解説記事 海外

2016年2月27日

G20財務大臣・中央銀行総裁会議、声明を公表

20か国・地域(G20)財務大臣・中央銀行総裁会議が2月26日・ 27日、中国・上海で開催され、同会議の声明が2月27日に公表された。
 声明の主な内容は以下のとおり。 1.世界経済の状況

  • 世界経済の回復は続いているが、期待する水準に達していない。
  • 世界経済の成長という共通の目的を実現するため、更なる行動が必要である。

2.金融政策および財政政策

  • 強固で持続可能かつ均衡ある成長の実現に向けてマクロ経済政策と構造政策が果たす役割を再確認する。
  • 為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与え得ることを再確認する。
  • 通貨の競争的な切り下げを回避することや競争力のために為替レートを目標とはしないことを含むコミットメントを再確認する。

3.成長戦略および投資戦略

  • 2018年までにGDPを追加的に2%引き上げるという目標を達成するため、2016年に国別の改定成長戦略の実施を優先課題とする。
  • 取組みの効率性を高めるため、投資戦略を成長戦略と統合し、目標達成に向け、引き続きそれらの戦略の適時かつ効果的な実施にコミットする。
  • インフラ投資をアセットクラスとして促進し、G20/経済協力開発機構(OECD)のコーポレートガバナンスと中小企業ファイナンスの原則の強固な実施を奨励し、特にエクイティ・ファイナンスに焦点を当てたインフラ融資手法の多様化に貢献する政策パッケージの立案を支援する。

4.国際通貨システム

  • 国際通貨システムの円滑な機能および秩序ある発展の促進を目指した国際金融アーキテクチャー作業部会の作業計画を承認した。
  • 2010年の国際通貨基金(IMF)クォータ・ガバナンス改革の発効を歓迎する。第15次クォータ一般見直しを2017年の年次総会までに完了させるというタイムテーブルを支持し、強固でかつ十分な資金基盤を有するIMFへのコミットメントを再確認する。

5.金融規制改革

  • バーゼルⅢや総損失吸収力(TLAC)の基準を含むこれまでに合意した金融改革の適時、完全かつ整合的な実施に引き続きコミットしている。
  • BIS決済・市場インフラ委員会と証券監督者国際機構が公表した金融市場インフラのための原則の実施と、金融市場インフラの規制・監視の更なる強化を強く奨励する。

6.租税回避に対する取組み

  • G20/OECD税源浸食と利益移転(BEPS)プロジェクトを適時に実施するというコミットメントを再確認し、BEPSに関連する問題へのモニタリングと対処を続ける。
  • 要請にもとづく情報交換および自動的情報交換のための基準の実施に引き続きコミットし、全ての金融センターおよび国・地域に対して、2017年又は2018年末までの実施を求める。
  • IMF、OECD、国連および世界銀行グループが税プラットフォームを共同で立ち上げるという新たな提案を歓迎するとともに、これらの機関に対し、技術支援プログラムの効果的な実施を確実なものとすることに資するメカニズムと、税プロジェクトおよび直接の技術支援に対する各国の資金の貢献方法について、7月の会合で提案することを求める。

7.テロ対策

  • 全ての国に対し、テロ資金供与の全ての資金源、技術およびチャネルに対処するための取組みに参加することを求める。
  • 金融活動作業部会(FATF)に対し、金融システムに残存する抜け穴および問題を特定し対処するための取組み強化と、FATF基準の完全履行の確保を求める。

8.気候変動に対する取組み

  • 喫緊の環境課題とグリーン資金の重要性を認めて設立したG20グリーン資金スタディグループに、7月の会議までに統合報告書を提出することを期待する。
  • 気候変動に係るパリ協定の採択と気候資金に係る先進国および国際機関によるコミットメントおよびその他の国による発表を歓迎し、タイムリーな実施を求める。

(関係資料は(英文)は、www. g20.org、関係資料の一部仮訳等は、www. mof. go. jpから入手可能)