知っておきたい、金利表示の見方と注意点

新聞やインターネット、あるいは銀行などの店頭で目にする貯蓄商品の広告。
とくに気になるのが「金利」ですが、一概に数字だけで「高い」「低い」を判断することはできません。金利が示す数字の意味や、その条件等をしっかり把握することが大切です。

金利と受け取る利息は一致しない!?

普通預金や定期預金などに預ける際につく利息は「金利」として示されています。しかし、それがそのまま、皆さんの受け取る利息とはなりません。

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金利とは、いわば利息(金額)の計算レート(利率)。「%」で表示され、一般には「年利=1年あたりの利率」を意味します。たとえば、100万円を金利0.3%の定期預金に1年間預けた場合、その利息は3,000円となります。

ただし、預金による利息は源泉分離課税の対象となります。原則として、その支払いを受ける際に一律20.315%(所得税15.315%(復興特別所得税0.315%含む)、地方税5%)が源泉徴収されるのです。先の例では、3,000円に対して609円(※1)が課税され、実際に受け取る利息は2,391円。したがって、広告等に表示されている金利は「税引き前金利」あるいは「表面金利」と区別して呼ぶこともあります。

金利と利回りの違いとは

100万円を1年複利で預けた場合の利息

金融商品には「金利」ではなく「利回り」という表現を使用するものもあります。一見同じにも思えますが、金利と利回りは必ずしも一致しません。

金利とは、投資金額に対して支払われる年間利息の割合のことであり、単年の利息額をパーセンテージで示したものです。預金でいえば預け入れ預金に対して、銀行から預金者に支払われる1年分の預金利息の割合となります。
一方、利回りとは、投資金額に対する1年あたりの運用収益の割合のことであり、お金がどれだけ増えたかを示すものです。複数年にわたる運用期間でも単年の収益率に戻して示すものであり、投資信託や債券など値上がりの可能性がある場合はその売却収益も加味されます。預金でいえば、預け入れ金額に対する、1年あたりの運用益(複数年の預金利息合計の1年平均)の割合となります。

具体的に違いを見てみましょう。
金利0.3%(税引き後0.2391%)、5年ものの定期預金に100万円預けた場合、1年目に手にする利息は2,391円(税引き後)。しかし、2年目は100万円に2,391円が加算された金額に対して金利がつきますから、手にする利息は2,396円(利息合計は4,787円)と1年目より多くなります。こういった増え方を「複利」と言います。下図のとおり、5年目の利息額合計は12,012円となり、1年あたり2,402円の利息になるため、この時の利回りは税引き後0.2402%となります。
このように複利型商品の場合(※2)、前年の利息額を加えただけの単年の金利(税引き後0.2391%)に対し、複利効果を受けた複数年の利息額を1年平均した利回り(税引き後0.2402%)は大きくなります。

年利で表示される1年未満の定期預金

金利は基本的に年利を意味します。では、預け入れ期間が1年未満の定期預金はどう利息を計算するのでしょうか。

「3ヵ月定期、金利1.2%」と表示されている商品の場合、預入期間は3ヵ月間=1年間の4分の1ですから、金利も4分の1=0.3%として計算します。100万円預ければ3ヵ月後に3,000円の利息(税引き前)がつくということです。

また、金利や利回りといった数字だけでなく、中途解約についても理解しておく必要があります。一般的に預け入れ期間が定められている定期預金などは「中途解約した場合、表示した金利とは異なる金利が適用されます」といった条件がつきます。必ずチェックしておきましょう。

(※1)所得税と地方税は1円未満切り捨て、復興特別所得税は50銭以下切り捨て、50銭超切り上げ
(※2)単純に当初の預入元本に対して、毎年利息を乗じる単利型商品もある