会長記者会見
2024年3月14日
加藤会長記者会見(みずほ銀行頭取)
辻専務理事報告
(なし)
会長記者会見の模様
最初に、私から、昨年4月に全銀協会長に就任してからの取組みについて、総括させていただきたい。
今年度、わが国を取り巻く外部環境を振り返ると、各国の金利政策をにらんだ金融・為替市場や地政学リスクといった不安定要素はあったが、結果として大きな混乱はなく、総じて、期初に想定していた内容と大きな乖離はなかったと思う。
また、日本経済については、物価が上昇する中、賃上げの機運も高まり、賃金・物価の好循環の実現に近づいている。今年に入ってから日経平均株価は史上最高値を更新し、日本経済にとって明るい兆しが着実に見え始めてきた。
一方、1月に起きた能登半島地震では、犠牲になられた方々や、いまだ不自由な生活を強いられている方々がおられる。災害大国としての備えはもちろん、復旧支援の重要性も改めて痛感させられた。
こうしたなかで、全銀協では、本年度を、「社会・経済の持続的な発展を支え、明るい未来に繋げる1年」と位置づけ、3つの柱を掲げて取り組んできた。
まず、第一の柱「経済の持続的成長と社会課題解決への貢献」について。
ゼロゼロ融資の返済開始がピークを迎える中では、中小企業支援のあり方について、資金繰り支援中心から意欲ある中小企業の経営改善・事業再生へのフェーズ移行が必要である。今年度は、経営者保証や事業再生に関する各ガイドラインを改定し、産業の新陳代謝に尽力できる環境を整備した。
また、今年1月から開始した新NISA制度の円滑なスタートに向けた準備とともに、全銀協ではさまざまなかたちで制度周知、広報活動に注力した。すでにNISA口座の開設数が2,100万口座を突破しており、投資への資金流入額も2か月連続で1兆円を超える等、新NISA制度は順調なスタートを切れた、と実感している。
加えて、持続的な資金形成の取組みを促進するために、金融経済教育の推進では、今年度から新たに職域へのセミナー講師派遣を開始した。ご案内のとおり、今年4月に金融経済教育推進機構が設立されるが、その準備のために官民一体で取り組んできた。
そして、社会課題として注目されているカーボンニュートラルの実現である。大企業の脱炭素の取組みが進むなか、忘れてはならないのは日本の温室効果ガス排出量の2割弱を占める中小企業の存在である。先月、「CO2見える化とその先に」というエンゲージメントツールを策定した。これは、中小企業に対して、サステナ開示を起点に、これから必要となるアクションを示した説明資料である。こういった活動を通じて、中小企業の脱炭素化に向けた取組みの支援も銀行界として進めてきた。
次に、第二の柱「デジタル技術進展を踏まえた安心・安全で利便性の高い金融インフラの構築」について。
手形・小切手機能の全面電子化の目標である2026年度末まで残り3年となるなか、全銀協では、全国各地の商工会議所等での出張講演や、様々な媒体・チャネルを通じた周知活動を実施してきた。こうした取組みとともに、昨年夏以降、手形・小切手の新規発行を停止する金融機関が増えてきたことはご存じのとおりである。
また、昨年4月には、地方税のQR納付が始まり、スマホ一つでいつでもどこでも納付が可能になった。来年度中には全ての地方税目がQR納付の対象になる。ここにいらっしゃる皆さまへのお願いとなるが、来月以降、自動車税や固定資産税の納付書がお手元に届いた場合は、是非QR納付をご利用いただきたい。
最後に、第三の柱「金融システムの健全性・強靱性向上」について。
安心・安全な社会の実現のために、マネー・ローンダリングや口座の不正利用を排除することが必要である。私自身、さまざまなメディア媒体を通じて、銀行への最新のお客さま情報のご提出の重要性を訴えてきた。また、業界全体としてのマネロンの対応力底上げのために、来月からマネー・ローンダリング対策共同機構の業務高度化支援サービスが始まる。来年4月スタートのAIスコアリングサービスと併せて、全国約90の地銀、第二地銀を実際に訪問し、ニーズや課題・悩みに耳を傾けてきた。先進的な取組みをされている銀行の協力も仰ぎつつ、準備を進めている。
なお、今申しあげた活動以外にも、LBOファイナンスに関する勉強会、サイバーセキュリティの対策強化、特殊詐欺被害防止に関する啓発活動、ユーロ円TIBORの恒久的な公表停止に向けた準備など、金融界にまつわる諸課題に対して、できる限りの活動を行ってきた。
こうした取組みを通じて、今年度標榜してきた「社会・経済の持続的な発展を支え、明るい未来に繋げる1年」になったのではないか、と思う。
なお、この一年間、期初に想定していなかったこともあった。全銀システムで稼動以来初の大規模障害が起きてしまい、多くのお客さまや関係者の皆さまにご迷惑をお掛けした。この障害以後、「障害は起きない」という思い込みを捨て、全銀ネットだけでなく、全銀協や加盟銀行も一丸となって体制を見直し、改善、再発防止の対応を進めている。
