解説記事 海外

2016年5月 3日

ASEAN+3(日中韓)財務大臣・中央銀行総裁会議、共同声明を公表

ASEAN+3(日中韓)財務大臣・中央銀行総裁会議(共同議長:ソムディ・ドゥアンディ副総理兼財務大臣(ラオス)・ロー・ジーウェイ財政部長(中国)は、5月3日、第19回会議(ドイツ・フランクフルト)を開催し、共同声明を公表した。

 共同声明の概要は以下のとおり。

1.チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)

  • 地域の金融セーフティネットの不可欠な一部として、CMIMを一層強化することについてのコミット   メントを確認した。
  • 世界通貨基金(IMF)を中心とするグローバルな金融セーフティネットをさらに強化することを含 め、国際金融アーキテクチャーの改革が現在G20において推進されていることを踏まえ、CMIMがグローバルな金融セーフティネットにいかにすればより良く結合されうるか、財務大臣・中央銀行総裁代理(以下「代理」という。)に対し注意深く検討することを課した。
  • 代理に対し、ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)と協力し、全てのASEAN+3メンバー国の主要な経済・金融指標により構成される「経済情勢に関する政策対話(ERPD)マトリクス」を発展させることを継続し、将来を見据えつつこのツールをさらに活用する方法を探求することを課した。
  • CMIMの基本的な課題の優先順位や作業計画に関する代理の承認を歓迎した。また、代理に対して、合意されたタイムテーブルに従って、関連する課題について解決策を見つけ出すことを課した。
  • 「CMIMの将来の参考のための、ユーロ圏におけるトロイカ体制による金融支援プログラム」および「CMIMアレンジメントと市場慣行の比較分析」に関するCMIMスタディの完了に留意する。

2.ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)

  • AMROが地域の経済サーベイランスの実施および信頼できかつ効果的な地域金融ファシリティとしてのCMIMの実施支援を強化することに関し、持続的な支持を表明した。また、人事交流、情報共有および共同活動を通じ、AMROが関係国際機関と協働することを指示した。
  • AMROが速やかに中期戦略目標を完成させることを慫慂する。また、AMROを、独立し、強固で、信頼に足りかつ専門的な国際機関にするとの目標を共有する。
  • メンバー国経済のサーベイランス能力強化のため、AMROがその技術協力活動をさらに強化、拡大することを慫慂する。

3.アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)

  • 今後3年間でABMIにおいて支援される活動を示した新しい中期ロードマップを承認した。新しい中期ロードマップの下、現地通貨建て債券によってインフラ開発需要に応えることを支援するため、いくつかのメンバー国経済においてグリーンボンド、カバードボンド、レポ市場におけるプライム担保および地方政府債を推進する。
  • ASEAN+3債券共通発行フレームワークにおけるさらなるクロスボーダー債券の発行ととともに、クロスボーダー決済インフラフォーラムにおける、ASEAN+3各国の中央銀行と証券保管振替機構間の中期的なCSD-RTGSリンクの着実な進展を期待する。

4.結語

  • 2017年に横浜において会合を開催することに合意した。フィリピンおよび日本が2017年のASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議の共同議長となる。

(関係資料はwww.mof.go.jpから入手可能)