銀行界としては今後も経営の健全性の確保に努めながら、金融仲介機能をしっかりと発揮していくことに各行が最大限努めていく、これに尽きるのではないかと考える。


(問)
 2点お伺いしたい。まず1点目は、6月16日の未来投資会議において言及のあった振込手数料の見直しについて、論点としては、4月の公正取引委員会(公取委)の報告書でも指摘されていた銀行間手数料の引下げや、定額の手数料などの料金体系の多様化というところかと思うが、これらについて銀行界としてどのように考えているのか、ご意見をお聞かせいただきたい。
(答)
 今のご質問は、振込手数料の見直しに関することで、お話に出ていた公取委の報告書については、全銀ネットに関する論点として、銀行間手数料、全銀ネットのガバナンス、もう一つは全銀ネットの銀行以外の事業者に対する開放の3点について言及があった。そうしたなか、今のお話にあった未来投資会議では、振込手数料の見直しについての議論がなされ、そのテーマとして、銀行間手数料や手数料体系の多様化の論点が提示されたことは全銀協としても認識しているところである。
 これまでの会見でも申しあげてきたが、手数料体系やその水準そのものについては、まさに個別行の経営戦略、事業戦略そのものであり、本来、全銀協会長が一律にこうすべきだと言うことはふさわしくないと考えているが、今回、こうした論点が未来投資会議の場において示されているので、少しお話しさせていただく。
 まず、銀行の振込手数料であるが、これは各行ともに窓口、ATM、インターネット・バンキングなど、様々なチャネルごとに料金を変えながら、より便利で安価なサービスを提供できるような努力を重ねてきた歴史にある。例えば、個別行の話で恐縮であるが、私ども三菱UFJ銀行の場合で申しあげると、振込手数料は一般には頂いているが、その一方で、当行に口座をお持ちの3,400万人の個人のお客さま同士の振込について、インターネット・バンキングを通じて行っていただくと、金額の多寡、振込の回数にかかわらず、24時間365日無料でサービスを利用いただけるようにしている。こうしたインターネット・バンキングは、銀行界では導入してからすでに20年あまりの歴史を重ね、この間、様々な技術のアップデート、コスト削減、利便性向上といった努力を重ねてきている。昨今、ノンバンクが提供する個人間送金サービスが登場しているが、ある意味、銀行界でも、例えば先ほど申しあげた当行の例のように、このようなサービスをいち早く提供してきたという経緯がある。
 また、現状、ノンバンクの決済サービス間におけるインターオペラビリティは確保されておらず、基本的には自社サービスのユーザー間、それぞれの経済圏のなかでのみ送金が可能であるのに対して、銀行界の振込は、国内で活動する約1,200、ほぼ全ての預金取扱金融機関の間で振込の取扱いが可能になっている。このような金融機関同士のインターオペラビリティを確保するのに必要なシステム構築にもコストを要しているという面もある。
 ただし、「振込手数料の負担がキャッシュレス決済普及の障害となっている」という今回の未来投資会議での議論も踏まえて、会員各行としてはより安価で利便性の高い決済サービスの提供に引き続き努めていく必要があると考えている。
 振込手数料の「料金体系の多様化」について、「利用頻度にかかわらず、定額で手数料を支払う」いわゆるサブスクリプション型の課金体系についても触れられているが、こうした手数料体系のあり方についても、今後、会員各行が個別行の経営戦略、事業戦略のなかで検討を行い、それぞれの判断をしていくことになると考えている。
 そのうえで、銀行間手数料が論点の一つとして提示されたわけであるが、まず、そもそも現在の銀行間手数料は、日本の商慣習として、振込手数料を依頼人が負担し、仕向銀行が全額受け入れることになっている一方、振込の事務コストは仕向銀行、被仕向銀行、双方で発生することから、仕向銀行が被仕向銀行に一旦受け入れた手数料の配分を行う必要があり、個別銀行間の契約にもとづき支払われるものである。この点について、今般の未来投資会議において、全銀ネットが定める仕組みに統一し、コストを適切に反映した合理的な水準への銀行間手数料の引下げを実施するとの方向感について言及されていることを踏まえて、全銀協としても、全国的な決済ネットワークインフラを安定的かつ効率的に運営する観点から、全銀ネットが果たすべき役割について、今後当局とも連携しながら検討を進めていきたいと考えている。
