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2016年6月 2日

政府、「経済財政運営と改革の基本方針2016」を閣議決定

 政府は、6月2日、「経済財政運営と改革の基本方針2016・600兆円経済への道筋・」を閣議決定するとともに公表した。
 主な構成と内容は以下のとおり。

1.現下の日本経済の課題と考え方
 アベノミクスのこれまでの成果および課題と、本年4月に発生した熊本地震への対応について概観したうえで、「新・三本の矢」により「成長と分配の好循環」を確立して地方を含めた日本経済全体の持続的拡大均衡を目指すとともに、「地方創生」によって将来にわたって地域の成長力を確保するとしている。
 そして、600兆円経済に向けた道筋の基本的考え方を示すほか、東日本大震災の「復興・創生期間(平成28年度・32年度)」における取組方針を定めている。

2.成長と分配の好循環の実現
 成長と分配の好循環を実現させるための具体的な取組として、(1)結婚・出産・子育ての希望、働く希望、学ぶ希望の実現:経済成長の隘路の根本にある構造的な問題への対応、(2)成長戦略の加速等、(3)個人消費の喚起、(4)成長と分配をつなぐ経済財政システムの構築、(5)安全・安心な暮らしと持続可能な経済社会の基盤確保、を掲げている。

3.経済・財政一体改革の推進
 600兆円経済および平成32年度の財政健全化目標の実現を目指し、「経済・財政再生計画」における歳出・歳入両面の取組を進め、経済・財政一体改革を着実に推進するとしている。
 具体的な施策として、(1)先進・優良事例の展開促進、国と地方の連携強化、「見える化」の徹底・拡大、(2)ワイズ・スペンディングの仕組みの強化、(3)実効的なPDCAサイクルの構築が掲げられている。
 そして、主要分野ごとの取組として、a.社会保障、b.社会資本整備等、c.地方行財政改革・分野横断的な課題、d.文教・科学技術等、e.歳入改革、資産・債務の圧縮を掲げている。

4.当面の経済財政運営と平成29年度予算編成に向けた考え方
 当面の経済財政運営に当たっては、「G7伊勢志摩経済イニシアティブ」を踏まえ、今秋に向けて総合的かつ大胆な経済対策をとりまとめるとしている。
 また、賃金・可処分所得の引上げ、規制改革、消費・投資喚起策等を推進するとともに、成長戦略の加速と一億総活躍社会の構築を通じ、成長と分配の好循環を実現することを掲げている。
 さらに、日本銀行に対しては経済・物価情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することへの期待を示している。
 また、平成29年度予算編成に当たっては、集中改革期間2年目の取組を掲げたうえ、経済・財政一体改革を反映させ、健康増進、コンパクトなまちづくり、住民・行政サービスの広域化・IT化等に向け、先進・優良事例の展開促進、国と地方の連携強化、「見える化」の徹底・拡大を進めるほか、一億総活躍社会の実現等の重点課題に係る取組を推進することとしている。
(関係資料はwww.cao.go.jpから入手可能)