平成16年9月21日

西川会長記者会見(三井住友銀行頭取)

斉藤常務理事報告

 まず、次期会長についてであるが、先週の9月16日に開催された正副会長会議において、みずほフィナンシャルグループの前田社長を次期会長に推薦することが決定され、本日の理事会においてこれを了承した。なお、会長の正式な選任は、来年4月の理事会において行われる。
 次に、去る7月20日に骨子を発表した平成17年度の税制改正要望であるが、本日の理事会において、お手元の資料のとおり最終決定した。
 また、会員の新規加入が本日の理事会において付議されている。銀行持株会社会員としてみずほフィナンシャルグループ、準会員としてブラジルに本店があるイタウ銀行についてそれぞれ10月1日からの加入を承認した。


会長記者会見の模様


(問)
 郵政民営化に関する政府の基本方針が決定されたが、この政府案に対する評価、特に問題だと思う点など改めて銀行界の考えを聞きたい。また、全銀協として今後どのように取り組んでいくかについてもあわせて聞きたい。
(答)
 まず、「郵政民営化の基本方針」の取りまとめ、そして閣議決定に至る関係者の皆さんのご努力に敬意を表したい。
 今後、具体論の検討に向けてさらに議論が深められることになろうかと思うが、現時点における私どもの基本的な考え方は、「郵便貯金が抱える問題は単に株式会社化によって解決するものではなく、巨大な規模の縮小、そして民間市場への円滑な融合、などに向けた施策が講じられることが不可欠である」というものである。
 とりわけ、準備期はもとより国の関与が残る移行期においても、経営の自由度が拡大されれば、実質的な官業の一段の肥大化につながりかねないわけであり、郵貯事業の改革どころか問題を一層深刻化させるのではないかと懸念している。
 さらに大きな問題は、窓口ネットワーク会社において、郵便貯金会社からの業務委託のほか幅広い業務が一体運営されるという点である。これまで私どもは、郵便貯金事業他3事業の厳格なリスク遮断と、公正な競争条件の確保を中心に意見を述べてきたわけであるが、新たな窓口ネットワーク会社が一体運営されることにより、厳格なリスク遮断や競争条件のイコールフッティングという点が十分に確保されるのかどうか、また、それにより、郵貯会社を分割化したうえで民有民営化の実現が本当に可能なのかどうか、こういった点について大きな懸念を持っている。
 全銀協としては、今後も、これまで重ねて申しあげてきた、規模の縮小、公正な競争条件の確保、郵貯事業の他事業からの完全分離、そして移行期における貸付業務への参入禁止、これらに加えて、窓口ネットワーク会社に対する規制のあり方等についても、必要に応じて関係各所に私どもの考え方を申し入れて参る考えである。
 郵政民営化という大事業が、本来あるべき公正な競争条件の確保と、巨大な郵貯が抱える問題の解決に向けた、本当の意味での改革となることを強く期待している。


(問)
 大手行の不良債権問題についてであるが、金融再生プログラムでの大手行の不良債権比率の半減目標に関して、会長は以前、前倒し達成も視野に入ってきたとの発言をされたが、この9月中間期での目標達成の見通しについてどう考えているのか。あわせて大口債務者の再生問題の見通しについても聞きたい。
(答)
 先に発表されている2004年6月末の四半期決算の状況を見ると、主要行の不良債権残高は13.6兆円と、その3ヶ月前に比べほぼ横這いという状況であったが一部の銀行を除くと概ね残高は減少している。
 残高が増加した銀行においても、不良債権比率の半減目標を来年3月末までに確実に達成するための措置とのことであり、不良債権残高削減に向けて懸命の努力が行われていると認識している。
 これらを考慮すると、不良債権比率の半減目標達成に向けた各行の取り組みは着実に進捗をしており、目標の達成が視野に入っているという状況に変わりはないとみている。達成の時期については確たることは申しあげられないが、早期達成、前倒し達成も十分可能な状況ではないかと思っている。
 ご指摘の大口債務者の再生については、今年度中に不良債権問題を解決していくための大変重要なポイントである。確実に再生できる計画の策定、そのスピーディな実施が必要であり、関係者と十分な協議を行いながら、スピーディに対応していく必要があると考えている。