(問)
 具体的にノンバンクの全銀ネットの接続について、どういった議論をどういったスケジュールで進めていくのか。
(答)
 全銀ネットの開放であるが、先ほど申しあげたように、公取委の報告書の論点の一つとしてあげられている。これについては、まさに5月に全銀ネットが設置した「次世代資金決済システムに関する検討タスクフォース」の場を通じて、今後、ノンバンク、学識者、関係当局等の外部関係者を交えて検討を深めていきたいと考えている。
 すでに6月5日に第1回会合を開催している。会合では、全銀システムの概要や諸外国の決済システムについて幅広く意見交換を行い、学識者、ノンバンク、銀行、それぞれから様々な意見が出された。少し披露すると、「預金の決済を担っている全銀システムに高い安定性が求められることは当然であり、安定性を維持したうえで、利便性、効率性を高めていくことが大切ではないか。」、「全銀システムへの接続に対する関心は高く、今後、積極的に議論に参加したい。」、「ノンバンクの参加意向はどの程度か、それによってどのような社会課題を解決し、お客さまの利便性、ニーズに応えていくのかという点を丁寧に議論していきたい。」、このような意見を頂いている。
 次のステップとしては、こうした意見も踏まえながら、銀行とノンバンクのみならず、ノンバンク同士の相互運用性、いわゆるインターオペラビリティも確保された世界でどのようなビジネスを描き、それが利用者の利便性にどのようにつながるのか、こういった点について対話を重ねながら、ノンバンクの全銀システム接続、相互運用性に対する意向を確認していきたいと考えている。
 それから、スケジュールについて質問があったが、今年度中を目途に何らかの方向性を示したいと考えているが、一方で、拙速に議論を進め、社会に必要不可欠な決済インフラ、決済システムの安心・安全を脅かすようなことがあってはならないと考えている。全銀システムは、安心・安全で可用性もあり、かつ拡張性もあるインフラであるため、相互運用性を確保しようとなった場合、つまり全銀ネットに銀行以外の事業者が接続しようとした場合に、システムの安心・安全をどう確保していくのか、接続しようとする事業者の事業継続性や信用力をどういうかたちで担保していくのか、こういう観点も踏まえて慎重に検討を進めることも必要であり、議論の進捗を踏まえつつ、方向性を固めていきたいと考えている。
 全銀ネットとしては、今回設置したタスクフォースのように、外部メンバーを交えた議論の場をさらに充実させることが重要だと考えている。それによって利用者ニーズをさらにきめ細かく取り込むことにもつながるものであり、今後もこうした場を通じて全銀ネットの透明性を確保し、情報開示、ガバナンスのあり方も含めた議論を深めていきたいと考えている。


(問)
 1点目は、先ほどの実質無利子・無担保融資の規模感について、過去の有事、例えばリーマンショックのときの融資との比較、水準観をお示しいただきたい。
(答)
 今回の資金繰り支援について、過去の危機のとき、例えばリーマンショックのときと比べて規模感はどうかという質問であるが、大前提として危機の性質が異なり、これはなかなか難しい比較である。リーマンショックのときには、金融機関発の信用収縮があったが、今回は冒頭にも少し申しあげたように、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために公衆衛生上の措置が取られたことで物や人の流れがコントロールされ、それによって経済活動が大幅に縮退したことにより発生した危機であるので、単純な比較はできないということが大前提にある。
 そのうえで、経済対策の規模感で申しあげると、今般の第二次補正予算で措置されたセーフティーネットとしての資金繰り支援、あるいは、資本性資金による支援を合わせると、事業規模で94兆円であり、緊急対策の45兆円と合わせれば、企業向けの資金繰り支援は140兆円規模と発表されている。一方で、リーマンショック時の経済対策は、事業規模ベースで56兆8,000億円であるので、今回、過去最大級の対策が打たれていることになる。
