2019年9月19日

髙島会長記者会見(三井住友銀行頭取)

岩本専務理事報告

 事務局から1点ご報告申しあげる。
 本日の理事会において、お手元の資料のとおり、10月15日から11月14日までの1か月間を「振り込め詐欺等撲滅強化推進期間」とし、日本歌手協会主催の「歌謡祭・歌謡フェスティバル」等における来場者への啓発活動等を行うことを決定した。
 内容についてご質問があれば、会見終了後、事務局にご照会いただきたい。 事務局からは、以上である。

 

会長記者会見の模様

 

 ご質問を頂戴する前に、私の方から8月から9月にかけて、今年も相次いだ自然災害について一言申しあげたいと思う。
 8月に九州北部を中心に発生した大雨および9月に発生した台風により、広い範囲で甚大な被害が発生している。特に先般の台風15号により、電力、通信をはじめとして、ライフラインに深刻な影響が生じ、現在においても千葉県を中心に多くの住民の方々が不自由な生活を余儀なくされている。そのほか、企業活動にも影響が広がっているということである。
 こうした一連の災害により亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申しあげるとともに、被害に遭われた全ての被災者の皆さまに心からお見舞いを申しあげる。被災地域が一日も早く復旧・復興を果たすとともに、被災された方々が通常の生活を一刻も早く取り戻すことができるよう、銀行界としても払戻しや融資に係る柔軟な対応を行うなど、復旧・復興の取組みをしっかりと支援して参りたいと考えている。
 冒頭、私からは以上である。


(問)
 本日の日本銀行の金融政策決定会合で、金融緩和策の現状維持が発表されたが、まずその受止めと、今後、日本銀行がマイナス金利の深掘りなどの追加緩和に踏み切る観測もあるが、マイナス金利の深掘りについての銀行界の受止め、スタンス、深掘りされた場合の影響、銀行界への影響と顧客への影響についてどう考えているか。また、その際の副作用軽減策について銀行界としてどのような軽減策を考えているか。
 2点目は、口座維持手数料についてだが、今後日本銀行がマイナス金利の深掘りなど追加緩和に踏み切る観測もあるなかで、全銀協会長としては、銀行業界のなかで口座維持管理手数料の導入の動きは出てくると考えているか。また、手数料を導入する場合に、どのような口座からどのように取ることが考えられるか、その際の顧客への影響についての見解と、SMBCとしての検討状況についても伺いたい。
(答)
 まず1問目は、本日の日本銀行の政策決定会合についての受止めということである。これはかねてから申しあげているとおり、金融政策というのは日本銀行の専管事項であり、全銀協会長としてお答えするのは適当ではないと考えている。あくまで私個人の意見としてお答えを申しあげたいと思う。
 本日、日本銀行の政策決定会合において、現行の金融政策について現状維持が決定された。私としては、黒田総裁がオプションの一つとしてかねてから挙げておられたマイナス金利の深掘りが見送られたことについては、率直に歓迎したい。
 これは前回の会見でも申しあげたことで、繰り返しになり恐縮だが、マイナス金利導入から3年以上経過しているなかで、その深掘りにより2%の物価安定目標を本当に達成できるのか、そしてそれは金融仲介機能のさらなる低下という、確実に生じている副作用を正当化するに足るものなのか、ということがまさに問われていると思っている。
 また、二つ目の質問として、仮にマイナス金利の深掘りが実施された場合の影響についてだが、その場合は、市場金利全般のさらなる低下は避けられないわけで、すでに預金金利がゼロ近傍に張り付いているなかで、貸出金利がさらに低下することになると思われる。銀行の資金収益が大幅に悪化することは避けられないわけである。さらに、それが銀行格付けの引下げを招き、外貨調達コストの上昇につながるなど、負のスパイラルに陥る可能性も高まることになると考える。また、銀行がイールドを求めてリスクテイクを拡大し、景気サイクルの転換時に金融システムが不安定化するというおそれも出てくるのではなかろうかと思っている。
 お客さまへの影響についても、借入金利が低下することのメリットはある一方で、銀行の健全性が損なわれると金融仲介機能が低下することのデメリットもある。さらに、マクロ的に見ても、企業セクター、家計セクターがともに長期にわたり、いわゆる資金余剰主体になっているわが国の状況のなかで、マイナス金利を深掘りすることが本当に金融緩和の効果を発揮するのか、率直に申しあげて疑問に感じる面もある。
 さらに、三つ目として、万一深掘りが実施された場合の副作用緩和策についての質問があったが、これもあくまで一般論だが、例えば日銀当座預金の基礎残高の拡大、あるいは金利操作目標年限、イールドカーブ・コントロールの短期化などが考えられる。金利操作目標の年限が短期化されると、イールドカーブがスティープ化することが想定されるということで、運用難に悩んでいる金融機関にとってプラスの影響が見込まれるものと思われる。しかしながら、そのような副作用緩和策を全て実行しても、深掘りの悪影響を完全にオフセットすることにはならないのではなかろうかというのが私見である。
 いずれにしても、今回の決定会合において、いろいろと厳しい情勢判断を要するなかにおかれて、さまざまな視点から総合的に検討された結果であり、その点については敬意を表したいと思っている。今後とも、日本銀行におかれては、金融政策の効果と副作用のバランスなど、総合的に適時、適切な検討、判断をお願いしたい。
 以上が一つ目の質問に対する答えであり、二つ目が、いわゆる口座維持/管理手数料導入についての考えというご質問であった。
 本件も、あくまで個別行の経営戦略、あるいは事業戦略に関するものであり、手数料自体がそういうものであるので、導入の際のお客さまへの影響も含め、全銀協会長としてのコメントは差し控えたいと思う。
 お客さまの預金口座は、預金のお預入れに加え、キャッシュレスも含めたさまざまな決済等にもご利用いただいているものであり、口座を維持・管理するために一定のコストが発生している。かつ、昨今そのコストが高まっていることも事実である。そのうえで、手数料のあり方について、一般論として申しあげるとすれば、お客さまに対して付加価値の高いサービスを提供し、お客さまのご理解をいただいたうえで、必要な手数料を頂戴していくということが、引き続き基本的な考え方であろうと思う。
 ちなみに、昨今の報道等を見ていると、マイナス金利、あるいはマイナス金利の深掘りと銀行の手数料を結び付けて論じられている傾向がある。しかしながら、マイナス金利の導入が従来の銀行の手数料体系見直しの契機になったということはあるかもしれないが、本来これらは別ものであり、先ほど申したとおり、手数料はあくまでサービスに対する対価という観点で考えられるものであるので、金融政策等とは峻別して論じられるべきものだと考えている。
 最後に、SMBCの検討状況というご質問があったが、私ども個別行としても、その導入の是非も含め、何ら方針を決めているということはない。


