2020年9月17日

三毛会長記者会見(三菱UFJ銀行頭取)

岩本専務理事報告

 事務局から1点ご報告申しあげる。
 本日の理事会において、お手元の資料のとおり、令和3年度の税制改正の要望書を取りまとめた。今後、関係先に対し要望書を提出し、要望の実現に向けて働きかけて参りたい。
 なお、税制改正要望の内容についてご不明な点などがあれば、会見終了後、事務局までご照会いただきたい。

 

会長記者会見の模様

 

 ご質問をいただく前に、今年も相次いだ自然災害について一言申しあげる。
 令和2年7月の豪雨は、広域にわたり甚大な被害が発生した。お亡くなりになられた方々に対して謹んでお悔やみを申しあげるとともに、被災された皆さまに心からお見舞いを申しあげたいと思う。新型コロナウイルス感染症が拡大するなかでの避難生活となり、被災された方々は大変な苦労をしておられる。被災地域が一日も早く復旧・復興を果たすとともに、被災された方々が通常の生活を取り戻すことができるよう、銀行界としても払戻しや融資に関わる迅速・柔軟な対応を行うなど、しっかりとしたサポートをして参りたいと考えている。


(問)
 3点伺う。1点目は、景気認識について。新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからない状況だが、先行きを含めた見通しについて教えてほしい。あわせて、本日の日本銀行金融政策決定会合で大規模金融緩和策の維持と、一方で景気判断の修正があった。この受止めもお願いしたい。
(答)
 わが国経済は戦後最大の経済危機とも言われる大変厳しい状況にあると認識している。足元では持ち直しに転じつつあるが、来年度までを展望しても新型コロナウイルス感染拡大前の経済活動の水準に戻るには、さらに時間が必要になるのではないかと考えている。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響を振り返ると、内需においては2月末からイベントの開催自粛や外出自粛が始まり、4月に入ると緊急事態が発令されるなかで、個人消費を中心に経済活動は大幅に縮小した。また、海外経済の失速を受けて輸出が大幅に減少し、さらに、インバウンド、訪日外国人数がほぼ皆無と言える水準にまで落ち込んだ。この結果、4ー6月期の実質GDP成長率は、前期比年率でマイナス28.1%、3四半期連続、かつ現行統計下で最大のマイナス成長となった。
 ただ、8月の月例経済報告では、「景気は新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるが、このところ持ち直しの動きが見られる」と判断され、また、本日の日本銀行の金融政策決定会合でも同様の認識が示されるなど、経済活動はすでに持ち直しに転じているものと見られる。これらは2次にわたる補正予算で過去に例のない経済対策が打たれていること、反動で一定のペントアップ需要、つまり抑制されていた購買行動の反動が見込まれること、加えて海外経済も公衆衛生措置の緩和などにより回復基調に転じていること等を踏まえると、景気はこの先も持ち直しを続ける公算が大きく、7ー9月期の成長率はプラスに転じるのではないかと見ている。
 とはいえ、秋以降については感染への警戒が残るため、公衆衛生措置の緩和は段階的となることに加え、企業・家計における感染抑止のための自主的な取組みが経済活動の下押し要因として作用し続けると見込まれることから、回復ペースは当初のペントアップ需要のような持ち上がりから、次第に緩やかなものになると想定され、その結果、2020年度の成長率は通年で大幅なマイナスになるのではないかと見ている。
 来年2021年度については、治療薬、ワクチンの開発および早期実用化が期待されるところだが、劇的な効果を見込む前提に立てなければ、2020年度比では持ち直す見込みではあるものの、2019年度の経済水準に戻るのはさらに先になるのではないかと考えている。このように先行きの経済環境は引き続き厳しいものが予想されるが、銀行界としては政府と歩調を合わせながら、わが国経済をしっかりと支えて参りたい。
 日本銀行の金融政策決定会合についてのコメントということで、個人的な意見になるが、各国中銀が今回の事態にあっては、当初より大変力強く金融市場の安定維持、企業金融の円滑化確保に向けて最大限の措置を実施してきた。今回、直近の主要中銀の会合では、FRBはフォワードガイダンスを具体化することで金融緩和の長期化を改めて示唆し、本日、金融政策決定会合が行われた日本銀行のほか、欧州ECBも大規模緩和を維持しつつ、追加緩和も辞さないという姿勢を崩していない。中銀が企業の資金繰り支援を続け、必要に応じて市場への流動性供給や各種の政策対応の強化等の追加緩和措置を躊躇なく行う姿勢を堅持しているという点は、心強いと感じている。
(問)
 2点目、安倍総理が昨日退任された。アベノミクスを含む安倍政権の評価と菅新総理に対する期待をお聞きしたい。
(答)
 安倍総理は、憲政史上最長となる在任期間において、就任前の日本経済の長期にわたる閉塞感を打開するため経済最優先を掲げ、三本の矢を含めたアベノミクスの実行により持続的な景気回復を実現され、雇用環境も大きく改善した。また、外交面では、地球儀を俯瞰する外交を展開され、実際にTPPなどの経済連携協定を実現されるなど、大変力強いリーダーシップを発揮された。そのことにまず敬意を表したいと思う。体調悪化に伴う任期途中での辞任ということで、誠に残念ではあるが、まずは静養に専念され、一日も早い体調の回復をお祈りしたい。
