令和4年7月 1日

半沢会長記者会見(三菱UFJ銀行頭取)

辻専務理事報告

 事務局から1点ご報告申しあげる。
 7月1日付で三菱UFJ銀行の半沢頭取が全銀協会長に選任された。新体制における会長・副会長は、お手元の資料のとおりである。本日はこのほかに、半沢会長の略歴もお配りしている。

 

会長記者会見の模様


 三菱UFJ銀行の半沢です。このたびの理事会において髙島前会長から引き継ぎ全国銀行協会の会長を務めることとなった。皆さまのご支援を賜りながらこの大役を全うできるよう努めていくので、どうぞよろしくお願いしたい。
 就任に当たっての抱負を申しあげる前に、この場をお借りして髙島前会長に一言御礼を申しあげる。
 振り返ると、昨年度はコロナ禍やウクライナ紛争、歴史的な資源高など不測の事態が次々と発生した。こうしたなか、髙島前会長は、過去からの諸課題に加え、足元で顕在化してきた各種リスクに対し正面から取り組むなど、銀行界をけん引いただいた。そのご功労に、心から敬意を表するとともに、厚く御礼を申しあげる。
 まず、わが国銀行界を取り巻く環境を概観する。世界経済は、コロナ禍により一時低迷していたが、主要国では「ウィズコロナ」を前提とした経済の正常化が進みつつあり、それを受けた個人消費の改善などの効果により、回復に向けた道筋も見えてきた。一方、V字回復を遂げていた中国では、ゼロコロナ政策のもとで、主要都市のロックダウンが実施されるなど、経済を下押しするリスクが未だ存在している。加えて、コロナ禍以前より続く米中対立や、ロシアによるウクライナ侵攻により、地政学リスクを改めて認識せざるを得ない。これらをはじめとする複数のリスク要因が、エネルギー価格の上昇やグローバルレベルでの各種供給制約を加速させ、新興国を含めた世界的なインフレ圧力を高めるに至っている。そして、主要国では金融政策の正常化への移行も見られる状況にある。
 次に、日本経済に目を向けると、世界情勢と同様、各種行動制限の緩和を受け、サービス消費を中心とした改善も徐々に見えてきた。一方、ウクライナ紛争により、資源・食料などの他国依存への警戒感が一層高まっている。足元の円安環境とも相俟って、輸入価格の上昇を要因に、家計および企業の物価上昇にも影響を与えるなど、日本経済へのマイナス要素も認識せざるを得ない状況である。
 こうした認識のもと、今後、日本経済が持続的な成長を遂げていくには、気候変動や地政学リスク等への耐性の高いサステナブルな環境・社会の構築が不可欠であり、それには「人への投資」「無形資産への投資」によるイノベーションの創出が欠かせない。すでにお客さまは、ポストコロナを見据え、5年後、10年後、さらにその先における持続的な成長に向けた戦略を打ち出し、実行フェーズに至っている。銀行界としては、そのようなお客さまの挑戦に対し、経済の支え手として貢献して参る。
 以上、申しあげた環境認識を踏まえ、私は、今年度を、「サステナブルな環境・社会構築に向けて、新たな価値創造・成長への挑戦を支えていく一年」と位置付け、活動していきたいと考えている。具体的には、次に掲げる「三つの柱」にもとづき取り組んで参る。
 第一の柱は、「金融起点の多様なサービス提供を通じたお客さまや社会への貢献」である。わが国経済の持続的な成長と、さまざまな環境・社会課題解決のためには、私たちが多様なサービスの提供を通じて、お客さまの課題にしっかりと向き合うことが重要と考えている。
 まず、足元の資金繰り支援に、引き続き、最優先で取り組んでいく。そのうえで、事業再生に当たっては、本源的な収益力回復に向けた事業再構築に資するアドバイスの提供など、お客さまの経営課題解決を全力でサポートしていく。また、進めていくうえでは、政策金融機関とも協調していきたいと思う。
 次に、業務範囲規制の緩和を活用した、新しい価値の提供である。各行の取組みが中心となるが、お客さまの多様なニーズにお応えするため、昨年11月に施行された改正銀行法のもと、従来の銀行業務の枠にとらわれないサービスを提供していく。そして、サステナブルな社会構築に向けて、産業界と一体となり、カーボンニュートラルの実現に取り組むことも重要と考えている。ファイナンスにおけるサポートをはじめとして、お客さまの脱炭素に向けた取組みをあらゆる面で支えていく。
 加えて、かねてより銀行界としては、日本経済の持続的な成長には「貯蓄から投資へ」の移行が必要と考えてきた。そのようななか、政府は「新しい資本主義」において、本年末に「資産所得倍増プラン」を策定するとしており、その重要性が高まっている。そこで、NISAやiDeCoなどの投資運用に関する制度をより一層活用していただけるよう、制度自体の改善や税制改正に向けて、官民で連携して取り組んでいきたいと思っている。さらに、若年層をはじめとする、これから投資をスタートしようとする方々に対し、金融経済教育の取組みにも力を入れていきたい。
