2007年7月23日

奥会長記者会見(三井住友銀行頭取)

斉藤専務理事報告

 事務局から、3点ご報告する。
 最初に、本日、反社会的勢力介入排除に向けた取組み強化についての申し合わせを、お手元の資料のとおり行った。全銀協では、すでに「行動憲章」において反社会的勢力の不当な介入を排除するよう積極的に取り組むこととしているが、政府で取りまとめた指針策定の趣旨を踏まえ、「行動憲章」の趣旨を改めて確認したものである。また、検討に着手する具体的な諸施策の内容については、資料の記書きのところの下に3項目まとめて記載している。
 次に、お手元に資料を配付しているが、平成20年度の税制改正要望の骨子を取りまとめた。要望の内容は、「金融・資本市場の活性化と国際的な取引の推進」、「経済活性化と課税の適正化」、「適切な経営環境の確保」という3つの柱で構成している。正式な平成20年度の税制改正要望については、今後、この骨子をもとに、さらに検討を進め、9月に正式決定をしたうえで、改めてご報告する。
 3点目は、正会員の新規加入についてである。本日付で農林中央金庫の加入を承認した。この結果、全銀協の会員は248会員となった。

会長記者会見の模様

 質問をお受けする前に、「地球温暖化防止に向けた取組みの推進」についてお話しをさせていただく。
 現在、地球温暖化防止に向けた取組みについては、世界規模でその対策についての議論、そして取組みが行われているところである。われわれ銀行界においても、その重要性を十分認識し、各会員銀行において様々な取組みを行ってきているところである。また、全銀協としても、昨年、銀行界としての「温暖化対策に係る電力使用量の数値目標」を設定するなど取組みの推進を図っている。
 このようにさまざまな取組みを推進しているところであるが、とりわけ今年は、京都議定書にある第一約束期間、つまり2008年~2012年、これを来年に控え、より一層取組みを推進していく必要がある年である。
 このような認識に立ち、本日、全銀協理事・監事を対象にトップセミナーを開催した。講師に東京大学の山本良一教授をお招きし、「気候変動と金融機関の役割」をテーマにご講演をいただき、改めて問題認識の共有化を図った。 さらに、地球温暖化防止国民運動である「チーム・マイナス6%」のより一層の普及等を目指して、本日付で、全銀協の企画部内に「チーム・マイナス6%推進室」を設置することとした。
 今後、本推進室が行う、会員銀行に対するチーム・マイナス6%に関する啓発および活動支援、チーム・マイナス6%の普及に資する施策の企画、立案および推進、地球温暖化防止に資する活動全般についての企画、立案等、といった活動を通じて、地球温暖化防止に向けた取組みを全銀協としてもより一層推進してまいりたいと考えている。


(問)

 足元の景気状況、かなり回復傾向が強まっているとの見方もあるが、今の景気の状況をどのように見ているか。また、早ければ来月にもこうした景気の状況のなかで日銀が追加の利上げに踏み切るのではないかとの観測が市場に出ているが、今後の金融政策の行方、またその影響をどう考えているか。(答)
 景気状況であるが、6月のこの場で申しあげたことと基本的には変わっていないと考えている。要は、足踏み感は見られるものの、確実に景気は回復しているということ。6月の日銀短観では、企業の景況感がやや足踏み状況にあるが、そういった意味では生産活動に少し弱さは残っているものの、全体としてみれば景気回復基調は、続いていると言うことだと思う。まず、需要の方であるが、外需、即ち輸出が引き続き順調であり、設備投資の方も見てみると日銀短観の設備投資計画も上方に修正され、それに加えて、この1-3月で少し心配していた先行指標である機械受注も持ち直している。個人消費についてやや弱い動きもあったが、全世帯消費者支出も見てみると、これは前年比プラスが続いてきている。こういった意味で、内外需ともに、着実に堅調さが続いてきており、企業収益が高水準を維持し、家計所得もペースとしてはゆっくりであるが、増えてきているという中にあり、私どもは景気回復のメカニズムは引き続き順調に動いていると考えている。
 そういったなかで政策金利の動きであるが、これは日本銀行が経済全体の動きを考え、また内外の景況、いろいろな金利状況を考え、また物価動向も考えて決めることである。私どもがそれをコメントする立場にはない訳である。したがって、コメントは控えさせていただくが、全体の景気回復基調が順調に推移してきているなかで金利政策としても、やはりその経済の成長に見合った形での水準調整がなされるということであるかと思う。いつ、いくらということは、われわれは予測できないが、そういった全般をにらみながら総合的に判断していかれるものと思う。政策金利は正常化への過程を辿っていくと考えている。