今回の障害の原因となった中継コンピュータの不具合箇所のプログラム修正は3月4日に完了した。また、全銀ネットの体制の見直しやルール・マニュアルの整備といった各施策も今月で概ね完了する予定である。信頼される安心・安全な決済インフラに向けた、前向きな一歩と捉えて、組織への定着・浸透を進めていきたい、と思う。
この1年間を振り返ると、日本は今、「失われた30年」を取り戻す起点にあり、明るい未来に向けて一歩ずつ近づいている、そういった実感を私は持っている。来月から次期会長となられる三井住友銀行の福留頭取にしっかりとバトンを引き継ぐとともに、個別行としても全銀協の活動をサポートして参る。
(問)
1点目は、今年度の振返りを聞いたが、来年度に積み残すテーマ、課題があれば教えてほしい。
2点目は、日本銀行の金融政策に関連して、市場ではマイナス金利解除などの政策転換が近いという見方が出ているが、今の賃金と物価の動向などを踏まえて、政策転換できる経済環境にあると考えるか伺いたい。
(答)
1点目は来年度に積み残すテーマについて。全銀協の取組みには、単年ではなく複数年度にまたがるテーマも多くある。
具体的に申しあげると、まず中小企業支援である。今年度は、経営者保証・事業再生ガイドラインの改定などを通じ、早期の経営改善・事業再生や廃業といった退出支援の促進に注力した。
一方で、産業の新陳代謝にはスタートアップ企業の成長も欠かせない。現在、各会員行がスタートアップ支援を推進しているが、政府の「スタートアップ育成五か年計画」は非常にチャレンジングであり、銀行界としても一層の工夫が必要だと考えている。
次に、4月に設立される金融経済教育推進機構である。今年度、全銀協も設立発起人の一団体として新機構に参画してきたが、2月末には設立認可の取得が完了したところである。新機構の本格稼働は8月を計画しているので、来年度引き続き業務開始に向けた対応準備を進めるとともに、全銀協としても、これまでの金融経済教育活動で培った知見・ノウハウを新機構にしっかりと引継ぎ、官民一体での金融経済教育の推進に貢献していきたいと思う。
そして、マネロンや口座の不正利用排除のための取組みの強化である。4月から、マネロン対策共同機構の業務高度化支援サービスが稼動する。来年度以降も、銀行の垣根を越えた互助・互恵的な取組みを通じ、業界全体の対応力を高めていくことが大切である。
最後に、先ほど申しあげた全国銀行データ通信システムの障害を踏まえた改善・再発防止の対応である。全国銀行資金決済ネットワークにおける各施策は3月で概ね完了するが、何より重要なのは実際の運用であり、定着化である。来年度以降は、実効的な訓練や研修に全力で取り組み、安心・安全の確保に努めていく。
当然ながら、今申しあげた四つのテーマ以外にも、来年度、銀行界として取り組むべき課題・テーマは多岐にわたる。また、金融政策の動向など、我々を取り巻く外部環境の変化に伴い、新たに出てくる課題もあると思う。4月から就任される福留新会長の下、私ども銀行が一丸となって取り組んで参りたい。
2点目は、日本銀行のマイナス金利解除について。日本銀行が注目している「物価と賃金の好循環」を見ると、「価格から賃金への波及」は、2024年春季労使交渉の集中回答日の結果からも、昨年以上の賃上げ率が実現する見込みである。また、「賃金から物価への波及」については、企業の価格転嫁姿勢はまちまちなものの、サービス価格は緩やかに上昇している。日本銀行が金融政策を判断する際に参照している基調的物価は上昇している。
日本銀行の正副総裁を含む政策委員の方々もおっしゃっているとおり、物価目標達成の確度は、着実に高まっていると認識している。
足元では、マイナス金利解除などの政策修正の時期が3月なのか4月なのかが注目されているが、日本銀行が経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していくものと考えている。
大事なことは、賃金と物価の好循環が定着していくなかで、いかに技術革新に取り込み、生産性を上げていくか、より良い商品・サービスを生み出し、収益力を高めていくかである。持続的な成長力の上昇が生じれば、おのずと金融政策も正常化してくる。銀行界としては、これをお客さまとともにしっかりと実現していくことが重要だと思っている。
(問)
日本銀行の関連で2点伺う。1点目は、今まさに金融政策の正常化が意識されているなか、改めてマイナス金利をはじめとした日本銀行のこれまでの金融緩和策をどのように評価されているか、伺いたい。
2点目は、仮にマイナス金利が解除された場合、国債など銀行の運用スタンスにどういった影響が見られるのか。銀行経営への影響を、できたら短期的、中長期的、それぞれどういった影響があるのか、お考えを伺いたい。
(答)