 また、資産形成を促進するには、さまざまな金融資産を合わせて提案できる態勢構築が、お客さまに最適な選択をしていただくうえで必要と考えている。フィデューシャリー・デューティーを意識した態勢の整備や、職員一人一人の意識向上への取組みに努めつつ、情報授受や商品提供態勢にかかる規制の見直しも引き続き要望して参る。
 さらには、日本経済の成長を促進し、また、投資需要を喚起する一環として、スタートアップ企業の創出を活発にする動きも必要である。起業を考える方々の背中を後押しすべく、経営者保証のあり方や、今まで以上に事業力や将来性に着目した支援のあり方などの検討にも貢献して参りたいと思う。
 そのほか、社会や企業を支える「人材」は、持続的な社会構築に不可欠である。私どもとしても、人的資本にかかる考え方の発信や、開示に関する議論への参画を通じて、「人」の成長が「社会・企業」の成長へと繋がる好循環の創出に貢献していきたいと思う。
 続いて第二の柱は、「デジタル化を踏まえた安定的かつ利便性の高い金融インフラの実現」である。これまで銀行は、自然災害時にも決済ネットワークの維持に努めることで、日本社会に欠かせない金融インフラとしての強靭性を確保してきたと自負しており、これは今後も変わらぬ使命である。また、IT化の進展に伴い、さらに利便性が高く、多様なサービスが求められていると理解している。私ども銀行界もそれにお応えし、社会の効率化に貢献していきたいと考えている。
 具体的には、全銀システムにおける資金移動業者等との相互運用性確保に向けた議論を進めていく。この秋には電子交換所も開設する。手形・小切手の完全電子化に向け着実に施策を進めて参る。加えて、デジタル社会の実現に向け、企業間取引の契約とそれに付随する決済において、全銀EDIシステムの活用を含む具体策について検討し、社会全体の効率性向上に繋げていきたいと思う。一方、デジタル化による利便性追求だけではなく、不正送金や暗号資産等の新たな技術を利用した金融犯罪被害に対しても、信頼の維持に努めていきたいと考えている。
 このほか、中央銀行デジタル通貨およびNFTの利用等におけるWeb 3.0の推進や、それに向けた環境整備に関する議論にも積極的に意見発信して参る。
 最後に第三の柱は、「健全性・信頼性を確保した強靭な金融システムの維持・向上」である。銀行界は、これまでもグローバルベースで安定的かつ健全な金融システムの維持・向上に努めてきた。将来にわたっても、皆さまから信頼され、強靱性を兼ね備えた金融システムの向上に努めることで、その期待に応えていきたいと思う。
 具体的には、まず、FATF第4次対日相互審査の結果への対応である。わが国が「重点フォローアップ国」に分類されたことを踏まえ、官民連携で国際的水準から見ても、信頼に足る金融システムの構築を目指していく。また、近年、ますます顕在化しているサイバー攻撃の脅威、重要物資の他国依存やそれに伴う供給リスクなどに対し、5月に公布された経済安全保障推進法に則った適切な運営を行い、基幹インフラの強化やサプライチェーンの強靱化に貢献していきたい。
 そのほか、国際金融規制の継続的な諸課題への対応や、金利指標改革における一層の透明性・頑健性を確保した指標構築に向けても、しっかりと取り組んで参る。
 以上が私の会長就任に当たっての決意だが、最後に改めて本年度の基本方針に込めた思いをお伝えする。基本方針は、「サステナブルな環境・社会構築に向けて、新たな価値創造・成長への挑戦を支えていく一年」と申しあげた。足元は、パンデミックリスク・地政学リスクなど、複数かつ多様に絡み合うリスクが顕在化し、先行きが不透明な状況と理解している。このような状況下、サステナブルな環境・社会を構築するためには、リスクの顕在化や危機の同時多発にも耐え得る強靭さの確保と、新たな価値創造や成長への挑戦を可能とする社会環境の整備が不可欠と考える。銀行界もお客さまからの「信頼」の根源となる「安心・安全」の確保を普遍的な役割と認識のうえ、日本経済を成長軌道に乗せていく支え手として、その責務をしっかり果たすことが極めて重要と考えている。
 このような考えのもと、銀行界が諸課題に向き合い、自ら挑戦していくことこそが本年度の最大のテーマと捉え、私自身、全銀協会長として、銀行界の先頭に立って取り組んでいきたいと考えている。皆さまのご支援とご協力を頂戴しながら、誠意をもってこの責務を全うして参る。何卒よろしくお願いしたい。


