令和2年12月17日

三毛会長記者会見(三菱UFJ銀行頭取)

岩本専務理事報告

 事務局から1点ご報告する。
 本日の理事会において、お手元の資料のとおり、来年度の副会長を内定した。 次期副会長は、11月に内定している次期会長と同じく、理事会での正式な選定手続きを経て、来年4月1日付で就任予定である。

 

会長記者会見の模様

 


(問)
 会長に三つ伺いたい。1点目は地銀再編について伺う。政府は、地銀が経営統合などを行うことを条件に、システム統合の費用の一部を補助する制度を来夏に創設する方針を決めた。それを受けて日本銀行も歩調を合わせたかたちで、合併を進める地銀に対して金利を優遇する支援制度を設ける考えである。政府と日本銀行の地銀再編への圧力が高まっているように我々として受け取って見ているが、一連の動きについて会長としてはどのように見ているか。 
(答)
 地銀の本件テーマについては、9月の会見でも申しあげたが、地域金融機関においては、地域の企業、家計の経済活動を支え、地方創生に貢献していくことが重要な課題であり、そのために各行が合併や経営統合を含むさまざまな選択肢を視野に入れながら、しっかりと自身の経営戦略を議論し、実行していくことが必要だと認識している。政府や日本銀行からさまざまな支援策が打ち出されているが、これらは決して合併・経営統合を強いるものではなく、経営基盤強化のための他の選択肢も含めた一つの手段として合併や経営統合を利用しやすくするものと理解している。
 一連の支援策を整理すると、まず政府においては、同一県内の地銀の経営統合に際して独占禁止法の適用除外とする「合併特例法」が11月27日に施行された。また、今般、金融庁の銀行制度等ワーキング・グループ報告書案が提出、了承されたが、そのなかで業務範囲規制の緩和を通じた収益力強化、経費の合理化に加え、合併・経営統合や、その他の抜本的な事業の見直しを行う地銀等に対して、預金保険機構の利益剰余金を活用し、事業の見直しに必要なシステム投資等の追加的な初期コストの一部を交付する資金交付制度を導入する方向で議論が行われている。
 加えて、日本銀行においても、11月10日に、2022年度までの3年度の時限措置だが、収益力強化や経費削減により損益分岐点(OHR)を一定以上引き下げる、あるいは合併・経営統合により経営基盤を強化した地域金融機関に対して当座預金への追加的付利を行う「地域金融強化のための特別当座預金制度」の導入を公表している。
 地銀各行が現時点で総じて相応の自己資本を備えていることは、直近の中間決算においても確認できたが、中期的に低金利や人口減等の厳しいマクロ環境が抜本的に改善することはなかなか想定しがたく、また、足元ではコロナ禍による与信費用増加もあり、今後の経営環境は楽観視できるものではないと認識している。
 各行は、すでに収益力強化、経費削減に向けたさまざまな取組み、経営努力を重ねているが、それに加えて、アライアンスや合併・経営統合を通じて、サービスの拡充や経営の効率性の向上を目指す金融機関も見受けられる。今回の政府、日本銀行の一連の施策、これは経営基盤強化に向けた選択肢の一つとしての合併・経営統合を後押しするものと考えている。
 他方で、営業地域やお客さまの特性、持てる経営資源や強みを踏まえて、各行がビジネスモデルを判断していくものであり、一概に望ましい姿やあり方をお話しできるものではないとも思う。重要なのは、こうした制度的な後押しを受けて、金融機関自身が自らの改革に向けて議論を深め、実現に向かっていくことだと考えている。
(問)
 アメリカで民主党のバイデン政権が誕生する見通しとなった。バイデン氏は財務長官に前FRB議長のイエレン氏を当てる方針を決めるなど、政権交代に向けた動きが加速している。バイデン政権下では、今後も金融緩和策が継続されるという見方の一方で、金融業界に関しては金融規制が強化されるといった影響も考えられる。バイデン政権の発足が、金融界にどのような変化を及ぼすと思われるか。
(答)
 来年1月のバイデン大統領就任を控え、今回の米国の政権交代が金融界にどのような影響を及ぼすかとの質問だが、その影響はさまざまあろうかと思う。財政政策等を通じた実体経済の変化に加えて、米国内の金融規制の議論や、国際協調主義に回帰する方針を掲げるなかで気候変動関連を含めたグローバルな規制環境に関する変化、さらには経済安全保障の観点を踏まえた貿易・通商政策上の変化など、さまざまな政策・ルートを通じて影響が波及すると考えられる。
 新政権下の政策展開については、まずは現在膠着状態にあるコロナ禍への大規模な追加経済対策の議論が再開され、規模や時期次第ではあるが、経済対策が実行に至れば景気を下支えすると考えている。
 また、バイデン陣営の選挙時公約を見ると、経済・雇用面では大規模インフラ投資や富裕層への課税強化、法人税率の引上げといった、弱者にも配慮した包摂的な経済社会の構築を目指す「Build Back Better」、気候変動対応では2兆ドル規模のクリーンエネルギー関連への投資策などが掲げられており、これらが実現すれば、短期的には増税よりも歳出拡大が上回り、一定程度経済への追い風となる可能性が高いとみられる。
 一方で、金融規制の面ではドッド・フランク法等の強化や、国際協調主義に回帰する方針を掲げるなかで、気候変動関連を含めた規制環境に関する新たな変化が生じてくるであろうし、貿易・通商政策の面でも、対中政策を中心に新たな動きが出てくるのか等についてはよく注視をしておく必要がある。
 ただ、現時点では、バイデン政権において、最終的にそれぞれどのような政策が志向されていくのか、また、ジョージア州での上院議員選挙の投票が1月に予定されているが、「ねじれ議会」となることが想定されるなかで、政策運営の面でもまだ不透明な部分が多く、今後の政策運営を注視していく必要があると考えている。