1点目は金融政策の評価について。中長期的なスパンでお話しすると、日本銀行はデフレマインドを払拭すべく、2013年4月から量的・質的金融緩和を導入し、2%物価安定目標をできるだけ早期に実現することを目的に、強力な金融緩和政策を進めてきた。
金融市場においては、YCCによる債券市場の機能低下や過度な円安圧力、銀行界では預貸金利鞘の縮小などのマイナス面があった。
一方で、この金融政策では、異次元緩和を通じて賃金や物価の下押し圧力を軽減し、景気を押し上げるとともに、株高を後押しし、総じて日本経済にプラスの影響を与えたと評価している。
また、物価について申しあげると、企業収益が改善し、海外投資が活発に行われたが、雇用者報酬や設備投資を通じた日本国内への還元は限定的であったため、2%物価目標の安定的な達成には至らなかった。昨年からは、ご案内のとおり、輸入物価の上昇が主因とは言え、物価が上昇した。物価高のなかにおいても、日本銀行が継続した金融緩和策は企業活動を支え、経済を腰折れさせることなく、賃金・物価の好循環につながる環境を整える一助になったと考えている。
粘り強く金融緩和を継続してきた効果が今、賃金・物価の好循環の兆しとして現れ始めたと言えるのではないか。
2点目は、マイナス金利が解除された場合の銀行の運用スタンスについて。債券投資を含む有価証券投資のスタンスは各行の個別戦略になるので、一般論で申しあげる。
銀行は市場環境や各行の財務状況を踏まえた、適切なリスク管理の枠組みのなかで投資資産のアロケーションを調整しながらポートフォリオ運用を行っている。確かにマイナス金利が解除された際の市場環境次第では、運用利回りの改善などを企図して、日本国債の保有残高を拡大する銀行が出てくる可能性はある。
ただ、マイナス金利解除への受止め方は、各行さまざまであり、邦銀の運用スタンスが一様に大きく変化するとは限らないため、マイナス金利解除のみで大きな影響があるとは思っていない。
また、リスク管理という観点でも、昨年10月に日本銀行が公表した「金融システムレポート」にあるように、邦銀の多くは、一昨年は外債、昨年は円債を中心にリスク量を削減するなど、ポートフォリオのリバランスをすでに図っており、金利上昇への耐性を強めている。
金利上昇は、国債などの保有債券の一時的な評価損益の悪化を招くが、日本の金融機関は、今申しあげたようなかたちで、総じて充実した資本を有していると認識している。
(問)
1点目は、昨日が2024年春闘における集中回答日で多くの企業が満額回答あるいはそれを上回る回答となったが、どう評価されるか、また中小企業への波及効果がどのようになると見ているか、見解をお願いしたい。
2点目は、冒頭にもあった昨年から自動車税、固定資産税などの納付でスマホによるQRコードの活用が可能になった。来年度から地方税では全税目に広がるが、これまでの今年度の評価、今後への期待、全銀協としてどう取り組んでいくのか教えていただきたい。
(答)
1点目は、春闘について。インフレが継続しており、本年度の賃上げ要求が昨年を上回る高水準となっていたが、昨年に引き続いて満額回答が相次いでいる。企業収益が好調に推移するなかで、政労使会議などの場で本年の賃上げの重要性が共有されたこともあり、企業が積極的な賃上げに踏み切ったものと理解している。
こうした積極的な賃上げは、政府・日本銀行が目指す「賃金・物価の好循環」の実現に向けた大きな一歩になると期待をしている。
これから佳境を迎える中小企業の労使交渉においては、今申しあげた大企業の賃上げ動向が参照されることも多いと思っている。したがって、大企業における高水準の賃上げは、中小企業の賃上げに対しても前向きな効果を持つと考えている。
ただし、中小企業においては、賃上げ余力が相対的に乏しい企業が多いことも事実である。各企業の経営実態に即した交渉が行われて、賃上げの裾野が広がることを期待している。
2点目は、税・公金収納の効率化、QRコードの納付の評価について。税・公金のQR納付は大変便利で、全銀協あるいは個別行としても期待している取組みである。改めて、地方税のQR納付は昨年4月から全国一斉にスタートした。まず、自動車税や固定資産税などの一部の税目が対象であったが、来年度にはすべての地方税に広がる。
QRコードを活用することで、納付者は金融機関の窓口等に行かずに、手元のスマホでいつでも納付手続ができる。所要時間はほんの数秒である。また、金融機関にとっても、納税済通知書の仕分け・搬送が不要になるなど、事務処理が大幅に効率化される。さらに地公体にとっても、納付が完了した通知が電子データで届くので、消込みや延滞確認などの業務が大幅に効率化される、「三方良し」の取組みである。
今後の課題の一つは認知度の向上だと思っている。
地方税は全体で年間約3億件以上あり、うち1億件が口座からの自動引落しとして納付されているが、残りの2億件以上が金融機関やコンビニの窓口などで納付されていると言われている。