(問)

 先ごろ金融庁の長官が佐藤氏になったが、かなり大幅な人事刷新が行われたと思うが、金融庁の新体制についてどういうふうに見ているか、どういう金融行政を今後期待するかについて教えてほしい。(答)
 まず、退任された五味前長官についてであるが、五味前長官は大蔵省、そして金融監督庁からずっと金融行政に携わってこられ、日本の金融システムが動揺し、そしてその再生を果たしていくまでの過程を見てこられた。特に長官となられた3年間は、不良債権処理から金融機関の活動の活性化に向けてその舵を切ってこられた方であり、その結果、現在われわれ金融機関はここにあるという意味において、その卓越した指導力に対して深い敬意を表する次第である。
 その後を受けられた佐藤新長官であるが、正に五味前長官と強力なタッグを組んで、ある意味では前線指揮官として、この大変難しい時期を金融機関の指導にあたってこられた。この難しい時期からフェーズ・チェンジに至る間、いろいろな経験をされ、その経験を生かして新しい要請に立ち向かっていかれるということだと思う。新長官は新しいフェーズのなかで金融規制の質的向上、また、同時に金融界との双方向の対話を重視していくということもおっしゃっている。私どもとしては、再生から回復、更には活性化そして成長ということへ向かっていくなかで、双方の対話がいろいろな面で大変大事なことだと思う。特に、金融のグローバル化、そして市場の国際化・活性化というなかでは、正に、それを現場でやっている私ども金融機関と行政が共に意見を交換しあい、金融機関にとっては行政の予測可能性を高め、そして行政にとっては現場で何が起きているかということをしっかりと理解すると同時に、将来への指針、方向性をそういうなかで示していく、こういったことで双方に非常に良い効果が生まれてくるのではないかと考える。新長官がおっしゃられていることを是非われわれとしてもともに理解し、活動の中に活かしていきたいと考えている。


(問)
 今週末の参議院議員選挙、かなり関心が高まっているが、一部には各社世論調査で自民党の劣勢が伝えられているが、今後政治情況がどういう形で経済に影響していくか、なかなか難しいとは思うがどのように見ているか。
(答)
 選挙のことなので、私どもはコメントを差し控えさせていただく。新聞紙上では現在のところ与党の苦戦が伝えられている。私どもとしては、議会制民主主義において、資本主義という基本的な枠組みをしっかりと安定させていただきたいということであって、それ以上のことを特に申しあげる立場にはない。


(問)
 今、事務局からあった反社会的勢力、少し抽象的な文面になっているので、もう少し具体的にどういった取り組みなのかというところを会長から言っていただきたい。
(答)
 これについては、6月に政府の方から、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」が出されたもの。元々、全銀協においては、行動憲章において、反社会的勢力との対決を規定し、公表している。また、公共委員会の傘下に、このための検討部会を設置しているところである。今回のこういった政府の指針を受け、私どもとしては、関係当局とも連携を強め、基本的にはデータベースの構築を目指していきたいと考えている。データベース、一種のデータバンクを作りあげることが最終目標であるが、個別行のいろいろな事情や、メリット、デメリットもあると思う。しかし、最終的には反社会的勢力の対決ということから考えて、現在の実態を十分踏まえて、そういった目的のために検討部会を活用して、結果を出していきたいと考えている。