 実際の融資規模については、幾つかの見方があると思うが、リーマンショックのときに実施された金融円滑化法の数字をみていくと、中小企業者の貸付条件変更実績は3年間の累計で、件数で344万件、金額にして約96兆円、会社の数にすると30~40万社の申込みがあったと推計されている。同様に、リーマンショックのときに措置された緊急保証制度、これは約2年半近くにわたり実施されたわけであるが、累計の保証承諾実績は150万件を超え、金額にして27兆円を超えている。
 一方、今回の実質無利子・無担保融資、これは官民を合わせた申込み件数であるが、5月末時点で76万件、実行金額にすると9兆円近くとなっている。冒頭申しあげたように、これらの数字を直接比較するのは非常に難しいが、官の方の実質無利子・無担保融資は2月から始まり、民間はこの5月から始まったところ、いわば3ヶ月の数字であり、この点から申しあげるとリーマンショック時以上の影響が出ているということが言えるかもしれない。
 感染拡大の動向や、経済活動が再開した後の回復のペースがどういうかたちになるかによって状況は時々刻々と変わっていくと思われるが、いずれにしても、そういったものを見ながら、銀行界としては資金繰り支援をしっかりやっていくということだと思う。
(問)
 2点目、規制緩和の議論が最近進んでいる。例えば事業会社への出資規制緩和や、銀・証のファイアーウォール規制について議論が進んでいるが、その受止めをお話しいただきたい。
(答)
 銀行の業務範囲規制を含めた規制緩和については、先般、自民党の経済成長戦略本部の下にあるPTで検討が進められ、金融調査会で提言がまとまったと承知している。
 銀行界としては、従来からお客さまの多様なニーズにお応えすることを目的に、長年にわたり、今お話のあったような規制緩和、すなわち事業会社への出資規制の緩和、いわゆる5%ルールの見直しを含めた規制緩和を要望してきており、今後、政府の成長戦略に向けて前向きな検討が進められていくことを期待している。
 銀行界としては、こうした規制緩和を通じて、銀行の安心・安全を維持しながら、従来の常識にとらわれない簡単・便利なサービスを創出・提供できると考えている。こうした目的を実現するための具体的な要望として、大きく二つの切り口から今まで要望を出してきた。
 一つ目は、金融・非金融といった従来の業態の垣根を越えたサービス提供に向けての規制緩和、二つ目は、金融業の高度化のための規制緩和である。
 一つ目について、デジタル化等の環境変化のなかにおけるお客さまのニーズは、例えば金融・非金融といった従来の業態の垣根を越えたサービスを、シームレスにワンストップで提供してほしいといったものもあるのではないかと考えている。こうしたニーズに対して、様々な非金融事業者が、金融規制の緩和や制度変更をきっかけに金融領域に参入し、デジタル技術等も活用しながら金融・非金融を組み合わせた利便性の高いサービスを提供している。一方で、金融機関には大変厳格な業務範囲規制が課せられており、こうしたサービスの提供や柔軟なビジネス展開を行うことが困難な部分もある。利益相反管理や優越的地位の濫用防止、他業リスクの波及防止といった規制の趣旨は、金融機関にとっては重要なことであり、バランスを取りつつ、事業者間での、いわば規制のイコールフッティングが確保されることが必要ではないかと考えている。具体的には、提言においても言及があった、銀行業高度化等会社設立時の認可審査基準の緩和であるとか、広告関連業務を銀行の付随業務に加えることが考えられる。
 2点目は、金融業そのものの高度化であり、金融業のソリューションの多様化や、個人の資産形成の重要性が増すなかで業務制約規制を見直し、例えば銀証連携を強化するためのファイアーウォール規制の緩和が必要ではないかということである。このような規制緩和が実現すれば、銀行としてもお客さまの多様なニーズにお応えできるようになると考えている。


(問)