一方、今申しあげたスマホでのQR納付は、便利なことをご存じの方がまだ多くないので、スタートから1年間の利用実績は約1,500万件にとどまっている。
認知度を上げて利用率を高めるために、全銀協では周知活動に注力しているところである。具体的には、足元、関係省庁や経済団体、業界団体を回り、周知活動への協力を呼び掛けている。来年度には対外向けのイベントを開催することも検討中である。
なお、メディアの皆さまに報道・記事化していただくことも大変有効な周知・広報になる。
来月以降、自動車税や固定資産税などの大量の納付書が発送される。繰り返しになるが、皆さまにおかれてもぜひQR納付を体験いただき、その利便性を発信いただけるとありがたい。
(問)
2点ある。1点目、時期は考慮しないものとして、日本銀行のマイナス金利解除が実際に行われた場合、海外投資家の動向にどのような影響があるとご覧になっているか教えてほしい。
2点目、足元、株価は調整局面にあるが、先月の会見で、株価はまだ上昇余地があるという話をしていた。これは本当に日本企業の将来に対する期待を反映したものなのか、見解を教えてほしい。
(答)
1点目は、海外投資家への影響である。マイナス金利政策の転換、これが行われたとしても、日本への投資環境が大幅に変わるということではなく、海外投資家動向に著変はないと考えている。
足元の日本銀行からの情報発信を踏まえると、仮にマイナス金利解除が行われたとしても、その後の急速な利上げは想定をしておらず、当面は緩和的な金融環境が継続すると思われる。そのため、金利の急激な上昇や円高が進展する可能性は低く、経済や企業経営への影響は限定的と見込んでいる。
むしろ、海外投資家は、日本のデフレからの脱却と、その象徴としてのマイナス金利解除をポジティブに捉えるのではないかと思う。
また、欧米は利下げのタイミングを探る局面ではあるが、依然としてインフレ圧力は高く、高金利政策が当面続く見通しでもある。欧米の金融引締め的な環境と比べて、日本は相対的に緩和的で安定した環境であることから、投資家に選好される状況は続くと見ている。
2点目は、先月「株価の上昇余地がある」と申しあげたことに対してのご質問である。日本株は、米国での生成AI関連半導体株の上昇や日本企業の良好な業績を背景に、半導体関連株を中心に大きく上昇している。特に、日経平均株価は、4万円台の大台に乗せた。
日本株が堅調な背景には、基本的には日本企業の良好な業績や東証の経営改革要請による変革期待があると考えている。ただし、中国経済の先行き不透明感を嫌気した海外投資家のマネーのシフト、こうした需給面での要因が株価押上げにつながっている面もあると考えている。
足元では、急ピッチな株価上昇が続いたこともあり、調整が入っている。今日は3万8,000円台後半ということである。今後の日米金融政策や経済状況次第では、海外投資家による急速なポジションの巻戻しによる株価下落リスクもあり、留意が必要だろう。
他方、TOPIXの予想PERは17倍前後であり、グローバルに見て、おおむね適正な水準である。先月も申しあげたが、現状の日本株がバブルであるとは見ていない。企業の業績改善が続けば、さらなる上昇余地もあると思う。
一経営者として、中長期的な目線でしっかりと経営構造改革を進め、投資家の期待に応えていくことが重要であると認識している。
(問)
住宅ローンにも関わる短期プライムレートについて伺いたい。過去を振り返ると、マイナス金利が導入されたときには、それまでの水準から短プラは変わらず下げ止まった。今回、仮にマイナス金利が解除された場合には、短プラは直ちに上がるものなのか、見解を伺いたい。
(答)
短期プライムレートは各行が決めるものであり、各行でそれぞれロジックがあるため、一般論として申しあげる。短期プライムレートは調達コストに応じて設定されることが一般的である。仮にマイナス金利が解除されたとしても、今、ゼロ金利近傍の政策金利の下では、銀行の主要な調達である預金金利の大幅な変動は想定されづらい。したがって、マイナス金利が解除されたとしても、必ずしも短期プライムレートが上がるということではないと思う。
(問)
2点伺う。1点目は、最近、日本企業を対象にしたサイバー攻撃がまた増えている。全銀協あるいは銀行界としてサイバーセキュリティの強化としてどのように取り組むか、あるいは今後どういった取組みが必要だとお考えか。
2点目は、マネロン対策共同機構について。地銀の加入もかなり多いのではないかという報道も一部であったが、地銀にとってこの機構に参加するメリットあるいはデメリットが何かというところを教えてほしい。
(答)
デジタル化の進展で金融サービスは店頭、ATMからモバイルなど非対面へ移行し、サイバー攻撃の経路はより一層多岐に渡っている。足元、金融機関を標的にした不正送金の件数は、2022年対比4.9倍の5,528件、被害額は5.7倍の86億円と過去最大になっている。