(問)
 本日、日本銀行の短観(2022年6月調査)が公表された。足元で円安やインフレが急激に進むなか、日本経済の現状や、取引先も含めた企業経営の現状をどのように見ているのか教えてほしい。
(答)
 日本銀行の短観をどのように受け止めているのかだが、足元、日本経済は、新型コロナウイルス感染症の感染状況が落ち着いてきたことに伴う正常化が進む一方、国際商品市況の高騰や円安を背景とする物価高、あるいはウクライナ情勢や中国での都市封鎖の影響を含む供給制約が景気の重石になっていると思う。今回の短観のポイントは、企業がそうした経営環境をどのように実感しているのかという点にあったかと思う。
 結論から申しあげると、全体的には企業の景況感は緩やかに改善している一方、業種によってばらつきがある姿が示されたと理解している。
 内容を具体的にみると、まず、現状評価として、業況判断DIは全産業・全規模ベースで2%ポイントと、3月調査からはプラス2%ポイント改善した。非製造業では、感染状況の落着きを受けた経済活動正常化の動きを反映し、「宿泊・飲食サービス」や「対個人サービス」、「運輸」などを中心に業況が改善した。一方、製造業では、中国における都市封鎖の影響を含む供給制約や、国際商品市況高騰の影響で、「石油製品」、「鉄鋼」などの素材業種、「生産用機械」や「自動車」などの加工業種のいずれも業況の悪化が示されたと思う。
 他方、今年度の企業の設備投資計画が業種、企業規模によらず強めのものとなったことは明るい材料と言えるのではないか。企業収益は、全般に堅調に推移しており、事業環境の不透明性が晴れてくれば、コロナ禍を受けて延期されていたものを含め、設備投資が積極的に行われる可能性を示唆していると思う。
 銀行界としては、政府、日本銀行の対応と歩調を合わせつつ、お客さまの置かれている状況を丁寧に確認しながら、資金繰り支援をはじめとしたサポートを行うことで、わが国経済全体をしっかりと支えていきたいと思う。
(問)
 黒田総裁が行ってきた日本銀行の金融政策について、マイナス金利の効果や副作用、出口戦略に向けた展開も含めてどのように捉えているか。また、銀行界として日本銀行に対してどのような金融政策を期待しているのかも併せて伺いたい。
(答)
 金融政策は日本銀行の専管事項であり、全銀協会長としてコメントすることは適切ではないため、個人の見解としてお答えする。
 黒田総裁が2013年3月に就任されて以降、日本銀行は2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現することを目的に、強力な金融緩和政策を進めてきたものと理解している。足元、日本のコアCPIは前年比で2%を超えているが、資源高や円安などの一時的な影響が大きく、持続的かつ安定的という観点からすると未だ目標に達していないという状況かと思う。ただし、総括的な評価として申しあげれば、9年前のデフレ的な状況を脱却したという意味で、一定の金融緩和の効果があったと考えている。
 もっとも、日本銀行のマイナス金利政策を含む異次元緩和が続くなかで、預貸金利鞘の縮小、運用環境の悪化など、金融機関の収益環境が悪化傾向を辿っているほか、中長期的には資本市場の資金配分機能に与える影響にも目配りが必要になっている状況かと思う。また、世界を見渡すと、他の主要先進国は、すでに金融政策の正常化に動き出しており、内外金利差の拡大により、円安圧力が意識されやすくなっている点にも留意が必要だと思う。
 こうした状況が、わが国の実体経済に悪影響を与えるとすれば、それは副作用と言えるのではないかと思う。金融政策のあり方については、日本銀行における内外経済・金融環境の丁寧な分析と、それにもとづく適切な目標設定をもとに、政策効果と副作用のバランスが取れた政策運営がなされることが重要と考えており、日本銀行が適切な判断をすることを期待している。
 出口戦略に関しては、欧米ではすでに金融政策の正常化が進められている一方、日本では金融緩和政策が維持されている状況のもとで、資金フローや市場流動性に大きな変調が生じないかにも留意が必要だと思う。
 また、将来、本格的に出口戦略に向かう局面では、これまで実施してきた量的緩和、マイナス金利、イールドカーブ・コントロールなどの複数の金融緩和政策をどのようなかたちで調整していくかについて、政策の予見性を高めるフォワードガイダンスを含め、市場と十分に対話して進めていただくことを期待している。