(問)
 LIBORの後継金利指標についてお尋ねする。2021年末との時間的制約があるなかで、最終的に後継金利がどう決められるかについては、検討委員会の参加者の間でも認識に隔たりがあり、金融機関が主体的に決めるべきものなのか、それとも日本銀行や金融庁にある程度議論をリードしてもらいながら決めるべきものとお考えなのか、現在の認識を改めてお聞きしたい。
(答)
 金利の指標というものは一つに定められるものではないということが、まずこの問題の一番難しいところであろうと思う。本来、金利指標というのは契約者の双方が合意して選ばれるべきものであり、今でも円の金利は円LIBOR、日本円TIBOR、そしてユーロ円TIBORがあるわけで、どれを選択するかは、契約当事者が市場慣行を踏まえつつ、合意のうえで決定しているに過ぎないというのが現状である。
 しかしながら、その一方で、円は国際的な通貨であるので、海外の市場参加者も多数存在するということから、ある程度は、主要通貨間で、プロダクト間で金利指標の平仄を取る必要があるのもまた事実である。
 その意味では、これも私個人の意見ということになるが、日本銀行、金融庁、市場参加者などの関係者が緊密に連携をして議論を尽くすことを通じて、大きな流れを作っていくということが肝要であると考えている。
 ご承知のとおり、現在、日本銀行が事務局を務めておられる「日本円金利指標に関する検討委員会」において、円LIBORの後継金利に関する市中協議が実施されている。年内に市中の意見が取りまとめられ、結果が公表される予定である。そこでは、どの選択肢にどの程度の支持が集まるか、ということが示されることになると思う。それ自体には何ら強制力があるわけではないが、複数ある選択肢のなかである種、優劣というのか、そういうものが明らかになってくることを通じて、金融機関やその他市場参加者が対応すべき方向性が見えてくる、ある程度決まってくる、というものではなかろうかと考えている。
 LIBOR廃止が近づいてくるなかで、今後は官民の役割分担、そして連携の強化を通じて、適時、適切に後継金利への移行を行っていくことが重要であろうと考えている。