また、多くの日本企業はランサムウェア攻撃を受けているため、サードパーティを介して、銀行の決済システムが影響を受けるリスクもある。
さらに、生成AI、量子コンピュータなど新たなテクノロジーの進化により、サイバー攻撃の手法も急速に変化している。
このような多様な経路や新たな手法によるサイバー攻撃の脅威に国内外から必要な情報を収集しながら、適時適切なタイミングで対策を講じる必要がある。
サイバー対策の難しさは、現実問題として各行単独のリソースで一からその全ての対策を行うのは限界がある一方、その対策は各行のシステムに依拠しているため、共同組織で一律的に対応することも馴染みづらいことである。
こうしたことを踏まえて、全銀協としては、金融ISACやFISCとも連携し、各行の自律的なサイバー対策に資する研修を定期的に実施している。先月になるが、各行の好事例を収集し、会員行向けの取組み事例集を作成し、横展開を行った。また、当局とも連携をし、各行の経営層向けの勉強も開催した。
引き続き、業界全体として態勢強化につながる共助の取組みを進めて参りたい。
2点目はマネロン対策共同機構について。まず提供サービスは大きく二つある。
一つは、来月から始まる業務高度化支援サービスである。マネロン対応の実務手引やFAQ、研修やヘルプデスクなどの提供により、参加銀行の実務をサポートする。
もう一つは来年4月から始まるAIスコアリングサービスである。参加銀行が抽出した「疑わしい取引のアラート情報」を、AIを使って分析し、疑わしさの度合いをスコアづけして返すことで、疑わしい取引の届出業務の効率化・高度化をサポートしていく。
地銀等が参加するメリットは、大きく分けて三つあると思っている。
一つ目は、先進的な銀行のノウハウ提供を受けられること。二つ目は、共同化を通じて業務を効率化できること。三つ目は、他行との比較により、業界内の自らの立ち位置や、強み・弱みを知ることができること。これらを通じ、自行単独ではなかなかできない対応の高度化を実現できることがメリットと思っている。
一方、課題は、単なる効率化にとどまることなく、いかにマネロン対応の高度化につなげていくかということである。共同化による効率化によって捻出されたリソースや、先進的な銀行のノウハウ提供や他行との比較などによって得られた情報を、マネロン対応のさらなる高度化に活用することが大事だと思っている。
そのためにも共同機関としては、各サービスのみならず、活用方法や、参加銀行同士がマネロン対応のプラクティスを共有する場などを積極的に提供し、取組みが遅れている銀行にとって真に役立つサービスを提供していく必要があると考えている。
マネロン対策は国際的なコンセンサスである。対応が十分でない場合、国際的な信用を得られず、例えば海外送金が取り扱えなくなるなど、国全体として大きな影響が及ぶ可能性がある。銀行の垣根を越えた互助・互恵的な取組みを通じ、マネロン対策共同機構が業界全体の対応力の底上げを実現する組織となることを期待している。
(問)
中国経済の先行きについて伺う。1点目、先週、全人代で成長率5%前後という目標が設定された。不動産不況というリスクを抱えるなかで、先行きをどう見ているか。
2点目、仮に中国経済が低迷に陥った場合、現地の日本企業の活動など、日本経済にどのような影響を及ぼすか。
(答)
1点目は、不動産不況による中国経済の見通しについて。中国経済は不動産部門の調整や家計、企業のマインドの低迷により2024年は減速するが、インフラ投資などの財政支出が下支えして、急落は回避するのではないかと見ている。
不動産投資は、販売低迷が続いており、過去の投資で積み上がった在庫の調整圧力があるため、当面、新規着工は抑制されると予想している。また、予約販売された物件の工事と引渡しの遅延も社会問題になっている。
個人消費も、雇用の停滞や将来不安の高まりを背景にマインドが低迷し、勢いを欠いている。先行き不透明感の高まりから企業も新規採用に慎重であり、雇用停滞の一因になっている。また、特に家具、建材関連の消費が落ち込んでおり、不動産不況は消費にも波及している。
こうしたなか、政府は3月5日に全人代を開き、2024年の経済運営方針として、財政政策を「適度に強化」するとしている。これは、財務規律に配慮しながら、柔軟な財政支出を通じて景気を下支えするというメッセージだと認識している。併せて2024年の成長率目標は、昨年実績のプラス5.2%と同水準の、プラス5%前後に設定している。ただし、中国経済が日本およびアジア経済に与える影響は大きく、引き続き経済動向に注視する必要があると認識している。
2点目は、中国経済が低迷した場合の日本への影響について。今申しあげたように財政支出が下支えすることで、急落は回避するのではないかと見ているが、仮に低迷した場合、日本から見れば、大きなマーケットである中国の外需が伸び悩むことにつながる。日本経済は回復途上だが、その回復力を弱めてしまうことが懸念される。