(問)
 1点目は、銀証ファイア・ウォール規制を見直す内閣府令の改正が6月22日から施行されたが、それについての受止めと銀行界への影響について教えてほしい。
 2点目の質問は、全銀協の決済統計年報を見ると、銀行界のATM台数はここ4、5年で急激に減少してきているが、これについてどのように受け止められているのか。
(答)
 1点目の銀証ファイア・ウォール規制に関する質問からお答えする。
 6月22日に金融商品取引業等に関する内閣府令および監督指針が改正され、上場企業等の情報授受に関する規制の緩和や、お客さまの同意取得手続きの簡素化等が実現した。併せて、利益相反管理や優越的地位の濫用の防止、お客さまの情報管理等の弊害防止措置の実効性強化も盛り込まれた。こうした緩和によって、グループ一体での業務運営を通じた、お客さまへの高度な金融サービスの提供に一歩近づくことができたと受け止めている。
 一方、管理強化については、「Need to knowの原則」を踏まえた顧客情報の取扱い、法人関係情報の適切な遮断による不公正な取引の防止、利益相反のおそれの強い取引をあらかじめ特定・類型化して管理すること、優越的地位の濫用がないよう、経営陣の関与のもと、実効的な管理体制を整備すること等が定められた。加えて、金融庁に情報収集窓口が設置され、金融機関による優越的地位の濫用が行われていないかのモニタリング体制も強化されたと認識している。
 銀行界としては、かねてより、企業や家計が直面するさまざまな課題解決に貢献し、グローバルに競争力ある本邦金融市場を実現するための抜本的な見直しを求めてきたところである。こうした主張も踏まえ、金融審議会において議論いただいた結果、今般の改正が実現したものと、心から歓迎している。
 他方、今回の改正の趣旨を踏まえると、より一層お客さまに向き合い、付加価値の高い提案をお届けすることが重要であり、そのためにも、各行が管理体制を整え、実効性を高める必要があると考えている。また、上場企業等に留まらず、中堅・中小企業や個人のお客さまのニーズにも、銀行員がワンストップでお応えできるよう、さらなる見直しも求めていき、「貯蓄から投資へ」の流れに貢献して参りたい。
 2点目は、ATM台数の減少に係る質問だが、全銀協が公表している決済統計年報では、2021年9月時点におけるゆうちょ銀行を除く金融機関のCD・ATMの設置台数は、約93,000台と前年比約5%減少しており、全体としては、近年減少傾向にあると認識している。
 ATMの設置台数を含めたチャネル戦略のあり方については、まさに各行の事業戦略に応じて判断されるものであるため、全銀協会長としてのコメントは差し控え、一般論としてコメントする。
 ATMの設置台数が減少している背景には、インターネットバンキングの普及、キャッシュレスの進展、およびコロナ禍によるお客さまの行動様式の変化等がある。
 また、各行が「お客さまの利便性の向上」と「銀行業務の効率運営」の両立に資する最適なチャネルの再構築を進め、ATMを含むチャネル戦略を見直してきたことも相俟って、全体として減少傾向にあると認識している。
 三菱UFJ銀行の例を紹介させていただくと、自行のATMは減少している一方、他行との店舗外ATMの共同利用や無料提携行のATMに加え、より身近なコンビニATMを含めると、利用可能台数は5年前と比べ、増加している。
 また、コンビニATMでは、25日や月末日の日中の手数料を無料にするなど、現金利用のニーズにもお応えしつつ、インターネットバンキング「三菱UFJダイレクト」の機能追加やUI/UXの改善により、デジタルサービスも拡充することで、お客さまが多様なサービスをご利用いただけるように努めている。
 政府もデジタル社会の実現やキャッシュレス決済の推進を掲げており、社会全体でデジタル化やキャッシュレスが浸透していくことは大きな潮流であると受け止めている。銀行界としても、現金利用も含めた多様なニーズをお持ちのお客さまに最適なサービスを提供できるよう、利便性の高い金融インフラの実現に向け、各行がチャネルの再構築を進めていくことが重要と考えている。