(問)
 今年1年間について伺いたい。今年は新型コロナウイルス感染症が猛威を振るったのが一番大きな出来事であり、それが企業業績に悪影響を与えた1年だと思う。本日も東京では800人以上がコロナに感染しているというニュースもあった。今年1年間、コロナ禍における金融業界の振り返りと、来年の展望を教えてほしい。
(答)
 今年2020年を振り返ると、新型コロナウイルス感染症の世界的流行という、かつて経験したことのない事態で世界は一変し、各国で感染拡大抑止のための大変厳格な公衆衛生措置が採られた結果、家計や企業の経済活動が著しく制限され、わが国の経済も年前半には未曽有の落込みを経験した。
 経済、社会のさまざまな脆弱性も露わになり、「安心・安全」、あるいは「デジタル化」といったキーワードが再認識されたと思う。そうしたなかで、働き方、勤務形態や消費活動、雇用のあり方など、あらゆる分野で不可逆的な変化が生じ、企業経営や産業のあり方についても大きな変化をもたらした1年だったと思う。
 企業業績については、売上・利益ともに4-6月期には世界金融危機時並みの大変な落込みを示した後、7-9月期には政策効果やペントアップ需要で持ち直しに転じたものの、依然として前年比では大幅なマイナス圏にある。特に公衆衛生措置や移動自粛の影響を受けている業種を中心に、大変厳しい環境が続いているものと思う。
 全銀協の活動について申しあげると、コロナへの対応を最優先課題とし、金融インフラとしての責務を果たすべく努力を重ねている。感染が再拡大し、本当に足元急速に広がっているが、そうした状況のなか、銀行界としては引き続き緊張感を持って臨んでいるところである。この間、店舗での感染拡大を防ぎながら、生活に必要不可欠な金融サービスを継続して提供するための指針を策定するとともに、特別定額給付金をはじめとした給付金の振込みには、銀行界をあげて迅速・正確な給付が行われるよう取り組んできた。コロナ禍を受け、大変厳しい状況にあるお客さまへの融資、資金支援については、引き続き最優先で取り組んでいる。
 一方、このようななかにあっても将来の日本経済の姿を見据えた種まきも重要という考えのもとで、今年度を「イノベーションに取り組み、持続的成長と社会課題解決に貢献する1年」と位置づけ、会長就任の会見のときにも申しあげた三つの柱を掲げて活動してきた。
 これまでの会見でも何度か申しあげている項目もあるが、簡単に振り返ると、第1の柱「金融サービスの提供を通じた経済、社会課題への貢献」においては、長期・安定的な資産形成、高齢者対応、地方創生への貢献、さらには気候変動への対応など、さまざまな課題に向き合ってきた。
 第2の柱「デジタル時代の『安心』『安全』『便利』な金融・社会インフラの実現」では、銀行口座からの不正出金事案を契機として、「資金移動業者等との口座連携に関するガイドライン」を制定した。決済システムに関しては、資金移動業者の全銀システム参加検討や、都銀5行で表明した小口決済インフラ構想を多頻度小口決済の利便性向上に向けた取組みとして検討を進めている。また、コロナ禍により非対面、オンライン取引が拡大するなかで、手形・小切手機能の電子化、QRコードを活用した税・公金収納の効率化を進めるべく、政府、関係省庁とも議論を深めている。
 また、金融審議会傘下の二つのワーキング・グループの議論に参画し、銀行の業務範囲規制の緩和が実現される見通しとなり、今後、銀行界としてさまざまな選択肢が広がっていくことになると期待している。
 一方、銀証のファイアーウォール規制撤廃に向けては、骨太な議論を継続することとなっており、わが国金融・資本市場の発展に向けた適切な意見発信を続けていきたいと考えている。
 第3の柱「金融システムの健全性・信頼性のさらなる向上」についても、LIBOR廃止への対応、国際金融規制への意見発信等、さまざまな施策に取り組んでいる。
 2021年を展望すると、感染拡大抑制・医療崩壊防止と経済活動維持のバランスを模索するなかで、経済回復ペースは緩やかなものとなると想定している。銀行界としては、資金支援に引き続き最優先で取り組み、金融面からわが国経済をしっかりと下支えするとともに、取引・手続等の電子化・非対面化を含めたイノベーションにも果敢に取り組み、ウィズコロナ/ポストコロナの社会課題解決に貢献したい。特に、コロナ禍でグリーンリカバリーが提唱され、わが国もカーボンニュートラルが宣言されるなど、気候変動という地球レベルの社会課題への関心が一層高まっており、銀行界としても責任ある資金供給主体として、この点でもしっかりと貢献していきたいと考えている。