例えば、海外でビジネスを展開する日本企業を考えた場合、中国の個人消費が低迷することで、中国におけるBtoCビジネスへの悪影響が懸念される。特に自動車などの高価格帯の商品を取り扱うビジネスの影響には注意が必要だと考えている。また、中国国内の需要減少を受け、中国企業が国外に進出することで、東南アジアなど進出地域における競争が激化する可能性もある。
他方、日本国内でビジネスを展開する企業を見ても、中国からの訪日客数の回復が遅れ、日本の観光関連企業への負の影響も懸念される。
中国は日本にとって財・サービスの主要な輸出相手国であり、日本に及ぼす影響は大きい。引き続き注視していきたい。
(問)
4月の就任会見で明るい未来の話を伺ったが、3年後、また加藤会長に順番が回ってくると思う。明るい未来に向かって、銀行界はそのときどうあってほしいと考えるか。
(答)
3年後、私が全銀協の会長に戻ってくるかどうかはわからない。昨年4月の会見でも申しあげたが、私がイメージする「明るい未来」とは、企業活動の活性化と家計への還元の充実による好循環で、日本の社会・経済が活気づき、あらゆる世代が安心して暮らせる、かつ、若い人たちが将来の夢に向かって突き進める、そういった世の中である。この明るい未来の実現に向けて、銀行の果たすべき役割は、金融仲介機能・コンサルティング機能の発揮や資産形成支援など、多岐にわたる。
今、日本はこの好循環の実現に近づいている状況にあると思う。ただ、この勢いを意識的に持続させるためには、途切れない前向きな挑戦や、銀行界がこうした人々の挑戦を積極的に支援していける存在になっていたい、と考えている。
それには、従来の延長線上ではなく、新しいアイデアや考え方が求められると思う。我々銀行界も、過度に失敗を恐れず、チャレンジするマインドセットが必要になるのではないか。
3年後は、資産所得倍増プランやスタートアップ育成5か年計画の期限でもあるので、まさに今、わが国全体が取り組んでいるチャレンジに、新たな発想・マインドで貢献していきたい。
(問)
インドについて伺いたい。先日、三井住友フィナンシャルグループがインド子会社に1,000億円の追加出資を発表し、みずほ銀行も、日系企業だがインドのノンバンクに出資をして持分法適用会社にすると発表した。足元、銀行業界をはじめ日系企業のインド進出がかなり目立っていて、加速しているように見える。これに対する会長の受止めを教えていただきたい。また、過去にインド進出がうまくいかなかった事例も結構あり、足元の動き、企業のインド進出に当たっての留意点や課題があれば教えていただければと思う。
(答)
私も昨年インドを回ってきたが、確実に経済は期待感を持てる状況だと考えている。日本企業によるインド進出は、両国の経済関係の強化や成長の促進につながるものと大いに期待をしている。14億人という人口規模で、経済成長率も高く、まず消費市場としての期待が高いことが利点である。また、製造業振興策として「Make in India」を掲げており、2兆ルピー規模の生産連動型優遇策が実施されるなど、政府としても積極的に支援をしており、消費市場のみならず、生産拠点としての進出機会も拡大している。
ジェトロによる2023年度の海外進出日系企業実態調査によると、今後1~2年の事業展開の方向性について、拡大を検討と回答した企業の割合は75.6%と、他国との比較においてインドが一番高くなっている。
一方、留意点、課題もある。いくつか申しあげると、例えば、まず多様な文化や言語が存在しており、地域ごとにビジネス環境や習慣が異なることを理解し、適切な対応が必要だということ。続いて、法律や規制が複雑で、州ごとに異なっており、適切な法務チェックや手続き、リスク管理が必要になること。そして、採用や教育プログラムを通じた現地人材の育成、また製造業の場合はエンジニアの確保が重要になってくること。最後に、エネルギーの安定供給やインフラ設備が不十分な地域も存在していること、などが挙げられる。
こうした留意点や課題をクリアするには、事前の地道なリサーチ活動や柔軟な対応力、リスク管理が重要になる。銀行としても、お客さまの海外事業展開をしっかりサポートして参りたい。
(問)
先ほど、日本銀行のこれまでの大規模な金融緩和策について、デメリットもあった一方で、総じて日本経済にプラスの評価を与えてきたと言われたが、過去、2000年や、2006年など、日本銀行が利上げに踏み切った時期があった。これに関して、かなり厳しい評価も、市場あるいは世の中的には出ているが、この過去の2回の利上げをどのように会長は評価するか。
(答)
経済には大きな波があるわけであり、いわゆる好景気、不景気、このサイクルのなかで、政策金利を考えなくてはいけない。そうしたなかで、今、仰ったような評価はあるとは思うが、繰り返しになるが、今回については、日本銀行においても、しっかりと会話をしながらやっている。過去のことはなかなか評価しづらい部分はあると思うが、そういった過去の経験を踏まえながら取り組んでおられ、コミュニケーション、エンゲージメントを繰り返し発信していると思っている。