(問)
 2点伺う。1点目は新しい資本主義関係で「貯蓄から投資へ」について伺いたい。半沢会長も冒頭触れられていたが、政府が掲げる新しい資本主義のなかで、特に「貯蓄から投資へ」という方針も掲げられている。ただ、これまで日本ではなかなか進んでこなかった現状もあるかと思う。「貯蓄から投資へ」の文脈のなかで、現状の課題認識とこの1年の取組方針についてお聞きしたい。
 2点目は、今、稼動に向けて準備を進められている決済インフラの「ことら」について伺う。現状の準備状況と、サービスの普及に向けて今後どのような取組みを進めていくのか。
(答)
 1点目は、「貯蓄から投資へ」に関する現状認識、銀行界の取組みについての質問であるが、まさに今触れていただいたとおり、6月の閣議決定で「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」が示されており、「貯蓄から投資へ」のための「資産所得倍増プラン」の策定が掲げられ、個人金融資産を全世代的に貯蓄から投資へシフトさせるべくNISAやiDeCoの改革、子ども世代が資産形成を行いやすい環境整備等について検討する方針が示された。
 日本銀行の資金循環統計によると、2022年3月末時点で家計の金融資産の約54%、金額にして1,088兆円が現預金である。また、金融庁のレポートによると、株式、投資信託が過半を占める米国は、金融資産が1998年から20年間で約2.7倍に増えているが、日本は1.4倍に留まっている。
 「貯蓄から投資へ」の実現に向けて銀行が求められている役割は、お客さまの資産形成をサポートすべく、一人一人のニーズにしっかりと寄り添って、お客さま本位の商品・サービスの提供に引き続き努めていくことであり、とりわけ若年層、資産形成層へのサポートが重要と考えている。まずは投資を体験していただき、成功体験を得ていただくことが大きな鍵となる。税制メリットを受けながら、少額からの積立・分散投資により、投資の第一歩を踏み出せるつみたてNISA、iDeCoといった制度の活用は極めて有用だと思う。
 全銀協としては、投資を始めるきっかけとなるNISAやiDeCoが、より身近で使いやすくなるよう、NISAの恒久化や非課税枠の拡大、iDeCo制度の拡充といった資産形成を後押しするための税制改正要望を例年取りまとめ、提出している。また、資産形成の推進、若年層の金融リテラシー向上も重要であり、つみたてNISAやiDeCoの認知度向上を目的に、金融経済教育や広報活動にも継続して取り組んでいる。
 ただし、「資産所得倍増プラン」を実現するには、資産形成層だけではなく、資産保有層や投資先となる企業も含めた資金の好循環を生み出す仕掛けが必要であり、政策を総動員のうえ、パッケージで打ち出すことが重要だと考えている。例えば、NISAやiDeCo等の少額投資に係る制度改正に加えて、資産移転に資する有価証券の相続税優遇措置や、スタートアップ支援に係る税制措置等も措置されると、資金の大きな流れが生じ、成長の果実が分配に向かう好循環に結びつくのではないかと考えている。
 このほか、6月22日に施行された銀証ファイア・ウォール規制の緩和は、資本市場の健全な発展を通じて投資先企業の成長に資するものであり、今後さらに中堅・中小企業や個人のお客さまの情報授受規制も緩和されれば、貯蓄商品を取り扱う銀行の投資に係る提案力を高めることにもつながるのではないかと思う。
 「新しい資本主義実行計画工程表」では、「資産所得倍増プラン」を年末までに策定することが示されており、銀行界としても政府の検討に最大限貢献していきたい。また、「貯蓄から投資へ」の実現に向け、銀行界を挙げてお客さまの資産形成をサポートして参りたい。

 2点目に、「ことら」の準備状況、取組状況についての質問をいただいた。「ことら」は、全銀協が直接関与しているわけではないが、銀行界による新しい多頻度小口決済インフラを構築する取組みであり、また個別行としても、ことら社の設立に関わり出資もしているので、少しコメントする。
 2年前、2020年7月に公表された政府の成長戦略実行計画において、乱立する各資金決済サービス間の相互運用性の確保や、多頻度小口決済を想定した、低コストの資金決済システム構築検討の必要性が盛り込まれた。
 その状況を踏まえ、翌月8月、都銀5行が主導するかたちで、低コストかつ容易に接続が可能で、利用者にとっても安価で便利な決済インフラの構築に関する構想を発表した。その後の検討を経て、個人間の多頻度小口決済のための新たな決済インフラを企画・運営する合弁会社として、2021年7月、都銀5行が出資する「株式会社ことら」を設立した経緯にある。
 ことら社が公表しているとおり、足元では、今年の秋の個人間送金サービスのリリースに向けて準備を進めており、37の金融機関が「ことら」に参加する予定となっている。また、各加盟金融機関が「ことら」での送金に対応した利用者アプリの準備を進めており、リリース時点では複数の利用者アプリで「ことら」での送金サービスが提供される予定と認識している。
 今後についても、ことら社から「全国信用金庫協会は、取扱いを希望する信用金庫がサービスを提供できるよう業界関連組織において準備を進めていく」と公表されており、加盟金融機関は増加することが見込まれる。また、2023年4月には、地方税納付書への統一QRコード導入に合わせ、税公金サービスの取扱いの開始も予定している。
 このように、当初の都銀5行から着実にネットワークが広がっており、手応えを感じつつある。ただし、全銀ネットが主催する「次世代の資金決済システムのあり方を検討するタスクフォース」において、有識者の意見にもあったように、銀行と資金移動業者間の相互運用性が高まることが重要であり、資金移動業者も参加する決済インフラとして、キャッシュレス社会に大きく貢献することを目指したい。