(問)
 UFJの経営統合問題に関して、個別行の問題になって恐縮であるが、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)はUFJグループに経営統合を求めてきたが、UFJは先般、三菱東京フィナンシャルグループ(MTFG)を引受先に7,000億円の増資を実施するなど、MTFGとの統合準備を進めている状況だと思う。SMFGとしては1対1の統合比率の提案期限が24日に迫っているが、UFJとの経営統合を目指す方針に変わりはないのか。ないとすればどのように今後取り組むのか。TOBや株主総会での委任状闘争といった可能性を含めてお考えを聞きたい。
(答)
 ご質問の中にもあったとおり、この件は銀行間で利害が対立しているというか、向き合っている個別の事柄であり、当行も当事者となっている訳である。この場は、全銀協会長の会見という場であるので、利害関係の当事者である当行の、あるいは、当社の考えを一方的に申しあげることは、申し訳ないが差し控えさせていただきたい。
 あえて申しあげれば、私どもSMFGは、これまで統合比率、資本提供を含め、経営統合に関する具体的な提案をUFJグループに対して行ってきた。SMFGとしては、当社とUFJグループの統合こそが両グループの株主、お客様、そして従業員の皆さんにとって最適の選択肢であると考えており、統合を目指す方針に変更はない。
 今後、統合比率を含めてUFJとMTFGの統合協議がどのように進むのか、そして、UFJの株主がどのように評価し、判断されるのかなど、情勢を注視しつつ状況に応じてUFJグループとの統合の実現に向けた具体策を講じていく考えである。
 今日お集まりの皆さんが、本件に関して高い関心をお持ちであるということは、私は十分に承知しているが、これ以上の内容をこの場でお話することはご勘弁願いたい。


(問)
 一般論としての回答で構わないが、1つの銀行を巡って2つの大手行が買収合戦を繰り広げるのは金融界では異例なことだと思うが、今後、金融界では合併再編を巡って買収合戦などが一般的になっていくのか、また、こうした動きは金融界にとって良い方向なのかどうか、これについての評価を伺いたい。もう1点、 2006年に海外の企業でも株式交換により国内の企業を買収できるようになるが、これについて大手行といえどもこうした懸念を経営に反映させながらやっていかなければならない時代になっていくのかどうかお伺いしたい。
(答)
 こういったことが一般的になるのかどうか、銀行界においてもどうか、というご質問に対しては、それほど、あちらこちらで起きてくるというものでは、おそらくないだろうと思う。しかし、起きても決しておかしくはない。これは、資本主義の原則あるいは市場原理、そして株式会社制度の本来のあり方等に則った動きということであり、こういったことがコーポレートガバナンスのさらなる強化にも繋がっていくのではないかと、私は考えている。 2006年には株式交換により、外国会社あるいは外国人による買収といったことが可能になる、それに対してどうするかということであるが、これはやはりそういったことも起きてくるということを前提に、それぞれの会社が経営のあり方を考え、見直していかなければならないということである。いたずらに防衛策のみに走るということは決して好ましいことではないのではないか。防衛策というのは、制度的にそのような株式交換等による買収が生じてくることを防ぐということであり、そういったことは資本の自由化あるいは経済のグローバル化という流れに反するのではないか、過度な防衛策はいかがなものかということである。仮に日本企業が外国会社あるいは外国人に支配されても、それは日本経済全体でみれば、そのことによりその企業の活性化が進められ、その企業の成長が促進されるということであれば、経済にとって決して悪いことではないと私は考えている。


(問)
 今の点に関して、会長が言うのは、経済産業省がポイズンピルを含めた研究会を発足させたりしているが、そうした動きが自由主義経済の足かせになっていくということを懸念しているということであるのか、あるいは防衛策はあってもいいが、あまりにもそういうものを防ぐようなものがあってはいけないという意味なのか。
 また、シティバンクが行政処分を受けたが、日本の銀行のプライベートバンキングも同じようなことをやっているのではないかと思われかねないと思うが、この件についての会長の考えと、全銀協として何らかの対応を取る可能性があるのかということについてお聞かせ願いたい。
(答)
 すべてのケースが良いケースであるとは限らないので、それぞれの企業においてある程度の防衛策を講じていく、考えていくということは、決して悪いことではないと思うが、制度的に過度にこれを防止するという策を講じるということは本末転倒ということになるのではないか。一方において株式交換による企業統合等を認めながら、他方でそれをシャットアウトするという動きはおかしいのではないかという意味である。
 シティバンクの行政処分については、処分の理由となった、公益を害する行為であるとか、あるいは複数の法令違反、それから不公正取引、不適切取引などが検証されたということである。世界規模でビジネスを展開されている世界有数の銀行の在日支店において行われたことであり、極めて遺憾なことだと思う。
 シティバンクは全銀協の正会員である。あくまで一般論としての話であるが、会員銀行において全銀協で定めた倫理憲章の精神に著しく反するような行為等が発生した場合、当該銀行から協会活動自粛の申し出があればこれを受理するか、あるいは全銀協から会員銀行に活動自粛の勧告を行うかということになるが、あくまでも一義的には当該銀行が判断されることである。
 また、これらのことが国内銀行のプライベートバンキング等においても行われているのではないかという疑念が起きはしないかということであるが、これは、大部分がコンプライアンスの問題である。各銀行はお客さまへの金融商品・サービスの提供において、コンプライアンス面での対応に万全を期していると思う。金融機関相互の競争はその上に成り立っているということであり、こういった極端なケースはないというふうに私は信じている。