(問)
 銀行と電代業者のオープンAPIの話について、2問伺う。まず、1問目だが、来年5月までの契約締結を求められているなかで、金融庁の遠藤長官が現状について遅いという危機感を表明されたりしているが、まずは銀行業界として現状の認識を聞かせてほしい。続いて、2問目だが、そうしたなかで契約の作業を加速するために全銀協としてできること、またこれからやっていくことが何かあれば教えてほしい。
(答)
 オープンAPIに関して、二つの質問にまとめてお答えさせていただく。まず、全体を改めて整理をさせていただく。
 2018年6月に施行された「銀行法等の一部を改正する法律」において、電子決済等代行業者に対して銀行との契約締結を義務付けたわけであり、施行後2年とされた猶予期間の終了まで残り1年を切っているというのが、先ほどコメントのあった金融庁の問題意識の源泉ということである。期限までに契約締結を行わない場合は、電代業者が提供しているサービスが利用できなくなり、サービス利用者にも大きな影響が出ることは、我々銀行界も十分認識し、業界として問題意識を共有している。
 すでに130行がオープンAPIの導入方針を表明しており、うち99行がシステム対応を完了している。電代業者と連携し、利用者に対してよりよい金融サービスを提供するために、各行が期限までのAPI接続契約の締結に向け、日々注力しているところである。
 契約については、あくまで各銀行と電代業者の個別の民間企業間の契約であるが、これまで全銀協としても、各行のオープンAPIの推進に向けた取組みを後押しすべく、実はさまざまな取組みを行ってきている。
 例えば、全銀協が事務局を務める「オープンAPIのあり方に関する検討会」において、銀行・電代業者等による議論を取りまとめ、「オープンAPIに係る電文仕様標準」、「API利用契約の条文例」を策定し、公表している。
 また、金融庁、電代業協会、地銀協、第二地銀協、全銀協で協議を行い、電代業者の皆さまと銀行の契約締結が円滑に進むように、全銀協が主催して合同説明会を開催した。この説明会には、オープンAPIの導入方針を表明したほぼすべての銀行が参加し、複数の銀行との契約締結を必要とする電代業者10社から、各社の提供するサービスの内容について詳しく説明を行っていただいている。
 参加した電代業者の方からは、「マンパワーが必ずしも十分ではない、効率的に多くの銀行と顔合わせができて大変有意義だった」と、ポジティブな評価をいただいており、契約締結に向けて一定の貢献ができたのではないかと思っている。今後も、銀行界と電代業者との連携が円滑に進むよう、全銀協としても引き続き取り組んで参りたい。


(問)
 9月22日に国連が提唱する責任銀行原則が発足する予定である。日本でもメガバンクをはじめ大手行などが賛同表明しているが、署名機関の顔ぶれを見ると欧州勢が先行、主導している印象を受ける。責任銀行原則に関する期待と課題、邦銀がどのように存在感を示していくべきか。
 もう1点、9月22日に三井住友銀行と三菱UFJ銀行の店舗外ATMの共同利用が始まる。個別行の戦略になるが、今後もこのよう流れが銀行界でも広がっていくと考えるか。
(答)
 責任銀行原則は、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が発起人となって草稿されたもので、パリ協定やSDGs等の国際的なガイドラインと整合的な事業活動を銀行に求めるものである。本原則の署名機関は、トップによるコミットメントを必須として、ESGに関する方針策定、目標設定、それらを開示することが求められる。
 気候変動や海洋プラスチックごみ汚染問題等、世界中で多くの社会課題が顕在化するなかで、本原則にもとづいて、銀行が企業との対話を通じて諸課題を解決し、持続可能な社会の形成に積極的に貢献していくことが期待されている。
 本原則が高いレベルで環境・社会への配慮を求める欧州の意向が色濃く反映されているのは、おっしゃるとおりではないかと思うが、こうした取組みは、主導権争いをするものとは少し違うのではないかと思う。
 自らが置かれた環境や立ち位置を踏まえ、しっかりと役割期待に応えていくということが、公的なミッションも担っている銀行にとっては重要ではないかと考えている。その意味では、日本をはじめ、アジア地域でどのように運用していくのか、また、邦銀としてどのような目標設定を掲げていくのかが具体的な課題になっていると認識している。
 この点については、アジアにおける安定的かつ高効率な電力の供給等、日本の技術力によって解決可能な社会課題も多いのではないかと思われるので、邦銀として貢献できる余地も大きいと考えている。SDGsの精神に則って、環境、社会、経済の各側面で、バランスを考慮しつつ国連の「誰一人取り残さない」社会への移行を後押しすることを通じて、ぜひ存在感を発揮していきたいと考えている。
 2点目の店舗外ATMの共同利用については、おかげさまで9月22日から新しい共同運用をスタートできることになっている。今後の人口減少やキャッシュレス化の進展等の環境変化を考えると、ATM利用者の減少は、残念ながら避けられないであろう。そして、ATMネットワークを維持するためのコスト負担がそれに応じてより重くなってくる可能性が高いと考えている。
 ATMの共同化に限らないが、今後も各行でお客さまの利便性に配慮しながら、最適なATMのあり方が検討されていくのは自然の流れであろうと思っている。
 したがって、今月22日から三菱UFJ銀行と開始する店舗外ATMの共同利用は、将来的には各行が参加していけるようなオープンな形態を展望している。クリアすべき課題は多いが、銀行界全体、社会全体として、最適なインフラをどう構築していくかという観点で、引き続き個別行としてリーダーシップを取っていきたいと思うし、いろいろな銀行と話を進めていきたいと思っている。