(問)
 最近、地方銀行同士で経営統合や合併などの動きが進んでいる。こうした動きを会長はどのように評価されているか。
 もう1点、最近、三井住友フィナンシャルグループとSBIが提携するなど、大手金融機関同士でも、資本関係を含めた関係性のあり方が少し変わってきたと思うが、その点をどう評価されているか。また、今後の金融業界がどうなっていくか、見解を伺いたい。
(答)
 まず1点目の地方銀行同士の経営統合に関連する件であるが、ご指摘いただいたとおり、ここ数年、地方銀行において合併や経営統合などの再編が進んでいる。これは、高品質な金融サービスの持続的な提供を可能とする健全な経営基盤の構築や、強みを活かした金融仲介機能・金融サービスの強化、地域社会への貢献を実現するために、各行が最適な選択を模索した結果と理解している。
 地域金融機関のみならず、金融機関を取り巻く環境は、構造的な資金余剰や長引く超低金利等もあり、依然厳しい状況が続いていると認識している。加えて、コロナ禍の影響、国際情勢の緊迫化、資源価格の高騰など、新たなリスク要因も生まれており、地域企業を支える金融機関の存在意義も改めて認識されている。
 このような環境下で、金融機関自身が、合併や経営統合も含むさまざまな選択肢を視野に入れながら、自身の経営戦略を議論し、実行していくことが重要である。
 そうした金融機関の取組みをサポートする施策として、近年、さまざまな制度整備も進められてきた。例えば、同一県内の地方銀行経営統合に際し、独禁法の適用除外を可能とする「合併特例法」や、合併・経営統合や経費率の改善を通して、経営基盤を強化した地域の金融機関に対し、日本銀行が当座預金へ追加的な付利を行う「特別当座預金制度」がある。また、直近では、2021年7月に施行された改正金融機能強化法による資金交付制度や、同年11月に施行された改正銀行法における業務範囲規制や出資規制の抜本的な見直しも挙げられるのではないかと思う。
 こうした政策メニューについて、活用の必要性を検討のうえで、各行が自社の経営戦略の実現に最適な判断を行うことが重要である。
 2点目が、三井住友フィナンシャルグループとSBIの提携に関連し、今後の大手金融機関の動向をどう考えているかということだと思うが、個社の資本提携・業務提携については、全銀協としてコメントする立場にはないので、あくまで私個人の意見として申しあげる。
 3メガを中心に、これまでの資本・業務提携の取組みを少し振り返ると、各行によって異なる点はあるものの、グローバルベースかつ銀行業にとどまらない金融サービスを展開するため、事業の拡充・強化を進めてきたものと理解している。
 そのなかで、従前は、金融機関同士の提携が中心であったが、2015年ごろからFintech企業を中心とした、デジタルや非金融との提携が増えてきている。加えて、昨年11月に改正銀行法が施行され、金融機関の業務範囲規制が大幅に緩和されたことで、今後はFintechにとどまらない新たな事業への取組みが進めやすくなるため、多様な企業との提携が一層進んでいくと考えられる。
 個別行の事例だが、三菱UFJフィナンシャル・グループでは、2020年2月に東南アジアのスーパーアプリ事業者Grab社との資本・業務提携を締結したほか、本年中に保有するユニオンバンクの株をUSバンコープに売却し、USバンコープ株の一部取得を行う予定である。また、昨日、アユタヤ銀行がタイのCapital Nomura Securitiesの株式を取得し、連結子会社化することを公表したところである。これは、オンラインプラットフォームを通じた投資信託販売に強みを持つ同社を傘下に加えることで、アユタヤ銀行のリテール事業の強化を狙ったものである。
 今後も時勢にかなった事業ポートフォリオを構築していくため、「デジタル」、「アジア」、「グローバルのアセットマネジメントやインベスターサービス」等の成長領域をキーワードに、資本提携・業務提携を含むさまざまな選択肢を検討していく予定である。
 これは、あくまで私ども三菱UFJフィナンシャル・グループの事例に過ぎないが、大手金融機関がグローバルな成長を取り込み、日本経済の発展に貢献していくためには、銀行自身が環境変化をチャンスと捉え、お客さまのニーズにお応えすべく、新たなリスクテイクやビジネス分野に挑戦することが必要である。今後も、他社との資本提携も選択肢に、事業ポートフォリオの強化に努めていくことが肝要と考える。


(問)
 環境変化を捉えていくという話だが、環境変化の一つでもある銀行のデジタルトランスフォーメーション(DX)について伺いたい。銀行界では、お客さまのDXをコンサル等の商機と見ているようだが、銀行自体がDXで遅れているのではないかと思う面もある。会員行によっては、個人用のEメールのアカウントを持っていないといった話や、さすがに今はないと思うが、メールがないのでお客さまにファックスでの送付を依頼する銀行があるという話も聞く。そういった点を踏まえ、お客さまのDXを銀行が支援するどころか、お客さまのDXの足を引っ張ることになるのではないかと思っているが、その辺りで懸念していることはあるか。
(答)
 まず、私どもに求められている役割として、中小企業へのデジタル化支援が言われており、その期待にどう応えていくかということであるが、銀行界自身もデジタル化を踏まえた利便性の高いサービスの拡充や、ビジネスの変化を踏まえた業務効率化を図っていく必要があり、例えば、RPAやAIを導入済の地域金融機関の割合は増加傾向にあると認識している。
 銀行界のデジタル化を推進し、顧客企業のDXを支援していくためには、銀行自身がデジタル・リテラシーを獲得することが第一歩であると考えている。
 政府も「新しい資本主義実行計画」の中で、2026年度末までに230万人のデジタル人材の育成を目指すと掲げているが、各行においても、デジタル人材育成のための取組み強化や外部からの中途採用も含めた人材の確保に努めていく必要がある。
 三菱UFJ銀行の例で少し補足させていただくと、2021年5月に「デジタルスキル認定制度」を開始し、3年間で総額12億円を投資するなど、行員のデジタル・リテラシーの促進への取組みを進めている。加えて、新卒採用によるシステム・デジタル領域に特化した募集や、高度な業務スキルや専門性を有する人材に対応した雇用形態も整備している。
 お客さまの支援については、改正銀行法により、銀行本体でもデジタル化に資するサービスの提供が可能になった。地域金融機関などで、グループ企業を通じたITコンサルティングサービスの提供やシステム導入支援などの動きもすでに見られている。今後も各行の創意工夫を通じて、裾野を広げていくことが重要と考える。
 ご指摘のとおり、地域金融機関を含む銀行界自らのデジタル化は重要であり、今後も各行において取組みを強化していく必要がある。お客さまのDXの支援においては、お客さまのデジタル化の進歩・進捗に合わせて、きめ細かく寄り添って支援していくことが重要であり、地域金融機関としての特性も活かしながら、社会のDX推進に貢献していくことが重要ではないかと思う。


