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2016年4月21日

経済産業省の株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会、提言および報告書を公表

 経済産業省の「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」(座長:尾崎安央 早稲田大学法学学術院教授)(以下「研究会」という。)は、4月21日、「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会報告書」(以下「報告書」という。)および「株主総会の招集通知関連書類の電子提供の促進・拡大に向けた提言」(以下「提言」という。)を公表した。
 研究会は、2015年11月の設置以来、グローバルな観点から最も望ましい対話環境の整備を図るべく、「持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会報告書」(平成27年4月)や「日本再興戦略改訂2015」(平成27年6月閣議決定)等の方向性を踏まえ、企業と投資家の対話促進に向け、情報開示を充実させ、議案検討期間を確保する具体的な方策等について検討を続けてきた。
 報告書は、情報開示を充実させ、株主の議案検討期間を確保するための方策として、(1)株主総会の招集通知等の電子提供、(2)議決権行使プロセスの電子化、(3)株主総会関連日程の適切な設定、(4)対話支援産業の役割等について取りまとめている。
 また、提言は、上記(1)に関して、企業と株主・投資家との対話を促進するという観点から、招集通知関連書類の電子提供を促進・拡大させる方向で柔軟に制度を整備していくことを求めるとともに、企業実務等の観点も踏まえて、その具体的な制度設計のあり方や留意点について提示している。制度設計に向けて挙げられた主な留意点は以下のとおり。

  • 今後の環境変化に応じて電子提供を行う範囲や手続きを柔軟に変えていけるよう、企業に選択肢を与える方向で制度を整備していくこと。
  • 制度変更により生じうる不利益があればそれに適切に対処しつつも、事務手続きの煩雑さやコスト面に配慮し、企業実務の観点から利用しやすい制度設計にすること。
  • 電子提供に伴う費用節減効果が情報提供の充実等に取り組むインセンティブとなりうる点も考慮し、書面により提供すべき情報の範囲は必要最低限にすること。

(関係資料はwww.meti.go.jpから入手可能)