 在宅勤務、リモート勤務について伺う。支店で実際にお客さまと顧客対応をされている方々を除き、オフィスや本店の方々の在宅勤務率は、印象論であるが、欧米と比べてやや低いような感じがする。それは日本における古い非効率な銀行の業務のあり方を象徴している事象ではないかと思うが、在宅勤務率が低いとして、そのことについてどう考えているか。また、それを踏まえて、第2波、第3波のときにもっと機動的に動けるのか伺いたい。
(答)
 在宅勤務は、感染拡大防止のために、さまざまな取組みの一環として導入してきた。他にも時差出勤やローテーション勤務の導入など、いろいろなかたちで取り組んできた。これは銀行界に限らないと思うが、緊急事態宣言が解除された後も、在宅勤務をいわば新しい常態というかたちで、取組みを進めているところだと理解している。そういうなかで、今、銀行界について、在宅勤務率が欧米の銀行に比べて低いのではないかという話があった。銀行界全体の数字を持っているわけではないので、個別行の例で申しあげると、現在、本部の在宅勤務率は6~7割ぐらいのところである。最初の段階では、やはり在宅勤務に必要な端末の確保やそれぞれの在宅用端末で一体どこまで本体のシステムにアクセスできるようにするのか、つまりシステムの開放をどこまで進めるのか、といったハード面の手当てが必要であった。ただ、これは長期化するにつれ、それとは別にコミュニケーションをどうやって取っていくかとか、エンゲージメントをどうしていくか、さらには、労務管理やメンタル面のケアといったソフトの面の対策が課題になってきている。私自身、在宅勤務をやっているなかで、オンとオフの切り替えの難しさもあると思った。
 そうしたなかで、この7割前後の在宅勤務率が高いか低いかという議論はあるかと思う。欧米と比べての議論が正しいかどうかもあると思うし、重要なことは、これだけ在宅勤務を継続し、生産性が落ちない部分や、かえって効率化された部分もあるということである。そういった面をしっかり取り込み、新しいかたちの働き方を考えていくことが重要ではないかと思う。


(問)
 銀行間手数料の引下げについて、未来投資会議では全銀ネットが定める仕組みに統一してという要請があったと思うが、それを受けて先ほど会長から、「当局とも連携しながら検討を進めていきたい」という答えがあった。具体的には、先ほどお話しいただいたように、システム開放の議論については5月にタスクフォースを設置してということであったが、この銀行間手数料に関しても同じように何かタスクフォースを設置して検討していくのか。先ほど、5月のタスクフォースに関しては今年度に方向性を示したいということであったが、スケジュール感も併せて教えてほしい。
(答)
 先ほど申しあげたように、銀行間手数料はもともと、個別銀行間の契約になっている。したがって、未来投資会議の議論を踏まえてどのように進めていくかについては、今回の全銀ネットの開放のあり方の議論とはまた別の議論になると考えている。
 過去の経緯で申しあげると、こうした個別銀行間の契約で成り立っている行為について、全銀協が主体的にこうすべきであると示すことは独占禁止法の観点からも難しい問題だと考えている。
 したがって、本件については、まず当局とも議論を重ねながら、今回、未来投資会議のなかで示された方向感を踏まえてどういう進め方ができるか、検討会というかたちで議論するのが良いのかということも含めて、まず整理したいと考えている。
 スケジュールについても、進め方と同じく、現段階で確定しているわけではない。未来投資会議においてもコストを適切に反映するという言及がされているように、この銀行間手数料の見直しにおいても、まずは足元の取引実態や決済システムの安定稼動のために要するコストがどの程度のものなのか、こうした調査を進めたうえで、新しい仕組みの構築について検討していく必要があると考えている。
 繰り返しになるが、今後当局とも連携しながら、進め方、スケジュールについて具体化を図っていきたいと思う。


(問)
 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、海外の金融当局は、銀行による企業の資金繰りを後押しするために、銀行による配当や自社株買いの抑制を求める動きがあるなかで、日本の当局はあまりこうした動きをしていないが、どのように考えるか。また、株主還元のあり方についても、お考えがあればお聞きしたい。
(答)