(問)
 ちょうど参議院選挙期間中であるが、先ほどから仰られている、難しい環境のなかで、今注目している論点や、どのような政策論争を望んでいるのかを伺いたい。
(答)
 参議院選挙に関する質問であるが、全銀協として、選挙あるいは政局についてコメントする立場にはないので、あくまで個人的な見解として申しあげる。
 足元の食料やエネルギー価格の急激な上昇への対策に加え、コロナ後の経済活動の正常化、「貯蓄から投資へ」の実現、行政や社会全体のデジタル化、カーボンニュートラルに向けた産業構造の転換など、日本の経済・社会をリードするような政策論争を期待している。
(問)
 マレリについて伺いたい。一部の金融機関が反対したためにADRが不成立になった。珍しいことだと思うが、こうしたことにより、今後の企業の資金集めに何らかの影響が出てくるのか。また、銀行界にとってどのような影響が考えられるのか。
(答)
 個社の事例について回答することはできないため、一般論で申しあげる。
 今回の件で、一部反対が出たことについては、金融機関ごとに異なる方針で対応することもあり得ると認識している。
 事業再生ADRでは債権者全員の同意が必要であり、これまでも全員の同意が得られずに法的整理に流れた事例があったのではないかと思う。今回について、一般論として申しあげれば、法的整理ではあるが、スピード感を持った対応が進められていくことを期待している。


(問)
 今、電力需給の見通しに関心が集まっている。全国の電力管内で余力を示す予備率が5%を切って、厳しい状況となっている。政府は今日から改めて9月30日までの3ヶ月間、7年ぶりに全国で節電を要請するが、銀行界としては、どのような対応を取っているのか。また、今後このようなひっ迫する状況が冬にも想定されるなか、銀行界として何か方針などがあれば教えていただきたい。
(答)
 まさに今、厳しい暑さのなかで、電力需要が極めて高い水準で推移しており、6月27日には東京電力の管内で「電力需給ひっ迫注意報」が発出され、同注意報は昨日解除されたが、政府が本日から7年ぶりに全国で節電要請を行うなど、今後も電力需給は厳しい状況が続く見通しであると認識している。
 こうしたなか、全銀協としても、「電力需給ひっ迫注意報」等の発出時には、加盟行への周知徹底を行い、各行とも節電に取り組んでいると理解している。
 個別行の話になるが、三菱UFJ銀行では照明の不使用エリアでの消灯徹底や、空調の不使用エリアでの停止や室内温度の28度設定の励行、不使用機器の電源オフの徹底などを行員に周知し、業務に支障がない範囲で節電の取組みを行っている。
 長期化するロシアのウクライナ侵攻に起因し厳しい燃料調達競争が続いていることや、新型コロナウイルス感染症の影響によって自宅での電力使用量が増えたこともあり、電力の安定供給リスクは高い状況が続いており、今後も恒常的に厳しい需給となることが想定されていると思う。
 こうした状況を踏まえ、資源エネルギー庁が2022年度以降の電力需給に関する総合的な対策を公表し、供給・需要双方の取組み、また、制度的な対策を進めることと認識している。銀行界としても、銀行界自身の節電への取組みに加えて、サステナブルファイナンスの提供などを通じたお客さまのGXへの取組支援などに、しっかり貢献していきたいと思う。