 菅新総理については、ご自身も仰っておられるが、まずは新型コロナウイルス感染症への対応と経済活動の回復の両立に取り組んでいただくとともに、新型コロナウイルス感染拡大により浮き彫りとなった課題である、わが国のデジタル化、オンライン化の遅れへの取組みにより、ポストコロナ時代における新たな日常を通じた質の高い経済社会の実現を期待したいと思う。
 当面は、大きく傷んだわが国経済を立て直し、再び成長軌道に戻していくことに最優先に取り組んでいただくわけだが、中長期的には財政健全化の方針の下で財政運営が行われていくことも重要であろうと考えている。銀行界としては、引き続き資金供給をはじめとした新型コロナウイルス感染症対応に全力を尽くすなかで、ポストコロナ時代の社会課題解決に努めることで、新政権の下でもわが国経済社会に貢献したいと考えている。
(問)
 3点目、ドコモ口座による銀行の預貯金の不正引出問題が発生している。先日、Bank Payもセキュリティを理由に新規口座登録や一部金融機関との連携を休止した。キャッシュレス決済をめぐる不正、銀行間のセキュリティについてお聞きしたい。
(答)
 NTTドコモ社が提供するドコモ口座サービスを通じて、地方銀行をはじめとする複数の銀行預金の不正引出しが行われたこと、また、同様の事例が他の資金移動業者が提供するサービス、他の銀行にも広がりつつあることは全銀協としても認識しているところである。こうしたサービスを通じて預金の不正引出しが行われ、お客さまにご心配をおかけすることになったことについて、銀行界を代表して、まずこの場をお借りしてお詫びを申しあげたい。
 そのうえで、質問についてコメントさせていただくと、今回の事件の原因については、まだ現時点では断定的なことは申しあげられないが、アプリ登録時の資金移動業者の本人確認の脆弱性に加え、銀行が口座振替においてキャッシュカードの暗証番号のみで認証するなど、認証の手続にも問題点があったと認識している。
 こうしたことを受けて、全銀協では、今週14日に会員各行に対して、資金移動業者の決済サービスでの不正出金への対応について注意喚起等を実施した。具体的には、会員銀行が資金移動業者との契約を調査したうえで、資金移動業者のアカウントと銀行口座を連携して口座振替を行う際の接続において、銀行に認証上の問題がないか、資金移動業者側の本人確認プロセスに脆弱性がないか確認し、仮に問題や脆弱性が見いだされた場合には、お客さまの資産の保全を最優先に、新規連携や残高のチャージを一時停止する等の対応を行うことが考えられるという点について、全会員に注意喚起を行っている。
 また、資金移動業者のアカウントに銀行口座を連携させる際や、残高をチャージする際には、複数の認証手段を組み合わせることによる堅牢な認証手続とすることについての検討をあわせて依頼している。
 さらに、今回の事案では、悪意のある第三者がお客さまの口座情報や本人確認情報を不正に入手している可能性が想定されることから、お客さまへの注意喚起や各行サービスのセキュリティの再確認、また、各種対応にあっては、安心・安全を旨とする銀行口座の位置づけ、その期待を踏まえたうえで利便性を意識しつつも、お客さまの資産保全を最優先に加盟各行に対応を徹底するようお願いしたところである。
 銀行界では、これまでもATM不正引出しやインターネット・バンキングでの不正送金等の事案が発生する都度、セキュリティ、認証水準の高度化等に努めてきた経緯があり、今回の事案は、銀行から直接ではなく資金移動業者が提供するサービスを通じて不正引出しが行われたケースだが、こうした資金移動業者と銀行が連携してサービスを提供するケースにおいては、サービス全体の安心・安全を確保するために、入り口の本人確認プロセス、あるいは認証水準のみならず、万一の不正取引発生に備えた異常取引を検知するようなモニタリングの仕組み、さらには、万一被害が発生した場合の事業者による補償も含めて、全体としての枠組みがしっかりと機能していることが重要だと考えている。
 加えて、サービス全体のバリューチェーンを担う参加者、例えば今回のケースで申しあげれば銀行、資金移動業者、この双方がセキュリティに対する高い意識を持ち続け、これを共有し、安心・安全のためのコストが必要なものについてはきちんと負担し、安定的に持続可能なサービスを提供するために不断の努力を続けていくことが必要であろうと考えている。
 なお、今週15日には、金融庁より全銀協ほか関係団体に対して、本事件を踏まえた対応について要請文が発出されているが、銀行側の認証の問題点や、資金移動業者側の本人確認の脆弱性が確認された場合の新規連携や残高のチャージを一時停止する措置についても言及されており、会員各行は必要な対応を行っているところである。
 最後にご質問いただいたBank Payについて、全銀協の取組みではないが、オールバンクで推進しているスマホ決済サービスであり少しコメントさせていただくと、今回のドコモ社の決済サービスにおける不正利用被害の発生を受けて、利用登録時の本人確認の厳格化ならびに口座振替登録におけるセキュリティレベルの高度化を図っていくこととして、14日以降、運営主体である日本電子決済推進機構の決定にもとづき、利用可能な全金融機関での新規口座登録受付を一時停止し、加えて一部金融機関については、すでに登録済みの口座での決済サービスの利用も停止している。現在のところ、報道されているような不正利用の被害は確認されていないが、セキュリティレベルを高度化したうえで、お客さまに安心・安全・便利にこのBank Payをご利用いただけるよう、しっかりと対応して参りたい。