(問)
 今月、シティグループの日本法人、シティバンク銀行が営業を開始したが、世界最大手のシティグループが日本の銀行と対等の条件で営業を開始するわけだが、邦銀に与える影響はどのようにお考えか。それに関連して、シティバンクだけではなくて、今後他の外資の金融機関が、日本に進出するということが予想されているが、日本の市場でウインブルドン現象が起こる可能性は視野に置かれているのか、全銀協会長としてと、個別行のトップとしてのご意見をお聞かせいただきたい。
 米国のサブプライム問題について、今日の報道やアナリストリポートにも出ていたが、日本の銀行の大手9行でサブプライムローン関連のエクスポージャーが 1兆円くらいを超えると出ていたが、限定的という声もある一方で、リスクファクターとして残るという声も聞こえているが、会長はどのように受け止めているのか。エクスポージャーに対する損失も含めて、ご見解をいただければと思う。
(答)
 最初の問題であるが、全銀協の会長としての答えにはならないと思うが、一部関係もしてくるので、取り混ぜてお答えすると、基本的なところについては、シティバンクの日本進出、正確には現法化は、日本における法人業務というよりは個人業務の強化であり、1,500兆円にのぼる個人金融資産をいかに効率的に、また、お客様のことを考えたうえで運用していくかということが、最大の眼目ではないかと理解しており、それ自体はわれわれにとって大変刺激にもなるし、競争の強化にも繋がることになるので、歓迎をしている。
 シティバンクは、既に日本において長い歴史を持っている。近時、プライベートバンキング業務からは撤退されたが、引き続き個人業務においてはたいへん強い意欲をもっており、支店方式から現法化して日本に対するコミットメントを非常に強化されるということである。そうした意味で、外資だからということではないが、新しいアプローチがわれわれを刺激し、競争相手としてわれわれもいろいろなことを学んでいくのではないかと歓迎している。
 個人的にも、チャック・プリンスさんとはお会いして、お話をうかがった。協調と競争ということをいかにやっていくかということではないかと思う。
 日本の1,500兆円を狙った、または、それを目標にした、いろいろな外資の進出が既にある。形式的にはいろいろな形態があると思う。そのような動きが活発化することは大いに結構だと思うが、目標としているのは、個人金融資産であって、法人など企業金融全般に亘るものではない。そうした意味では、私は外資の進出によって、日本が、または東京マーケットがウインブルドン化するとは理解していない。
 サブプライムの問題であるけれども、私も相次いで昨日、今日辺りに出ているレポートを読んだ。かなりヒアリングをされたうえでの数字で、約1兆円という数字が出ていると思う。おそらくそういうことなのだろうなと思って見ている。サブプライム問題の日本に対する影響というのは、1兆円そこそこという話そのものからはあまり大きな影響ではない、かと思う。ある程度、分散されているし、格付も当初は投資適格であったわけであって、今のアメリカで証券系のファンドがロスを出したということで大きく取り上げられていることによって、市場自体が非常にボラタイルになっているということを受けて、問題化しているのだと思う。日本の銀行または金融機関自体もかなり分散された形で保有していると思うし、キャピタルの面でも資本自体がかなり復旧し、強いものを持っているわけであるから、たとえ何かあったとしても、大きな影響はないと思う。
 アメリカにおいてのサブプライム問題をどう見るかということだが、今、経済全体として、アメリカの経済は思ったよりは堅調と見ているが、そういうなかでのネガティブな要因であることは間違いないと思う。ただ、アメリカにおいても、特定の金融機関が非常に大量に保有をしているということでは決してなく、かなり分散された形で、いろいろな投資家が投資している。金融機関、投資家、ファンド、アセットマネジメント、海外、そういうところに分散されて持たれているということなので、何か特定のところが火を吹いてどうかなるということではないと思うし、今のアメリカにおける金融機関のキャピタルベースは強いものがあるので、何か問題が起きるということには考えていない。ただ、ネガティブな要因であることは間違いないと思う。