 株主還元のあり方、特に欧州の株主還元について当局が実際に発言をしていることを受けてのご質問だと思うが、これについては各国の政策当局がその国あるいはその地域の実情を踏まえ、企業の資金繰り支援等を通じた実体経済の下支えといった政策目的の実現のために必要な施策を発信して打ち出している、このように理解をしている。
 株主還元、ひいては役員報酬に至るまで、各社が自社の置かれた状況を踏まえて自ら判断するということであるが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、資金繰りをはじめとする金融面のサポート要請に最大限取り組みながら、株主の皆さまへの利益還元も重要な経営課題と位置づけ、対応を行っているということだと思う。
 今、ご質問のあった海外当局の動きであるが、ご存じのように欧州では、3月27日に監督当局である欧州中央銀行が各国金融機関に対して資本の充実と貸出強化、これを目的に配当や自社株買いを制限する旨の勧告を行った。一方、米国では現時点でこれらを制限するような当局側の動きはないと理解している。
 こうした当局の動きも受けて、主要欧州銀行は自社株買いや配当を取りやめている。一方、主要米国銀行は、自主的に自社株買いを取りやめる旨を公表しているが、配当については現時点では支払いを行っているという認識である。
 わが国においても欧州と同様の対応が取られているかというと、そうではない。邦銀は財務の健全性というものを総じて確保しており、こうした社外流出が金融機関による資金繰り支援、金融仲介機能の発揮を妨げる、といった状況にはないことから、直ちに当局がそのような動きにはならないのではないかと考えている。実際に、邦銀も米銀と同様の対応をしており、自社株買いは実施をせず、安定的な配当支払いは続けるという銀行が多いのではないかと思う。


(問)
 大きく二つある。まず、先ほどからある銀行間手数料の話が1点目。先ほど全銀協として「当局と協議しながら」という話だったが、仮に何らかのPTや検討会をつくって協議していくとなると、やはり全銀ネットなり全銀協が中心的な役割を果たさなければいけないと思う。そうなったときに、被仕向送金の量が銀行によってまちまちで、とりわけ都市部と地方の銀行ではそれなりに差があると認識している。仮に手数料が一律で引き下がってしまったときに、有利になる銀行、不利になる銀行というのが出てくることになり、その中で統一的な水準を探るのはなかなか大変だと思うが、そのあたりはどのように認識しているか。また、先ほどの定額制の手数料の話について、実現性や妥当性をどのように考えているか。
(答)
 まず、銀行間手数料について、都市部の銀行と地方の銀行で受取りが多いか、払いが多いかという違いがあるという点であるが、単純に都市部と地方、あるいは業態間での比較ではなくて、個別行ごとでの受払いの差はあるだろうと思う。したがって、単純に色分けするというよりは、個別行それぞれに事情が異なるということであるし、また、そもそもこれは銀行界全体に影響があるテーマだと考えている。
 したがって、現在は銀行間で個別に銀行間手数料を定める方法になっているが、未来投資会議の論点にあったように、全く新しい仕組みを考えていく必要があるのだと思う。
 また、全体として振込手数料についての見直しといった論点も出ているので、こうした議論も踏まえ、会員各行が今回の銀行間手数料見直しが与える影響を経営戦略に織り込みながら、手数料体系や水準の検討を深めていくということに尽きるのではないかと思う。
 そうしたなかで、今、手数料体系で定額制というのはどうなのかという質問があったが、そうした議論も、それぞれの個別行のなかで当然出てくるテーマだろうとは思う。ただ、口座の機能というのはさまざまであるので、例えば、振込手数料についてだけ定額制ということで全てを整理するというのもなかなか難しいかもしれないし、社会的にこれをどう受け止め、受け入れられるかという議論もあるかと思う。
 したがって、銀行として利便性のあるサービスを効率的、効果的に提供することに努めながら、そうした議論を、各行がひとつひとつ進めていくのだろうと考えている。
(問)