(問)
 2点お伺いする。1点目が足元、金融機関はコロナ禍においても業績が堅調であるが、恒常的に解散価値を下回る株価で推移している。これは、投資家に対して、業績や各銀行の取組みについてのメッセージが伝わっていないことによるものなのか、あるいは、銀行業自体の先行きに懸念をはらんでいることによるものなのか、この辺りの考えを聞かせてほしい。
 2点目が、6月に開催された一部地域金融機関の株主総会で、株主還元を強く求める株主提案が提出された。こういう動きは銀行界において、過去に例がないものかと思う。今後、銀行業が株主資本コストをより強く意識せざるを得なくなると、銀行経営にも影響が及ぶと思われるが、こうした動きをどのように見ているか聞かせてほしい。
(答)
 1点目は、銀行の株価についてということでコメントする。銀行の株価は、ご指摘のとおり解散価値を下回る水準で推移しており、銀行界が、成長性を市場や投資家にしっかり示すことができていないということだと思う。したがって、今般、改正銀行法により、大きく業務範囲の規制が緩和されたことも受け、従来の金融のみならず、非金融も含めたサービス提供等も通じて収益性を高め、その実績を通じて、銀行界に対する将来性をしっかり示していくことに尽きると思う。
 2点目の株主還元を求める株主提案について、一般論として申しあげれば、株主資本コストや株主還元についてはこれまでも十分に意識されていると思う。株主総会で提案されるのか、もしくは、IR等の投資家とのコミュニケーションのなかで議論されるかの違いはあるが、いずれにしても、株主還元のあり方についてはこれまでも投資家、株主の皆さまと議論されてきたと思う。ただ、ご指摘を踏まえると、これまで以上にしっかりと株主の皆さまに対して、各行における経営計画とその結果としての株主還元のあり様について、適切にコミュニケーションしていく必要があるということだと思う。


(問)
 岸田政権の資産所得倍増プランに関連して伺う。具体策としてNISAやiDeCoの制度拡充ということで、優遇税制を伴う株式投資の活性化で投資機会の拡大が期待されていると思う。一方で、投資に回せる資金を持たない層からは、不公平感や格差拡大を懸念する声も出てくる可能性もあると思う。こうした懸念も踏まえ、銀行界としてどのような制度設計が望ましいと考えているか。
(答)
 今の時点で、投資に回せる資金を持たない方々についてということだと思うが、今回の政策に込められた大事なポイントは、多くの方々が人生100年時代に備えた資産形成に取り組める環境を整備するということではないかと受け止めている。資産形成のあり方は、一人一人のライフプランに応じて千差万別であり、まとまった資金をリスク資産に投じるだけが投資ではなく、比較的安全な商品から始めたり、少額から積み立てたりすることも可能だと思う。NISA、iDeCoは、これから投資や資産形成を始める方に適した制度であり、利用者にとってよりわかりやすく、身近な制度となることを私どもとしても期待している。
 一方で、「資産所得倍増プラン」を実現するには、資産形成層に加えて、先ほども触れた資産保有層や投資先となる企業も対象にして、まさに政策を総動員して、パッケージを打ち出し、資金の好循環を生み出すことが重要だと思っている。
 各主体に対し、バランスの良い政策パッケージが打ち出されていくことが望ましいのではないか。


(問)
 先ほど、日本銀行の金融政策について話されたなかで、「日本銀行の金融緩和により円安圧力が高まっている」、「それにより日本経済にマイナス影響があれば副作用だ」という話をされていたと思う。これまで円安というと、日本経済にとってプラスという論調が主流だったと思うが、最近では悪い円安といった議論も出てきている。今の円安水準が日本経済にとってプラスかマイナスか、どう捉えているか伺いたい。
(答)
 ドル円相場は、6月29日に1ドル137円台まで下落し、今日は135円を切るところかと思うが、いずれにしても円安が進行している。この背景は、日本と欧米の金融政策のスタンスの違いが大きいとみている。日本銀行が大規模な金融緩和を継続している一方、欧米の中央銀行はインフレ率の上昇を受け、利上げを実施済、または利上げ予定であり、円金利と海外金利の差が拡大している状況だと思う。
 そうした今の円安が日本経済に与える影響は、経済主体により異なるうえ、足元、ロシア・ウクライナ情勢等を受けた資源高の影響も大きく受けていることもあり、プラスかマイナスかを一概に申しあげることはなかなか難しい。
 そのうえで、経済主体ごとに見解を述べると、まず、家計にとっては、円安を受けた輸入物価の上昇により、資源高も相俟って、物価全般に上昇圧力がかかっており、家計の実質所得へ、負の影響を与えている面があると考えている。
 一方、企業にとっては、各企業のビジネスモデルにより異なるため、影響にはばらつきがあると認識しているが、今のドル円相場が、現状程度の水準で推移すれば、輸出型の製造業に対してはまだ追い風といえると思う。ただし、生産拠点の海外移転などを背景に、そうしたメリットは過去に比べて小さくなっていると思う。加えて、輸入型や内需型の企業にとっては、仕入れ価格上昇の影響があると理解している。
 いずれにしても、為替相場の急速な変動は企業経営にとって望ましくなく、景気への影響も含めて為替相場の動向について注視していきたいと思う。

別添資料:半沢会長記者会見(三菱UFJ銀行頭取)