(問)
 2問ある。1問目はアメリカのレポ市場だが、今週初めオーバーナイト金利が一時跳ね上がった。邦銀もレポ取引をやっているが、ドル調達と絡めて、今回のレポ市場の動きが及ぼす邦銀への影響を教えてほしい。
 もう1問は預金口座手数料だが、欧米では、やっている国もいろいろあるが、日本で今までほとんどやられてこなかった理由はどこにあるのか。
(答)
 まずは、まさしくFOMCの直前に出てきたアメリカのレポ金利の跳ね上がり、10%近くまで上昇してしまったことについての質問だが、多分にテクニカルな要素もあろうかと思うが、可能な限り正確に答えたい。結論から申しあげると、足元レポ金利上昇への警戒感は残っているものの、レポ金利の上昇が継続的に続く、あるいは高止まる可能性は高くないと見ている。現時点では、将来的に邦銀のドル調達に大きな影響を及ぼす可能性は、かなり限定的だというのが回答である。
 一般論を言うと、ご指摘のとおり邦銀もレポによる調達が一部ある。したがって、レポ金利の上昇によってその部分、すなわち邦銀のドル調達のうちレポによる資金調達部分、それから、レポの指標金利であるSOFRというのがあるが、これを参照して資金調達をしている部分、そんなに大きくはないが、そういうものがある。そこのコストに跳ね返るのが直接的な影響ということである。
 しかしながら、我々が認識している限りにおいては、邦銀はいろいろな調達手段を用いてドル調達を行っていて、このレポ金利の上昇が一時的であれば、邦銀全体の、あるいは各邦銀のドル調達全体に及ぼす影響は、かなり限定的というのが実態である。
 もちろん、レポ金利の上昇が続くと、あるいは高止まると、その他の金利あるいはコストに影響する可能性はある。しかしながら、今回、改めて冷静にこういうことが起こった理由を見てみると、そこには構造的な要因と、おそらく一時的な要因が重なって、若干びっくりするような金利上昇が起こってしまったようである。構造的な要因の一つとしては、いわゆるFEDのバランスシートの正常化のプロセスを主因として過剰流動性が減少していることが、間違いなく言えると考えられる。
 他方、同時にこの9月半ばの一過性の要因も重なっていて、まとまった資金移動が起こっていたようだ。具体的には短期国債(T-bill)の一時的な発行残高の増加が9月の1週、2週で起こっている。同時に四半期ごとに法人税の納付が行われる。したがって、そこで資金需要が上がる。これは9月16日が期限だったようだが、いわゆるクーポンの決済も9月16日だった。9月はそういうものが重なり、びっくりするように上がってしまったようである。
 しかしながら、バランスシートの正常化はすでに8月に一旦終了していて、このバランスシートの政策の変更がなければ、実は流通紙幣が増加することによって、過剰流動性は減少が続いていくことになる。したがって、今後も過剰流動性の減少という構造的な要因が存在する環境のなかで、今申しあげたような一過性の要因で市中の資金が吸収される局面が、月末、特に四半期末のような、レポ市場の流動性が減退する局面と重なる場合には、こういう急上昇もあり得ると考えて、よく見ていく必要があろうと思っている。
 しかし、月末の要因を含めた一過性の要因が剥落していくと、レポ金利の上昇は徐々に落ち着いていくと考えているので、構造的な高止まりの要因が続くということではないだろうし、今回もニューヨーク連銀が資金供給を行うということで対応しているので、大きなリスクファクターではないだろうと見ている。引き続き、状況は注視していきたい。
 二つ目の口座維持管理手数料に関しての質問で、なぜ日本では定着しないのかと。これは、なかなか回答が難しい問題だ。一言で言うと、おそらく日本の金融の発展において、アメリカなどの先進国と比べても、ベースの決済インフラとして、銀行の預金口座を中心にして相当インクルーシブな枠組みが早期にでき上がった、そういうことが、歴史的な背景としては大きいのではないかと思う。
 その意味では、そういう発展段階や商慣習の違いが背景にあると思われるので、一概に海外であるのになぜ日本でないのかということだけを捉えて比較しても、なかなか難しいかと思う。先ほどの幹事社質問の繰り返しになるかもしれないが、お客さまの預金口座、特に普通預金口座は、お金を預けていただくことに加えて、いろいろな方々がやっているキャッシュレスも含めた決済の原資を提供していることになっている。そのなかで、同時に本人確認の厳格化や口座を維持管理するためのコストが発生しているし、これがますます高まっているのは事実である。サイバーセキュリティへの対応、いわゆるAML/CFTに関連した確認義務等、こういったかたちでコストが高まっている。それをいかにして効率化するかが、まさに銀行に求められている経営努力である。
 不稼動口座について、例えば私どもの取組みについて申しあげると、不稼動口座の口座売買などによる不正利用のリスクを低減する観点から、5年以内に利息決済以外の入出金がない、残高1,000円未満であるなどの条件に当てはまる口座については、お取引を停止している。これは、付随的に生じ得る不稼働口座の犯罪利用防止策としても有効と考えている。