(問)
仮に、マイナス金利が解除された場合、変動金利等が、今まで低く抑えられてきたものが上昇していく可能性もあるが、借り手や経済への影響等をどのように考えているか。また、普通預金に利息が戻ってくるという、我々預金者からするとうれしい状況も考えられるが、銀行経営等にはどのように影響してくるか。いつ利息が普通預金に戻ってくるのか、その辺りの判断、政策について伺いたい。
(答)
まず、住宅ローン金利について。実際、足元では変動型金利を選択されるお客さまは4分の3おられる。一方、直ちに金利が上がるのかということについては、例えば125%ルールや5年ルールにより、5年間、返済の額が変わらないなど、激変に対する緩和措置が商品に含まれている。また、銀行界においても、こうした状況を踏まえて、固定金利などをお勧めすることもしている。直ちに金利負担が大きくなってくるということではないと思っている。
加えて、金利の上昇については、例えば、アメリカは0%から5%に1年程度で上がっていることに対して、今回は、日本銀行の関係者の発言から見ても、決してそのようなことにはならないと思われ、大きな負担感が急に発生するということはないと思っている。
預金金利については、各行の戦略によって異なるため、一般論として申しあげる。政策金利が上がれば預金金利は上がると考えられる。ただし、足元、マイナス金利の環境においても預金金利はゼロに近い水準であり、マイナス金利が解除されたとしても、その後の金融政策次第ではあるが、普通預金の金利について大きな動きというのは想定しづらいと思っている。
(問)
2点伺う。1点目は、株価上昇の背景に海外投資家の存在が大きい現状だが、取引主体として中長期に株式を保有する個人投資家に対して、企業はどのように訴えるべきか。
2点目は、これからの銀行界の中長期、10年、20年の視点で企業支援のあり方はどうあるべきか、ご見解を伺いたい。
(答)
1点目、個人投資家への訴求について。今の日本株上昇の背景には、海外投資家による買越しが大きく寄与している。残念ながら、個人投資家の日本株への関心はまだ限定的である。日本株が低迷した経験があり、日本株投資に躊躇している個人投資家もかなりいると思う。
では、どのように関心を広げていくか。やはり投資家への十分な情報開示と積極的な対話は重要だと考える。足元、日本企業の可能性は大きく、デフレからの脱却が実現されるなか、日本に対する期待も高まっている。その一つの現れが、足元の日本株の力強さである。
今回の東証の経営改革要請には、「資本コストの見直し」だけではなく、「コーポレート・ガバナンスの質の向上」や「投資家との対話の向上促進」などが挙げられている。積極的な対話を繰り広げていくことにより、より多くの投資家に、企業の活動や可能性をしっかり理解してもらう、関心を持ってもらう。株主総会や決算説明だけではなく、個人投資家との直接的な対話を増やし、積極的に情報開示していくことが大事だと考えている。
2点目は、10年後、20年後の企業支援のあり方について。過去を簡単に振り返ると、1990年台初めのバブル崩壊以降、金融仲介機能が十分に発揮されなかった反省を踏まえ銀行界は、公的資金のサポートをいただきながら、自身の経営基盤の安定化に努めてきた。その結果、2008年の金融危機では、欧米と比較して日本は傷が浅く、その後十数年間、東日本大震災などの自然災害や、コロナ危機においても広く資金繰り支援を行い、これらを乗り切ることに貢献してきた。
次の10年、20年でこうした企業支援はどう変わっていくか。個人的な見解だが、社会的課題の解決への貢献が一番重要になると思う。ご承知のとおり、少子高齢化、人手不足、あるいは昨年の夏の猛暑といった気候変動、これらが企業活動に及ぼす直接的な影響が顕著になっている。企業にとって社会的課題への対応は、経営の中核であり、しっかり取り組まないと経営が成り立たない状況になる可能性がある。
こうした背景を踏まえ、今後、銀行と企業との関係は、社会的課題をともに解決していくパートナーとしての側面が強くなっていくのではないか。銀行は資金面の支援にとどまらず、GX・DXの推進や、地域活性化への取組み、産業の新陳代謝といったコンサルティング機能をしっかり発揮する必要がある。
ただし、危機時における企業の資金繰り支援は、銀行にとって変わらない使命である。次にいつ、何が要因で危機が起こるか予測は困難だが、これらに対して銀行として正しく準備するためにも、自らの経営基盤を一層安定的にしていく不断の努力を続けていく必要があると考えている。
(問)