 もう1問伺いたい。先ほど民間の実質無利子・無担保融資の話があった。それも含めて、信用保証協会が関係する融資についてであるが、申請や承認が全て紙ベースで行われているということが、一部で融資の実行に時間がかかっていることの一因と認識している。この点に関して、信用保証協会との連携のなかで、銀行界として、迅速に電子化をして、迅速に支払いができるような仕組みづくりを考えていくといったことはあり得るのか。
(答)
 従来、信用保証協会の借入れを申し込む場合、まず信用保証協会に申請をし、保証の承認を取り、それを持って銀行、金融機関に借入れを申し込む、こういうステップを踏んでおり、信用保証協会との間でのさまざまなやりとりに時間がかかるということがあった。それを今回、国、当局から示された進め方として、より迅速に行うために、借入れをしたい金融機関において、信用保証協会への申請の手続も併せて行うという方法を取っており、これをワンストップ手続と言っている。これによって、信用保証協会に対する保証の申請、承認、併せて金融機関における審査、これを並行して迅速に進める方法を、今回から手当てしていっているということである。
 今のご質問は、そういうことを越えて、そもそも全てのプロセスの電子化を進めることを考えられないかということかと思う。これについては、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、非接触・非対面といったニーズが高まっており、そういう観点からも、いろいろなものを電子化し、デジタルシフトしていくということは一つのテーマだろうと思う。これは何も信用保証協会と銀行の間だけには限らない話であって、借入れの申込みも電子化していくということが、将来の方向性としては考えられるテーマだと思う。
 したがって、今の信用保証協会と銀行の間の電子化というものを進められないかという話については、今何か具体的なことがあるわけではないが、社会の大きな方向感としては、そうしたことも含めてあり得るものと思う。これは従来、紙や印鑑などが中心だったものが、より一層デジタルシフトしていくという一つの流れにも即したものではないかと思う。


(問)
 先ほど補正予算の話が出たが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業で資本不足になることが、今後、より懸念される事態になると思う。これに対して政府系の金融機関が資本を入れることについて予算が付いているが、今後、政府系金融機関が救い切れないような部分で、民間銀行が支援していく必要性や、リスクを取っていく可能性について、どう見ているか。その場合、民間銀行に対して、どのような規制緩和や、政府・日本銀行のバックアップが必要になると見ているか。
(答)
 今のご質問は、新型コロナウイルス感染症への対応で、金融機関が資金繰り支援をしているわけであるが、今後そうした当座の資金繰りの問題を越えて、広く企業の財務の健全性、ソルベンシーの問題が顕在化した場合、そこで、政策金融機関や官のサポートだけではなく、民間も何か支援の枠組みが取れるか、についてのご質問と理解した。
 現在、政府において資本性資金支援の枠組みの整備が進められている。民間銀行としても、従来からリスクを精査したうえで、取引先のニーズにもとづき、例えば、ハイブリットローンのような提供は行っており、可能な範囲で取り組んでいるが、一方で、民間の金融機関の調達は預金を中心としたものであるため、その資金の性質上、やはり資本性資金あるいは出資というかたちで提供していくことには、私は限界があるのではないかと思う。
 ここについては、やはり官民のなかの一つの棲み分けといったものがあるのではないかと思う。したがって、民間金融機関としては、自らのみではなかなか対応し切れないゾーンということで、政府における資本性資金の支援の枠組み強化というのは、大変意義深いものと考えている。
 詳細な制度設計はこれからと認識しているが、ご存じのように第二次補正予算のなかで、日本政策金融公庫で新たな資本性ローンの創設があり、商工組合中央金庫、日本政策投資銀行の危機対応融資等の枠組みのなかでの劣後ローン、あるいは地域経済活性化支援機構、中小企業基盤整備機構が出資するファンドや、さらには産業革新投資機構を通じた出融資によって、大企業・中堅企業・中小企業などの企業規模や、それぞれの経営が置かれた環境に応じて、多彩な支援パッケージがここに盛り込まれていると思う。これらの支援パッケージが早期に実現し、実際に支援を必要とする企業に対して、こうした企業の資本性資金の供給につながっていくことが期待されていると思う。