(問)
 冒頭の質問に関連して2点ほどある。景気の話で、先般新潟の方で地震があったが、その影響で自動車の工場が数日間ストップしたり、生産に多少影響が出ているようだが、地震の景気に与える影響というのはどう見ているかということと、今日付けで農林中金の加盟が認められたとあったが、ゆうちょ銀行の加盟については今後どのように対応されていくのかというのをお聞かせいただきたい。
(答)
 まず、新潟の中越沖地震については、亡くなられた方、また被害に遭われた方がいらっしゃる。亡くなられた方にはお悔やみを申しあげたい。また、被災者の方にはお見舞い申しあげる。
 今のご質問とは少し離れるが、全銀協として地震関係では、日銀・関東財務局からの要請に基づいて、すぐに手形交換に関わる特別措置を行う一方で、全銀システムの安定運行に心を配って、特に問題は起きなかった。この点は不幸中の幸いであったと思っている。
 経済活動に対する影響というものについては、今後、シンクタンクなどが数値的なものは出されると思うが、私どもが今、新聞紙上で見ているところでは、自動車某社さんの操業が一時的に停止せざるをえなかったことによる自動車産業への影響が表面的に出てきている。この点については、1週間の操業が遅れたということで、今後どのように操業度を上げていくのか、取り返していくのか、ある一定の期間の間にどれだけリカバリーできるかということと思う。早期の再立ち上げが順調になされたというなかにおいて、今後一定の期間内にリカバーされていくものだと思っている。それ以外のマクロ的な影響については、私はエコノミストではないので何とも申しあげられない。
 農中さんとの関連において、ゆうちょ銀行の将来の全銀協加盟問題については、現在においては、ゆうちょ銀行から特にそういった要請もないので、何か検討しているわけではない。ただ、私ども全銀協の構成メンバーというのは、全国の民間銀行であり、そしてそれを傘下に持つ銀行持株会社、さらには各地の銀行協会ということになっている。したがって、基本的には「民」がベースにある。ゆうちょ銀行は「民営化」という名前が当然活字として出てくるが、実態はこの 10月にスタートするところでは、政府100%の、日本郵政株式会社の100%子銀行ということになるので、あくまでも政府の支配する銀行ということからスタートする。今後検討するにあたっては、そういった意味で、政府の持株をIPOしていく過程での政府関連の出資比率の問題とか、経営管理として、経営の実態が「民」の銀行として他の金融機関と比べてどうかというようなこと等々を考えていく必要があるのではないかと思う。ただ、今の時点では、繰り返すようだが特に何か加盟の打診も申請もあるわけではないので、頭の中にはない。


(問)
 保険商品の窓口販売について、保険金の不払問題が大きな社会問題になって、いまだ決着が見えてきていない段階で、銀行での保険商品の全面窓販解禁は、時期尚早という意見もあるが、どのように考えているか。
(答)
 そういう意見があることは承知しているが、この問題については、保険金の不払問題とは切り離して考えるべき問題であると思っている。貯蓄から投資への流れのなかで、金融商品について利用者、投資家が、銀行の窓口において、いわゆるワンストップショッピングという利便を受けることを早期に実現していく必要があるのではないかと思う。もちろん、保険会社と銀行は保険金不払問題を踏まえたうえで精査し、いろいろと解禁に向けて改善すべきことは対応してきている。当然のことながら、販売方法の問題、コンプライアンスの問題、さらにアフターケアについての取決め等についても、議論を重ねてきている。一方、保険商品を販売するに際してプロフェショナルが必要であり、各銀行がどういう対応をしているかわからないが、個別行としては保険を取り扱ったことのあるプロフェショナルの中途採用を進めてきており、12月に間に合わせるように対応してきている。今回の不払の問題はそれを教訓にして、スケジュールどおり解禁につなげていただきたい。制度上の解禁後、どういう形で、どういうスピードで、どういうものを販売していくかは各銀行の判断になる。したがって、準備が十分整っていないところは、そう早いスピードでは対応できない。各行が金融商品取引法の施行後のなかで、しっかり判断して対応していくことになる。制度上は予定どおり解禁されることを望んでいる。