(問)
 マイナンバーの銀行口座への紐付けについてお伺いしたい。政府の議論では、マイナンバーの口座への紐付けを国民に義務化することは見送る一方で、金融機関には、窓口でお客さまにマイナンバーの紐付けを求めることを義務化するという方向になっている。窓口で声をかけているのかという実効性をどうやって担保したらいいのか、国民や利用者にとって義務化ではないものを金融機関に義務付けるというのはどうなのか、義務化は嫌だという声もあるだろうし、窓口対応を行う行員の心理的負担もあると思う。一方的に国民にとって義務ではないものを金融機関に促すことを義務化することは、金融機関にとっては、ギブ・アンド・テイクどころか、義務ばかりテイクしているような感じがするが、その辺りはどう思われるか。 
(答)
 マイナンバーについての今回の議論を踏まえたご質問だが、11月27日に開催された政府のデジタル・ガバメント閣僚会議傘下の「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」の第5回会合において、国民がマイナンバーを金融機関に告知する義務は規定しない一方、金融機関には口座開設時等にマイナンバーの提供を求める義務を規定するという方針が示された。今後、法案は来年の通常国会に提出され、2024年度から新たな制度による付番を開始する予定と理解している。
 これまでも銀行界としては、マイナンバーを新たな領域で活用するためには法改正を伴うため、政府や行政の方針について議論を深め、マイナンバーの意義や預貯金口座に付番させることの必要性について、国民の理解と納得をしっかりと得ることが重要だと申しあげてきた。今回、付番の義務化が見送られた背景には、こうした国民への説明が引き続き必要と政府が慎重に判断されたものではないかと受け止めている。
 銀行界は、これまでも会員行が法令等に則り、口座開設時にマイナンバーを任意で提出いただくようお願いしており、全銀協としては、わかりやすく、統一的にご案内が行えるよう、事務ガイドラインを作成し、会員行に周知してきた。告知を求める義務が金融機関に課せられた場合も、同様にこの事務ガイドラインをベースに、引き続き丁寧なご案内を徹底することになると考えている。
 銀行窓口を中心に新たな事務負担となることへの懸念ということでご質問いただいたが、「銀行といえば窓口で手続」という発想や理解を変えていく必要があると考えている。
 そもそもマイナンバーの預貯金口座付番は、コロナ禍を経て浮彫りとなった行政のデジタル化の施策という側面もあり、これは担当省庁との協議が必要なことではあるが、オンラインや非対面での受付が中心となるように、銀行の手続の電子化と併せて検討を進めていかなければならないと考えている。
 また、これまでバックヤードにおいても公的機関と連携した一括付番等、簡便な付番方法の導入についても法整備が必要だと申しあげてきた。口座情報の更新が住民基本情報と同期を取って更新されるような仕組みづくりも必要だと考えている。そういう意味では、今般示された案では、預金保険機構を介したスキーム案が示されているので、このような方法が実現すれば、付番を進める有力なツールとなるし、将来のさらなるマイナンバーの活用に向けた一つのステップになるのではないかと受け止めている。
 さらに、これまでの給付金支払いにおける混乱等の経緯も踏まえ、マイナンバー付きの公金受取口座を国に登録する制度の創設も予定されており、給付金等の受取りの効率化も期待される。お客さまにとって利便性の高いサービスを提供できるよう、これを契機として、銀行界としても政府の検討に最大限協力して参りたいと考えている。 