 そうしたなかで、民間金融機関は本来担うべき役割である貸付を一体となって行っていくことが、結果として、事業者にとって必要な金融に対するニーズに応えていくことになるのではないかと考える。


(問)
 LIBOR問題について、公表停止まで1年半ということになるが、足元の新型コロナウイルス感染症の影響で、お客さまと直接対面で代替指標をどうするかについて協議がなかなかできていないといった事情も聞く。従来描いていたスケジュール感は崩れていないのか。また、今後この議論をどう全銀協会長としてリードしていくのか。
(答)
 LIBOR指標のスケジュールについて申しあげると、新型コロナウイルス感染症によって社会の様々な計画に影響が出ていることは事実である。一方で、本件については、この3月に英国のFCA(Financial Conduct Authority)が、「各マイルストーンに関しては変更を余儀なくされる可能性があるものの、2021年末までに公表を停止する可能性があるという時間軸は変わっていない」と表明しているとおり、LIBORの2021年末公表停止の可能性に向けて全世界共通で対応を進めている状況であり、これは本邦においても変わらない。
 現在、各行は新型コロナウイルス感染症の対応に最優先で取り組んでいるが、そうしたなかで、銀行界の金利指標改革への対応に関して、結論から申しあげると、足元では公表停止の可能性のある2021年末に間に合わないほどの遅延は確認されていない。
 ご質問の顧客交渉であるが、すでに各社において、新規取引についてフォールバック条項の文言を契約書に導入する交渉が一部開始されている。ただし、交渉は今年後半以降に本格化することを見込んでおり、2021年末の公表停止を展望しての金利の事前切替えや既存LIBOR参照契約への契約書上の手当て等に対する影響は、現時点では認められていないと考えている。
 ただ、新型コロナウイルス感染症の影響度合いは今後各社で精査も必要だろう。全銀協としては、検討部会等を通じて、地銀も含めた銀行界全体の移行計画を推進していきたいと考えている。
 そうしたなかで、現在、本邦全体としては代替金利指標利用のためのインフラ等の整備が進んでおり、この点について3点ほど申しあげる。
 1点目はターム物のリスク・フリー・レートの公表に向けた動きで、本年2月に公表主体としてQUICK社を指名しているが、遅くとも来年6月からの正式公表開始に向けて、先月から参考値の公表を開始している。
 2点目は、この金利指標改革の検討をリードしている「日本円金利指標に関する検討委員会」で、フォールバック契約に必要なLIBORと代替指標とのスプレッドの調整に関する議論が本格化している。
 3点目は、本邦でも他国同様、6月1日に金融庁・日本銀行から、いわゆる「Dear CEOレター」と言われている、LIBOR公表停止に向けた対応状況の確認等を目的とした代表者宛てのレターが出されている。これは、受領した金融機関のみならず、全金融機関が、改めてLIBOR公表停止に向けた対応を進めていく必要があることが認識されたということである。レターを受領した金融機関は、7月中に回答を提出することになっている。
 全銀協としては、このスプレッド調整に関わる意見照会、取りまとめといった本邦全体の議論を、事務局として主導するとともに、「Dear CEOレター」のなかで対応すべき事項として列挙されている項目に関して、地銀など会員各行に対して、傘下の検討部会を通じてフォローアップを実施することで業界全体の移行計画を推進していきたいと考えている。


(問)
 先ほどご紹介いただいた実質無利子・無担保融資制度は、企業にとっては資金繰りの支えとなるというメリットがある反面、銀行にとっては信用保証協会の保証が付くと、貸し倒れを気にせずに貸せるということにもなるので、与信が甘くなってしまい、たくさん貸そうというモラルハザードを引き起こすという問題も指摘されている。足元でこういった問題が生じていると見ているか。
