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2016年4月19日

日本経済団体連合会、「BEPSプロジェクトを踏まえた今後の国際課税に関する提言」を公表

 日本経済団体連合会は、4月19日、「BEPSプロジェクトを踏まえた今後の国際課税に関する提言」(以下「提言」という。)を公表した。
 提言は、OECDが2015年10月に公表したBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクトに関する最終報告書を踏まえた国内法制化が課題となっていることを受け、取りまとめられている。
 提言の主な内容は以下のとおり。

1.国際社会における課題

  • 最終報告書における4つのミニマム・スタンダード(国別報告事項、紛争解決メカニズムの効率化、条約の濫用防止、有害税制への対抗)のうち、とりわけ、国別報告事項や紛争解決メカニズムの効率化に関する勧告は、全ての国が確実に遵守することが不可欠である。
  • 移転価格税制やPE(Permanent Establishment:恒久的施設)課税に関する勧告は、既存のスタンダードの改訂に分類され、ミニマム・スタンダードに比べ一般的に拘束力が劣るとされるが、二重課税防止の観点からは、可能な限り国際的な制度の収斂、解釈の調和が求められる。

2.国内法制化の課題

  • 国内法制化に関する項目については、国際協調を目指しながらも、まずは、日本企業の現状や既存の制度との整合性を踏まえて検討することが重要である。
  • 政府は、検討のロードマップ案を示す必要がある。その際には、租税回避の防止のみならず、企業の競争力強化の視点も不可欠である。また、企業のコンプライアンス・コスト、課税当局の執行可能性とのバランスに十分に配慮する必要がある。

(関係資料はwww.keidanren.or.jpから入手可能)