(問)
 昨日就任された菅新総理が、人口減少で経営環境が厳しくなっている地方銀行について、数が多過ぎるであるとか、再編も一つの選択肢になるという考えを総裁選において示されていた経緯がある。地銀自らが経営改革を進めて経営基盤を強化する、そうしたことを選択肢として進めるのが良いのではないかという発言だったと思う。会長の地銀再編に対する考え方を教えてほしい。
(答)
 地銀再編に対する考えということであるが、地域金融機関に限らず、わが国の金融機関は、少子高齢化、人口減少、長期化する低金利環境、あるいは資金需要の減少等を背景に、長い期間厳しい経営環境に直面してきた。菅新総理も示されているように、こうしたなかで各行が合併や経営統合も含むさまざまな選択肢を視野に入れながら、しっかりと自身の経営戦略を議論し実行していくことが重要だと考えている。
 財務の面を見ると、各行とも総じて相応の自己資本を備えていることが確認できるが、今、申しあげたような金融機関を取り巻く厳しい経営環境が抜本的に改善することは想定し難く、足元の新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、与信費用の増加もあり、今後とも経営環境は楽観視できるものではないと考えている。
 こうした環境を受けて、各行さまざまな取組みを行っているところであり、資金需要の掘り起こしから運用商品の提供、取引先の円滑な事業承継などの面でのサポートや、あるいは人員、店舗網の再編といった取組みを進めている。
 また、他の地域金融機関や他業態とのアライアンス、合併、経営統合を通じて、自行のみでは提供できない金融サービスの拡充や規模の経済性を活用した経営の効率性の向上を目指す金融機関も見受けられる。
 ただし、金融機関のビジネスモデルは、各行それぞれの営業地域や、その地域におけるお客さまの特性、さらには各行が持っている経営資源、強み、こうしたものも踏まえて判断するものであり、一概に望ましい姿やあり方をお話しできるものではない。重要なことは、制度的な後押しも受けて、合併や経営統合も含むさまざまな選択肢のなかから、金融機関自身が自らの経営改革に向けて議論を深め、実現に向かっていくことだと考えている。