(問)
 日銀統計によると、大手行の貸出残高が4、5、6月と3月連続減少している。足元の貸出の状況と、4-6月の預貸金利ざやの改善度合いを聞かせてもらいたい。
(答)
 トータルとして貸金ボリュームが伸び悩んでいる。前年比横ばいになっている。中身は個人向け、住宅ローンが少し増えて、法人企業向けが若干マイナスであると記憶している。法人企業向けが伸び悩んでいる理由はいくつかあるが、大、中堅、中小含めて企業業績が好調なことにともなう企業のキャッシュフロー、自己資金の捻出力が非常に高まっていることから、随分前のことになるが、通常のこれまでの景気回復過程における資金需要の出方とは、今回はかなり様相が異なっている。こうした企業業績を反映して、キャッシュフローが順調なことから、貸出需要、金融機関の借入れに跳ね返ってこない。投資活動は、企業の内外における設備投資の拡充、合理化投資、研究開発費の投資等、売上げ増加に伴う運転資金需要についてもそこそこあるが、銀行借入れに跳ね返ってこない。したがって、貸出金の利ざやについても、依然として厳しい貸出競争が続き、利ざやが反転するまでには至っていない。


(問)
 サブプライムについて、単純に、三井住友銀行はいくらのエクスポージャーがあって、いくらロスを出しているのか教えてほしい。
(答)
 個別行については開示しないが、今日のレポートを見て、そんなものだろうなと思っている。一部すでにロスをカットしているし、今残っているところについては、影響は少ない。個別行としてはそう思っている。


(問)
 今日、ダヴィンチ・アドバイザーズがテーオーシーに対して仕掛けていた敵対的TOBが不成立になったが、先月の株主総会で、会社に対し敵対的な提案やそれに対抗する提案がいろいろ出て、三井住友銀行の奥頭取も悩まれた決断がそのなかであったと思う。会社側に対して敵対的な提案はことごとく否決されたわけであるが、資本市場の効率性を考えた場合、企業価値の向上に資するのであれば、敵対的提案や敵対的買収であっても株主は応じた方がいいという意見もある。このような意見について会長はどのように考えるか。
(答)
 私は、いろいろな提案がなされた場合に、最終的な判断基準というのは、企業価値の向上に資するものかどうかということに尽きると思っている。ただ、敵対的かどうか、何が敵対的なのか、それから買収と出資とで、どこで線を引くのかという問題がある。活字となるのは、敵対的買収という言葉だと思うが、アクイジションということになれば、これは経営そのものを取っていくわけであり、そうではないところをどこまでがスレッシュホールド、分かれ目になるか、ここの判断が非常に難しいところではないかと思う。ただ、最後の判断で依って立つところは、企業価値の向上に資するかどうかということ、そして株主間で利益の相反が起きない、または株主が自分たちのメリットになるかどうかとうこと。既存株主を含めて株主全体として、企業価値の向上、すなわちそれぞれの株主のメリットになるということが最終判断になるのではないかと思っている。


(問)
 別の言い方をすると、企業価値に資すれば、敵対的買収ないし提案でも、銀行は賛成する可能性があるという理解でよいか。
(答)
 そうである。ただ、事実として、内外において、買収について言えば、おそらく99パーセントは合意ないし最終的に納得がいったコンセンテッドM&Aになるという事実があると思う。たとえばアルセロール・ミタルのケースを見ても、当初は敵対的買収と言われていたが、最終的には同意している。どこからが敵対的買収かという定義が、私は非常に難しいと思っている。そういうなかで、銀行といえども、その会社にとって良いことは何か、将来的に長期的に見て各ステークホルダー、株主、従業員等からみてどうなのかということも含めて判断することになると思う。経営者が嫌がるケースが出てきたとして、それが経営者のエゴであれば、エゴよりも企業価値を高めることが大事だとすれば、日本の銀行といえどもやはり敵対的買収というものに同意するケースはあると思う。ただ、極めてレアなケースだと思う。