(問)
 二つ質問がある。いずれも今年の振返りと来年の展望のなかでも若干言及があったが、まず、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関して、銀行界のDX推進の目的や重要性について改めて会長の見解を伺いたい。もう1点は、先ほどグリーンリカバリーの話もあったが、政府が2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロという目標を掲げ、先般の追加経済対策等にも必要な施策が盛り込まれていると思う。この問題に関して、銀行業界としてどのように取り組んでいくのか、改めてお考えを伺いたい。 
(答)
 まず、DXについて、これに対する認識や対応方法は、業種、事業規模等によって差異があり、それぞれが試行錯誤を続けながら取組みを進めてきたところであるが、コロナ禍を経てDXの遅れ、あるいはDXを加速させる必要性を再認識している状況だと思う。その点において、銀行のDXは、マイナス金利の長期化、技術革新による異業種参入等の厳しい経営環境下、DXによるサービスレベル・付加価値の向上という元々存在していた経営課題が、コロナ禍を経て、非対面、印鑑レス、ペーパーレスといった社会的要請により急速に、かつより一層顕在化したものと認識している。まさに銀行のビジネスモデルそのものが問われていることと同義であり、銀行がお客さまに金融サービスを通じて付加価値を提供し続け、競争力を維持・強化するためにも、DXの推進によって、抜本的なコスト削減とその還元、そして新たなサービス創出が喫緊の課題と認識し、最優先事項の一つとして取り組む必要があると考えている。
 また、その取組みに際しては、ITの力も有効に活用し、銀行自身の業務、あるいはカルチャーの変革を進めることが重要であり、自前主義のみにこだわることなく、オープンイノベーションの促進によって、新たな商品・サービスを展開する新規事業者や異業種とも連携しながら、スピード感をもって対応を進めていくことが非常に有力な選択肢ではないかと考える。
 また、改めてDXの趣旨の一つを見てみると、「デジタル技術やデータ活用によって業務やビジネスモデル自体を変革し、企業の競争優位を確立する」といった考え方があるが、この趣旨に立ち返れば、DXは銀行のビジネスモデルだけの問題ではなく、お客さまのDXをサポートするという観点も重要であろう。すなわち銀行が提供するサービスの電子化やDXを進めて、お客さまの金融取引のみならず関連する管理業務のDXにも貢献することが重要と思う。そのことが、結果として、社会全体のDXという社会課題解決にも貢献することにつながるのではないかと考えている。
 次に、カーボンニュートラルについて、今回、政府が温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロにする方針を打ち出され、今月8日に閣議決定された追加経済対策においては、カーボンニュートラルに向けた研究開発を支援する2兆円の基金創設も表明されている。大変な目標ではあるが、気候変動という人類が直面する課題に対処するために達成しなければならないものであることから、銀行界としても政府の方針に沿って、グリーン社会の実現に向けて貢献していきたいと考えている。
 全銀協では、冒頭申しあげたように、金融サービスの提供を通じた経済・社会課題解決への貢献を今年度の第1の柱に据えて活動してきており、特に気候変動への対応については、待ったなしの課題として取り組んでいる。
 銀行は、長期的な視点に立ち、責任ある立場としてお客さまの経営課題を支えるファイナンスを通じて、お客さまの事業がグリーンになるような移行、いわゆるトランジションを促す重要な役割を担っている。
 会員行のなかでもサステナブルファイナンスの目標額の設定、投融資ポリシーの見直しといった主体的な取組みが着実に増えてきていると認識している。例えば、メガ3行の場合、2030年までに合計55兆円をグリーンやサステナブル分野に投融資する目標を設定し、再生可能エネルギー事業に関連したファイナンスのリードアレンジャーのリーグテーブルでは、世界トップレベルの実績をあげている。個別行の話で申しあげると、三菱UFJ銀行は、直近10年間で再生可能エネルギープロジェクトへ累計で約4兆5,000億円のファイナンスを組成している。この取組みにより、私どもの試算では総計1億3,000万トンのC02の削減に貢献しており、これは日本人約1,500万人の1年間のC02排出量に相当するものである。
 また、足元では、企業融資に関して、気候変動に取り組むお客さまに対し、会社自身が設定した環境目標等の達成状況に応じて貸付条件を設定する、いわゆるサステナビリティ・リンク・ローンといった新たな金融サービスの提供を通じたトランジションの支援も行っている。
 その一方で、銀行に対しては機関投資家を中心に気候変動関連情報の開示の充実化を求める声も多く、全銀協としてもTCFDに賛同するとともに、同提言に対する会員行の取組みのサポートを進めてきた。なお、私自身も、先日、経済産業省が主催した「TCFDサミット2020」に参加したが、こうした政府における議論にも積極的に参加しており、これからも続けたいと考えている。
 加えて、国内外の監督当局には、銀行に対して気候変動が与える財務リスクを定量化し、管理すべきであるといった問題意識があると理解している。足元では、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワークであるNGFSが、金融機関がシナリオ分析を通じ、気候変動に係るリスクを把握するためのガイダンスを公表している。今後、気候変動リスクの指標の標準化や比較可能性をどう確保するかが課題になると思う。
 いずれにしても、気候変動への対応は待ったなしの状況にあると実感しており、政府、産業界を含め、さまざまなステークホルダーが一体となり、総力戦で取り組んでいく必要があると思う。引き続き銀行界として、金融の側面からお客さまのトランジションとイノベーションを促し、持続可能な社会の実現に資する事業への幅広い支援を積極的に進めて参りたい。 