(問)
 先ほどのドコモ口座の不正引出しの件で、本人確認のあり方が問われていると思う。資金移動業者側は、銀行に本人確認を依拠するかたちになっていると思うが、このあり方が望ましいかどうかを教えてほしい。つまり、口座についての本人確認は、国際的な基準などもあって、より厳格に定められていると思うが、銀行と連携したときに資金移動業者は銀行だけに依拠すればいいのかという制度のあり方についての考え方、今後、本人確認についての法整備が必要だという専門家もいるが、そのあたりについての考えを教えていただきたい。
(答)
 まず、資金移動業者の本人確認について申しあげると、今お話しがあったように、資金移動業者も銀行と同様に、犯罪収益移転防止法(犯収法)上の特定事業者に該当するため、例えば、口座振替によるアカウントへのチャージや送金等を行う場合には、銀行と同等の本人確認を含む取引時の確認義務がある。ただし、同法の施行規則により、資金移動業者の口座振替契約の締結に際して行う本人確認は、銀行が過去に行った取引時確認を利用して口座振替の認証を行うことで本人確認を行ったものと認められている。このため、多くの資金移動業者が、銀行の過去の取引時確認に依拠した本人確認を行っていると認識している。
 今回の事案の原因を振り返ると、資金移動業者の本人確認の脆弱性と、これに加えて銀行が行った過去の取引時確認を確認する際の認証に問題があった場合に被害が発生したと見られていることから、犯罪者が言わば適法な本人確認の仕組みを悪用した可能性がある。
 いずれにしても、こうしたサービスは全体の仕組みのなかで安全性を担保する必要があり、先ほど申しあげたように、銀行以外の事業者、例えば、今回の資金移動業者と連携してサービスを提供するケースにおいては、全体としての安心・安全を確保するために、入り口でのセキュリティの担保、双方の本人確認と認証、つまり接点がある双方でのセキュリティレベル引上げとともに、モニタリング、万一の事故が起きた場合の補償、更に事案が起きたときの再発防止の手当てといった一連のサイクルが全体として機能する仕組みをつくっていくことが、不正事案に取り組むうえでは重要だと考えている。
(問)
 現行の法制度を何か変える必要性はないのか。
(答)
 再発防止への取組みにおいて何が有効かについて議論を深めるなかで、今後の対応についても新たな考え方が出てくる可能性はあると思う。
(問)
 金融庁の行政方針で、国際金融都市を目指すために、海外人材の受入れに向けた環境整備や検査の英語化なども盛り込まれた。こうした取組みについての所見と、「貯蓄から投資へ」をテーマとした国際金融都市を目ざす流れは以前からあるが、銀行に眠っている個人金融資産を、株式やベンチャー投資等のリスク資産に回すといった考え方について、新政権が誕生したなかでの見通しについて伺いたい。
(答)
 わが国が、世界・アジアの国際金融ハブとして確立していくための取組みについては、今ご指摘があったように、金融庁の行政方針、また7月の政府の成長戦略にも盛り込まれたことで、改めて注目が高まっている状況と思う。
 この国際金融都市のテーマについては、長年にわたって官民一体で議論が行われてきたが、わが国の持続的成長にとって、こうした国際競争力の強化を金融面から進めていくことは、大変重要な要素ではないかと思っている。
 足元で、アジアにおける地政学的な状況を踏まえると、わが国が非常に安心・安全な拠点であること、また1,800兆円の巨額な個人金融資産を抱えていること、これらを強みとして活かしていき、世界・アジアの国際金融ハブとしての地位を実現するには、今がある意味ラストチャンスとして考えなければいけないのではないかと思う。
 そのうえで、国際金融都市を目指すには、自由で透明性が高く、経済面でも競争力のあるビジネス生活環境を構築し、魅力ある都市へと進化するための官民双方の取組みが必要だと考えている。
 そのためにも、税制面の措置に加えて、他のグローバルな金融都市とのレベル・プレイング・フィールドを確保するための規制環境の整備やデジタライゼーションといったものも必要であろうし、企業と金融高度化人材にとってビジネスと生活しやすい環境を整えるという観点では、電子ツールの普及推進によって、書面・押印・対面の手続を徹底的に削減するといった取組みも必要と考えている。
 ご質問で海外人材の受入れについて言及されたが、英語環境の定着に向けては、銀行のサービス等々においても、今後、何らかの手当が必要になってくるのではないか。
 貯蓄から投資といったリスク資産への資金の移動が、今後新政権で実際に進んでいくかという話であるが、菅新総理も前例を踏襲しないといったことを明確に仰っているので、規制改革、緩和といったものが進むなかで、こうした貯蓄から投資といった動きも本格的に進んでいくことを期待したい。


(問)
 ドコモ口座に関連して2点伺いたい。先ほど会長からも問題の認識について説明があったが、今回の問題が発生した原因には国がキャッシュレスを推進して銀行とのAPIを推し進めていたという背景があるのではないかと思う。資金移動業者と銀行が接続するうえで、特にメガバンクと比較して規模の小さい地銀などは、セキュリティと接続のスピードのバランスがしっかりと取れたうえでAPI接続を進めることができていたのか、国がオープンAPIを推し進めるに当たって、資金移動業者と銀行の接続を少し強引に推し進めてきたことが今回の問題のきっかけにはなっていないか、こうした点について会長の認識を伺いたい。
 2点目は、先ほどの質問にも関連して、セキュリティ対策はいたちごっこのようなものだと思うが、銀行の中でも体力のある銀行とそうでない銀行でかなり大きな差があるなかで、銀行が顧客の資産を守る最後の砦として統一した基準を作ることの難しさについての認識を伺いたい。