(答)
 今の時点では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて急に売上げが消失した、需要が消失したなかで、事業を継続するために資金繰りの支援を必要とされる方に対して、私どもは対応している。こうした危機の状況においては、本当に必要なところに、迅速に資金の手当てをする必要がある。産業の新陳代謝を妨げるようなかたちで、本来、事業の継続性のない会社にまで今回の資金の手当てが行われているかどうか、これは今回の危機を乗り越えたところで、見直しをすべきことではないかと思う。今は、経済活動が再開したわけであるが、さらに歩みを進めていくためには、経済の基盤、中小企業の存在といったものを、まずはしっかり確保していくことが最優先ではないか、と考えている。
(問)
 日本銀行の新型コロナウイルス感染症対応の資金繰り支援策が、今、総額110兆円程度になっている。3月に導入された金融機関に無利子で資金を供給するという特別プログラムが、利用残高が16兆円ほどまで伸びている。この日本銀行の資金繰り支援策を銀行界としてどう受け止めているかであるが、特別プログラムは、4月には内容が拡充されて、利用残高に応じて0.1%の利子が付与されるという特典が付いている。こうしたことが、銀行にとって融資をする際に、どの程度のインセンティブになっているのか、その受止めを伺いたい。
(答)
 財政政策および日本銀行の今回の資金繰り支援に関する特別プログラムについて、これらはまず、国を挙げて今回の事態に臨んでいくといった姿勢を明確にされている、ということだと思う。そのうえで、金融界としても、従来から申しあげているように、資金繰り支援に最優先で取り組んでいく、官民あわせて経済を支えていく、という覚悟を持ちながら取り組んでいるということだと思う。そうしたなかで、本件は金融機関の資金繰り支援を側面あるいは後ろからサポートする枠組みだと理解をしている。銀行界としても、日本銀行の特別プログラムをしっかりと活用しながら、私達の本来果たすべき責務を果たしていくということだと考えている。


(問)
 本日(6月18日)、改正貸金業法の完全施行から10年目を迎えた。貸金業法そのものは銀行を規制するものではないが、この10年間を振り返ると、全銀協も2017年3月に銀行カードローンに関する申合せを行い、貸金業法に準ずるかたちで各行が融資上限額を設けるなど、推進にブレーキがかかったかと思う。近年、カードローン残高も減少傾向にあると思うが、足元の推進体制の改善状況や今後のコンシューマーファイナンス市場の発展に向けて必要な課題について伺いたい。
(答)
 改正貸金業法が完全施行されてから今日で10年を迎えた。銀行カードローンは改正貸金業法の適用対象外であったが、多重債務発生抑止の趣旨あるいは顧客保護等の観点を踏まえ、銀行間でも販売態勢の整備に努めてきた経緯がある。
 2017年3月に、「配慮に欠けた広告・宣伝の抑制」や「審査態勢の整備」などについて申し合わせを公表し、具体的な取組みとして、専用相談窓口の設置、消費者信用関係4団体による多重債務防止啓発に関するキャンペーンの実施、貸付自粛制度を開始した。銀行界のカードローン残高は、2017年度にピークを迎え、その後、2020年4月末時点の残高は4.1兆円となっている。これも申し合わせを踏まえた各行の取組みの結果だと思う。
 足元では、銀行カードローン原債権情報の登録を日次化する、銀行・消費者金融・クレジット事業の各業界団体に由来する三つの信用情報機関による銀行カードローン原債権情報や貸金債権情報の交流といった、融資審査の精度向上を後押しする環境整備を検討している。
 こうした取組みにより、業界全体としての業務運営水準は高まっていると認識しているが、融資実行後の途上管理等の態勢高度化は引き続き課題として残っていると考えており、これらについては、会員各行へのアンケート調査等を通じ、動向をフォローしていきたいと思う。各行、コンシューマーファイナンスについては様々な取組みをしているが、業界全体としてはこういう課題をしっかりと認識しながら取り組んでいきたいと思っている。