(問)
 2点お願いしたい。まず1点目だが、一般的に年末、年度末は、企業の資金繰りが逼迫すると言われているが、足元の資金需要について改めて状況や傾向を教えていただきたい。また、年度末に向けての見通しもお聞きしたい。
 2点目だが、政府の追加経済対策で、経済構造転換のポイントの一つに中小企業の経営支援を掲げている。資本性資金の活用や地域金融機関の連携強化が期待されているが、銀行界として中小企業の経営支援についてどのような後押しができるのか、会長のお考えをお聞きしたい。 
(答)
 まず、1点目の資金繰り支援について。冒頭申しあげたように、3月以降、銀行界はコロナ禍を受け、厳しい状況にあるお客さまへの資金支援には最優先で取り組んできたところである。まず計数を申しあげると、11月末の全国銀行の貸出残高は535兆円、前年同月比ではプラス6.1%である。前月比では、7月以降わずかながら減少してきたが、この11月は都銀貸出の前月比プラス0.8%増、これを主因として、6月以来の前月比プラス0.3%の増加となっている。ただ、これは一部大企業のM&A関連資金調達の影響が大きいのではないかと見ている。
 その一方で、実質無利子・無担保融資に関しては、11月末までの申込受付件数は約48万件、融資決定件数が約45万件、融資決定金額が約8兆6,000億円で、5月から7月にかけてのピーク時からは鈍化したが、11月単月の融資決定件数が約2万5,000件、融資決定金額が約4,000億円と、引き続き多くの事業者に活用いただいていると思う。
 こうした一連の数字から読み取ると、大企業では足元でM&A関連資金の調達が増えたものの、コロナへの資金調達は夏ごろまでにほぼ一巡している。一方、中小企業の資金調達については引き続き相応規模の融資件数、金額があり、今もこれは継続していると認識している。
 足元の感染再拡大を踏まえると、諸々の公衆衛生措置によって再び事業者の資金繰りが悪化する可能性がある。予防的な手当ても含めて、年末、さらには年度末にかけて資金需要が増加すると考えている。
 このように予断を許さない状況下、今回の政府の追加経済対策によって、実質無利子・無担保融資の申請期限が来年3月まで延長となることは大変心強いものと考えている。
 全銀協では先月、中小企業等に対する金融仲介機能の発揮に全力をあげて取り組む旨を申し合わせており、これから年末、年度末に向けてお客さまの資金需要に引き続きしっかりとお応えする所存である。
 それから、2点目の中小企業の課題についての認識、銀行界としてどう支援していくかというご質問について申しあげる。まず、中小企業と一口に言っても、業種や業歴、地域特性、あるいはビジネスモデルといった観点から、実にさまざまな中小企業が存在するなかで、一概に語るのは難しいが、かねてより日本では中小企業の生産性向上が課題として指摘されてきたと理解している。
 また、中小企業については、2025年には70歳超の経営者が約250万人に達し、その約半数において後継者が未定となるという試算もある。したがって、こうした事業を円滑に承継し、わが国企業の従業者総数の約7割に当たる3,220万人の雇用を抱える中小企業の雇用の維持と、生産性の高い中小企業の事業継続、それから持続的な成長をどう実現していくかも、あわせて重要になると考えている。
 こうした中小企業の生産性向上や事業承継は、銀行界が総合的なソリューションを提供することで、その解決に貢献すべき社会課題であると認識している。もちろん再編のみが解ではないが、中小企業がM&A等も含めたさまざまな選択肢を視野に入れて、生産性向上や事業力強化といった変革に取り組んでいけるように、私どもも支援していかなければいけないと考えている。
 今回、中小企業への再編を促す税制案なども出てきたが、こうしたものも一つの環境整備になるだろう。同じく検討されている設備投資や雇用継続に伴う支払い企業に対する減税制度も、中小企業の企業再編等の選択肢を進めるうえでの問題・課題解決に資するのではないかと考えている。
 銀行界も企業の円滑な事業承継に際し、積極的にサポートをさせていただいているが、今回検討されてきた税制も活用しながら、生産性の向上に取り組む中小企業に対して、事業承継、再編のためのファイナンス提案や、M&A等の支援、あるいはビジネスマッチングやコンサルティング機能の提供といった、さまざまなサービスを通じて貢献することができるのではないかと考えている。 