(答)
 今回の不正引出しに関する事案と銀行が進めているオープンAPIでは、少し状況が異なるのではないかと考えている。
 2017年の改正銀行法の施行以来、家計簿アプリや会計サービス等を提供する電子決済等代行業者と銀行が連携してオープンAPIを進めてきた経緯にある。
 この過程においては、業界レベルで銀行と電子決済等代行業者が連携し、例えば金融情報システムセンター(FISC)によるチェックリストを策定するなど、API連携時のシステムセキュリティ水準に関する一定の目線を定めている。この中で補償も含めた利用者保護等に関する契約書条文のひな型も策定するなど、一定の水準をしっかりと担保して、利用者が安全に安心してご利用いただけるための取組みを進めてきた。つまり、FISCのチェックリストにより一定のセキュリティ水準が担保されているものと認識しており、オープンAPI上で更新系・参照系といった違いによって目線を定めているものである。したがって、こうした経緯を踏まえると、オープンAPIと今回の資金移動業者の件は少し違う話ではないかと考えている。
 ただ、ご質問にもあったように、金融取引のデジタル化が進んでいくことで、年々犯罪の手口が高度化しており、その手口も様々であることから、セキュリティとして「ここまでやっていれば絶対大丈夫」ということはないと考えている。したがって、このAPIについても、銀行と電子決済等代行業者の双方で、セキュリティレベルがその時々の環境に応じて十分なのか、適切なのかという確認と努力を続けていかなければならないということには変わりはないと思う。
 二つ目の質問は、金融機関ごとに体力差があるなかで、セキュリティ対策を合わせていくことは難しいのではないかという質問だったかと思う。
 これについては、今回の問題発生を受けて、全銀協として注意喚起通達を発出し、金融庁からも要請文が出ている。そのなかで、複数の要素認証が必要であること、そしてこの一定水準が達成されるまでは新規の連携やチャージといった行為を一時停止することを明確にしており、サービス提供するうえで必要とされる一定水準のセキュリティについて、各金融機関が平仄を合わせて対応するという点で、今のところ大きな問題は見られていないと考えている。


(問)
 ドコモ口座の問題に絡んで、決済事業者と銀行双方が連携し、サービス全体として安全性を高めていく必要があるという話だったが、今回、銀行と決済事業者それぞれが本人確認を行っているなかで、その連携が十分だったと考えるか。そこが不足していたために、今回の問題が起きてしまったと考えられるところもあると思うが、今後、この二者がコミュニケーションをより密にするに当たり、お互いのマインドやそれぞれ違うところをどのように近付けていく必要があるとお考えか。
(答)
 先ほども申しあげたが、資金移動業者の本人確認は、犯収法や同法施行規則の定めに従って実施している。今回、先ほど全体の枠組みとして、本人確認、認証、モニタリング、補償、そして再発防止に向けた取組みといったサイクルを両者が双方で回していかなければいけないと申しあげた。
 今まで必ずしも十分でない面があったのではないか、今後はそういったことに両者が一体となって取り組んでいけるのか、ということだが、このサービスはどちらが欠けても実現しないものである。一定水準の目線で合意をされていくなかで、双方がともに協働してこれを取り組んでいかなければ、サービスの再開は難しくなるのではないかと思う。
 資金移動業者、銀行双方の共通の目的は、お客さまにとって便利で、かつ安心・安全な金融サービスを提供することであり、それが実現しないことは双方にとって望ましい事態とは言えないと考える。すなわち、両者が協働して一定の解を見い出したとしても、それがお客さまにとって十分満足できるレベルでなければそのサービスは使われなくなり淘汰されることになるため、両者の共通の目的のためにも協働して取り組んでいくことに意義があるのではないかと考えている。
(問)
 もう1点、今回、ドコモ口座を含め、決済に関わる色々な不正が出てきている。去年からFATFの対日審査が行われていて、来年前半にも結果が公表されることになっているが、それに対する影響はあるか。
(答)
 今回のケースがFATFの対日審査結果に影響を及ぼすかという点で申しあげれば、すでにFATFの対日審査はオンもオフも実行されており、本件が直ちに問題になるという事態ではないのではないかと思う。もちろん、この問題がさらに大きな広がりを持ち、かつ今、私どもが認識している以上に、手順、プロセス、本人確認等に大きな瑕疵があるとなれば話は別かもしれないが、今の状況では、必ずしもFATFの対日審査に大きな影響を与えるといったことではないのではないかと受け止めている。