(問)
 国内経済について。来月から消費税が引き上げられるが、駆け込み需要は鈍いという声が聞かれている。住宅や金融業界から見て、駆け込み需要の現状をどう見ているか。増税に伴う景気の落込みについての認識を教えていただきたい。
 サウジアラビアで石油施設が攻撃された問題があり、原油価格が乱高下している。ひとまず復旧は進んでいるようだが、この事件の直接・間接での経済への影響について教えていただきたい。
 CLOを中心としたクレジット投資について。日系の企業でも保有残高が増加しており、金融庁や日本銀行も動向について関心を示している。リーマン・ショックとの連想もあると思うが、CLO保有について、それに伴うリスクについてどうお考えか。業界としてどのように対応していくべきか、考えを教えていただきたい。
(答)
 最初は、日本の消費増税に関連する質問だったと思う。まず、駆け込み需要については、皆さまも報じられているところがあろうかと思うが、今までのところ、軽減税率の対象外となっている家電や衣料品などで高額品の売れ行きが好調といった動きが一部には出ていると見ている。総じて見ると、過去の消費税率引上げに比べると小さい、というのもおそらく間違いないのではないかと思う。
 これは、いろいろなキャッシュレス決済のときに消費者にポイント還元する措置、あるいは自動車減税といった、増税前後の需要を平準化するための政策が前回と対比しても一定の効果を発揮していることは間違いないだろうと見ている。
 増税後の景気については、増税直後は一時的に消費が落ち込む可能性は否定できないと思っているが、前回のような消費の低迷が長期化することにはならないと見ている。これは、前回、前々回の会見でも申しあげたのではないかと思うが、2014年4月との比較で言うと、違いは三つあるのではないかと思う。
 第1は、今申しあげたような軽減税率などの需要の平準化措置が実際に功を奏している面があるので、増税直後の反動減が小さくなる公算が大きいと思われること。第2に、所得環境が改善したことも否定できないのではないかと思われる。前回、2014年のときには、まだ景気回復の恩恵が家計に波及していないところがあった。所定内給与の伸びは0%近傍であった。しかし、足元は、ご存じのように、所定内給与は1%程度のプラス基調が定着している。第3に、家計に与える物価上昇のインパクトが小さい。増税幅は3%ポイントから2%ポイントということなので、前回より小幅にとどまることも計算上はあるだろう。さらに、軽減税率や教育の無償化などの措置が講じられているということ、この辺を全部合わせると、前回の増税のときには消費者物価上昇率で3%を超えることもあったわけだが、今回はせいぜい1%前後にとどまるだろうと見ている。
 これらの点を全部勘案すると、消費増税が景気に与えるマイナス影響は、前回対比限定的であろうというのが我々の見ているところである。
 二つ目は、サウジアラビアの石油施設への攻撃に関連した質問だったと思う。言うまでもなく、サウジアラビアは世界有数の産油国であり、その最大の製油地が攻撃を受けたことは、大変衝撃的だった。今回の事態を受けて、足元で原油価格が上昇したことに加えて、アメリカ-イラン間の外交関係、あるいはホルムズ海峡の航行の安全など、中東情勢をめぐる地政学リスクも、より大きくクローズアップされているところであり、その辺の懸念が高まったのは間違いないと思う。
 今回の攻撃を受けてサウジアラビアの生産能力の約半分、すなわち世界の原油供給量5%強に当たる570万バレルの生産が一旦停止したわけだが、17日という比較的早い段階で、サウジアラビアの新しいエネルギー相であるアブドルアジズ・エネルギー相が、攻撃前の生産水準を月内にも回復するという見通しを公表した。また、アメリカをはじめとする各国がいち早く備蓄の放出を検討することを発表されるなど、各国政府による原油の安定的な供給に向けた対応が迅速に打たれ始めた。かつ、国際エネルギー機関も、市場には十分な量の在庫があるとして、当面は供給不安に陥らないという見方も示した。こういう動きもあり、WTIの先物価格も一時60ドル台前半まで上昇したが、足元では58ドル近辺と落ち着いてきているのが現状である。したがって、この状況は、それ自体を捉えて経済への影響を過度に悲観する必要はないだろうと思っている。
 しかしながら、冒頭申しあげたとおり、世界有数の産油国の非常に重要な生産設備に対して攻撃が行われたということ自体が持つ懸念の高まりは否定できない。足元、10月に消費増税を控えるわが国経済への影響に上乗せするかたちで影響を及ぼさないかなど、引き続き注視は必要だろうと考えているところである。
 外債、あるいはCLOなどの運用商品について、これもまさしく各行の戦略、あるいは方針にもとづいて保有されていることなので、個別の事案にコメントすることは全銀協会長としては控えさせていただきたいと思う。
 あくまで一般論かつ私見として申しあげると、まずは、昨今の低金利環境が長引くなかにおいて、比較的利回りの高い外債、あるいはCLOなどの海外のクレジット投資が増加基調にあるということは事実であろうと認識している。これは、今年4月の日本銀行の金融システムレポートにおいても一定の分析が行われているが、そのなかでは、緩やかな増加基調が続いてはいるが、これまでのところ過度のリスクテイクの動きは見られないと評価されている。しかし、同時に、金融システムレポートのなかで、一部ではあるが、利鞘確保のためにハイイールド債やCLO等、流動性の低い証券化商品を積み増す動きも見られると指摘されていることにも注意する必要がある。
 確かに、これは民間の調査ではあるが、邦銀のCLO保有シェアが世界の残高の1割を占めるという調査もある。かつ、CLOの主な原資産になっているレバレッジド・ローンに対して懸念が高まっていることも事実である。しかしながら、いわゆるリーマン・ショックというかサブプライム危機、金融危機の前、あるいは金融危機の当時と比べて、CLO自身の商品性が実は大きく変わっていることも事実である。また、証券化については、いわゆるリスクリテンションルール、5%ルールなどと言っているが、このリスクリテンションルールが各国で導入されている。アメリカでは、CLOには適用されないという判決もあるが、ヨーロッパあるいは日本でも、そういうルールの下で運営されているということで、やはり過去のサブプライム危機のときの状況とは少し違うということは間違いない事実だろうと思う。
 とはいっても、海外クレジット投資には、当然、金利、為替、信用(クレジット)、外貨調達など、いろいろな商品特有のリスクがあるのは事実であり、投資に際しては適切なリスク管理体制が構築されているということが前提になるということである。
 いずれにしても、規制の有無や具体的な内容にかかわらず、安易に、例えば外部格付けに過度に依存するということはなく、自らの分析を通じてリスクリターンをしっかり判断することが個別行、各行にとって極めて重要であると考えている。