(問)
 2点お伺いしたい。1点目は、日本銀行の今週の金融政策決定会合におけるコロナの特別プログラムを延長するという観測について、日本銀行のこれまでの金融機関への資金供給策をどのように評価するか。
 2点目は、日本銀行が来春にも中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験を始めるが、銀行業界として、CBDC発行についてどのように考えるか、懸念があれば伺いたい。
(答)
 まず、日本銀行の資金繰り支援プログラムだが、今日・明日で開催される日本銀行の金融政策決定会合において、「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」が延長される見込みであるという報道もあった。金融政策は日本銀行の専管事項であるため、この特別プログラムの延長、廃止や評価については、全銀協会長としてコメントすることはあまり適切ではないが、我々もサポートをいただいているので、個人の見解として可能な範囲でコメントさせていただく。
 遡ると、日本銀行は、3月に金融政策決定会合を開催して以降、量的緩和の拡大、市場への流動性供給、企業の資金繰り支援等、金融市場の安定維持、円滑な企業金融の確保に向けて、非常に迅速に、取り得る最大限の措置を実施されてきたと思う。こうした日本銀行の緊急対応策の柱となっているのが、「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」である。この特別プログラムは、今のところ来年3月末がオペレーションの実施期限となっているが、実体経済・金融環境の状況に対する判断次第では延長される可能性も相応にあるのではないかと考えている。
 11月末時点の利用状況について申しあげると、新型コロナ対応特別オペの残高は約51兆円、CP・社債等の買入残高は約10兆円で、企業の資金繰りの大きな支えになっていると思う。
 感染拡大の初期に比べ、資金繰り支援の要請に一旦落着きが見られるが、足元では感染の第3波、再拡大に直面するなど、実体経済ならびに金融環境の先行きには不透明感が強まっている。今後、公衆衛生措置が厳格化され、また、企業・家計による感染抑止のための行動変容により、事業者の資金繰りが悪化し、支援要請が再び増加する可能性も想定される。銀行界は、これまでも日本銀行や政府によるさまざまな政策と歩調を合わせて、また、その後押しをいただきながら、お客さまの資金繰り支援を最優先で行ってきた。オペレーションの実施期限である来年3月末にかけて、感染者の動向や実体経済の推移、企業の業況、資金繰りの状況により、本プログラムの延長が必要と判断されるような環境となる場合において延長措置が取られることは、銀行界としても、資金繰り支援を行っていくなかで、非常に心強いことである。
 いずれにしても、銀行界としては、引き続きお客さまの取引状況をしっかりと把握したうえで、適切に資金供給の責任を果たして参りたい。
 次に、CBDCについては、国内外でもこれまでさまざまな議論がなされてきた。日本銀行が公表した「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」においては、現時点ではCBDCを発行する計画はないとされつつも、環境変化に的確に対応できるように準備しておくことの重要性が示され、期待される機能、役割として、現金と並ぶ決済手段を導入すること等とし、加えて現金に対する需要がある限り、現金の供給も責任をもって続けていくと整理をされている。そのうえで、ご質問のなかにあったように、これまでのようなリサーチ中心の検討にとどまらず、実証実験の実施を通じて、より具体的、実務的な検討を行っていく方針が明記されている。
 この取組方針のなかでは、一般利用型CBDCの発行に当たって、中央銀行と民間部門からなる決済システムの二層構造を維持すること、すなわち、これは民間銀行等を介した間接型での発行が前提とされている。したがって、一般利用型のCBDCの影響について少し申しあげるが、これも一言で申し述べるのはなかなか難しいが、幅広く活用できるキャッシュレス手段として、現金コスト削減であるとか、情報利活用の可能性が広がるといったメリットは考えられる。ただ、その一方で、高齢者等のデジタル・ディバイドにも配慮し、誰でも使えるユニバーサルアクセスの確保であるとか、不正利用等を防ぐ強固なセキュリティ、災害発生時も利用できるレジリエンス、強靱性、現金同様の決済のファイナリティ、即時決済性を有しているかといった問題、さらには相互運用性をいかに備えていくかといった大きな課題が残っている。
 また、日本銀行も指摘されているところであるが、預金からCBDCへの大規模な資金シフトによる信用創造の抑制といったものを回避し、金融政策の有効性や金融システムの安定性を維持するためのCBDCの機能、発行額や保有額の制限、付利の有無といったさまざまな設計の詳細、イノベーションの促進という観点での民間事業者との役割分担、政府・民間によるデータガバナンスの難しさ等、慎重に考慮すべき点が多いのではないかと思う。
 日本銀行の実証実験は三つのフェーズに分かれる。第1段階に当たる概念実験フェーズは、2021年度の早い時期に開始することが現時点で予定されているが、この間に、先ほど述べた課題や考慮すべき点を含む制度設計面での検討にも取り組む方針が示されている。すなわち、解決すべき課題や論点がまだ多く残されている状況であり、こうしたなかでは、まずしっかりと議論したうえで理解を深めていくことが重要と思う。銀行界としても、CBDCのメリット、デメリットであるとか、今後議論になるであろう、実際にどういったユースケースが考えられるのかといったことについて、責任ある金融の担い手の立場から、意見をしっかり申しあげて対応して参りたい。 