(問)
 金融包摂の観点から伺いたい。みずほ銀行が新規開設口座の紙の通帳発行手数料を1,100円いただく方針を発表しているが、70歳以上については手数料が発生しない等、高齢者に配慮している。
 それも一例として、金融サービスのデジタル化を進めるに当たっては、金融包摂の観点から、高齢者等のデジタル化のメリットを享受することが難しい方々への配慮が必要になってくると思う。金融業界としてデジタル化を進めながらそうした配慮をどのようにしていくのか、考え方を伺いたい。特にドコモ口座の件では、自分が被害に遭っているかどうかを確認する手法として、通帳への記帳がかなり有効な手段となっている。実際にドコモ口座を利用していなくても被害に遭っているケースもあり、利用のメリットがないのにリスクだけ、デメリットだけが降りかかってくる人もいる。デジタル化と金融包摂のバランスをどのように考えるかについて伺いたい。
(答)
 今回のコロナ禍を経験するなかで、非対面サービスへのニーズが高まっており、デジタル化のトレンドは加速することはあっても戻ることはない、不可逆的な変化だと捉えている。したがって、銀行界としてもそうしたデジタル化を取り入れて、お客さまの利便性向上に取り組んでいるということだと思っている。
 一方で、今お話があったように、高齢者が取り残されることなく、安心して金融サービスを利用し続けられるようにすることも大変重要なことだと思う。
 そういう意味では、銀行界では引き続き、店舗を活用したお客さまとのアクセスポイントを大切にしていく。また、同時に、デジタルデバイスに馴染みの薄い方に対しても、例えば生体認証のATMや、音声認証機能のあるスピーカー、あるいはスマートフォンを使った自宅でのテレビ相談等、新しい技術を使って簡単に便利で心地よいサービスを提供できる、そういうものを編み出していく努力も必要ではないかと思っている。
 Fintech事業者と協働・連携するなかで、高齢者を含めて使いやすい金融サービスを考案、発展させていくことも銀行界にとって共通のテーマだと思う。
 金融包摂のためには店舗のような従来型のサービスと新しいデジタルサービスを並立させながら提供していくことが重要ではないかと考えている


(問)
 LIBORに関して伺いたい。第2回の市中協議の意見取りまとめが今月末となり、来月以降は本格的に銀行や事業会社との間で議論が始まると思う。これまでは「日本円金利指標に関する検討委員会」を中心に移行のスケジュールや考え方を整理してきたが、今後は実際のプレーヤー同士での議論となる。銀行としてはどのように議論をリードしていく考えか。また、いつごろまでにどのような成果を目指すかなどをあわせて教えていただきたい。
(答)
 まず、LIBORを取り巻く環境についてである。新型コロナウイルスは現在もさまざまな影響を及ぼしているが、今年7月に開催されたG20の財務大臣・中央銀行総裁会議の声明では、「新型コロナウイルスの影響は、LIBOR算出の裏付けとなる指標がもはや十分に活発ではないことを明らかにした」と言及されているほか、イギリスのFCA(金融行為規制機構)からも、「新型コロナウイルス感染症が金融機関の移行計画に与える影響は認めつつも、移行対応はグローバルな金融システムを強化するために重要な課題である」とされ、LIBORの当初の2021年末公表停止の可能性に向けて、現在も世界共通のスケジュールで対応を進めている。その点、本邦においても、最終的なスケジュールに変更はないという認識である。
 そうした状況のなかで、日本円については、金融業界と事業法人関連団体が参加している「日本円金利指標に関する検討委員会」において、フォールバック時のスプレッド調整や本邦における統一的な移行計画についての第2回市中協議を実施し、10月以降に最終的な取りまとめを行い、計画を公表する予定である。このスプレット調整や統一的な移行計画は、同検討委員会傘下の貸出サブグループおよび債券サブグループのそれぞれにおいて議論が行われており、7月に関係者間で合意形成がなされたものである。移行計画については、残り約1年になっている準備期間において、契約の当事者である事業法人と銀行が目指すべきマイルストーンを設定したものであり、移行に向けたルール等の整備、大きな方向性を示す観点で、着実に進捗しているのではないかと評価している。
 今後は、金融機関と事業法人の当事者間で、本格的な移行に向けた協議が進展するものと見込んでいる。具体的には、貸出契約におけるフォールバックレート、それからスプレッドをどう調整するかという手法に関する市中協議の取りまとめを完了させた後、本格的な交渉が開始されることになる。
 全銀協では、3月に公表した「LIBORの恒久的な公表停止の可能性に係る相対貸出のフォールバック条項の参考例(サンプル)」に今般の市中協議の取りまとめ結果を反映して、すでに開始している金融機関と事業法人との協議が円滑に進むようサポートを行っていく。加えて、社債権者集会あるいは個別プロダクトによる実務課題への対応について、証券業界とも連携し、貸出以外についても円滑な移行ができるようにサポートを行っていきたいと考えている。
 移行までの時間軸については、すでに金融機関と事業法人のコミュニケーションが7月から開始されているが、今後、代替金利の決定、契約書の変更を伴う移行そのものは、双方のシステム対応がおおむね完了する来年3月から本格化し、LIBOR参照取引の新規締結停止の目標時期である6月にかけて議論が集中することが想定されている。
 したがって、これから約1年後にはLIBOR参照貸出が大幅に減少することを見込んでいる。こうした移行を予定どおり進めていくためには、本格的な移行交渉が開始する前に、各行において事業会社のお客さまと前広に、かつ丁寧に、その対応について協議していくことが重要であることから、各行がこの移行計画のマイルストーンに応じて、お客さまとの協議に向けたスケジュールを策定していると理解しており、全銀協としても、こうした流れをしっかりサポートしていくということである。


