解説記事 海外

2016年4月15日

G20財務大臣・中央銀行総裁会議、声明を公表

 20か国・地域(G20)財務大臣・中央銀行総裁会議が4月14日から15日にかけて、米国・ワシントンで開催され、同会議の声明が4月15日に公表された。声明の主な内容は以下のとおり。

1.世界経済の状況

  •  世界経済の回復は続いており、金融市場は2月の上海会合以来、年初来の下落幅のほとんどを回復した。しかし、成長は引き続き緩やかでばらつきがあり、継続的な金融市場の変動、一次産品輸出国が直面する課題および低インフレ率を背景に、世界経済の見通しに対する下方リスクや不確実性は残っている。
  • 地政学的な紛争、テロ、難民の動き、潜在的な英国のEU離脱によるショックが世界経済の環境を複雑にしている。

 2.金融政策・財政政策

  • 信認を醸成し、回復を強化するため、全ての政策手段(金融、財政および構造政策)を個別または総合的に用いるというG20のコミットメントを再確認する。
  • 金融政策は中央銀行のマンデートと整合的に、引き続き経済活動と物価を支えるが、それのみでは均衡ある成長につながらない。
  •  強靭性を高め、債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せることを確保しつつ、経済成長、雇用創出および信認を強化するため機動的に財政政策を実施する。
  • 為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与えうることを再確認する。

3.成長戦略

  •  投資戦略を成長戦略と統合するアプローチに合意したうえで、引き続き成長戦略の効果的かつ適時の実施にコミットする。
  • さらなる包摂性を促進し、過度の世界的な不均衡を縮小させることに引き続きコミットする。
  •  質と量の両面からインフラに焦点を当て、投資アジェンダを前進させるというG20のコミットメントを再確認する。
  •  インフラや中小企業への融資手法の多様化のための政策指針ノートを策定する。

 4.金融規制への取り組み

  • 残された中核的な要素を最終化し、バーゼルⅢやグローバルなシステム上重要な銀行の総損失吸収力(TLAC)の基準を含む、これまでに合意した金融セクター改革の課題の適時、完全かつ整合的な実施を支持するというコミットメントを再確認する。

5.租税回避に対する取組み

  • G20/OECD 税源浸食・利益移転(BEPS)パッケージを適時かつ効果的に実施するというコミットメントを再確認する。
  • 全ての金融センター・地域を含む、自動的情報交換に係る基準を2017年または2018年までに実施することにコミットしていない全ての関係する国に対して、遅滞なくコミットすることおよび多国間条約に署名することを求める。

6.実質的所有者情報の透明化

  • 法人および法的取極めの実質的所有者情報に関し、金融の透明性および全ての国・地域による透明性に関する基準の効果的な実施に付した高い優先性を再確認する。
  • 課税逃れ、テロ資金供与およびマネーロンダリングに対処する目的のため、各国・地域による権限ある当局の実質的所有者情報の入手可能性の改善および権限ある当局間の国際的な実質的所有者情報の交換の重要性を特に強調する。

7.テロとの戦い

  • テロ資金供与のすべての資金源、技術およびチャネルと断固として戦い、対処するというG20の決意を再確認する。

8.気候変動問題

  • 気候変動に係るパリ協定の適時の実施についてのG20の要請と、気候資金に係る先進国および国際機関によるコミットメントおよびその他の国による発表を再確認する
  • 貧困層への支援の必要性を認識しつつ、中期的に、無駄な消費を助長する非効率な化石燃料補助金を合理化し、および段階的に廃止するというG20のコミットメントを再確認する。

 

(関係資料(英文)はwww.g20.org、関係資料の一部仮訳等はwww.mof.go.jpから入手可能)