(問)
 マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止対策(AML/CFT)についてお聞きしたい。コロナ禍の影響で、当初は今夏に予定されていたFATFの第4次対日相互審査の結果公表が来春以降にずれ込む見通しである。その一方で、日本の金融機関にとって対策の強化が必要であることには変わりがなく、例えば既存のお客さまに対して、取引目的の確認などを行う継続的顧客管理については、顧客と金融機関の双方で負担が伴うものだと認識している。現時点での対応状況や来年に向けた課題をお聞きしたい。
(答)
 FATFの対日相互審査については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、対日相互審査を審議するFATFの全体会合が来年6月ごろに再度延期するということが、一昨日公表されたところである。これで3度目の延期となったが、FATFは今年4月に「マネー・ローンダリング、テロ資金供与対策強化に引き続き努めるとともに、グローバルにFATF参加国との協力関係を継続する」という声明を出しており、引き続き、わが国でもマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止に関わる態勢整備に取り組んでいくことに変わりはないと認識している。
 また、審査結果公表に際して、審査団による改善提案を示されることが通例である。その場合、公表後5年程度のフォローアップ期間が設定され、さらなるAML/CFTに係る法制度の整備と対策の実効性向上に向けて、官民が連携し一層の改善に取り組む必要があるものと認識している。
 AML/CFTに関する態勢整備のなかで、とりわけ顧客への影響が大きいのは、リスク低減措置のなかでも中核項目になっているKYCに関する取組みである。特に、ご質問にあった継続的顧客管理は、既存のお客さまに対しリスクに応じてKYC情報の更新を行うものであり、FATF勧告および金融庁ガイドラインでも対応が求められる項目として、各行がそれぞれの状況に応じて昨年より順次取り組んでいるものである。
 このKYC情報の更新では、通常、銀行からお客さまにKYCフォームを書面で発送し、お客さまに記入していただき、ご返送いただいているが、KYC情報の更新を依頼する既存のお客さまの数は膨大であり、対応には相応の時間を要すると考えている。
 こうした状況を踏まえ、全銀協の会員行は、関係当局とも連携のうえ、リスクベース・アプローチの考え方にもとづいて、自らの業務のリスク実態を踏まえ、例えば日々の生活に不可欠な口座など、提供する商品・サービスや顧客属性等を総合的に勘案して、低リスクと判断したお客さまには簡素な顧客管理を適用するなど、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与リスク管理の実効性を確保しつつ、簡素化する対応も検討しているところである。
 また、全銀協としては、会員行に対して、お客さまにご理解いただくための、より丁寧な説明を行う等の対応を要請する文書を発出し、周知・徹底を図るとともに、テレビや新聞等の広告媒体を通じて、お客さまにKYCの重要性について一段のご理解をいただくべく、マス広報活動を継続的に実施していく予定である。
 引き続き、全銀協では、継続的顧客管理を含め、わが国のマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止態勢の強化に取り組んで参りたい。


(問)
 LIBORに関して伺う。公表停止予定まで残り1年となったなかで、足元の状況や今後に向けた計画について教えてほしい。
 また、5通貨のうち、ドルLIBORの3ヶ月物などの一部を2023年6月末まで存続させる可能性が浮上しているが、このことについての所見と、これを受けた今後の対応について教えてほしい。
(答)
 まず、足元の状況について申しあげる。ご質問にもあったが、先日LIBOR運営機関であるIBAによるステートメントがあり、LIBOR公表停止に関する市中協議が開始された。これは、ポンド、ユーロ、スイスフラン、そして日本円については、当初の予定どおり2021年末を目途に公表停止としつつも、ドルに関しては、ご指摘のとおり、一部の取引については2023年6月まで公表停止を延期するという内容である。
 この公表を受けて、ドルとそれ以外の通貨で対応が分かれることになるが、日本円を含むその他通貨に関しては、ドルを取り巻く状況を注視しつつも、これまでどおりマイルストーンに沿って、着実に移行準備を進めていくことが重要であると思う。
 こうした状況下、本邦の移行準備状況であるが、「日本円金利指標に関する検討委員会」において、フォールバック時のスプレッド調整手法や、統一的な移行計画に関する市中協議の取りまとめ結果が公表されるなど、移行に向けた本邦全体の環境整備は、概ね完了しているものと認識している。
 各金融機関は、LIBOR移行に関する情報共有といった初期的な顧客説明はほぼ終えており、足元ではフォールバック文言の導入や、移行に向けたプロセスの確認といった具体的な顧客交渉が本格化しつつあるというステージにある。
 全銀協においては、こうした金融機関の動きに合わせて、会員各行の移行準備をサポートするために、これまでも同検討委員会等で公表されてきた公開情報や、LIBORに関する基本情報をまとめた顧客説明資料を公表している。今後も確定された公開情報をベースとして、定期的にアップデートしていくほか、海外当局のアナウンスメントなど重要な情報に関しては、タイムリーに全銀協特設ページ内にFAQを公開する予定である。
 今後の計画であるが、2021年に入ると、こうした顧客交渉に加え、個社レベルの環境整備が進み、2021年6月以降は、LIBOR参照取引の新規実行停止やターム物リスク・フリー・レートの正式な公表が開始される。これによって代替金利指標への移行が一層進み、9月末を目途にLIBOR参照取引の顕著な削減を実現することとしている。年末の公表停止に向けて、全銀協としても、この移行計画の進捗をしっかりとフォローしていきたいと考えている。
 ドルLIBORに関して申しあげると、新規取引は、引き続き2021年末に停止を目指す。また、既存取引についても、期間1週間、2ヶ月物については2021年末をもって公表停止となる。延期となるのは、取引規模が大きい3ヶ月物、6ヶ月物をはじめ、それ以外の期間の既存取引が対象になると認識している。
 最終的な公表は市中協議結果取りまとめ後となるため、現時点で確定的なことは申しあげられないが、一部ターム物を除くドルの公表停止が1年半延期となった場合においても、LIBORからの移行が必要であるということは不変であり、契約当事者は新たな期限までに移行を完了させることが重要であると考える。
 今後の市中協議を受けた動向を注視する必要があるが、2021年はLIBOR移行準備の仕上げの年でもあり、金融機関・事業法人双方が協力することはもちろんのこと、当局とも緊密に連携し、移行に向けた準備をしっかり進めていきたいと考えている。