(問)
 2点お願いしたい。まず1点目、ゆうちょ銀行でも不正な引出しが発見されており、ゆうちょ銀行は口座連携時の二段階認証の導入について、決済事業者との合意が必要だという説明をしている。一方、決済事業者側は、金融機関側の判断であると反発している。そもそも銀行界として、決済事業者との連携時に二段階認証などの導入に関するガイドラインがあるのか。ない場合、今後、業界としてどういった対応をしていくのか。例えば、個社同士の契約に任せず、業界同士で指針などをつくる考えがあるか。
(答)
 まず、全銀協としては、これまでもインターネット・バンキングでの預金不正引出しに関する注意喚起、セキュリティ対策強化や補償に関する申し合わせといったもので、お客さまが安心・安全にサービスをご利用いただくための取組みを実施してきているが、今回の不正利用の再発防止に向けて、業界としてさらなる取組みが必要だと認識している。
 先ほど申しあげたとおり、全銀協では、足元で全会員に対して注意喚起を行い、銀行側に認証上の問題がないか、資金移動業者側で本人確認プロセスに脆弱性がないかを確認したうえで、問題や脆弱性が発見された場合には、お客さまの資産保全を最優先に、新規連携や残高のチャージを一時停止するなど、被害の拡大を抑えるべく対応をしている。
 ただし、今回の注意喚起は、全銀協としては、今後、類似の事案を防ぐための第一歩であるとも認識している。今回発生した事件も踏まえ、今後、例えば、資金移動業者との口座連携時に銀行が提供するネット口座振替の受付時に求められる認証水準等について、ガイドラインの策定等、必要な対応も進めていきたいと考えている。
 繰り返しになるが、資金移動業者と銀行が連携してサービスを提供する際には、入口のセキュリティ、その後のモニタリング、補償、再発防止、これらの機能を全体としてしっかりと作っていくことが大切と考えている。
(問)
 もう1点、全銀ネットの次世代決済タスクフォースで、全銀システムに事業者が接続できるようにする議論が進んでいると思うが、その進捗を教えてほしい。
(答)
 全銀ネットでは、ご存じのとおり、「次世代資金決済システムに関する検討タスクフォース」を5月に設置し、ご指摘のあった全銀システムのノンバンク接続と、少額送金サービスという主に二つのテーマについて、ノンバンク、学識者、関係当局等の外部関係者も交えて議論を進めている。こうした議論の内容も踏まえたうえで、各テーマについては、今年度中に何らかの方向感を示したいと考えて取り組んでいる。
 タスクフォースでは、これまで3回の会合を開催して全銀システムの概要や諸外国の決済システムについて幅広く意見交換を実施してきたほか、直近の2回の会合では、複数のノンバンクの方々から、全銀システム接続などに対するニーズをヒアリングしてきた。また、8月に開催した第3回の会合では、システムベンダー3社の方にもプレゼンテーションをお願いして、全銀システムの効率性や高度化などに関する提案もいただいている。
 参考までに、会合での様子を少し紹介すると、ノンバンクの方々からは、「全銀システムへの参加により利用者の利便性向上につながることを期待する」という声や、「全銀システムの効率性や接続等における柔軟性向上を期待する」といった意見をいただいている。
 また、全銀システムへの参加判断に当たっては、「コストや担保差入れ負担などの参加条件を踏まえた検討が必要」といった意見や、現実的な選択肢として、「現在の内国為替制度の枠組みや全銀システムの仕様などを踏まえると、全銀システムとは別に多頻度小口決済に対応したシステムの構築の検討も必要ではないか」といった意見も出ている。
 また、決済システムに参加することにより、銀行とノンバンク、それからノンバンク同士が相互に送金し合うインターオペラビリティ(相互運用性)が確保されることになるが、この相互運用性に関しては、現時点では、「自社の戦略と顧客利便性を総合的に判断しながら、今後検討していきたい」といった意見が多かったということである。
 また、システムベンダーの皆さまからは、既存の全銀システムを効率化、高度化する具体的なアイデアとして、APIやクラウド技術を活用したシステム構築や、多頻度小口決済を念頭に置いた少額送金インフラのあり方について、さまざまな示唆をいただいたところである。
 次のステップとしては、こうしたノンバンクやシステムベンダーの方々からのご意見・ご提案を踏まえながら、全銀システムが担うクリアリングに求められる性質等も踏まえたうえで、ノンバンク接続の実現に向けた課題、実現方法等の整理を進める必要があると認識している。
 今後、要件等の検討に際しては社会に必要不可欠な決済システムの安心・安全をいかに担保するかが重要なポイントだろうと、今回の事案も踏まえると、改めてそのように考えている。
 これまでも会見で申しあげてきたことだが、全銀システムは1日650万件、決済金額にすると12兆円にも及ぶ内国為替決済を処理している、安心・安全で可用性があり拡張性も有する、わが国の経済基盤を支えるインフラである。実際、1973年の稼動開始以来、運用時間中にオンライン取引を一度も停止したことがない。
 したがって、今後ノンバンクが全銀システムに接続し、相互運用性を確保する際には、こうしたシステムの安心・安全の確保、システムに接続する事業者の事業継続性や信用力を担保する方法、万一、事業者が破綻した場合でも、円滑な決済を継続するための、例えば、担保差入れ等のルールについて、今後、有識者や関係当局の意見も踏まえて慎重にしっかりと検討を進めることが重要である。この点は銀行界としてもしっかりと主張していきたいと思う。
 冒頭申しあげたが、今年度中に何らかの方向感を示したいというスケジュール感は現時点でも変わっていないが、拙速に議論を進め、決済システムの安心・安全が脅かされるということがあってはならないため、議論の進捗を見ながら方向性を固めていきたい。