先ほども質問が出た住宅ローンの関係で伺いたい。マイナス金利が解除された場合、これまで低金利環境で、どちらかというと主に変動型だが、金利の引下げ競争をしてきたような銀行の住宅ローンビジネスが、今後、方向性がどういうふうに利上げの方向になって変わるのかということについて、会長の見解を伺いたい。
(答)
ご指摘のとおり、住宅ローンは、なかなか商品の差別化が難しいなか、金利引下げ競争が続いていたと思っている。先ほど少し申しあげたが、緩和措置はあるが、マイナス金利解除を受けて短期金利が上昇した場合、変動金利ローンの適用金利も上昇する可能性がある。また、従来よりも市場金利の変動幅が大きくなる可能性も出てくるので、長い借入期間において、適用金利の先行きを見通すことは従来よりも難しくなってくると思う。
お借入から完済までの金利の変わらない全期間固定金利などの提案に加えて、今後は資産運用ニーズへの対応など、資産と負債の総合的なコンサルティング力の重要性が増してくる、そしてビジネスの方向性の一つになっていくと思う。これまで住宅ローンは差別化が難しい商品であったが、今申しあげた銀行のコンサルティング能力、これが銀行の差別化が生む重要なファクターになっていくと考えている。
(問)
2013年以降の日本銀行の金融政策についての評価で、マイナス金利のみを取り出して見たときに、銀行業界に対してはデメリットも大きかったと思うが、経済に対するメリットがデメリットを上回ったと見ているか。もしマイナス金利解除後に何らかのショックがまた起きた際に、金利をマイナスにすることが有効となると見ているかどうか伺いたい。
(答)
日本銀行は、デフレマインドを払拭するようなかたちで金融政策を行ってきたわけであり、メリットのほうが大きかったと思っている。今後マイナス金利があるかどうかは、正直分からないが、一つの考え方として、景気は循環しており、景気サイクルを考えたときには、今後も景気の厳しいときは来る。そのときのためにも適切に金利を上げるという考えもあると認識している。そういった意味で申しあげると、今後のマイナス金利を必ずしも想定するということではないが、このようなかたちで政策金利を上げることが、そういったときの対応のための準備にもなると思っている。
(問)
損保大手4社が政策保有株をゼロにする方針を示しているが、銀行界としても政策保有株を完全になくす方針が今後広がっていくとお考えか。また、銀行界として政策保有株を持つ意義について教えてほしい。。
(答)
政策保有株は、資本効率やガバナンスに係る課題を踏まえて、各行がお客さまのご理解を得ながら削減を進めていると思うが、保有をゼロにするかどうかの方針は、個別行ごとの判断だと考えている。
2015年にコーポレートガバナンス・コードが導入されたが、この要請も踏まえ3メガ合算で2015年3月末対比、簿価ベースになるが、約45%の削減を実行しており、今後も計画にもとづいて取り組んでいくものだと認識している。
政策保有株を持つ意義については、保有目的の適切性、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかなど、総合的に検証して保有意義があるか否かを各社ごとに判断するということだと思う。
コーポレートガバナンス・コードは着実に浸透してきているが、拙速に銀行が株式保有をゼロにすることで、お客さまの資本政策に影響を及ぼすことは避けるべきで、丁寧な対応が求められる。資本効率やガバナンスの強化を進めるべく、お客さまとの丁寧な対話を通じて、政策保有株に依らない取引関係を築き、政策保有株の削減に努めていくことが重要だと考えている。
(問)
本日が最後の会見なので、改めて会長から一言お願いしたい。
(答)
ありがとうございます。この一年、全銀協会長を務めるにあたり、多くの関係者の方々に多大なお力添えをいただいた。
特に、こちらにお集まりの皆さまにおかれては、その取材や報道を通じて、多くの方々が銀行界の取組みに関心を抱き、また理解を深めていただくことができた。この場をお借りして、厚く御礼申しあげる。
また、銀行業務のみならず、世の中の関心事や視点を織り交ぜながら、各テーマに対して鋭い問いを投げかけていただくことで、我々も新たな視点を得ることができ、それが刺激となって、さらなる改革や取組みの推進に繋がっていると思う。
来年度以降も、地政学リスクや気候変動、災害といった不安定要素やデジタル技術の進展などに伴う様々な変化が続くと思う。昨年7月の銀行誕生150年のときのご質問でも申しあげたが、そうした変化の中でも、社会・経済の成長を支える銀行の社会的使命は変わらない。
こうしたなかで、4月から三井住友銀行の福留頭取に全銀協会長をお願いすることになるが、引き続き、私も副会長として、また一金融機関の経営者という立場として、全面的にサポートしていく。
私にいただいたご厚情と同様に、是非、福留頭取へのサポートも皆さま方に強くお願いをさせていただき、この1年間の御礼のご挨拶とさせていただく。1年間、ありがとうございました。