(問)
 本日は東京で1日800人を超える感染者が出るような状況であるが、資金繰りの需要がおそらく年末、年度末に高まるだろうという発言があったが、これから特にどういった業界あるいはどういった規模で需要が高まる可能性があるのか、見通しがあれば教えてほしい。
 もう1点は、銀行業界でも窓口で感染者が出るなど、改めて対応が求められる時期になってくると思う。全銀協として、これからの感染拡大に備えて、資金繰りの対応をどういったオペレーションでやっていくのか、具体的な見通しなどがあれば教えてほしい。
(答)
 まず、最初の資金繰りであるが、これは先ほどのご質問のなかでお答えしたように、感染再拡大が進むなかで、経済活動が自粛される面があり、これから年末、年度末に向けて新しい資金需要が出てくる可能性はあると考えている。
 業種について申しあげれば、移動の自粛や公衆衛生措置の影響を受ける業種においては、やはり影響はより大きいものと考えている。
 そうしたなかで、資金繰り支援をする、あるいはその他の金融サービスを提供し続けるためには、店舗運営をしっかりやっていくということが重要である。これまでも会見等でお示ししているが、コロナ禍における銀行の営業体制、店舗運営の基本的な考え方は、感染拡大防止に努めながら必要不可欠な業務を継続する、というものであり、一貫してこの点については変わりないことを申しあげておきたい。
 全銀協では過去、緊急事態宣言下においても、感染拡大防止を最優先に、今申しあげたように、業務を継続するべく、お急ぎでない手続について混雑時を避けての来店協力をお願いする店頭ポスターや、新聞広告等を通じて周知する活動を行ってきた。
 その後、緊急事態宣言解除後の経済活動再開に合わせて、会員行向けに「新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を策定して運営してきた。さらに、この7、8月の感染再拡大期における店舗での罹患者発生対応の教訓を踏まえ、足元の感染拡大がさらに深刻化し、行員の罹患が多発して応援要員が逼迫するような事態が生じたとしても、何とか店舗を開店し続け、生活の維持・事業の継続に必要不可欠な金融サービスだけでも提供し続けられるよう、基本的な考え方を整理のうえ、会員行に共有しているところである。
 幸いにも、これまでお客さまのご理解、ご協力をいただきながら、銀行店舗においてクラスターが発生する事態は起きていないが、足元では、お話しにあったような全国的な感染急拡大、一部地域では病床も逼迫しているという報道もある。こうした状況を踏まえると、予断を許さない状況が続くものと思う。
 全銀協としても、緊急事態宣言時および7、8月の厳しい局面での経験を踏まえ、年末年始の資金繰り支援をはじめとする必要不可欠な金融機能を維持するべく、今後の感染状況を注意深く見守っていく必要はあるが、店舗の3密回避を含めた感染防止対策に万全を期すとともに、緊張感を持って業務運営に臨んでいきたいと考えている。 


(問)
 先ほど、コロナウイルスにより不可逆的な変化が起きたと言われたが、そのように考えると、コロナウイルスが収まっても経済状態がなかなか元の状態に戻らないことが十分考えられる。現時点ですでに借入れをしている企業が、また再拡大で経済活動が滞り、さらに支援してほしいということがあった場合、企業に返済余力はあるのか。そうした企業側の余力についてご意見を伺いたい。
(答)
 ご質問の点は業界によっても異なるうえに、景気変動のなかで各企業が直面する危機にどのように対応をされるのかによって見方が変わるため、一律に回答することは難しい。
 今回のコロナウイルス感染拡大に伴う経済状況は、公衆衛生上の厳格な措置のため、言わば強制的に経済活動を止めたことによって、各企業の事業運営に難しさを生じているものである。したがって、例えば7-9月のペントアップ需要のように、感染拡大の抑止に成功した場合には、経済が再開され、経済の循環が好転することは十分考えられる。そうした状況であれば、企業経営においても、資金の借入れや資金繰りが好転し、新たな資金需要にもお応えする余地は十分出てくるのではないかと思う。
 一方で、今のご質問は、リクイディティからソルベンシーの問題に状況が移っていくのではないかという含意もあったと思うが、当然、企業、業界によってはそうした局面を迎える可能性があり、資本性資金の調達ニーズの高まりについては注視する必要があると考える。
 こうした状況に対応するために、各行、銀行界でもさまざまな取組みを行っているが、政府においても、補正予算等で手当てがなされ、政策金融機関において資本性資金の枠組みを整えていると認識している。 官民が連携しながらソルベンシーの課題に取り組める枠組みが整理されてきたと理解しており、銀行界として、まずは資金ニーズについて効果的な支援ができるよう取り組んでいきたいと考えている。