(問)
 地銀の再編に絡めて、会長はオーバーバンキングの定義をどのように捉えているか。また、その定義にもとづけば日本はオーバーバンキングと言えるか、もしそうであれば、どのように解消していくべきなのか教えてほしい。
(答)
 オーバーバンキングの定義については、明確な共通理解があるわけではないが、銀行を含む預金取扱金融機関の数を一つの切り口として、人口当たりの金融機関の数や人口当たりの店舗数という観点で見ると、必ずしもわが国が際立って多いというわけではないと思う。
 その一方で、わが国全体としては、マクロ的な資金余剰と超低金利環境が定着するなかで、地方においては人口の高齢化や都市への人口流出が加わって、経済の停滞感がより強い状況にあるのではないか。そうしたなかで、金融機関同士の競争も増しているということではないか。
 そうして考えると、各行がそれぞれの営業基盤としている地域経済の活性化のために、どう貢献していけるのかが鍵だと思うし、そのために各行が新たなビジネスに果敢に取り組み、お客さまへの資金支援の他、例えば地域商社ビジネスへの取組み等を通じて、地域への貢献を一歩踏み込んだかたちで模索しているところではないかと思う。


(問)
 菅新総理がデジタル庁を作ると仰っている。会長も、今回のコロナ禍でデジタル化、オンライン化の遅れが浮き彫りになったと仰った。今回も給付金などで銀行がその前線を担ってきたが、具体的に言うと特にどの部分でデジタル化を進めてほしいのか。マイナンバーと口座の紐付けのようなところもあると思うが、ポイントがあれば教えてほしい。
(答)
 デジタル庁の創設そのものは、現時点で詳細を把握できてはいないが、今後中身が詰まっていくということだと思う。報道によれば、省庁横断で行政のデジタル化を進める組織とされ、マイナンバーを含め、ありとあらゆる分野を集約するとされている。したがって、今般のコロナ禍で浮き彫りとなった行政を含めたデジタル化の遅れに対して、力強く推し進めるデジタル庁が創設されることは、諸外国でも幾つか事例を見ても効果があり、その取組みには私どもとしても期待をしている。正確かつ迅速な行政からの給付、行政に対するストレスのない納付、ワンストップでの行政手続といった行政のデジタル化は、いろいろなかたちで金融のビジネスとも関係してくると思う。そして何といっても、その先にある社会的コストの削減を進めていくことには、銀行界としても可能な限り歩調を合わせて検討を進めていきたいと考えている。
 例えば、銀行界が取り組んでいる税・公金収納の効率化におけるQRコードの導入については、デジタル庁のような国の統一的な旗振りのもとで進めることが望ましいのではないかと考えている。
 また、マイナンバーは、7月に公表された成長戦略で、「預貯金口座へのマイナンバー付番のあり方について検討を進め、2020年中に結論を得る」との方針が示されている。マイナンバーと預貯金口座の紐付けについて申しあげると、仮に全口座への付番が義務化され、日本全国に12億口座あるとも言われる全ての預金口座への付番を店頭窓口で対応することになると、大変な作業となる。その場合には、例えば公的機関と連携した一括付番といったデジタル技術による簡便な付番方法の導入が、法整備も含めて進められれば良いと考えている。
 いずれにしても、組織形態や権限等が整備され、デジタル庁が創設となれば、こうした議論が進んでいくことが期待される。繰り返しとなるが、銀行界としても協力し、検討を深めていきたいと考えている。


(問)
 不正引出しの問題に戻るが、続々と被害が明らかになってきている部分もあるなかで、被害を受けてから発表までに時差があるといった指摘もなされている。情報開示や金融機関の間での情報共有という意味では、適切な対応が今なされているとお考えか。
(答)
 会員行の事案の発覚が先週で、それを受けて事案を確認し、週末もかけて事態の確認を行ったうえで、14日には全会員に対して注意喚起を発出している。そうした意味で、銀行界としては、適切な対応をしてきたのではないかと考えている。