平成24年12月17日(月)実施

 授業の導入として、教員オリジナルスライドにより、野口英世、福沢諭吉、樋口一葉、紫式部の肖像を見せながら、「これは誰?何をした人?」という発問から始め、今回の授業のテーマを生徒たちに伝えました。「金融の授業」ということで生徒が最初から苦手意識をもったり、身構えてしまわないよう工夫されていて、導入のアイディアとして非常に効果的でした。

 今日の授業のテーマが「お金」であることを伝えた後、「お金がいっぱいあるところと言えば、どこですか?」「銀行に行ったことがありますか?何しに行った?」などと発問を繰り返しながら、徐々に生徒たちの興味関心を惹きつけていました。

 次に「銀行」に対する興味を高めるために、引き続き教員オリジナルスライドにより、次々と銀行のコーポレートマークを見せて、生徒たちに「どこの銀行のマークか」を自由に発言させました。ここからメガバンク、地銀の話をしてからネット銀行にも触れ、銀行にはいろいろな種類があることを伝えました。
 その上で、硬貨の流通量過去3年間の変遷グラフを見せ、「なぜ硬貨の流通量が減っていると思う?」という発問をすることで、Suica、PASMOなど「電子マネー」が使われるようになったことを生徒自身に気づかせることができていました。

 「電子マネー」というキーワードが出てきたところで、電子マネーが使える店舗の画像(セルフレジの店頭、Suica対応貸しロッカーなど)などを次々と見せ、電子マネーがわたしたちの生活にどれだけ身近になっているかについて実感させていました。さらに、ネット通販の売上が、スーパーやデパートなどの売上に比べて伸びているグラフにより、近年、お金の使われ方、流通の仕方に変化が起きていることを伝えました。

 ここで改めて、今日の授業は、お金のやりとり、銀行とのつながりについて考える授業「あなたと銀行のかかわり」であることを伝え、基本授業のスタートです。

 基本授業用ワークシートを配布し、黒板掲示用カードを使って、DVD代金がアーティストのところに届くまでに、お金がどのように動いているかを教員が説明し、生徒たちはワークシートに記入しました。

ティーチャーズガイドに掲載している指導案においては、この流れを生徒たち自身に考えさせる時間をとっていますが、今回は1時限の中で発展授業活動テーマ1も実施するため、時間短縮を目的に、教員が説明するスタイルで行いました。

 既習の「銀行の三大業務」について簡単にふりかえった後、銀行の利益について「貸出利子と預金利子の差額や、振込・引出しの手数料が、銀行の利益になること」を伝え、ワークシートの図説を活用しながら、計算を行いました。

 ここから発展授業の活動テーマ1に入ります。この活動は、「銀行はどのように世の中の役に立っているのだろう」というテーマで生徒たちがディスカッションをするものですが、教員のアレンジにより、iPadを活用したスタイルになりました。
 まずは教員が、「あなた」が「銀行」に「預金」をし、そのお金を元にして「銀行」が「DVD制作会社」に「貸出」を行う、という設定を確認しました。そして、ワークシートに沿って、「DVD制作会社にかかわる人には、どんな人がいる?」という発問に対し、生徒に自由に発言させることで、DVD制作には多くのいろいろな立場の人や会社がかかわることに気づかせました。
 次のグループ活動は以下の手順で進行しました。

①iPadを各班に1台配布し、ログインを指示する

②各班にそれぞれのミッションを与え、iPad により2分で提出するよう指示する

A(1~3班):「あなた」のメリットの欄に記入する
B(4~6班):「DVD制作販売会社」のメリットの欄に記入する
C(7~9班):「DVD制作販売会社にかかわる人たち」のメリットの欄に記入する

③iPadで提出された回答を、電子黒板を使って教員がまとめて発表し、結果をワークシートに記入させる

④各班にそれぞれ次のミッションを与え、iPad により2分で提出するよう指示する

A(1~3班):「宇宙開発」の企業が実現できると思うことの欄に記入する
B(4~6班):「住宅販売」の企業が実現できると思うことの欄に記入する
C(7~9班):「ロボット研究」の企業が実現できると思うことの欄に記入する

⑤iPadで提出された回答を、電子黒板を使って教員がまとめて発表し、結果をワークシートに記入させる

 このように、班ごとに役割を振り分けて考えさせることで、時間を短縮でき、違うテーマの考え方を知ることができるだけでなく、同じテーマの異なる考え方も知ることができ、生徒たちの理解促進に役立っていました。

 最後に、ワークシートの「資金仲介により世の中全体にどんなメリットがあるだろう」の欄に自分の言葉で記入させ、授業は終了となりました。