(問)
 金融庁の金融行政方針に関して2点伺う。まず、銀行間出資を規制するダブルギアリング規制について、金融庁が見直す方針を示しているが、統合再編の後押しになるかどうか、受止めを伺いたい。
 もう1点、預金保険料の可変保険料率の導入に関しても言及している。健全性の観点から、一部銀行に関しては料率が上がるかもしれないとの見方もあるが、銀行界としての要望や配慮してほしいことがあれば伺いたい。
(答)
 1点目のダブルギアリング規制について。ダブルギアリング規制は、金融機関による他の金融機関への出資についての制約であり、健全性確保の観点から、原則として、出資した銀行の自己資本から出資額を控除するというのが基本的な考え方になっている。ただし、現行制度上、例外的に、その存続が極めて困難であると認められる者の救済等を目的とする場合は、金融庁長官の承認の下、自己資本の控除対象から除外することが認められており、過去にこの適用例はある。
 今回、金融庁が公表した行政方針では、この例外を拡充して、「地域の金融仲介機能の継続的な発揮に資する一定の出資等」についても、金融庁長官の承認を得て、控除対象としないことが可能になるよう、告示等の見直しを行うものと理解している。
 具体的な制度設計はこれから検討されていくということであるため、それが最終的にどの程度統合再編や資本業務提携につながるか、あるいは、その後押しになるかは、あくまで具体的な制度設計次第という面はある。ただ、少なくとも、地域金融機関同士が相互に協力して、地域の金融システムを維持、強化するためのオプションを整備するという点では、非常に有意義であろうと考えている。
 地域金融システムの維持、強化と個別金融機関の健全性確保を両立することが可能な制度となるように、銀行界としても適切に意見発信を金融庁に対して行っていきたい。
 二つ目の質問は、同じく行政方針に関連して、預金保険料の話だと思う。これは8月28日に公表された行政方針で、地域金融機関の将来にわたる健全性を確保するための規律付け、インセンティブ付与としての機能も視野に入れ、現行制度を前提としつつ、預金保険料率のあり方の方向性について、関係者による検討を進めることとされており、今後、いわゆる可変料率の導入に係る検討もそのなかで進められる見通しである。可変料率は財務の健全性を、支払う保険料率に反映するものであるので、仮に可変料率が導入されれば、金融機関にとっては健全性向上に向けた取組みのインセンティブになる。具体的には、コスト削減につながるということである。
 他方で、健全性に問題がある金融機関により高い保険料が付加されるということで、当該金融機関の信用不安、ひいては金融システム不安を惹起するような動きにつながる可能性も否定できないので、メリットを活かしながらデメリットをいかに抑えていくかという観点から、非常に精密な制度設計が必要であることから、その辺は慎重な議論、検討を行っていただくことが重要であろうと考えている。
 預金保険料率に関しては、預金保険機構で決定されるということだが、本邦銀行界としても、海外での導入事例も踏まえ、私どもとして意見を取りまとめ、しっかりと申しあげていきたいと考えている。