(問)
 さきほど大口融資先の再生について、確実性とスピードが不可欠だというお話があった。大口融資先というとダイエーなどがあるが、産業再生機構はこの二つの命題において唯一の解なのか。また、産業再生機構が、この二つの命題において民間同士に比べてより優れているとすれば、それは何故なのか。この2点についてお答えいただきたい。
(答)
 ダイエーという個別会社名が出てたが、一般的に、産業再生機構が唯一の解であるということはないと思う。ほかにも有力な選択肢が現れてくるという可能性はあり、そういったものを一切シャットアウトするというものではないと思う。ただ、産業再生機構が優れている点は、これは同機構の重要な機能のひとつであるが、債権者間の利害調整を同機構が責任を持ってやっていただけるという点であると思う。取引銀行の数が特に多いケースには、プロラタでの金融支援をまとめていくのは難しいことであるが、これまでの実績を振り返ってみると、この点についても産業再生機構の調整能力は十分に認められるものではないか。


(問)
 透明性の確保ということも以前から言われているが、全銀協が当時経団連と作ったガイドラインがあるが、これと比較して、今の銀行間調整以外に違いはあるのか。
(答)
 私的整理ガイドラインも同様の側面があると思う。しかし、私的整理ガイドラインの場合は産業再生機構といったような調整にあたる機関があるわけではない。主力銀行等が調整にあたっていくが、産業再生機構の場合は、産業再生機構として調整について責任をもってその機能を果たしていただけるという特色があると思う。


(問)
 ダイエーについて、三井住友銀行は主要行の一角としてこの再建計画をずっと協議してきたと思うが、現時点でのダイエーの再建計画についての方針を改めて伺いたい。
(答)
 現段階においては、ダイエーサイドでお持ちの再建計画について、デューディリジェンスを行いながら、お聞きしているという段階である。それ以上のことについては、今、申しあげられる段階ではない。


(問)
 東京都が設立する新銀行東京がおそらく全銀協に加盟したいと申し出ているのではないかと思うが、それに対してどのようにお考えか、今どのようなスタンスで臨まれているか、というのが一点。それに関連して、例えば埼玉県などで、あるいは足利銀行に絡んで、県が出資して地元の銀行を県民銀行にしたいというような動きがちらほら見受けられるけれども、こういう動きについて全銀協としてどのようにお考えかというのをお聞かせ願えればと思う。
(答)
 新銀行東京から全銀協加盟のご要望がある。しかしながら、全銀協というのは、歴史的に民間銀行の集まりという性格を持っている。新銀行東京は、地方公共団体が大株主であることから、今の時点で民間銀行とは申しあげにくく、現段階では申請をいただいても加盟を認めることは難しいと考えている。将来的には株式の公開も展望されていると聞いているので、今後については、そうした状況の変化を見ながら、慎重に検討していくということになろうかと思う。
 念のために申しあげておくが、手形交換や全銀システムといった全銀協の決済インフラへの加盟については、これらは社会的なインフラという性格をもっているので、新銀行東京の預金者の利便性等を勘案して参加していただくという方向で調整を進めている。
 第2の質問であるが、確かに県民銀行の存在を望んでおられる地方自治体がいくつかあるということは、私も聞いているが、果たしてどういう機能を持てば県民銀行なのか、あるいは、どのような組織体になれば県民銀行なのか、正直申しあげてよくわからない。もちろん指定金融機関等の位置付けというものはあるのだろうとは思うし、また、地元中小企業に対する融資機能等がイメージされているのだろうと思うが、そういったことのために、本当に県民銀行というものが必要なのかどうか、正直申しあげてよくわからない。
 そういった銀行がなくても、地元の地方銀行、第二地方銀行、あるいは、都市銀行の支店というものがある地域が多い。今申しあげたような機能については、地元の金融機関によって十分担えるものではないかと思う。


(問)
 消費者金融の話を伺いたい。6月にSMFGと大手消費者金融のプロミスとの間で資本提携を発表し、その際に両社が新たな消費者金融子会社を設立するという方針を示されたかと思うが、パートナーのプロミスは今、UFJとの間でモビットという会社を設立して営業している。このモビットの扱いはどうなるのか。
(答)
 モビットについては、UFJとプロミスとの提携関係によってできた消費者金融会社であり、これは提携関係にある当事者間の話し合いによって今後の持って行き方を決めていただく以外にないわけである。私どもはプロミスにおまかせをしている状況である。


(問)
 第1点は、竹中金融相が就任されて丸2年経つが、この間の、以前にもお話されたかと思うが、率直な評価をお聞きしたいのと、もう1点は、小泉首相が訪米から帰られると、内閣改造という政治日程が待っている。竹中大臣を小泉さんは閣内残留というようなことを午前中示唆していたようであるが、金融相兼務なのか、他の担当になるのかというのを巡っていろいろな憶測や見方がある。この件について所見があれば伺いたい。
(答)
 最初の質問に対してであるが、竹中大臣が金融担当をされてちょうど2年、竹中大臣が主導された金融再生プログラムをはじめとしたさまざまな施策が、先ほども話が出た不良債権問題の早期解決、そして強固な金融システムの構築について一定の役割を果たされたということは、率直に私は評価をさせていただいている。第2の質問であるが、内閣の人事のことについて、私は、コメントする立場にないので、それに対する答えは差し控えさせていただく。