(問)
 日本郵政グループでの不適切な金融商品の販売について伺いたい。先日、ゆうちょ銀行では、高齢者への投信販売で、金融商品の理解度の確認を怠るなど、社内ルールに違反する不適切な販売が約2万件見つかった旨の発表があった。かんぽ生命や日本郵政でも18万件超の不適切な保険販売が発覚している。このような事態についての受止めをまず伺いたい。
 さらに、かんぽ生命、日本郵便は、10月から順次営業を再開するという発表をすでにしているが、金融庁が立ち入り検査をしている最中での営業再開となり、一部では疑問の声も出ている。それについてもどうお考えになるか伺いたい。
 最後に、全銀協として高齢者向けに適切な金融商品が販売されるように、どのような取組みをされているか教えてほしい。
(答)
 日本郵政グループでの不適切な金融商品の販売ということに関連した質問であった。我々も注意深く、報道等を通じて事態についてフォローしているが、全銀協会長として個別事案へのコメントは差し控えたいと思う。
 そのうえで、一般論として申しあげると、お客さまの不安解消のための取組み等について、丁寧にご説明いただくことが非常に重要であると思う。また、金融機関は、顧客本位の業務運営が全社的に根付いているかを、常に確認していくことが求められている。各金融機関において、顧客本位の業務運営に関する方針や、適切な販売のためのルールは、すでに整備されていると思うが、それらが本当の意味で、本部から営業の現場に至るまで、しっかりと浸透しているかどうか。浸透していないことが、まさしく、こうした不適切な販売事例が発生する要因であろうと思う。方針やルールは、定めるだけでは意味がない。顧客本位の業務運営が実践されているかどうか、万が一、実践されていないということであれば、なぜそうなっているのか、その要因を分析し、改善していくことが必要である。これは全金融機関が実践していくべきことであろうと思う。
 高齢者に対する販売について、全銀協としての取組みという話があった。全銀協においては、特に外貨建て保険の募集に係る苦情が増えていることを受けて、本年の2月、それから7月に、高齢者に対する募集時に親族の同席をお願いする等の高齢者募集ルールの適切な運用や、あるいは外貨建て保険は元本割れリスクがあることを具体的な金額をもって説明する等、有効と考えられる対応を会員銀行に通達している。
 しかしながら、これらは、これをやれば終わりという類いのものではない。全銀協としても、継続的に、特に高齢者のお客さまに対して適切な金融商品販売が行われるように、会員行の体制整備に努めて参りたい。


(問)
 2点伺いたい。先ほど消費増税のところで一部コメントがあったと思うが、キャッシュレス決済をするとポイント還元がされる仕組みが10月から始まる。銀行業界としての課題認識と今後の対応方針について伺いたい。
 2点目、先日SBIホールディングスが島根銀行との提携を決めた。異業種が銀行との提携に関わってくる、場合によっては再編に絡んでくることについてどう受け止めているか。また、こういう動きが今後増加しそうかどうかについて見解を伺いたい。
(答)
 まず、消費増税時のポイント還元に関しての現状認識だが、10月1日からの消費税率引上げに伴う、「キャッシュレス・消費者還元事業」については、需要平準化対策としてだけではなく、キャッシュレス決済普及の起爆剤になることを期待して、ポイント還元の仕組みができている。
 一方で、「キャッシュレス・消費者還元事業」に関する各行の取組状況となると、これはさまざまであり、全銀協としてそれぞれの課題認識について見解を申しあげる立場にはない。したがって、個別行としての話になるが、この事業の登録決済事業者として、デビットカード、クレジットカード等の当行グループが取り扱いしているサービスについて消費者還元の対応を行っており、スタートへ向けた準備をしっかりと進めている。特に、従来キャッシュレス決済を取り扱っていなかった中小零細の事業者の方々への提案は、比較的順調に進んでいる。
 私ども銀行界としては、これは時限性のある消費者還元の期間だけではなく、わが国でキャッシュレス決済が本当に浸透するために、業界全体で、安全で利便性の高いサービスを提供していくことを通じて、キャッシュレス決済の推進に貢献していくことが、本来果たすべき役割だと思っている。決してキャンペーン的にこの期間だけ取り組んでいる訳ではないというのが、私どももそうであるし、また、多くの金融機関の考え方であろうと思う。
 二つ目、SBIホールディングスと島根銀行の資本業務提携についての質問だが、これも各社各行の個別の経営判断にもとづく提携であり、全銀協会長としては評価する立場ではないだろうと思う。
 したがって、あくまで個人的な感想を申しあげると、今回のような事例は地域の金融機関が経営力を強化していこう、あるいは、ビジネスモデルの変革を図っていこうという意味で、新たな選択肢としての取組みであるということで、期待を持って見ている。すでに多くの地域金融機関は、非常に健全な危機感の下で構造改革あるいはビジネスモデル改革に取り組んでいる。そういうなかで、従来ややもすると近隣の地域金融機関の連携、統合、再編というかたちが多かったと思うが、それに対してこの取組みは、ある意味では新たなオプションということで、こういう動きがあると、島根銀行だけではなく、ほかの地域金融機関のいろいろな意味での構造改革に向けた動きを後押しする、あるいは改革のスピードを速める付随効果もあるのではないかと、非常に興味を持って見ている。


(問)
 先ほどの外貨建て保険についての会長の回答に関連してだが、生命保険協会の前回の会長会見のなかで、苦情削減の取組みの一つとして、新たな販売資格を検討するという言及があった。そうした新たな販売資格の必要性を銀行業界としてどのように感じられているか。また、導入するとなれば、銀行側にとっては新たな負担が生じることになるかと思うが、導入に向けた課題についてどう見られているか、考えをお聞かせいただきたい。
(答)
 外貨建て保険の販売に関してということだが、今の新たな販売資格という話については、詳細を存じあげないので、具体的なコメントは差し控えたい。
 しかし、外貨建て保険に関する苦情、特に高齢者のお客さまへの販売に関しての苦情が増えてきている傾向は、先ほど申しあげたとおりである。このために、全銀協と生命保険協会と、歩調を合わせて対応していこうという動きをすでにとっている。
 保険をつくる、それから販売する、双方で、まずは足並みをそろえて、このような苦情に至るような状況を一つでもなくしていくことに取り組むことが、まずもっては重要ではないかと思っている。引き続き、生命保険協会とも緊密に連携をしていくなかで、そのような話があったときには、しっかりと議論をさせていただきたいと思っている。


(問)
 そもそも論の話になるが、マイナス金利が深掘りされた場合、貸出は伸びるとお考えか。貸出の影響について伺いたい。
 ノルマ廃止の影響について。金融庁は長期的な経営を考えて地銀に対して積極的にノルマ廃止を検討するように求めているが、収益に影響が出ることを懸念してなかなか進んでいないのが現状だと思う。SMBCはすでにノルマを廃止されているが、実際に収益に影響はあったのか。第1四半期、リテールが結構厳しかったと思うが、そのあたりに影響がなかったかどうかも含めて教えてほしい。
(答)
 ご承知のとおり、全銀協からもデータを供給しているが、足元、順調にというか、それほど大きな伸びではないが、ある種堅調に、なだらかに国内の貸出残高は増えている。2016年2月のマイナス金利が導入された後も、その傾向は続いている。
 しかしながら、これは我々の実感とも重なってくるが、すでに今の段階でも非常に低い金利水準にあるなか、国内のビジネス界の方々、特に製造業の方々が気にされているのは、マイナス金利深掘り以上に、やはり内外の経済の先行きについての不透明感のほうであろう。その方が、より大きな要素として、今後の戦略展開、あるいは投資行動に対する影響が大きいということだろう。
 したがって、仮に今後、マイナス金利が深掘りされるということになったとして、貸出がさらに伸びていくのか、あるいは企業の資金需要がさらに伸びていくのか、あるいは企業の投資活動がそれによってさらに促されることがあるのか、これらは残念ながら、かなり疑問だというのが率直な私の捉え方である。
 同時に、仮に資金需要が増えていくことになっても、それが前向きな資金需要なのか、あるいは企業の成長に本当に資するものなのかという観点からは、当然のことながら、金融機関が責任を持って、その判断をしっかりと個別にしていく必要があるということかと思う。
 二つ目が、いわゆるノルマ廃止の影響であるが、収益への影響を定量的に申しあげるのはなかなか難しい。特に具体例としておっしゃられた本年度の第1四半期、4-6月の状況、これはマーケットが非常に悪かったということで、企業セクターも家計セクターも、新たな投資についてリスクオフのムードが漂っているところであったので、環境要因と、営業目標というか、ノルマがあるかどうかということを切り離して定量的に申しあげるのは非常に難しい。
 そもそも、ノルマ廃止などの業績評価の見直しの目的というのは、お客さま本位の業務運営を実践していくためのものであり、そうした動きによって、お客さまからの信頼をいただいたうえで、新たなビジネスチャンスにつなげていこうというものである。それによって持続可能な関係をつくっていくことが目的であるわけで、当然のことながら短期的な収益がどうかではなく、これは中長期的な視点で取り組むべきものという考えである。
 仮にノルマを廃止したために収益が落ちたとすると、そのことが意味するところは、それは持続的に続く収益ではなかったということ。したがって、それは落ちても仕方ない。非常に極端な言い方をすれば、そういうことになる。いかに中長期的にファンを増やし、信頼を獲得することで長くお客さまとの関係を作っていくか、あくまで中長期的な前向きな取組みということを徹底することが一番大事だと思っている。
 内部では、いろいろな分析を行いつつ進めているところだが、私自身は、非常に前向きな動きが出てきているということで、ある種、手応えを感じている。仮に足元、若干リスクオフの環境のなかで収益が落ちても、いかに中長期的にそういう活動を続けていくかということのほうが重要だと考えている。
 以上、個別行の話として申しあげた。